ポケットモンスター 影   作:瓶詰め蜂蜜

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第9話 VSビオラ

「勝負に挑むその表情、いいんじゃない。いいんじゃないの!」

 

 クモの巣状の道の終着点の、テントの建つ舞台に上がると、そんなふうに興奮したビオラさんに言われた。

 

「はじめてのジム挑戦?いいんじゃない。いいんじゃないの!負けてくやしがるのも……。勝った瞬間もどちらも被写体としてサイコー!いいんじゃない、いいんじゃないの!」

「お、おおう……」

 

 止まらないビオラさんの興奮に思わず後ずさる。と、

 

「さあてこのビオラ、シャッターチャンスをねらうように勝利をねらっていくんだから!」

 

 とボールを構える。それを見て、先ほどまでのハイテンションな台詞はゲームの時もしていた前口上だと思い出し、「よろしくお願いします」と言ってコートの反対側へと立つ。

 

「では、これより!ハクダンジムジムリーダー、『笑顔を見逃さないカメラガール』ビオラと、チャレンジャー、メイスイタウンのシェード!バトル開始です!」

 

 いつの間に現れたのか、表にいたおじさんが審判エリアに立ってバトル開始の宣言をする。

 それに合わせてモンスターボールを同時に投げれば、俺からはヤヤコマ、そしてビオラさんが繰り出したのはアメタマだった。

 

「行くよ、アメタマ!『あわ』!」

「『でんこうせっか』で躱せ!」

 

 勢いよく噴射される『あわ』。それを『でんこうせっか』で回避させると、俺はヤヤコマに向け、「反転からの『つつく』!」と更なる指示を送る。

 

「甘いよ!『あわ』!」

「よく軌道を見ろ、ヤヤコマ!」

 

 俺の指示に応えようと、『あわ』をスレスレで躱しながらアメタマへと肉薄し、ヤヤコマは『つつく』をお見舞いしようとする。が、

 

「『でんこうせっか』」

 

 俺が先程やった『でんこうせっか』を利用した回避を取られる。しかし、

 

「なら、こちらもだ!」

「ぴぴっ!」

 

 すぐさま反応したヤヤコマは『でんこうせっか』でアメタマに追いつき、『つつく』をお見舞いする。『でんこうせっか』による勢いも威力に加算されたのか、一撃でアメタマを戦闘不能に追い込んだ。

 

「良くやったヤヤコマぁっ!」

「ぴぴっ!」

 

 褒めれば嬉しそうに囀るヤヤコマ。それを前に、素敵な笑みを浮かべてビオラさんが次に繰り出したのは、はなぞののもようのビビヨンだった。

 

「油断するなよ、ヤヤコマ。『つつく』!」

「ぴっ!」

 

 ビビヨンに技を食そうと飛びかかるヤヤコマ。それをビビヨンは優雅にふわりと躱すと、

 

「ビビヨン!『まとわりつく』!」

「ビヨーン♪」

 

 ビオラさんの指示の後、ビビヨンから放たれたむしタイプのオーラがヤヤコマへと『まとわりつく』。その様に思わず舌打ちをしてしまう。

 

 これでヤヤコマは交代不可だし、暫くは持続ダメージが入る。……なら、

 

「倒れる前に倒すぞ、ヤヤコマ!『でんこうせっか』!」

「ぴぴっ!!」

「なら、『かたくなる』よ!」

「ビヨンド!」

 

 ヤヤコマに『でんこうせっか』での高速戦闘に持ち込ませようと指示を出すが、防御を上げたビビヨンは中々に沈まない。『でんこうせっか』を維持させたまま『つつく』様に指示をするが、効果抜群の筈なのにあまりダメージが入らない。その上、その都度『まとわりつく』をかけ直してくるのが非常に厄介だった。そして……。

 

「ぴ……ぴ……」

「……おつかれ、ヤヤコマ」

 

 『まとわりつく』によって体力を削られきったヤヤコマは目を回し、戦闘不能となる。

 地に落ちたヤヤコマをボールに回収すると、肩に乗っかったままだったイーブイに声を掛ける。

 

「行けるか?イーブイ」

「ぶいぶいぶーい!」

 

 「まかせろ!」と言わんばかりに勇ましい*1声を上げてコートに降り立つ。

 それを見届け、早速イーブイへ指示を出す。

 

「イーブイ、『でんこうせっか』!」

「ぶいっ!」

 

 コートを『でんこうせっか』で駆け出すイーブイ。それを見たビオラの指示で、イーブイへ向けて『まとわりつく』を放つも、

 

「あれっ!?」

「ビヨ!?」

 

 俺のイーブイはむしタイプのオーラから逃げ切り、大きく距離をとってから再突撃。

 

「びよっ……!?」

 

 『まとわりつく』事が出来なかったために動きが止まったビビヨンはいい的で、無防備に攻撃を受けるビビヨン。

 イーブイは体をぶつけた後、そのままビビヨンの身体にしがみついて地面へと引きずり落とす。それを確認した俺はすぐさま、「『スピードスター』の連発」を指示、地面に縫い付けられたビビヨンは一方的に『スピードスター』の餌食となる。

 そうなると勿論、

 

「ビビヨン戦闘不能!よって勝者……チャレンジャー、シェード!」

 

 

 こうなる。

 

 俺のもとに戻ってきたイーブイをよしよしと撫でてやっていると、

 

「いまのあなたたちサイコー!!いいんじゃない、いいんじゃないの!!」

 

 そう言ってコートを通って近づいてくる。そして目の前に立つと、

 

「あなたは……。ううん、あなたとあなたのイーブイはサイコーのコンビね!いいんじゃない、いいんじゃないの!!ホラ、これをどうぞ!!」

 

 と、テンション高くクワガタのような形をしたバッジを手渡された。

 

「それはバグバッジ。ここ、ハクダンジムを突破した証よ!」

 

 「あとあなたたちの強さを称えわざマシンもプレゼント!」と俺たちが苦しめられた『まとわりつく』のわざマシンも渡された。

 

「さて、あたしの後ろにテントがあるよね」

「ありますね」

 

 ひょこりとビオラさんの背後を確認しながら頷くと、ビオラさんのパチンッと指を鳴らした音とともに、テントの幕が開き階段が見えた。

 

「その先の階段を昇れば、すぐ上に戻れまーす」

 

 そう言って笑うビオラさんに向かって有難うございました。とお辞儀すると、「気にしなくていいわよ」と笑われた。

 

 

 

 

 

 

 

 因みに階段の出口は大きなパネルの裏に繋がっていました。忘れていたので驚いたら、先に戻っていたおじさんに笑われてしまったよ、ちくせう。

*1
当社比




 久し振りにビオラさん見たら普通に美人さんだった。当時は何とも思って無かったなぁ。
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