育て屋を出ると、暫く歩いた先にある大きな城の前に着いた。城の名前はバトルシャトー。ゲームでも頻繁に訪れるコアなプレイヤーも居たという、バトル施設である。
少しワクワクとした気持ちで大きな扉を開けて中に入ると、穏やかそうな老紳士とビオラさんが居た。
「あら、シェード。あなたの爵位はなに?」
俺に気付いたビオラさんが出し抜けに尋ねてきた。が、もちろん俺は初めてなので「持っていないです」と素直に答えると、「えっ?爵位ないの!?」と思いの外驚かれた。
「あなたの強さなら持っていても全然おかしくないのに……。爵位っていうのはね、ここバトルシャトーで実力が認められた一握りのトレーナーにのみ与えられる称号なの!」
「ビオラさんこちらは?」
俺に爵位に関する説明を始めていたビオラさんに、隣にいた老紳士が尋ねると、「バッジを見せてあげなさいな」と言われた為、バッジケースを取り出す。すると、
「おお!バグバッジをお持ちということは、ビオラさんに認められたトレーナーさんのようですね。はじめまして、わたくしイッコンと申します」
そう言って丁寧に挨拶されたので、「どうも、お……私はシェードです」と頭を下げ返して挨拶をする。すると、
「私推薦しますから、シェードに爵位を与えるというのは?強いトレーナーですから、きっとバトルシャトーのためになります」
ビオラさんがイッコンさんにそう言うと、イッコンさんは愉快そうに俺を見た。
「ほう、なるほど……!ビオラさんの推薦でしたら、資格としては十分でしょう」
「それに……」と呟き、イッコンさんはにやらと笑う。
「わたしもただならぬなにかをシェードさんから感じます。……シェードさん!バロンの爵位を今からあなたに授与しましょう!」
そう言って、イッコンさんから手渡されたのはアラビア数字の1を変形させたような印が彫られているバッジを渡された。
「爵位をお持ちの方は同じく爵位を持つ方々とここで勝負できます。男性ならバロン、女性ならバロネスは、爵位としては一番下ですが、ここで勝負を繰り返し勝つことで爵位もあがります。そうすれば、より高い爵位の方々があなたに興味を持ち、ここに集うようになるでしょう」
「わからないことがあれば、入口の二人におたずねください」と言ってバトルシャトーの爵位について説明し、『では、シェードさん、ビオラさん。失礼いたします」と言ってイッコンさんは去っていった。
「あたしも爵位を持っているの!サイコーの爵位を目指してお互い競いあえたらいいよね!」
にっこりと笑いながら言うビオラさんに、「俺の爵位が追いついた時、あらためて戦いましょう!」と答えると「そうこなくっちゃ!」と、ニヤリと獰猛な笑みを浮かべる。
かと思えば、「それじゃあっ!」と溌剌とした笑顔に戻って去っていくビオラさん。
それを見送ると、とりあえず、一つぐらい爵位を上げていきたいな。と思いバトルシャトー内のバロン、バロネスのトレーナーへ勝負を挑みに探しにいくのだった。
カルムはバトルシャトーに寄らずにさっさと次のまちに行きました。