新スーパーロボット大戦OG64   作:舟太郎

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2話 ACE ATTACKER

 

『こちらは新地球連邦軍所属、エルリッヒ・シュターゼンだ。ベーオウルブズ及びレジスタンス組織は直ちに武装を解除し投降せよ!』

 

テスラ・ライヒ研究所を包囲する起動兵器群の上空に位置する輸送艦からオープンチャンネルで呼びかけられる。

 

「見慣れん機体だな・・・。」

 

「・・・・コイツらは・・・うぅ、頭が・・・!?」

 

リュウセイが頭を抑える。

 

「知っているのか?」

 

「知らねえ・・・知らねえはずなんだが、なんなんだこの感覚は!?」

 

リュウセイが敵機を見て妙な既視感を覚える。

 

「ザドック、現在の新連邦に最も多く配備されている機体です。基本武装はビームライフルとビームサーベルのみ・・・これと言って気に留めるような要素は無いはずですが?」

 

セレインが包囲する敵機について説明する。

 

「リュウセイの反応は気になるが、あの機体・・・俺達が惑星エリアで出会った連中が使っていた機体に似ている。新連邦、どうやらきな臭い存在のようだな・・・」

 

キョウスケとリュウセイは惑星エリアで共闘した仲間とその敵対する組織が使用していた起動兵器を思い出し、戦闘態勢を取る。

 

「我々に協力してくれるのですか?」

 

「まあ、今あの新連邦とかってのに降ったところで説明のしようがねえし、キョウスケ中尉は軍法会議に掛けられた末に極刑だろうしな!」

 

「・・・流石にそれは御免だ。レジスタンスに加入する気はないが、ここを突破するまでは協力する。」

 

リュウセイとキョウスケが方針を決める。

 

「それにしてもエルリッヒ・シュターゼンとは大物が現れたな・・・かなりヤバいぜ。」

 

ハミルトンが呟く。

 

「有名なのか?」

 

「インスペクター襲来の際には占領された連邦軍基地をいくつも奪還し、[エリアブレイカー]の称号を得た優秀な軍人です。そして彼が現在指揮するあの部隊の名は[Gハウンド]。」

 

 

 

 

「部隊名、名乗らないのですね?」

 

輸送艦[クレイド]の発進ドッグで蒼い機体を調整する銀髪の女性がエルリッヒに尋ねる。

 

「Gハウンド、ゲリラ狩りか・・・ザドックやシース共々あまり好ましくない部隊名をいただいたものだ・・・」

 

エルリッヒは自軍のザドック部隊を見ながら嘆く。

 

「ザドック、アサルトドラグーンやヴァルキュリアシリーズに比べてコスト面は優秀です。・・・あの噂は私も聞いていますが。」

 

「自分の部隊で運用するのは初めてになるが、乗っていたパイロットが消えるという噂、嘘か真か・・・キミのその試作機は副座式と聞いたが、一人で行けるか?」

 

「機体の駆動と火器管制に誤差がありますが、今回はチームのフォローに専念します。」

 

「だそうだがACEチーム、君たちの新型も準備は良いか?」

 

エルリッヒは次に、青い試作機の隣に待機していた人型起動兵器のパイロットに話しかける。ザドックやゲルドラとは全く異なる意匠の、まるで天使のようなフォルムの機体がもう二体並んでいる。

 

「エルリッヒ特尉を前にACEを名乗るのは憚られますが、俺たちの機体も有用性を示すつもりです。」

 

「この戦いの制空権はキミ達にかかっている。期待しているぞ、タック・ケプフォード中尉。」

 

エルリッヒがそう述べると、天使のような機体、二体の[ガンアーク]が飛翔し、青い試作機がそれに続いた。

 

 

 

 

「教科書通りの優秀な部隊運用・・・どうやらアルトのコンセプトが生きる相手のようだ!」

 

ザドック部隊が一斉にビームライフル発射するも、アルトはそれをABフィールドで弾きながらリボルビングバンカーやプラズマホーンでで次々と撃破していく。

 

「・・・なんだあのインチキ癖え強さは!?」

 

ハミルトンや他の隊員が上空のシースを打ち落としながら困惑する。

 

「スヴァンヒルドやシグルーンにビームコートが装備されていればアルトアイゼンだけが先行する必要もないのだけど・・・。」

 

セレインがそう言って自軍の装備不足を嘆く。

 

「新連邦の主力があの機体だってんならシャドウミラーが一部隊で良い勝負できたのも分かるぜ。ラーズアングリフやランドグリーズにはビームコートやジャマ―が装備されていたからな。」

 

リュウセイはアルトの戦闘を見てそんな感想を抱く。

 

「リュウセイも少しさがれ、アルトならABフィールドでENを消費しようが支障はないが、ART‐1はいざという時のために念動フィールドの多用は控えた方が良い。」

 

そう言ってアルトは更に先行する。

 

「そんなに深く考えなくても、片っ端から叩き潰してやればいいんじゃねえか・・・おっと!?」

 

ブラッドがそう言いながらアークゲインでザドックを蹴散らすも、被弾も多くダメージが蓄積されていく。

 

「ブラッド、油断するなこの単細胞が!」

 

「お前だけには言われたくねえな、カーツ!つーか脚部がイカれててうまく動けねえ・・・さっきアルトアイゼンと押し合ったときか?」

 

「ふん、情けない奴だ。」

 

「お前だってリュウセイに腕ぶっ壊されてんじゃねえか!」

 

「こちらは戦闘に支障はない・・・魔槍連脚!」

 

ヴァイローズは脚部にエネルギーを溜め、蹴りの勢いでエネルギーを槍の様に飛ばしてザドックを破壊していく。

 

「仲いいんだな、お前ら。」

 

ブラッドとカーツのやり取りを見てリュウセイがそんな感想を抱く。

 

「リュウセイ、お前とライディース少尉もあんな感じだ・・・!!?」

 

上空から二機の戦闘機が現れ砲撃が降り注ぐ。戦闘機はその後、一瞬で翼の生えた人型に変形する。

 

「あれはフェザーアーク!?いや、その新型か!?」

 

セレインが現れたガンアークに反応する。

 

「そのフェザーアークと言うのは?」

 

「インスペクターとの戦いで連邦宇宙軍の中核を担った機体です。結果的にはフェザーアーク隊は隊長と副隊長を残して全滅しららしいですが・・・。」

 

「空中戦なら俺が相手だぜ!可変機乗りとして負けてらんねえ!」

 

「リュウセイ、もしその生き残りが乗っているなら油断ならんぞ!」

 

経験上、死地を生き延びた人間の強さを知るキョウスケが最大限の警戒を示す。

 

「何度も死にかけたキョウスケ中尉が言うと説得力が違うな。けど経験値なら俺だって負けてねえさ・・・チェンジARTウィーング!」

 

ART‐1は変形し、ガンアークに向かって飛ぶ。

 

「見慣れない機体、ガンアークと同じ可変機か・・・俺が仕掛ける。マリナ、援護してくれ!」

 

「了解!」

 

ARTウィングの姿を確認したタック・ケプフォードが僚機の同機種を駆るマリナ・カーソン少尉にそう促しながら右腕の武装、アークライフルを発射する。

 

「ARTウィング、ランダムシュート!」

 

ARTウィングはそれを避けながらホーミングミサイルとHGリボルバーキャノンを乱射する。タックのガンアークは咄嗟に急上昇し、その射線軸から外れる。

 

「この位置なら・・・!」

 

マリナ・カーソンのガンアークが飛行形態のハイマニューバモードでARTウィングの後ろを取り、砲撃してくる。

 

「へへ・・・このパターンは得意だぜ!」

 

ARTウィングはART‐1に変形し、マリナ機の背後に回りHGリボルバーを構える。

 

「落ちちゃいなちゃー・・・・!?」

 

「やらせない、アークブレードで!」

 

それを遮るようにタック機が右腕のアークライフルから光の刃を展開し斬りかかる。

 

「くそっ!随分と息のあった連携を取りやがるな、これじゃ攻撃に移れねえ!?」

 

リュウセイはガンアークの連携を躱しながらつぶやく。

 

「攻撃が当たらん・・・なんなんだコイツは!?」

 

タック・ケプフォードの方もリュウセイの驚異的な回避能力に驚嘆した。

 

 

青い試作機がアルトの戦闘を観察している。

 

「まだ・・・こちらから接近する隙を見つけないと・・・。」

 

アルトがクレイモアで複数のザドックを撃破する。

 

「イオンブリットライフルの照準をずらして・・・今!」

 

試作機はアルトに向けて砲撃する。

 

「何だ!?」

 

砲撃がアルトを避け明後日の方向に飛んでいったかと思えば、当の試作機はシールドを構えながら体当りを仕掛ける。

 

「さっきの砲撃は牽制なのか?いや、この接触も明らかに重さが足りん・・・どういうつもりだ?」

 

「ATXチーム隊長、キョウスケ・ナンブ中尉。応答願います。」

 

蒼い試作機を駆る銀髪の女はキョウスケに話しかける。

 

「向こう側の連邦の通信回線だと・・・何者だ!?」

 

「私はフェイ・ロシュナンテ。あなた達とおなじ向こう側の人間。」

 

銀髪の女性がそう名乗ると、その後方からアシュセイバーに酷似した黒紫の起動兵器が高速で接近してくる。

 

「ノウルーズ、エルリッヒ特尉が来た。・・・今は時間がありません、セント・クルスシティで待ちます。リボルビングバンカーを使用してください・・・・。」

 

「・・・解った。」

 

キョウスケが言われるままにリボルビングバンカーを繰り出す。その杭でフェイは持っていたシールドを破壊させながらアルトを踏み台に後方へ飛んだ。

 

「フェイ中尉、イクスブラウは無事か!?まったく無茶をする・・・markⅢ、形状が違うようだが・・・その実力、試させてもらう!」

 

エルリッヒがフェイと試作機[イクスブラウ]を気に掛けながらアルトに攻撃を仕掛ける。

 

「アシュセイバーと同系統の機体・・・隊長機か!?」

 

エルリッヒの乗る黒紫の機体、ノウルーズはアルトに向けてビームマシンガンを斉射するも、ABフィールドに阻まれる。

 

「ビームコートの類か・・・ザドックでは歯が立たんわけだ。ならば・・・!!」

 

ノウルーズが実体剣を取り出すと、その刃は熱を帯び赤く変色する。

 

「手持ちのヒートホーン・・・ならばこちらも!」

 

キョウスケはノウルーズのヒートブレードにプラズマホーンをぶつける。

 

「頭部の飾りで切り払いだと!?」

 

「伊達や酔興でこんな頭をしてると思うな!」

 

アルトはそのままプラズマホーンを構え突撃していく。ノウルーズは肩部からミサイルランチャーを発射しながら距離を取り、ロングバレルのキャノン砲を構える。

 

「ビットガンを使う・・・」

 

「・・・させん!」

 

ノウルーズが電磁砲を発射すると同時に、アルトはリボルビングバンカーをその銃口に突き刺す。次の瞬間、ビットガンは爆散し、アルトとノウルーズは互いにダメージを受ける。

 

「くっ・・・なんと言う無茶を・・・っ!?」

 

「この機は逃さん、後顧の憂いは潰させてもらう!」

 

アルトアイゼンの両肩が開く。

 

「・・・やられる!!?」

 

ノウルーズに向けてクレイモアを使おうとした瞬間、横からイクスブラウがイオンブリットライフルで両者の間に砲撃する。

 

(フェイ・ロシュナンテ、この男を見逃せという事か・・・?)

 

「キョウスケ大尉、他の者は撤退地点に到着しました、後はあなた方だけです。」

 

アルトアイゼンにセレイン・メナスから通信が入る。

 

「大尉は止めてくれ、俺は中尉だ・・・解った、一気に抜ける!」

 

アルトは敵部隊に向けてチャフグレネードをバラまきながら撤退した。

 

 

▽▽

 

 

「逃がした・・・いや、完全に後れを取った・・・。フェイ中尉、君が居なければやられていたな。」

 

「いえ・・・エルリッヒ特尉がご無事で何よりです。」

 

フェイは何食わぬ顔でエルリッヒを労う。

そこへ上空から二機のガンアークが合流してくる。

 

「タック中尉、マリナ少尉、君たちも無事だったか。」

 

「ええ、なんとか・・・しかし二人がかりで仕留められなかった・・・あの機体とパイロット、何者だ?」

 

「見たところSRX計画のR‐1、その後継機のようだったけど。」

 

「マオ社が保管していた新型をレジスタンスが見つけたと考えるのが自然ですが・・・。」

 

事実を知るフェイが適当な答えを提示する。

 

「・・・レジスタンスにしてはパイロットの腕が良すぎる。まるで本物のリュウセイ・ダテ少尉が乗っているような・・・。」

 

「馬鹿なこと言わないで、タック。死人が生き返ったとでもいうつもり?」

 

タック・ケプフォードが正解を言い当て、マリナ・カーソンがその答えにNOを突き付ける。

 

「死んだと思われていた人間が生き延びていた例はある・・・ですよね特尉?」

 

「ひょっとしてあの男の事を言っているのか・・・?」

 

エルリッヒは話しを振られて嫌な顔を見せる。

 

「マリナ、お前も気づいたはずだ。俺たちは訓練時に最初の可変機であるビルドラプターの戦闘記録をくまなくチェックしているんだからな。」

 

「最初の方は出鱈目すぎて参考にならなかったけどね・・・。」

 

「だからこそ面白いんじゃないか。戦闘記録が更新されるたびに動きが良くなっていた、あんなに退屈しないデータ解析はそうそうないぞ?断言する、あれに乗っていたのはリュウセイ・ダテだ!」

 

タックは喋っているうちに何故か断言し始める。

 

「あー、はいはい・・・良いわよそれで・・・。」

 

マリナは何かを諦めたようにうなずいた。

 

「仲がいいのは結構だが、思い出話は後にして欲しい・・・今考えても仕方のない事だ。」

 

エルリッヒはそう言って話題を切り上げる。

 

「それでこれからどうしますか?特尉。」

 

フェイがエルリッヒに尋ねる。

 

「すぐにでも追跡したいところだが、とりあえず体勢を立て直す。まずは被害状況と生存者の確認を・・・」

 

「大変です、エルリッヒ特尉!」

 

兵士の一人が慌ててエルリッヒに報告する

 

「破壊された複数のザドックからパイロットの姿が消えています!」

 

「なんだと!?」

 

言われてエルリッヒは自分でもザドックのコックピットを確認する。報告通りコックピットには誰も乗っておらず、脱出した形跡もなかった、まるで最初から誰もいなかったかのように。

 

「・・・いったい何が起こったというのだ!?」

 

 

▼▼▼

 

 

「こちらが今回の納品になります。」

 

薄暗い部屋の中でストライプのスーツを着たインド系の色黒の男、ニブハル・ルブハルがモニターに謎の文字列を映し出す。

 

「ふむ、クラスエヴォットの性能は納品の度に上がっているようだな。やはり地球人は戦いの中でこそその真価を発揮する・・・ギボルの方はどうなっている?」

 

銀髪の男がニブハル・ムブハルに尋ねる。

 

「あの者たちが上手くやってくれております。数々の企業に兵器を開発させ、我々新連邦軍と旧連邦派、そして各地のゲリラ組織に兵器を流し紛争を続けることで兵士、兵器共に質を上げている。」

 

「それでいい、戦いを続けることが人類をより高位の存在へと導く。」

 

「はい、それこそが大銀河の意志。我々新連邦政府に反乱を起こしたシャドウミラーが目指した世界を、我々が実現している。皮肉な話です。」

 

「あの異形の地球人はどうなっている?」

 

「ベーオウルフですか・・・。シャドウミラー隊と交戦後、何故か元の人間に戻ったようですが・・・?」

 

「アレは平行世界のキョウスケ・ナンブ、こちら側のベーオウルフとは別物だ。」

 

部屋の隅に立っていた黒い仮面をつけた少年が口をはさむ。

 

「お前は発言を許されていない。口を慎め、ベルクト。」

 

今度は紅いパイロットスーツに身を包んだ女が仮面の少年に警告する。

 

「はき違えるなよ。私はそこの司令官様の部下でもなければ協力者ですらない。私達の間にあるのは「互いに敵対しない」という盟約のみだ。」

 

ベルクトは仮面に手を添えて告げる。

 

「私は好きにやらせてもらう。文句はないな、ジュデッカ・ゴッツォ?」

 

ジュデッカ・ゴッツォと呼ばれた銀髪の男は薄い笑みを浮かべて答えた。

 

「よきに計らうがいい。」

 





【ロボット紹介】

[スーパーロボット大戦64]
ノウルーズ  

[ACEシリーズ]
ガンアーク  
イクスブラウ
クレイド(輸送艦、護衛任務の際の護衛対象)

[新スーパーロボット大戦]
ザドック(ギラ・ドーガとリーオーのハイブリットマシンらしい、つまりモビルスーツ)


【人物紹介】

[ACEシリーズ]
タック・ケプフォード(CV:岸尾だいすけ)
マリナ・カーソン(CV:進藤尚美)
フェイ・ロシュナンテ(CV:園崎未恵)
ベルクト(CV:浪川大輔)

[新スーパーロボット大戦]
ジュデッカ・ゴッツォ(CV:速水奨) 



かねてよりACEシリーズはOGの良い素材なのになと思いつつ、開発がフロムソフトウェアなので出れないんだろうなと思い、この場で登場させてみました。

敵チームにも何か部隊名が欲しいなと思い、スパロボVのGハウンドという名称を流用しました。ACEチームはそのままACEシリーズのキャラクターで組んだチームです。
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