新スーパーロボット大戦OG64   作:舟太郎

13 / 13
13話 レクイエム

 

 

「何をやってるんだ、お前たちは・・・。」

 

シロガネの副長がBMXチームに尋ねる。

 

「アタシたちはあくまでも侵入者に出し抜かれただけよ!ホラ、拘束されて身動きが取れないじゃない!」

 

「いや、この紐は緩すぎるだろ・・・普通に解けるぞ。」

 

「ジェスは黙ってなさい!」

 

ジェスとミーナが拘束された状態でそんなやり取りを見せる。

 

「ジェス、真面目なお前までがどういうつもりだ?部外者の侵入を許すとは、リーの奴が知ったらどうなる事か・・・。」

 

「申し訳ありません、テツヤ副長。しかしリチャード少佐の話が真であれば、マナミ・ハミルの安全が保証できない状況でしたので・・・。」

 

ジェスがシロガネの副長に就いているテツヤ・オノデラ大尉にそう説明する。

 

「ルビッカ・ハッキネン、証拠を一切残さない凄腕の殺し屋だったみたいだけど、スオミ重工の社長一家惨殺事件で末娘を仕留めそこなった事がきっかけでフィンランド警察にマークされてたみたいよ。」

 

「そう言う事には詳しいんだな。」

 

ミーナがルビッカ・ハッキネンが起こした過去の事件のあらましを説明すると、ジェスが感心した様子を見せる。

 

「フッフッフ、女子高生探偵として当然の嗜みよ!」

 

「お前は女子高生でも探偵でもないだろ・・・。」

 

ミーナがドヤ顔で答えると、ジェスは呆れ顔で指摘する。

 

「現在は最新映画が公開中さ。ゴールデンウイークももう残り少ないけど、ぜひ劇場に見に来てくれよな!」

 

ミーナは何故かボーイッシュな口調で訳の分からない事を口にする。

 

「何の話をしてるんだ、お前たちは・・・」

 

テツヤはあきれた様子で呟いた。

 

 

▽▽

 

 

「識別信号のない戦闘機・・・追っ手か?」

 

キョウスケとハミルトンがハンス・ヴィーパーを人質にし、レイディバードを奪取して脱出すると、そこへ紅い戦闘機が接近してくる。

 

「安心しなキョウスケ、アレは傭兵アンノウン・エクストライカーズの戦闘機、ライアスだ。俺たちの味方だぜ。このレイディバードもそいつらが準備してくれたもんだ。見慣れない機体が積まれていただろ?」

 

ハミルトンがそう説明すると、レイディバードは速度を落とす。格納スペースのハッチが開くとライアスはレイディバードに着艦する。

 

「そっちも無事だったみてえだな、リチャード少佐」

 

レイディバードを自動運転に切り替え、ハミルトンとキョウスケが格納庫でがアンノウン・エクストライカーズのリチャード・クルーガーに声を掛ける。

 

「ああ・・・俺はな。少し手伝ってくれ、ハミルトン・・・。」

 

言われてハミルトンがコックピットに上がると、奥の狭いスペースで重傷を負ったローレンス・ジェファーソンが横たわり、その隣ではマナミ・ハミルが心配そうに手を握っている。

 

「ローレンスのオッサン・・・!?」

 

「止血は済ませてあるが、危険な状態だ。」

 

リチャードがそう伝えると、二人がかりでローレンスを担ぎ上げ、ライアスの下でキョウスケが受け止める。レイディバードの休憩スペースへと運ぼうとした時、レイディバードの機内が揺れる。

 

「なんだ!?」

 

「どうやら追いつかれたようだ。」

 

キョウスケが近くのモニターで外の様子を確認すると、虫型の機械がを取り囲み攻撃してくる。

 

「あれは確かシース・・・だったか?補足されたようだな・・・。」

 

「その後ろからはザドックの部隊も迫っているようです。」

 

サヤ・クルーガーがライアスのモニターでシース以外の反応も検知する。

 

「どうすんだよ、このままじゃやられちまうぜ!?」

 

「しかたない・・・サヤ、もう一度出撃だ。」

 

ハミルトンの言葉を聞き、リチャードがそう言ってレイディバードに積まれたオルフェスに乗り込もうとする。

 

「あたしも・・・!」

 

「無理だな、マナミ嬢。お前さん一人で特機タイプのスイームルグを操縦するのは・・・」

 

マナミがスイームルグに向かおうとすると、リチャードがそれを制止する。

 

「だけどこのままじゃ・・・」

 

「俺は、お嬢一人じゃ無理だと言っただけだ・・・。」

 

リチャードがそう言いながらキョウスケを見る。

 

「ローレンス卿の代わりに機体を制御できるパイロットが居れば話は別だ。」

 

 

 

 

「・・・申し訳ないが安全運転という訳にはいきません、伯爵。」

 

スイームルグのコックピット内で、キョウスケがマナミに語り掛ける。

 

「マナミでいいわ、敬語も結構よ、キョウスケ中尉。武装の設定はこっちで引き受けるわ、機体の制御は願いね!」

 

「了解だマナミ・・・、来るぞ!」

 

二人はレイディバードを先に逃がし、アンノウン・エクストライカーズと共に無人の小島で敵部隊を迎え打つ。

各機が戦闘モードに移行すると、そこへシースの群れが到達し電撃を放つ。

 

「サヤ、空中の敵は俺達で引き受けるぞ!」

 

「了解です、少佐!」

 

オルフェスとライアスが迫るシースの一機を一瞬で撃破する。

 

「アンノウン・エクストライカーズのリチャード・クルーガー少佐・・・それにオルフェスにライアス、向こう側では確認されていないが、相当な腕前だな・・・。」

 

「ええ、とても頼りになる味方よ!」

 

「だったら俺たちは正面の敵をやる。」

 

キョウスケは途端にザドック群に向けて機体を前進させ、それに対してザドック部隊は一斉にビームライフルを斉射する。

キョウスケは致命傷を避けるようにビームを掠めながら突撃し、その巨大なサイズに任せた体当りでザドッグの陣形を崩す。

 

「きゃあ!?」

 

「耐久性は高め、重さは十分だが加速度が低い・・・慣れが必要だな。」

 

「ちょっとキョウスケ中尉、あまり乱暴にしないで!お爺様の設計したスイームルグが壊れちゃうわ!?」

 

マナミはキョウスケの被弾を前提とした戦い方に苦言を呈する。

 

「文句なら後で聞く。位置取りは終わった、攻撃を・・・」

 

「もう・・・こうなったらやけくそよ、アルティメットビーム!!」

 

スイームルグは複数のザドックに対して結晶化した無数のエネルギーをバラまいた。

 

「おあつらえ向きの武装だな・・・悪くない。」

 

キョウスケは若干満足げに呟いた。

 

「なんて戦い方を・・・キョウスケ・ナンブ中尉は優秀なパイロットだと聞いていましたが、あんな戦い方では・・・」

 

「いや、あの機体で防戦に廻れば徐々に追い詰められるだけだ。多少のダメージを覚悟したうえで確実に敵を減らす、一見無謀だがこの状況では案外最適解だろう。とは言え、それが分かっていても実行できるパイロットはそうそう居やしないだろうがな。」

 

スイームルグの戦闘をサヤ・クルーガーが呆れた様子を見せ、父親のリチャード・クルーガーは逆に評価する。

 

「何とか乗り切れたの?」

 

「いや、まだだ・・・!」

 

ザドックとシースの部隊を撃退したところで、スイームルグに向けて上空から高出力のビーム砲が降り注ぐ。

 

「きゃああ!!?」

 

「ちっ・・・後詰か・・・!!?」

 

『どこへいくつもりだい?この私から逃げられるとでも思っているのか・・・マナミ・ハミル!!』

 

上空に現れた白い機体から、ルビッカ・ハッキネンが語り掛ける。周囲にはE2シリーズの航空爆撃機シアスィを従えている。

 

「ルビッカ・ハッキネン!!?まさかあなたが起動兵器の操縦を!?」

 

「それにアレは[ハーラル]・・・最強のE2シリーズか!」

 

リスニルと同じフレームらしきフォルムでありつつ、装飾の凝った機体を見てリチャードが機体名を口にする。

 

『そう、バイキングの王の名を冠するこの機体の実力、とくと味わうがいい!!』

 

ルビッカがそう叫ぶと、ハーラルはその突起状の腕部からビームを放ちながら高速でスイームルグに接近する。

 

「やらせん!!」

 

オルフェスが間に割って入り、エナジーピックで反撃する。

 

『ふん、傭兵ぶぜいが・・・だが追っ手は私だけではないぞ?』

 

ルビッカがそう告げると、水中から紫色の巨大な騎士のような起動兵器が現れる。

 

「今度はBM計画のランスバロンか・・・なぜあの機体が・・・?」

 

現れた機体を見てリチャード・クルーガーが呟く。

特機級のサイズではあるが脚部が無く、スカート状のスラクターで浮遊している。

 

『フッフッフ、一目見て気に入りましてね・・・BM計画の成果物として徴収させてもらいましたよ。ほら、僕も一応バロン(男爵)ですから。なんならライトニングバロンと呼んでいただいても構いませんよ、近々マーキス(侯爵)になる予定ですからね。』

 

機体からはアーチボルト・グリムズの声が響く。

 

「乗っているのはアーチボルトなの!?」

 

「アーチボルト・・・アーチボルト・グリムズなのか!?」

 

キョウスケがマナミが口にした聞き覚えのある名前に反応する。

アーチボルト・グリムズ、向こう側での[インスペクター事件]の折、その非道な人間性に何度か煮え湯を飲まされたが、それと同時に起動兵器の運用に関しても侮れない相手だった。

 

『ほう、一緒に乗っているのはマナミお嬢様と共謀して逃亡したベーオウルフですか・・・たしか、初対面だったはずですが?』

 

キョウスケの存在に気付いたアーチボルトが尋ねる。

 

「(こちらでは面識が無かったか・・・)無意味だろうが一応言っておく、こちらはハンス・ヴィーパーの身柄を拘束している。そちら引くなら開放するが?」

 

「いいの?」

 

キョウスケの柄にもない人質交渉に対してマナミが尋ねる。

 

「ああ、どちらにせよどこかで解放するつもりだ。脱出の際にとりあえず連れてきたはいいが、別にどうでもいいカードだからな。少しでも有効なトレードに使えればそれに越したことは無い・・・。」

 

『なるほど、人質という訳ですか・・・流石は悪名高きベーオウルフ。ですが僕はそんな卑怯卑劣な脅しには屈しませんよ、要求は却下です。誇り高きUCEの将官たるハンス・ヴィーパー准将もそれを望んでいることでしょうからねぇ・・・まあ勝手な想像ですけど!!』

 

アーチボルトがそう返すと、ランスバロンは実体剣[アイアンソード]を出現させ、その切っ先をスイームルグに向ける。

 

『さあ、我がグリムズ家の華麗なる剣技、とくとご照覧あれ!・・・アイアンソードビーム!!』

 

アイアンソードの先端からビームが発射される。

 

「く・・・っ、どこが剣技だ!?」

 

『これも剣技ですよ、起動兵器の特性と混ぜ合わせた現代のね。かのゼンガ―・ゾンボルトもまさか生身で斬艦刀を振るえるわけではないでしょう?』

 

アーチボルトは剣撃戦闘のエキスパートを引き合いに出しながら斬り掛かってくる。(実際には異世界にてまさに生身で斬艦刀を振るっているが、それはまた別のお話)

 

「マナミ、ライトニングソードを・・・!」

 

「ええ、ライトニングソード!」

 

スイームルグはランスバロンのアイアンソードをライトニングソードで受ける。

 

「ちっ・・・パワー負けしている!?」

 

キョウスケはスイームルグのバーニアを吹かすも、ランスバロンの勢いに押される。

 

「アッシャークルー、発射!!」

 

スイームルグとランスバロンの鍔迫り合いの中、マナミは胸部兵装を展開し、リング状の光線を発射する。

 

『おっと・・・なかなか趣味的な武装をお持ちのようで!』

 

アーチボルトはランスバロンのバーニアを最大限に噴射し、アッシャークルーを回避する。

 

「そんな、避けられた・・・!?」

 

「いや、悪くない判断だ。・・・だがこのままではジリ貧だな。マナミ、武装の音声認識をカット、インターロックも解除してくれ。」

 

「今度は何をするつもりなの!?」

 

「全武装を一気に叩きこむ、そのためには音声認識のタイムラグは余計だ。」

 

「けれどそれだと戦闘モーションが作動しないわ!」

 

「それもマニュアルでやる、早くしろ!」

 

マナミはキョウスケに言われて兵装システムの設定を変更する。

 

『何をするつもりか知りませんが、こちらが大人しく待ってると思わない事です。ビームジャベリン!!』

 

ランスバロンは巨大な長柄の斧のような武器を取り出しスイームルグに迫る。

 

「設定は変更したわ、これで・・・」

 

「よし、仕掛けるぞ!」

 

スイームルグは迫るランスバロンに向けてディストラクションブーメランを投擲する。

ランスバロンはビームジャベリンでディストラクションブーメランを弾くも、ビームジャベリンもランスバロンの手を離れる。

 

『なんです!?急に攻撃のペースが・・・!!?』

 

「マナミ、舌を噛むなよ・・・!」

 

「ええ?ちょっと待って!!?・・・きゃああ!!?」

 

キョウスケはスイームルグのバーニアの出力が最大になったタイミングと脚部の駆動を合わせ、高速でランスバロンに接近し、ライトニングソードで斬り掛かる。

 

『そんな鈍重な機体で見事な踏み込みですけれど、ただ棒を振り回すだけでは剣技とは言えませんよ!』

 

ランスバロンはアイアンソードとビームソードの二刀流でライトニングソードを切り払う。

 

「お前の剣術ごっこに付き合うつもりは無い・・・全弾持っていけ!」

 

キョウスケはライトニングソードあっさり手放すと、アッシャークルーとアルティメットビームを同時に展開し、至近距離から発射した。

 

「凄い、スイームルグでこんな戦い方が出来るなんて!?」

 

マナミが感心するように声を出す。

 

『危ない危ない・・・びっくりしましたよ。このランスバロンでなくてはやられていたところです。』

 

土煙の中からランスバロンの姿が露になる。その腕にはいつの間にか巨大な盾が装備され、スイームルグの攻撃を防いでいた。

 

「そんな・・・効いていないの!?」

 

「いや、確実にダメージは入っている。ここで一気に決める・・・!?」

 

キョウスケがランスバロンに追い打ちを掛けようとした時、それを遮るように炎の鳥が現れスイームルグに突進してくる。

 

「きゃああ!!?」

 

「くぅ・・・!!?なんだ・・・アカシックバスター・・・いや、ファントムフェニックスか!?」

 

キョウスケは巨大な火の鳥を見て本来の世界で共に戦った仲間たちの武装を連想する。

 

『アーチボルト様に対する無礼は許しませんわよ、マナミさん!!』

 

巨大な鳥から纏っていた炎が消え、本体の戦闘機が露わになるとパイロットらしき女の声がオープンチャンネルで呼びかけてくる。

 

「あの機体はまさかエルブルス!?それに乗っているのはアイシャなの!?」

 

マナミが現れた戦闘機[エルブルス]とそれに乗るアイシャ・リッジモンドに尋ねる。

 

「そんな、いったい一体どうやってその機体を・・・!!?」

 

『リッジモンド家で保管されていた図面を元に再現したものですよ!』

 

アーチボルトがそう答えるとランスバロンは態勢を立て直し、巨大なランスを構え突進する。

 

『そしてこれがランスバロンの名の由来です・・・ランスチャージ!!』

 

ランスバロンはその勢いのままスイームルグを貫いた。

 

 




【ロボット紹介】

[Another Century's Episode]
ハーラル

[スーパーロボットバトルメーラー]
ランスバロン

[スーパーロボット大戦64]
エルブルス


ハーラルは[Another Century's Episode]に登場する唯一オリジナルのステージボスです。名前はノルウェーやデンマークの王様の名前(ハーラル1世という王様は二人居るらしい)です。
ルビッカはテュッティと同じくフィンランド出身なのでちょっと違うなと思いつつ、ノルウェーなら同じスカンディナヴィア半島だしまあ良いかと本来無人機であるハーラルのパイロットにしてみました。

ランスバロンも最初は第四次主人公ズの誰かを乗せようと思ってたのですが、機体名的にはやはり男爵を乗せたいと思いアーチボルトにし、敵として登場させました。そのせいでアーチボルトが若干武闘派になってしまった。
ちなみにビームジャベリンはその名前とは異なり、ただの長柄のデカい斧です。

タイトルの[レクイエム]はゲームオーバーの時に流れるBGMです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。