「そんな・・・僕の街が!?」
一撃で焼け野原と化したセントクルス・シティを見て、バレルが呆然とする。
「あれはメテオ3?いや、それよりなんだこの感覚は・・・俺はヤツを知っている?」
グリゴリ部隊との交戦の最中突如現れた帝国観察軍の起動兵器を見て、リュウセイは激しい既視感に襲われる。
L5戦役の折、エアロゲイターの最終兵器として起動したメテオ3[セプタギン]に酷似したクリスタルで構築された巨人[ズフィルード]。それはリュウセイが数多の平行世界で死闘を繰り広げ、そして今はまだ知るはずの無い存在だった。
『まさか貴様が直接出向いてくるとは思わなかったぞ、ゴッツォ。どういう風の吹き回しだ?』
ベルクトがジュデッカ・ゴッツォに問いかける。
『創造神ズフィルードの別け身たるこの機体が余に語り掛けてくるのだ、あの男を排除せよと・・・どうやら余と彼奴とは因縁生起の廻りによって邂逅する宿命にあるらしい。』
ジュデッカ・ゴッツォがそう答えると、ズフィルードがARTー1に接近する。
「こっちに来る!?どうやらやるっきゃねえようだな・・・HGリボルバー、ランダムシュート!!」
『無駄だ。』
リュウセイはズフィルードに向けて砲撃を浴びせるが、Eフィールドによって阻まれる。
「ちっ・・・例の如くバリア持ちかよ!?」
「だったら直接攻撃するだけだろ!」
「ダメよバレル!そんな闇雲にツッコんだら・・・!?」
バレルはフェイの制止を聞かず、イクスブラウがズフィルードに斬り掛かる。
『其方に興味はない・・・アルドレーザー、発射。』
ズフィルードの装甲の一部が切り離され、イクスブラウへと突進する。
「うわあああ!!?」
「やらせるかよ!!」
アルドレーザーがイクスブラウを貫こうとした瞬間、ARTー1がイクスブラウをシールド越しに蹴り飛ばし、その射線から外す。
『潰えよ、ズフィルードの御心を乱す者よ・・・クロスブレード!』
アルドレーザーがズフィルードの手元にもどると、そこから更に刃が生成され刀剣へと変化する。
「実体剣!?だったら・・・」
それを見たリュウセイはコールドメタルブレードを構える。
ズフィルードが距離を保ったままクロスブレードを振るうと、衝撃波が発生しARTー1を襲う。
リュウセイは咄嗟に防ごうとするが、クロスブレードによる斬撃はいともたやすくコールドメタルブレードを切断した。
「なっ・・・嘘だろ!?」
ズフィルードは更に距離を詰め、直接斬り掛かる。
「帝国監察軍の司令か・・・本来なら勝手に交戦するわけにはいかないが、街を破壊した事を黙認するわけにはいかない!アークライフル、バーストショット!」
状況を見ていたタック・ケプフォードのガンアークが戦闘に参加する。
アークライフルから発射された炸裂弾がズフィルードに直撃し、爆煙がその視界をふさいだ。
『小癪な・・・』
「今だ・・・うおおお!T- LINKクラッシュソード!!」
リュウセイはARTー1を割れたシールドでARTウィングへと変形させ、ズフィルードへと突撃する。その先端に念の刃を生成し、ズフィルードクリスタルの装甲を切裂いた。
『ふむ、なるほど・・・念の刃か、悪くない攻撃だ。』
ゴッツォが感心した様子を見せると、ズフィルードの装甲は一瞬で復元した。
▽
『リュウセイ・ダテ・・・あくまでも念動力の才に秀でただけの男だったはずだが、ゴッツォが執着するほどの何かがあの男にあるのか・・・?』
ベルクトはジュデッカ・ゴッツォの様子に疑問符を打つ。
『ベルクト、マリナ・カーソンがライネンと合流したそうよ。』
アンジェがベルクトに報告する。
『そうか、これでヤツへの義理は果たした・・・退くぞ。』
『バレル・オーランドの身柄は押さえなくてもいいのかしら?たしかバルドナドライブの起動には彼の生体情報が必要だって話だけど?』
『そんなものは必要はない・・・。』
そう言って撤退するベルクトに対し、アンジェは「そうなの?」と答え後に続いた。
▽▽▽
「・・・助かったのか!?」
ズフィルードの一撃で崩壊したはずのセントクルス・シティで、エルリッヒ・シュターゼンが呟く。
「なんなんだコイツは?」
リッシュが上を見上げると、ノウルーズやシグルーンの上空で巨大な物体がバリアを展開している。
エルリッヒやリッシュの部隊、そしてヴァイローズとエルブルスもそのバリアによって守られていた。
「エルリッヒ・シュターゼン特尉、リッシュ・グリスウェル特尉、それにアイシャ・リッジモンド侯爵とヴィローの弟子か、どうやら無事のようだな?」
現れた物体から各機に通信が入る。
「ルド・グロリア副大統領!?その起動兵器は一体・・・!?」
「我がGreAT社が開発した小型浮遊要塞[コアフォートレス]。まだテスト段階の代物だったが、キミ達を救う事が出来て何よりだ。」
ルド・グロニアは得意げに自社製品を自慢する。
『そげな・・・地球の兵器がゴッツォ閣下の一撃を防いだゆうがか!?』
コア・フォートレスの防御力を目の当たりにしたチョイト・ドバンが驚嘆する。
「アレは?」
「本人は否定していますが、帝国観察軍の指揮官のような者かと・・・緊急事態下における自衛だったとは言え、我々は独断で帝国観察軍との戦闘を行いました。」
エルリッヒがグロリアに報告する。
「・・・帝国観察軍に告ぐ、今すぐ軍を退くなら見逃してやってもいい。」
『キヒ・・・地球人ごときが、ほがるな!!』
チョイトがグロリアに返すとフーレ艦隊がコア・フォートレスに砲撃を浴びせ、無数のシースが出撃していく。
『キーヒッヒッヒ・・・この兵力を見て・・・・!?』
コア・フォートレスはフーレの砲撃をバリアで防ぐと、続けてGreAT製の戦闘機[ORF‐59リーヴス]が出撃しシースを撃破してく。
「丁度いい、[コンクェストボム]の威力を試してやろう。」
コア・フォートレスから起動兵器サイズの巨大ミサイルが発射されると、フーレに向かって飛翔し、一撃で爆砕した。
『なんじゃと!?フーレが・・・は!?』
チョイトが驚くと同時に、ジャムの胸部を巨大な矢が貫き、コックピットを潰した。
「今度は起動兵器サイズの弓矢!?あれは・・・まさかあそこから射抜いたというの!?」
アイシャがコア・フォートレスの上に一機の黄金色に輝く機体を確認する。額には特徴的一本の角と巨大な円形のサブカメラが装着され、起動兵器サイズの巨大な弓矢を構えている。
「腕は衰えていないようだな、エイム?」
グロリアが金色の機体を駆るエイム・プレズバンドに声を掛ける。
「ああ、議員の席よりもこのパイロットシートの方が居心地がいい。・・・さあ、久しぶりにともに駆けよう、我が子[バンプレキッド]よ!」
エイムがそう答えると金色の機体はコア・フォートレスから飛び降りながらマスケット銃を抜き、シースやザドックを撃ち抜きながら降下していく。
「バンプレキッド・・・エイム・プレスバンド議員が現役時代に乗っていた機体か・・・」
「おいおい、機体もパイロットも骨董品じゃねえかよ・・・この状況で議員先生のお守りなんざやってらんねえぜ?」
「あの距離を射抜くほどの腕だ、その必要はないだろう・・・。」
エルリッヒ、リッシュ、カーツがそれぞれ述べると、そこへバンプレキッドが合流する。
「諸君、これより正面の帝国観察軍を撃破し、セントクルスを抜ける。その後の事は我々政治家の仕事だ、好きなだけ暴れろ。」
「ほう・・・お偉いさんにしちゃ話が分かるじゃねえか。」
「UCEの政治家にも多少マシな者がいるようだな・・・。」
「伝説のエースパイロット、エイム・プレズバンドとその愛機バンプレキッド、頼もしい限りだ。」
「けれどバンプレキッドという名称は緊張感に欠けますわね・・・。」
一同はそう言いながらバルマーの残存勢力の掃討に当たった。
▽▽▽
「やはりこうなったか・・・ジュデッカ・ゴッツォは地球圏の統治をUCEに任せると言っていたが・・・意にそぐわねば即攻撃とは、所詮は侵略者という事か。」
セントクルスを脱出するレイディバードの中で、グライエン・グラスマンが呟く。
「しかし今回は完全に地球人側に非がある・・・アルバート・ライネン、彼がいまさら化けて出るとは・・・。」
落ち着いた雰囲気の壮年の男がグライエンに話しかける。国連平和理事会代表、エルガン・ローディックである。
「リー中佐からはシェルストロームは無人だったとの報告が入っています。そして議事堂に立っていたジュデッカ・ゴッツォの方も影武者だった・・・」
情報部のジェイコブ・ムーアが二人の議員にそう報告する。
「そんな茶番で異星人と戦闘状態になってしまうとは・・・誰が絵を描いたかは知らんが、そう言った化かし合いは性に合わんな・・・。」
「グライエン、キミは政界のウィザードと呼ばれている割には率直な性格をしているな。」
「政界のウィザードか・・・エルガン、貴方の方がよほどその名に相応しいのだがな・・・。」
「よしてくれ、私はただの船頭だよ・・・。」
政界での立場や外見的な年齢、それらは明らかにグライエンの方が上だったが、グライエンはエルガンに対してそれ以上の敬意を払っているように見える。
「だがいいきっかけにはなった。後は地球圏の戦力を結集し、LIFEを再結成すれば、カール・シュトレーゼマンの私兵と化したUCE軍など頼らずとも異星人を・・・何だ!?」
会話の最中、レイディバードが攻撃を受け揺れる。
「帝国観察軍のシース・・・ホリス、振り切れないのか?」
ジェイコブがレイディバードの操縦桿を握るホリス・ホライアンに尋ねる。
「このレイディバードの速度じゃ無理そうですね。」
「そうか、参ったな・・・。」
ジェイコブはそう言いながら缶コーヒーのプルタブを開け、口を付ける。
「缶コーヒーは邪道なのでは?」
「時と場合によるさ。ほら、こんなに艦が揺れてもこぼれない。携行、常備、保存の観点から言えば、缶コーヒーはとても優秀な代物だよ。」
「ほとんど今朝僕が言ったことじゃないですか・・・。」
ホリスはそんな軽口を叩きながら、レイディバードを巧みに操作しシースから発射される電撃を次々と回避していく。
「うまいもんだな」
「それほどでも」
「コーヒーの話さ・・・。」
「鮮度が死んでるとか言ってませんでしたっけ?」
窮地にも拘わらずホリスとジェイコブは呑気な会話を続ける。
突如、レイディバードの周囲を飛翔していたシースが地上から砲撃される。
「気をつけてくれたまえ、セレイン。あのレイディバードにはジェイコブ中将とグラスマン議員、その他にも数名の議員が乗っている。」
「分かっている。これよりレイディバードの援護に入る。ホリス、ニーナ、頼むぞ。」
「・・・了解だ。」
「にしてもあのレイディバード、やたら良い動きね・・・総舵手が優秀なのかしら?」
ギド、セレイン、ホリス、ニーナが次々とシースを打ち落としていく。
「ギドさんのアシュセイバーとマーチウィンド、これでひとまずは安心ですね。」
「このままシロガネと合流し、ひとまずはジュネーブに向かう。よろしいですね?グラスマン議員・・・。」
「ああ、口惜しいがセントクルスは放棄するしかないだろう。」
ホリスとジェイコブ、グライエンが旧連邦政府の統合参謀本部があったジュネーブへと進路を決めるかたわら、エルガン・ローディックが手で顔を覆いながら独り静かにつぶやく。
「本来存在しないはずの第8艦隊、そして個体名を持たぬジュデッカ・ゴッツォシリーズか・・・フフ。」
そして寸前まで毅然としていた表情を崩し、歪んだ笑みを浮かべた。
「アイラビュ~・・・」
【登場人物】
[第二次スパロボZ]
エルガン・ローディック
【登場メカ】
[スパロボL]
コア・フォートレス
ORF‐59リーヴス
コンクェストボム
[バトルコマンダー]
バンプレキッド(広告のみ)
【挿絵表示】
バンプレキッド、コンパチヒーローシリーズではお馴染みの審判だったりショップ店員だったりするオジサンキャラですが、SFC用ソフト[バトルコマンダー]ではゲーム未登場にもかかわらず広告冊子に謎のロボットと一緒に描かれていたんです。
そのロボットを登場させたくて名前はそのままバンプレキッドとした上で、苗字にちなんでエイムの乗機にしてみました。
イラストでは薄い黄色なのを作中では金色って事にしたのは単なる好みです。(昔のイラストなので解釈しだい)
ズフィルードのアルドレーザーはαでは両腕で発射するレーザービームなのですが、新ではパージした装甲をドッキングさせて飛ばす遠距離打突武器になってます。形状はα版クロスブレードの柄なのでそのまま変形させてみました。(新のクロスブレードはめちゃくちゃシンプルな普通の剣)