「どこ!どこ?わたしのトリミアーーン!」
パルファム宮殿に入ってすぐに、ミロカロス像の前で取り乱す男が目に入った。
「ぼくの愛しのトリミアンちゃんが消えた!?」と騒ぐ男性を横目に、先に宮殿内に入っていたサナがとてててて……と駆け寄ってきた。
「きいた?二人とも!あたしたちも探そッ!!」
気合い十分にそう言うサナに、カルムが「なんで?」と聞けば、「だってもし……」としょんぼりした様子でサナが口を開く。
「自分のポケモンがいなくなったら不安で心臓つぶれちゃう!」
そう叫ぶサナ。俺とカルムはお互いに見やると、
「まあ、その気持ちわかるからなぁ。探すか」
「うん」
カルムも頷いたのを確認すると、三手に分かれて宮殿内を捜索し始めた。
「確か……。ゲームだと中庭にいたよな」
そう呟きながら中庭に出ると、後からカルムがやって来た。
「カルムもここが怪しいと思うか?」
そう尋ねれば頷いたので、「なら二手に別れよう。俺は奥から探すよ」と言えば「よろしく」と返されたので、とりあえず奥を探してみると、垣根の向こうに白い何かを見つけた。もしかしてと思い、そちらへ走るとやはり、そこにはトリミアンが悠々と歩いていた。
「よーし……おとなしくしていてくれよぉ……」
話しかけながら近づけば、「きゅい」と鳴きながら逃げ出したトリミアン。慌てて追いかけるが、なんとすばしっこいトリミアン。なかなか追いつかない。
「おーい、待ってくれー!」
必死になって追いかけて、垣根の内側を一周すれば、いつの間にやらカルムが近くに立っていた。
「すまん、カルム!手を貸してくれないか?」
そう頼めば「いいよ」と頷くので、ホッとしつつもカルムに作戦を伝える。
「奥の方に行き止まりになっている箇所がある。だから二人でそこに追い込もうと思うんだよ。俺が待ち伏せしとくから、どこにいたらいいか教えてくれ」
正直すでに走り回っていて疲れていたので、待ち伏せ担当になると、カルムは頷くと、早速「ここで一度待ち伏せお願い」と言ってきたのでそれを了承すると、カルムは早速トリミアンを奥の方へと追い立てた。
俺が垣根の出入り口にいることに気づいているからか、とたたた……と逃げるトリミアン。それを見て、「俺動いたほうがよさそうかー?」と聞けば、「次はそこに」と少し動いた場所を指さされた。そちらに行けば、逆方向からカルムが奥の方へと向かう。
トリミアンは俺とカルムから逃げようと進むが、まんまと袋小路へと自ら逃げ込んだ。
カルムがその出入り口に立って塞いだのを視認すると、俺もカルムに合流する。
「やったな、カルム。見事に捕まえられたな」
そう言ってハイタッチしていると、
「おー!トリミアンちゃん!愛しのトリミアンちゃん!!」
と叫びながらトリミアンへと駆け寄る男性と、その男性と共にやってきたサナとも合流した。
「すごかったよ、カルやん。シェード!ポケモンの気持ちがわかるから捕まえられたんだね♪」
そう言ってニコニコと笑うサナ。少し気恥ずかしくなって頰を掻いていると、
「トリミアンとぼくをトレビアンに再会させてくれたのはもしかしてきみアンドきみ……?」
と、俺とカルムを見やる男性。それに「まあ、はい」と頷けば、「トレビアン!すばらしい、じつにすばらしい!こんなときは花火です!ドカドカーンと打ちあげましょう!わたしとポケモンの再会……つまり愛情を確かめあった記念の花火ですぞ!」などと言い始めた。
まさかの展開についていけなくなっていると、「ついでにちょっとがんばったあなたたちの苦労もねぎらうから、バルコニーに行きなさい。わかりますか?バルコニー。2階の鏡のある廊下からバルコニーに行けますからね」と一方的に捲し立て、男性はトリミアンを連れて去っていった。
「……トリミアン。みつけてよかったのかな?」
「まあ、良かったんじゃないかな?うん」
「でも、あたしがポケモンだったらあんなトレーナーはやだ!」と荒ぶサナを宥めつつ、とりあえず三人でバルコニーに行くことにするのだった。