新スーパーロボット大戦OG64   作:舟太郎

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16話 栄光への『可能性』

 

「まさかルド・グロリア副大統領が設立したGreAT社が機動兵器の開発に乗り出すなんてね。」

 

「ヴァレイシリーズ、これが特殊戦技研究班の担当している機体ですか?トビー中尉。」

 

マリナ・カーソン少尉とタック・ケプフォード中尉が食品や日用品の販売を行なっている大企業が製造した機動兵器を見て尋ねる。

 

「だからよタック、俺たちの事はグローリー・スターって呼べって・・・。それに俺のことは呼び捨てでいいよ、年も近いし同じ階級だろ?」

 

トビー・ワトソン中尉が訂正を求め、タックが「了解、トビー」と答える。

 

「俺が担当しているのが近接戦闘用のストライクヴァレイ、マイケルの機体が砲撃戦用のガンヴァレイだぜ。」

 

「キャノンヴァレイです!なんですかガンヴァレイって・・・!?」

 

グローリー・スターの三人目のメンバーであるマイケルがトビーにツッコむ。

 

「頑張れー!」

 

グローリー・スターの隊長であるデンゼル・ハマー大尉がそこへダジャレで割り込む。

 

「79点」

 

「点数高!?あんまり隊長を甘やかさないでくださいよ、トビー中尉。」

 

トビーが隊長であるテンゼルのダジャレに点数を付けると、マイケルがその評価に異を唱えた。

 

「随分と楽しいチームみたいだな、トビー。」

 

タックの言葉にトビーは「いいだろ?」と短く返す。

 

「特機サイズでありながら汎用機並みの運動性と操作性を追求し、量産化を見越した機体、まったく新しいコンセプトだな。」

 

「俺の担当してる試作機のインペリアルヴァレイは稼働時間に問題を抱えていましてな。スペックを近接戦闘と砲撃戦闘に極端に振り分けて稼働時間を伸ばしたのがトビー中尉のストライクヴァレイとマイケル少尉のキャノン・ヴァレイなのです。」

 

エルリッヒ・シュターゼン特尉の言葉に対し、デンゼルが改めてそう説明する。

 

「なら汎用機サイズで良かったんじゃないかしら?いくら運動性を保ってもサイズを大きくしたら被弾率が上がるだけだわ。ユニバーサルコネクタも適応外だし、コストに見合ってるとは言えないわね。」

 

マリナが冷めたコメントを口にする。どうやら彼女にとって見ればヴァレイシリーズのコンセプトは『金持ちが考えた最強の量産機』というイメージが拭えないようだ。

 

「ユニバーサルコネクタ?機械のことは分からないが、格闘戦で特機と対等に戦える量産機があれば有用だと思うぞ。」

 

タックがヴァレイシリーズにフォローを入れると、マリナは「格闘戦ならね」と返す。

 

「僕のキャノンヴァレイは有用じゃなかった!?」

 

タックとマリナのやり取りに砲撃戦用のキャノンヴァレイを担当するマイケルが傷つく。するとトビーがマイケルの肩に手を乗せて声を掛ける。

 

「ドンマイケル!」

 

「やかましい!」

 

マイケルは上官で先輩のトビーに対し、思わずため口でツッコんだ。

 

「対岸にはシロガネとBM計画の機体が配備されていた。仰々しい警備体制だが、ザドックやシースは配備されていないようだな。」

 

エルリッヒが議事堂周辺を見て述べる。

警備には量産型ゲシュペンストmarkⅡやエルアインス、それにアサルト・ドラグーンにヴァルキュリアシリーズと言った地球製の機体が数多く配置されている。

 

「なにせザドックは帝国観察軍の技術で作った機体ですからね。向こうのお偉いさんが降りてくるんだ、地球側の戦力で出迎えなければ侮られるだけだ・・・。」

 

デンゼルがエルリッヒの疑問に答える。

 

「いよいよ大統領の演説が始まるぜ。」

 

 

『・・・・・かつて世界は平等・自由などの不完全な思想で堕落し、数々の反乱を許し、果てはインスペクターに占領される状態まで追い込まれた。今こそ再び我々が乗り出さなければならない時が来たのである。支配、これでこそ平和を取り戻し、それを維持できるのである。支配には多大な責任が要求される、かつての連邦には地球圏を支配する器量が無かった。だが我々UCEは違う!我々、そしてA級市民の皆さまは時代を支配できる器量をお持ちだ。』

 

セントクルスシティの議事堂でUCE大統領アルバート・グレイがUCEの議員やA級市民に対し、演説を繰り広げる。

 

『UCEは旧連邦や、あるいはインスペクターに変わり軍事力で過剰な支配を行うのかと考えられるかもしれません。支配と言う言葉は抑圧する姿勢、奢りある行動に思えます。しかしこれは世界に秩序をもたらすための統治と考えます。戦争が絶えず宇宙に未知の脅威が幾多に存在するこの世界は神の想像を超えていたのです。今人類に必要とされているのは、絶対の秩序をもたらすための、そして未知の脅威に対抗する為の高度な支配体制なのです。』

 

セントクルスシティの上空に突如、エアロゲイターの巡洋艦[フーレ]、通称フラワーが現れる。

 

『ではここでこの地球に平和をもたらすために遠い宇宙の彼方より駆け付けてくれた我々UCEの新たな友であり、インスペクターを撃退するに尽力くださった地球の守護者をご紹介しよう。帝国観察軍指令、ジュデッカ・ゴッツォ!』

 

大統領がそう紹介すると、フーレから球体のような起動兵器[アマジャ]が降下してくる。その上には銀髪の若い男が微動だにせず立っている。

 

『余が帝国辺境銀河方面監察軍第8艦隊指令、ジュデッカ・ゴッツォである。・・・より良き支配、無垢なる従順、これこそが理想なる世界を現出するただ一つの心理。この帝国観察軍が地球に現れたのは、その原理に基づいて真の平和を確立するため。我らに庇護を求めるならば地球的なるものは一切捨て、バルマーの神に身を委ねよ。』

 

降りて来たジュデッカ・ゴッツォはアルバート・グレイの横に立ち、全地球人に対してそう告げた。

 

 

 

 

ジュデッカ・ゴッツォの演説の最中、突如セントクルスシティ沖の長距離から一筋の光が発射され、議事堂を貫いた。

 

「砲撃だと!?一体どこから!?」

 

セントクルスシティの沖合で白く美しい巨大な戦艦が海面に浮遊し、その周囲には一回り小さい護衛艦が無数に陣取っている。

 

「アレはシェルストローム!?UCEで開発されていたあの艦がなぜ・・・!?」

 

「最新鋭の戦闘潜水艇として開発されていたはずだが・・・浮いている!?」

 

「護衛艦のSDー04も含めてな。どうやら非公式に仕様変更があったようだな。」

 

Gハウンドとグローリー・スターの面々がそれぞれに反応する。

UCEが開発していたはずの潜水艇[シェルストローム]とその護衛艦[SD-04]がセントクルスシティに接近してくる。

 

『私はアルバート・ライネン』

 

シェルストロームから音声が流れてくる。

 

「アルバート・ライネン・・・連邦時代の兵器開発局局長だったという天才科学者か。」

 

「シェルストロームは奴に乗っ取られたのか!?」

 

テンゼルとトビーが状況を確認する。

 

『かつて私が警告した通り、地球圏外からの破壊者が迫りつつあります。だが、UCEの愚劣な為政者たちはその脅威に対する備えを行ってこなかった。過去に私の警告を無視し、一時的にとは言えインスペクターによる侵略を許し、そして今、挙句の果てに新たなる異星人にに恭順する道を選んだ。』

 

残存していたフーレがシェルストロームに主砲を発射するが、それは強力なバリアによって阻まれ、アルバート・ライネンの放送は続く。

 

『このような者どもに人類の未来を託すことは出来ません。人類の未来は優れた知性を持ち、心より人類の将来のみを考えられる優秀な人物の手に委ねられるべきです。この理想を実現するために、私は長年準備してきたかねてよりの計画を実行に移します・・・地球圏を守り抜くために。』

 

シェルストロームから再び主砲が発射されると、それに続いて起動兵器群が発進する。

人型ではあるがどこかスマートさに欠けるだらしのない体型の紺色の巨人である。その右手にはまるでメリケンサックのようなアームガード状のビーム砲が装備されている。

 

「なんだ!?見た事のない機体だ!!?」

 

『気をつけるんだタックくん。』

 

タックのガンアークに開発主任であるフィーデル・バルクホルツから通信が入る。

 

「バルクホルツ博士、あの機体を知っているんですか!?」

 

『あの機体はザロム、かつてライネンプロジェクトで開発されていたE2シリーズの後継機だ。そして・・・』

 

無数のザロムの中から色の違う、緑色の機体が現れる。ザロムと同じような意匠だがボディーラインは洗練され、頭部はさながらファンタジーに登場するシーフの帽子の様に尖っている。

 

『上位機種の[ガロム]。厄介な機体だが、ガロムやザロムにはE2コアは使われていない。普通に撃退できる相手だ。』

 

ガロムとザロムは残存したフーレと警備に当たっているUCEの部隊に攻撃を開始する。

次の瞬間、トビー・ワトソンの駆るストライクヴァレイのスパイラルランスが仕掛けてくるザロムを貫く。

 

「トビー中尉!勝手に攻撃を仕掛けては・・・」

 

「なに呑気な事言ってんだよマイケル、街が攻撃されてんだぜ!とりあえず、敵って事でいいだろ?」

 

トビーはザロムを撃墜してしまった後で尋ねると、隊長であるデンゼルが「もちろんだ」と頷く。

 

「異星人はともかく、この街は守らなければならん。さあマイケル少尉、副大統領殿の機体で期待に応える時だ!」

 

「83点」

 

「だから点数高すぎですって!」

 

ヴァレイシリーズの3機がザロムと交戦を始める。

 

「異星人の艦を守るために地球圏防衛を謳ったライネンプロジェクトの機体と戦うか・・・これでは・・・いや、今はただ防衛任務に専念すべきか・・・タック中尉、マリナ少尉、我々も仕掛ける!」

 

エルリッヒは現状に矛盾を感じながら操縦桿を握る。

 

「了解ですエルリッヒ特尉!マリナ、俺たちも続くぞ!」

 

タックがノウルーズに続くように戦線に加わろうとした瞬間、マリナ機が突如フーレに向かって転進する。

 

「・・・マリナ?」

 

「タック・・・ゴメン。」

 

マリナのガンアークの胸部が激しく光を放ち始める。すると上空から高出力のビームが降り注ぎ、フーレを貫いた。

 

 

 

 

 

 

「余のコピーが一体死んでしまったか・・・これはどういう事だ?ニブハル」

 

フーレの中でジュデッカ・ゴッツォがニブハル・ルブハルに詰め寄る。ゴッツォがアルバート・グレイと共に演説していた議事堂は崩壊し、中に居た者達はその下敷きとなったが、それは影武者の一人にすぎず当の本人はヘルモーズから様子を眺めていた。

 

「申し訳ありません。なにせこの星には躾のなっていない輩が多く残っておりますので・・・」

 

「フーレを攻撃したのはUCEの機体、それにセントクルスに仕掛けてきているのもUCEで開発されていた艦だろう?」

 

弁明を測ろうとするニブハルに対し、ゴッツォは無表情で問いかける。

 

「しばらく姿をくらませていおりましたが、アルバート・ライネンはかねてより我ら・・・彼らにとっての異星人に対する徹底抗戦を唱えていた一人でして、宇宙空間から発射されたアレもまたあの男のライネン・プロジェクトによって生み出された産物・・・。」

 

『ゴッツォ様・・・』

 

言い訳を重ねるニブハルをよそに、現地の半壊したフーレから通信が入る。

 

『善き機会です、どうか我らに戦いの場をお与えください。』

 

部下らしき女がゴッツォにそう進言する。

 

「カナリか、いいだろう・・・ただし、やるからには無様を晒すことは許さぬ。アルバート・ライネンとやらもろともUCEの部隊も蹂躙せよ。我々バルマーに牙を剥くとどうなるか、とくと思い知らせてやるのだ。」

 

『感謝いたします。』

 

ゴッツォがそう告げると、沈みかけたフーレから無数のシースとザドックそのバリエーション機である[ゲルドラ]、そして3体の異形の起動兵器が出撃する。

 

「さあ、いくよお前達!」

 

指揮官である女が女性型の起動兵器[キョウ]の中から他の二機に声を掛ける。

 

「闘争の時間だ!」

 

帝国観察軍はセントクルスシティに陣取っている全ての部隊に対し、攻撃を開始した。

 





【ロボット紹介】

[スーパーロボット大戦L]
インペリアルヴァレイ
ストライクヴァレイ
キャノンヴァレイ

[Another Century's Episode2]
ザロム
ガロム(設定画のみ)
シェルストローム
SDー04

[新スーパーロボット大戦]
アマジャ
ゲルドラ
キョウ


【人物紹介】

[スーパーロボット大戦Z]

マイケル(故人)


新スパロボオリジナルの敵ユニットにはちょっと面白い機体が多いので、これらのパイロットを[兵士]や[人工知能]にしてしまうのはもったいないと思い、原作ゲームに存在しないパイロットキャラをでっちあげることにしました。

グローリー・スターの面々を乗せる機体に関しては結構迷ったんですけど、インペリアルヴァレイのBGMが[栄光への『可能性』]というタイトルだったのでグローリーな感じで丁度いいじゃんと思い割り振りました。

シェルストロームは本来潜水艦なのですが、それだと出番が作りにくいので浮かせました。
ガロムは原作ゲームには登場せず、設定画のみ存在する機体です。ゲームではザロム部隊のボスとして[ザロムD]という緑色のザロムが登場するのですが、本来はそのポジションに収まる筈だったけど開発が間に合わず色替えキャラになったんじゃないかと想像して登場させました。
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