「クソっ・・・何が起こってるんだ!?」
突如現れたエアロゲイターのフーレとそれに恭順の意を示すUCE。そしてそんなUCEとエアロゲイターに対し、突如攻撃を仕掛けた第三勢力とガンアーク。それらを見たリュウセイの脳裏に苦い記憶が浮かび上がる。
「これじゃまるで南極事件じゃねえか!」
それは元の世界のかつての南極で起こった事件を想起させるものだった。
地球連邦政府は秘密裏に異星人に降り、それを良しとしないEOTI機関が開発したアーマードモジュール[グランゾン]が、そんな連邦政府と異星人に対して突如攻撃を行った。その際、リュウセイ自身も殺されかけたのだった。
「アルバート・ライネン、かつての連邦軍兵器開発局局長でしたね?」
フェイ・ロシュナンテとギド・ゼーホーファーに確認するように問いかける。
「ああ、インスペクターが現れるはるか以前から異星人の脅威を訴えていた人物だが、その意見は政府高官によって黙殺され表舞台から姿を消した。それが今になってこんな形で現れるとはな・・・。」
「そこでボートマンからの依頼だ。キミ達にはあの異星人の部隊を掃討してもらいたい。」
ギドが示す方角では更に数隻フーレが現れ帝国観察軍の兵器が無数に展開し、UCEの部隊を襲っている。
「アタシたちにUCEを助けろっての?冗談でしょ!?」
「このままやらせとけばいい、そうすればUCEと異星人が共倒れになってくれる。民間人にも被害は出るだろうが、あそこに住んでいるのは安全圏で私腹を肥やしていたA級市民共だしな。」
「そんな・・・A級市民ならどうなったっていいって言うのかよ!!」
ニーナ・フレイザーとホルヘ以下略の言葉に対して、バレル・オーランドが食って掛かる。
「そうだな。A級市民がどうなろうと興味はないのかもしれない、お前がB級以下の下級市民に興味が無いようにな。」
セレインがそう告げる。それは本心では無いが世間知らずのA級市民であるバレルに対し、あえて当たりを強くした言葉だった。
「そんな事は・・・」
バレルは言葉を詰まらす。「無い」とは言いきれない自分が、彼の中には確かに存在していた。
けっして下級市民を見下していたわけではなく、そもそも自分の生活圏が世界の全てだった高校生にとってはまるで意識した事のない存在だった。
「いい機会だ、その目で見て思い知ればいい・・・自分の街が焼かれる、それがどういうことなのかを・・・」
セレインは言葉を続ける。
「そこまでだセレイン。バレル、気にすんなとは言わねえが・・・平和な街で暮らしてきたお前が戦いの中で生きてきた連中とギャップがあるのは仕方ねえさ。俺も新人時代は仏頂面のチームメイトにさんざん言われたよ、「お前は何もわかっていない」ってな。」
リュウセイがバレルのフォローに入る。セレインを見ているとどこか出会った頃の相棒を思い出し、つい口出ししたくなる。
「幸い、お前にゃ自分で街を守るための力がある・・・だろ、フェイ中尉?」
「ええ、行きましょうバレル。」
リュウセイ、フェイにバレル、そしてセレインが出撃準備に入る。
「なんだ、結局お前も出るのか?」
「グライエン・グラスマンやボートマンのプランにはマナミも賛同しているからな。UCEが丸ごと壊滅するのは望ましくない。」
「そう言えばブラッド・スカイウィンドの姿が見当たらないが・・・彼こそがこのマーチウィンドの戦力の要だろう?」
ギドがセレインに尋ねる。
「アイツなら最初の砲撃の直後にとっくに飛び出していったよ。」
▽▽▽
「今のは・・・マリナがやったのか!?」
タック・ケプフォードが呟く。
一撃でフーレを沈めたマリナ・カーソンのガンアークはその威力で装甲の一部が溶解していた。
「ガーディアンシステムの威力に機体が耐えられなかった?この状態での戦闘は不可能ね・・・」
マリナのガンアークによって撃墜されたフーレから大量の起動兵器群が発進していく。それを確認するとガンアークは飛行形態に変形し、飛び去って行く。
「待て、マリナ!!」
タックがそれを追おうとすると、それを妨害するようにザロムが攻撃を仕掛けてくる。
「くっ・・・こいつ等!!?」
エルリッヒ・シュターゼンのノウルーズと、辺りに展開していた量産型アシュセイバーや量産型ゲシュペンストmarkⅡの部隊がザロムに攻撃を開始する。
「マリナ少尉を追え、タック中尉!ソルプレッサ隊は中尉の援護を・・・!」
「エルリッヒ特尉、感謝します・・・・!」
タックのガンアークも変形し、数機のソルプレッサと共にマリナ機を追って行った。
「マリナ少尉があのアルバート・ライネンと通じていたとは思いたくはないが・・・」
エルリッヒはそう呟きながらザロムを撃退していく。
「ザロムとやらだけなら何とかなるが・・・・!?」
反対からは帝国観察軍の部隊が迫る。ザドックやゲルドラがビームを発射するとランドグリーズ隊が割って入り、ビームコートでそれを防ぐ。
その中から一機のシグルーンが飛び出し、敵機を撃破していく。
「ようエルリッヒ、無事かよ?」
シグルーンのパイロットがエルリッヒに気安く話しかけてくる。
「リッシュ、リッシュ・グリスウェルか!?なぜシグルーンに・・・?」
「ラーズアングリフは修理中でな、今使える俺の機体はこの古い相棒だけなのさ。」
「そうか・・・だがキミが一緒なら頼もしい限りだ、今再び共に戦場を駆けるとしよう。」
エルリッヒとリッシュ、そして量産型アシュセイバーやランドグリーズの部隊が帝国観察軍の機体を撃破していく。
しかしその一方で、上空では量産型ゲシュペンストがザロムやシースに追い詰められていく。
ガンアークを欠いたことで航空戦力が不足していた。
「ちっ・・・この部隊編成じゃ空中がちょいと弱いな・・・」
リッシュがぼやいたところで、一機の大型戦闘機がこの空域に高速で接近し、ミサイルやビームでシースを撃ち抜く。
「あれは確か、エルブルス!?」
「お久しぶりね、シュターゼン卿。」
戦闘機からパイロットの女性がエルリッヒに声を掛ける。
「リッジモンド侯爵!?E2の爆発に巻き込まれたと報告があったが!?」
「ええ、寸前のところで彼に助けられまして・・・。」
「彼・・・?」
「真槍烈脚!!」
エルブルスに遅れて漆黒の竜巻が現れ、鋭い蹴りの斬撃によってザロムを切り裂く。
「ヴァイローズ!?マーチウィンドに協力していた武機覇拳流のカーツ・ファルネウスか!?なぜ彼が・・・!?」
エルリッヒがそう反応を見せると、カーツがエルリッヒに尋ねる。
「マーチウィンドは抜けた。俺は俺の目的のために戦うだけだ。」
「こちらに協力してくれるという事でいいのか?」
エルリッヒが尋ねる。
「貴様らに協力するつもりは無い、俺は俺の武を高めるために・・・」
「協力してくれるという事でよろしくてよ。」
アイシャがカーツの回りくどい言い回しを遮り、そうまとめた。
▽▽▽
「ちょっとちょっと~!どうなってんのよこれは!!」
ミーナ・ライクリングが慌てふためいている。
突如現れセントクルスシティを襲うザロムの部隊に対し、現在は友軍であるはずの帝国観察軍が交戦を開始するが、その標的にはUCEの部隊も含まれ三つ巴となっていた。
「リー艦長!迎撃の許可を・・・!!」
レナンジェス・スターロードが母艦であるシロガネに進言する。
「いいだろう・・・ただし帝国に対しては最小限の反撃に抑えろ。」
「しかしそれでは・・・!?」
ジェスはリーの無理難題に異を唱えようとする。
「反論は許さん。何が起こっているかは不明瞭だが、先に帝国観察軍に仕掛けたのはUCEが開発した機体だ。既にこじれているとはいえ関係を更に悪化させるわけにはいかん。それとも自らが星間戦争の原因となりたいか?」
「・・・!!」
「アルバート・ライネンさえ排除すれ少状況は多少マシになる。その後は政治家共の仕事だ・・・本艦はシェルストロームの迎撃に専念する。」
「了解!」
BMXチームはリーの判断に納得し、シロガネの進路を確保するためザロムの迎撃に当たった。
「アルファァ、レェーザァァー!!」
NGCー01が胸部から高出力熱線砲をザロム部隊に向けて発射する。
「グレース、ミーナ、俺たちは残ったヤツを確実に仕留める。」
「了解、マルチランチャー・ビームガン!」
「ブル~ム~、キャノ~ン!」
BER-01b、ゼイビス、マーダmk2が追撃し、護衛艦SD-04の周囲のザロムを撃破する。
「今だ、主砲を発射しろ。」
スペースノア級万能戦闘母艦、シロガネの主砲、連装衝撃砲が確保された射線上の護衛艦SD-04を貫く。
「ようやく一隻か・・・手が足りんな。」
「艦載機を再編成していた最中でしたからね。まさかこんな状況になるとは思っていませんでしたから・・・しかしこのセントクルスシティはUCEのお膝下、防衛戦力なら十分に備わっているはず、援軍はどうなっている?」
テツヤ副長がオペレーターにそう訊ねる。
「来ました、E2シリーズです!」
セントクルスシティの基地からリスニルやスコル、シアスィの大群が出撃してくる。
「E2シリーズか・・・・無人機とは言えいないよりはマシか・・・・!!?」
リー・リンジュンがそう呟くと、E2シリーズは突如シロガネに攻撃を仕掛けてくる。
「何だと!?一体どうなっている!!?」
「艦長、設計局のバルクホルツ博士から通信が入っています!」
「繋げ・・・」
リーがそう承諾するとモニターにフィーデル・バルクホルツが映し出される。
『シロガネ、聞こえますか?どうやらE2シリーズは敵に乗っ取られているようです。』
「どういうことだそれは!?」
『あのザロムや指揮官機のガロムはE2シリーズの言わば上位機種・・・そしてその両方を開発したのアルバート・ライネン、制御システムが同質あれば・・・。』
「コントロールを奪うことも容易という訳か・・・対応策は?」
『敵艦のシェルストロームか、指揮官機のガロムを撃墜すればあるいは。』
モニターにガロムのデータが映し出される。
「結局はそうなるか・・・」
「各機に伝えろ、一刻も早く緑色の指揮官機を落とすんだ!」
副長がBMXチームにそう指示を出す。
「とは言え敵艦の数もまだまだ多い・・・この中からガロムを探すのは・・・。」
「敵が増えちゃってますからね~。振出よりマイナスからのスタートです~。」
「誰か味方が来てくれないかしら・・・」
BMXチームが呟くと、そこへ3機の大型の機体が現れ、ザロムやE2シリーズを撃破していく。
「各機、GSコンバットアクション!」
「「了解!!」」
インペリアルヴァレイが両腰からビームガン[ティアーズショット]を発射すると、ストライクヴァレイはスパイラルランスの先端から[ニードルガン]を、キャノンヴァレイは両腕の[デュアルガトリング]を発射する。
「ガンホー!ガンホー!ガンホー!」
「イィヤッホォゥ!!」
「このノリ、苦手だな・・・。」
マイケルはデンゼル・ハマーとトビー・ワトソンのテンションに冷めた反応を見せる。
インペリアルヴァレイ、ストライクヴァレイ、キャノンヴァレイの三機はザロム部隊をけん制しながら、護衛艦SD-04へと距離を縮めていく。
「マイケルは敵艦を狙え!俺とトビーで射線を確保する!」
デンゼルはインペリアルヴァレイのティアーズショットをパージすると、接近戦用の斧[ビームハルベルト]へと変形し敵を切り裂く。それに続くようにストライクヴァレイもスパイラルランスで敵を貫いた。
「デュアルビームキャノン、発射!」
その隙を突いてキャノンヴァレイがSDー04を遠距離から狙撃した。
「久しぶりだなジェス!」
「特殊戦技研究班、デンゼル大尉のチームが来てくれた!」
BMXチームがグローリー・スターを合流する。
「おいジェス、お前もアメリカ人なら俺たちの事はグローリー・スターって呼べよ!」
「国籍関係あります?」
呼び方にこだわるトビーにマイケルがツッコむ。
「形勢逆転・・・とまでは行かんが、目途は立ったな。微速前進、敵中央を突破し一気にシェルストロームを責めろ。」
状況を確認したリー・リンジュンは各員にそう命令した。
▽▽▽
帝国観察軍の起動兵器とライネンシリーズとが交戦し、セントクルスシティを破壊していく中、アースゲインが単機でその戦場に割って入り、その両軍を撃破していく。
「街で暴れやがって・・・やり合いたいならよそでやりな!!」
ブラッドは単機で帝国観察軍とライネン一派の機体を次々と破壊していくが、両者の戦闘は収まらず街は焼かれていく。
「ちっ・・・数が多すぎるぜ・・・。」
ブラッドがそう呟くと、帝国観察軍の中から女性的なフォルムの特機が現れ、蹴りや拳でザロムを撃破していく。
『アレが資料にあったアースゲインとやらか、このキョウと同じように武に特化したマシン。面白い、木偶相手では滾らんと思っていたところだ・・・!』
帝国観察軍の起動兵器、[キョウ]のコックピットで女性パイロットがアースゲインを見て呟く。
「なんだコイツは?随分と趣味的な見た目だが・・・強え!?」
ブラッドが気づくと、キョウはアースゲインに向けて鋭い蹴りを繰り出し、ブラッドはそれを腕部で防御する。
『さあ見せてみろ、地球の武、武機覇拳流とやらを!』
「今の動き、アースゲインやヴァイローズと同じような格闘専用の機体か?なら武機覇拳流が後れを取るわけにはいかねえな!」
ブラッドは近接戦闘でキョウに応戦していく。
「名乗れ、武機覇拳流。貴様の名、冥途の土産に覚えてやろう。」
「使い方間違ってんぞ、それだとお前が冥途に行くことになるじゃねえか・・・。」
ブラッドは誤用をツッコみながら呟く。
「ま、実際にそうなるから教えてやるよ。俺の名はブラッド・スカイウィンドだ!」
『吾こそはカナリ・ドバン!恐怖と共にこの名をその身に刻むがいい・・・双頭鏢!!』
カナリがそう叫ぶと、キョウの両腕から錘の付いたワイヤーが射出され、それを振り回すようにアースゲインに攻撃する。
「瞬幻足・・・!」
アースゲインは分身し、キョウの攻撃を回避するとその背後に回り込む。
「竜王双撃!!」
アースゲインのブレードがキョウを切り裂く。しかしキョウは残像となって消える。
『瞬幻足と言ったか?たかが分身に大層な名を付けるものだ。その程度の事は造作もないというに・・・。』
ブラッドの技を分身で回避したキョウは両腕を交差させ、エネルギーをその腕部に集める。
『ドバン流闘殺法、天地烈破掌!!』
「喰らえ・・・狼牙ぁ!!」
ブラッドもまたアースゲインの腕部にエネルギーを溜め、両者の拳が激突する。
『なるほど、これが武機覇拳流か・・・だが!!』
「はぁ・・・・むん!」
互いが技の威力に押され距離が開くと、カナリはすかさず小型ミサイルを発射する。
「ちっ・・・虎閃掌!!」
アースゲインは掌から気弾を放ちミサイルを迎撃する。
『いいぞ地球人・・・いや、ブラッドよ!まさか儂とここまでやり合えるとは思わなんだぞ。この一戦、善き鍛錬となった。』
「なんでもう勝った気でいるんだよ、今度は全力で行くぞ・・・獅子吼烈破!!!」
ブラッドは再びアースゲインの腕部にエネルギーを溜め、技を繰り出す。
『ほう、先ほどよりも更に気が練られておるようだが・・・』
キョウの右足にエネルギーが集中し発光し、その足の裏で獅子吼烈破を止める。
『よかろう、褒美に我が奥義で沈めてやろう。』
キョウはアースゲインの拳を踏み台に飛び上がる。
『婀娜演舞脚!!』
そしてその頭上に位置取り、連続で蹴りを繰り出してくる。
『ブラッドよ、その名の通り我が血肉となれぇ!!』
「くっ・・・舐めんな!あいつの蹴りはこんなもんじゃなかった・・・!」
アースゲインは咄嗟に肘のブレードでキョウの蹴りを弾くと、キョウは再び天高く舞い上がり、渾身の蹴りを繰り出す。
『一蹴入魂・・・・大粉砕!!』
「うおおおお・・・天馬翔覇ぁ!!!」
アースゲインは全身から気を放ちながら、キョウに向かって突進しその蹴りを迎撃する。
『ぐわぁー!!?』
ブラッドは続けざまに連撃を加え、最後に渾身の一撃でキョウを地面に叩き落とした。
『まさかこの儂を破るとは・・・見事よ、武機覇拳流、ブラッド・スカイウィンド・・・』
カナリが冥土の土産に覚えた名を口にし、キョウは爆散した。
「俺の勝ちだ、カナリ・ドバン!」
何の前触れも無くみんな知り合いっぽい感じで64ライバルズが集合しました。
リー・リンジュンの副官をテツヤにしたのは並行世界の遊び心です。オペレーターはをユン・ヒョジンにしようかと思ったけど、同じブリッジに中国人と日本人と韓国人がいるのはなんとなく空気が重すぎるので止めました。
カナリ・ドバン。本当はオリジナルキャラクター的な者は登場させずに、あくまでも[原作ゲームや派生作品に登場した存在]だけという縛りで話を展開していきたかったのですが(名前しか出てないマイケルを登場させたり、カズマを女子にしたりの時点でいろいろいい加減ですが)、思い切って捏造やられキャラとして登場させてみました。
キョウの婀娜演舞脚は原作ゲームではカタカナで[アダエンブキャク]という武装になっているところに漢字を当ててみました。婀娜は「女性的な」という意味。
ドバン流闘殺法、もちろんそんな流派は存在しません。言いたかっただけ。