大往生したと思ったら星見雅に良く似た妖狐の魔人に転生した件   作:レイギス

10 / 18
遂にリムルの運命の人とレイギスの運命の人が出会います…しかし、レイギスはその者に対し、自身はどの面下げてあの子に会えば良いと思っている為です…果たしてレイギスは以前、彼と何があったのか…どうぞお楽しみください。


第九話 シズとの邂逅と零の弟子

 

ブルムンド王国、そこにある自由組合ブルムンド支部では、ギルドマスターフューズにボロボロの姿の三人の冒険者が何かを報告していた。

 

「東の帝国はジュラの大森林を越える動きはない…今のところはな、帝国は引き続き情報部が監視している、で、聞こうか、ジュラの大森林はどうだった?」

 

「大変だったんだせ!よく無事に戻ってきたの、一言くらいないのかよ!?」

 

「……報告を聞こう。」

 

「帰って来たばっかりだってのに、全くよぉ。」

 

「…早くお風呂に入りたい。」

 

「大変だったのは旦那と姐さんの口喧嘩を宥めなきゃならなかったあっしの方だと思いますがね。」

 

「ん?」

 

「!?えっと…ンン!…洞窟ではヴェルドラの消失を確認、その後内部を調査したが、魔物同士が争ったような痕跡があったが、他には何も確認出来なかった。」

 

「…何も?」

 

「何も、です。

 

「うーん…洞窟については分かった。」

 

「じゃ、あっしらはこれで…「三日間の休養をやろう。」

 

「「「え?」」」

 

「今度は、洞窟ではなく、森の周辺の調査だ。」

 

「「「え?」」」

 

「ヴェルドラが消えた後、魔物が活性化しているかもしれん、さっき言った魔物同士の争いのような痕跡を見逃すな?」

 

三人が呆気に取られているが構わずフューズは言った。

 

「隈なく、丁寧にな、行って良いぞ?」

 

 

「行って良いぞじゃねぇよ!!」

 

「何ですか!?三日って、もっとお休みくださいよ!帰って来たばかりなんですよ!?」

 

「……その文句、ギルマスに直接言って欲しかったでやんすよ。」

 

荒れる冒険者達、そんな彼らに仮面を付けた女性が女性が話しかける。

 

「失礼、ジュラの大森林に向かわれるのではないだろうか?」

 

「そうだと言ったら?」

 

「森を抜けるまで、同行させて貰えないか?」

 

「良いわよ?」

 

「!?ちょ、お前リーダーの俺が許可出す前に、何なのホントに!?」

 

「良いじゃない、旅は道連れ世は情けってね。」

 

そんな彼らに声をかける者がもう一人。

 

「すみません、先程の話を聞いてしまったのですが、僕も同行させて貰う事は出来ませんか?」

 

その声の方に顔を向けると、いつの間にいたのか黒い鈴の飾りを鞘に付けた刀を持ち、青いメッシュが入った、髪色の青年が話しかけていた。

 

「良いわよ?」

 

「いやだからお前、リーダーの俺の許可は!?」

 

「さっきも言ったじゃない?旅は道連れ世は情けよ、エレン、カバル、ギド。」

 

「…シズ。」

 

「僕はジンです。」

 

「よろしくね、シズさん、ジンさん。」

 

「…ったく、出発は三日後だ、それで良けりゃ勝手についてこい。」

 

「…感謝する。」

 

「ありがとうございます。」

 

こうして、この冒険者達とシズとジンという男女が、ジュラの大森林に向かう準備を始めたのだった。

 

 

ジュラの大森林、その中にある、川の前にリムルとレイギス、そして嵐牙と炎牙であった。

 

「良いか?嵐牙、よく見てろよ?」

 

「は!」

 

「リムル〜!変〜身!」

 

「そのポーズは必要なのか?」

 

「必要なの!」

 

そうリムルが小声でレイギスに言うや否や、黒い霧に包まれていき、嵐牙を二回り程巨大な嵐牙狼族だった、その姿は嵐牙をベースに角が二本額に生えている進化形態、黒嵐星狼だった。

 

「からの〜黒稲妻!」

 

そう言ったリムルは二本ある角から黒い雷を放ち、川の中央にある、岩を粉砕、その後元の姿に戻った、川の水が中央の爆破により辺りに飛び散る

 

「…凄ェ。」

 

「黒稲妻…流石は我が主!」

 

「リムル様にはいつも驚かされます!」

 

嵐牙と炎牙はリムルの黒稲妻に感激していた、今日はリムルが新しいスキルを試す為此処に来たが、黒稲妻の威力は上手く調整しなければ使い所を選ばされるだろうとレイギスは思考していた。

 

「さて、次は私だな。」

 

そう言ってレイギスは川の前に立ち、刀を抜刀する構えに入る…その瞬間リムル達からは、レイギスの周りの空間が歪んで見えていた…やがて、レイギスが刀を抜き放ち、言う。

 

「亜空断。」

 

レイギスが刀を振り抜いた後、何故かレイギスの正面の空間が斬られたように斜めになっていたと思った瞬間、ピキ、と音が聞こえたと思うと、いきなりヒビが現れ一瞬の内にビキビキと音を立てながら川の反対側の空間まで走り、バキンと言う音を上げ、割れた…一瞬、正面の空間が真っ黒になり、まるで、巻戻ろうとするように破片が集まったが…レイギスが刀を振った正面だけ、川の水が消えていた。

 

「……嘘だろ…。」

 

リムルがその光景を見て呟く。

 

「ふぅ、やはり抑えはしたがこの技は大局以外では使えんな。」

 

レイギスが恐ろしい事実を告げた…信じられないと言わんばかりの表情を向けるリムルがレイギスに問う。

 

「…参考に聞きたいんだが、あれで本来のどれくらいの威力なんだ?あと川の水は戻るのか?」

 

「そうだな、あれで精々五割だな…まだまだ修行が足りんと思わされた…メーティスを頼ればもう少し抑えられるだろう…それと水ならば…解。」

 

レイギスが手を前に出しそう告げると、先程まで消えていた川の水が、何事も無かったかのように元に戻っていた。

 

リムルはその光景に戦慄していた…幾ら自分より200年も前に転生し、前世を含めれば310年もの経験…その中には勿論あの大戦もあるとは言え、ここまでの事を出来るのかと…そう思考していると、嵐牙と炎牙もハッとしており、驚嘆の声を上げる。

 

「あれで、五割…流石はレイギス様です!」

 

「素晴らしい威力に暫し呆然としてしまいました!」

 

「ふ、そうか。」

 

レイギスがそう良い微笑んだ…現在レイギス達が村に戻り既に数週間が経過している、その中で村に帰還したレイギス達は、先ず近隣から噂を聞き付けたゴブリン達の対処をしていた…その数500。

最初、レイギスは帰って貰おうとリムルが念話で相談していると、大賢者とメーティスが、他の種族達に淘汰されると言い、レイギスも仕方ないと言った様子だったが受け入れる事になり全てのゴブリン達に名付けをリムルがレイギスの魔素の供給を受けながら行った為今度は低位活動状態にならずに済み、住居の設営を始めていた…しかし、いくらレイギスでも500人分の住居はスキルでは創りきれない為簡易家具を全員分創り出し、残りはリムル達が仮テントを建てていた。

その後、カイジン達を連れて来てからはホブゴブリンとゴブリナ達は技術を学んでいた。

超一流の鍛治職人カイジン。

ドワーフ三兄弟の長男、ガルム、防具職人、次男のドルド細工の腕はドワーフ随一、三男のミルドは、器用で建築や芸術にも精通している、この四人が来てくれた事をレイギスは大いに助かったと思っていた…建設中の村に帰ると、ゴブタが仲間達に嵐牙狼族の召喚を教えていた。

ドワルゴンで置き去りになりかけた時、嵐牙狼族を召喚出来るようになったという、名付けで姿が殆ど変わっていなかったが、その分能力が向上しているようだったが…ゴブタは感覚派だったようで、召喚を仲間達に上手く教えられていないでいた。

 

「リムル様〜!レイギス様〜!」

 

ゴブタの様子を見ていたレイギス達の元にリグルドが走って来た、リグルドはゴブリンロードからゴブリンキングへと昇格させていたのだ、最初はロードに任命されていたが、他のゴブリン達の村長達のリーダーとして、皆を纏めてくれている。

リムルがリグルドに問う。

 

「どうかしたのか?」

 

「は!リグルら警備班から報告がありました、森で不審な者達を発見したそうです。」

 

「新たな魔物か?」

 

レイギスが問いリグルドが答える。

 

「いえ、人間です。」

 

「人間!?」

 

リムルがリグルドの報告に驚く。

 

「領土拡大を狙った、何処かの国の調査隊やもしれません。」

 

 

リムルとレイギスが報告を受けていたとき…。

 

「うおぉぉぉぉおおお!!」

 

ジュラの大森林その森の中で、カバル一行は巨大妖蟻の群れに追われていた。

 

「カバルの旦那が悪いんでやすよ!巨大妖蟻の巣に剣なんてぶっ刺すから!!」

 

「う、うるせぇな!リーダーに文句言うなぁ!」

 

「リーダーの癖に迂闊過ぎよ!死んだら枕元に化けて出てやるんだからぁ!」

 

「ふはははは!そりゃ無理ってもんだぁ!何故ならぁ!俺も一緒に死ぬからなぁ!」

 

「イヤーーーーーー!」

 

「あはははははは!ホント皆さんと一緒に冒険してて、こんなに笑ったのは久しぶりですよ…ですから。」

 

逃げるカバル達、その中でジュラの大森林を抜けるまでの間臨時でメンバーとなったシズとジンが足を止め巨大妖蟻に振り向き、剣を抜く。

 

「僕達が足止めしますよ。」

 

「ジンさん!?シズさん!?」

 

「おいよせ!」

 

「大丈夫です、僕これでも…。」

 

迫り来る巨大妖蟻達、しかしシズの剣から炎が、ジンの刀から水が上がり、シズが剣をかざすと凄まじい炎が巨大妖蟻を襲い、いつの間にか消えていた、ジンが鞘に付いている鈴の音が鳴った場所で巨大妖蟻を切り伏せていた。

 

暫くすると、巨大妖蟻達が全滅し、シズ達は中央に立っていた。

 

「……凄い。」

 

余りの出来事にカバル達が呆然としていると、シズの背後に倒れていた巨大妖蟻二体が起き上がる。

 

「!?シズさん、ジンさん!後ろにまだ!!」

 

エレンの声に振り返りながら構えるシズであったが、突然頭を抑え体勢を崩す、それを見たジンはすぐ様フォローに入ろうとして…。

 

リィン…。

何処からともなく鈴と似ても似つかない音が聞こえたと思うと、二体居たうちの巨大妖蟻の一体が細切れになり、更に残った一体は黒い雷により粉砕、その爆風によりシズの仮面が飛ばされた。

 

「シズさん、ジンさん大丈夫?」

 

「…えぇ。」

 

「…だ、大丈夫です。」

 

「なんでやす?今のは。」

 

「黒い雷と鈴みたいな音がしてたが…あの音はジンじゃないんだよな?」

 

「あれをやったのは僕じゃありません…それにあの音は…。」

 

辺りを警戒するカバル達、すると煙の中から声が聞こえた。

 

「黒稲妻、やはり強力過ぎる、これも封印だな。」

 

「威力を下げる修行をすれば良いのではないか?私もそうやって技の威力を調節出来るようにしている。」

 

カバル達は警戒し構えていたが…リィン…もう一度、鈴の音が聞こえたと思うと、赤黒い羽織を着た狐耳と九本の尻尾を生やした獣人が振るった刀をジンが間一髪受け止めていた。

 

「…ほぅ?当てる気はなかったが、まさか受け止められる者が居るとはな?…何者だ?」

 

「それを聞きたいなら、そっちが先に名乗ったらどうですか?」

 

「ふむ、それもそうだな。」

 

鍔迫り合いから離れ距離を取ると、狐の獣人の後ろからシズの仮面を被ったスライムが来て、器用に体を伸ばし、レイギスの頭を叩いていた。

 

「いきなり斬り掛かるやつがあるか馬鹿!」

 

「未だ刃を構えていたからな、仕方あるまい…何より、あの青年の事が気になってな。」

 

「だからってなぁ…はぁ、もう良いや。」

 

スライムが何処か諦めたような声を発し体を戻す。

 

「「「スライム?」」」

 

「スライムで悪いか?」

 

「え?いや……スライムが喋るなんて。」

 

「信じられない。」

 

「あっしは其方にいる、いきなり斬り掛かってきた獣人のほうも気になりやす。」

 

カバル達突然現れた喋るスライムのリムルと…ジンが止めてくれたが、斬り掛かってきたレイギスに戸惑う中、リムルは仮面の持ち主であるシズに近付き仮面を渡す。

 

「ほら、其処のお姉さんのだろ?すまんなぁ、怪我しなかったか?そっちのお兄さんもツレがいきなり斬り掛かってしまってすまない。」

 

「ええ、大丈夫。」

 

「僕も大丈夫ですよ、その人も本気ではなかったでしょうし…。」

 

仮面を受け取るシズと、肩を竦めながら言ったジンの顔を見て、リムルは内心驚き、あの時のレイギスの事もある為、念話で心配していた。

 

〔レイギス…その、大丈夫か?…前にお前、あの人の顔を見た時泣いてたけど〕

 

〔大事ない…私も何故あの時、あの者を見た時、涙を流したのか分からないんだ…だが、思っていたより早く出会えた…もしかしたら、分かるかもしれないな〕

 

そうレイギスは言い、リムルも安心したのか念話を切った、その後カバル達は消耗していたので、村に案内し、レイギスが創った家で休んで貰う事になった…家を創ったというレイギスに信じられない目を向けていたが、レイギスがカバル達の希望通りの家具を創るのを見て即座に信じていた。

 

暫くして、様子を見にレイギス達が向かうと中から、何やら揉めている声がした。

 

「ちょ!?それ俺が狙ってた肉!」

 

「酷くないですか!?それ私が育ててた肉なんですけど!」

 

「旦那方!こと、食事に関しちゃ譲れないでやんすよ!」

 

リムルとレイギスがリグルドの方を向くと申し訳なさそうな顔をした。

 

「すみません、腹ぺこだと言うものでして、食事を…。」

 

「おぉ!良いじゃないか!困っている人に親切にするのは良い事だぞ。」

 

「うむ、良き判断だリグルド。」

 

「はは!ありがとうございます!今後とも精進したいと存じます!」

 

「リムル様、レイギス様、どうぞ。」

 

そうしてリグルが扉を開け、中に入ると、そこには鉄板の上で焼かれた肉を必死の形相で食べる三人、それに対し、のんびりと食べるジン達と言った様子があった…仮面を付けながら器用に食べるものだとレイギスは関心し、三人に目を向け、レイギスが洞窟を出る時に見た三人だったとメーティスに確認を取り、合っていると返されていると。

 

「お客人、大したもてなしは、出来んが、寛いでくれておりますかな?改めて紹介しよう、こちらが!我等が主リムル様!レイギス様であーる!」

 

「「「主!?」」」

 

リムルとレイギスが主と知り、驚いていた、まぁスライムが主とは普通思うまいとレイギスは思考していた。

 

「主で悪いか?」

 

「い、いや…。」

 

「ただのスライムではないと思っていたけど…まさか。」

 

「あっしもまさか、スライムだけでなく其方の美人さんも主とは思わなかったでやす。」

 

困惑している者達にどう説明しようかとレイギスが思考していると、リムルがゲームのセリフを言い出した。

 

「初めまして、俺はスライムのリムル!悪いスライムじゃないよ?」

 

「「ぶっ!」」

 

シズとジンは思わず吹いていた、そしてレイギスは無意識だったのか……自己紹介と共にある事を言った。

 

「私はレイギス・T・エミリオン、しがない狐だ。」

 

「「「「「!?」」」」」

 

その言葉に全員が反応した…ジンだけはどこか違う反応だったが。

 

「れ、レイギスって…まさかあの!」

 

「暴風竜ヴェルドラの弟子!?」

 

「は、初めてみたでやす…。」

 

そう三人が言っているのを尻目にレイギスは、徐ろにジンに近付いていく。

 

「な、何でしょうか?」

 

「…この後時間を作ってはくれないか?二人きりで話したい事がある。」

 

「は、はぁ…良いですよ?」

 

「感謝する…お前とは話したい事があるからな。」

 

リムル達でさえ、見た事も聞いた事もないような、慈愛に満ちた声と表情でジンに向けてレイギスは言った…その余りの破壊力に男達は頬を赤らめ、他の者達も呆然としていた…。

気を取り直した者達がそれぞれ、自己紹介をした、カバル、エレン、ギド…そして、運命の人ことシズとジンさんはジュラの大森林を抜ける間だけ、臨時でメンバーに入ったと。

そしてカバル達はブルムンド王国のギルドマスターからの依頼で、ジュラの大森林の調査に来ていると、暴風竜ヴェルドラが消えて、魔物達の活発化が予想されての事らしい…そうしていると、カバルが恐る恐るではあるがレイギスに聞いた。

 

「その、レイギスさん…師匠であるヴェルドラが消えてあんたは大丈夫なのか?」

 

「む?何がだ?」

 

「いや、いきなり消えちまったみたいだし心配はしてないのかなって。」

 

「問題ない、そもそもアレは心配などしてもしょうがない類いだからな…その内何処かで目覚めるだろうさ。」

 

そうレイギスが弟子としてそれはどうなんだと言うような発言をし、真相を知っているリムルも流石に心配して無さ過ぎだろ…と呆れ、話を戻す事にした。

 

「俺達、見ての通り街を作ってる途中だが…その、ギルド的に何か問題があったりするか?」

 

「いや…別に大丈夫だろ。」

 

「ギルドが口出す問題じゃないしね。国はどうなんだろう?」

 

「うーん…あっしにはわかりやせん。」

 

「そうか、話は分かった、今日は此処に泊まるが良い、ゆっくり疲れを癒してくれ。」

 

「「「ありがとうごさいます/やす」」」

 

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

 

カバル達を泊める事にしたリムルに、私は他の国からも調査隊が来ているやもしれないと言い、調査に出た…そして、人気のない場所まで歩き、声をかける。

 

「さて…一人になったぞ?そろそろ姿を見せたらどうだ?…暗部の者達よ。」

 

「…やはり貴女様には通じませんか。」

 

私が何もない空間に対しそう言うと…ドワルゴンの暗部の者達が現れた。

 

「そうだな…気配を消すだけでは駄目だ、そこから自然に気配を偽り、自然と同化出来なければ私を欺く事は出来ないぞ?」

 

「勉強になります…今回我々が動いている件ですが…。」

 

「大方ガゼル王がリムルの監視をしろと命じたのだろう?我が民達に害をなさない限り、私も何もしない…安心するが良いさ。」

 

「感謝します。」

 

そう言い暗部の者達は姿を消した。

 

私がそれを確認し、村に戻るとシズ殿に抱かれているリムルが居た。

 

「リムルか、こんな所で何をしている?」

 

「レイギス、シズさんとちょっと話をだな。」

 

「レイギスさんって言ってたよね、君も転生者なんだよね、スライムさんから聞いたよ?」

 

「私をさん付けか…見る者が見れば恐れを知らぬのかと思うかもな…だが、悪くない。」

 

私はそう言い微笑を浮かべる。

 

「私は老衰で死に、気付けば200年前の封印の洞窟で目覚め、ヴェルドラを師匠として仰ぎ、修行をしていた…同郷とはこのリムルと会うまでの200年間会えなかったが、私は後悔していない。」

 

「そうなんだ…強いね。」

 

「ヴェルドラが居なければ、私はとっくに狂っていただろうさ…アイツがいてこそ、今の私がある…そう言うシズ殿は…見た所異世界人か、はたまた召喚者とやらか。」

 

「うん、当たり、私は召喚者だよ…。」

 

私がそう聞き、シズ殿がどこか悲しげな表情でそう告げた…召喚者、兵器としての役割を持ち、召喚主に魂に呪いを刻まれし者…今は聞かぬが良いだろうな、そう思考しているとリムルがシズ殿に問う。

 

「シズさんはいつ頃召喚されたんだい?」

 

「…ずっと昔、街が燃えて…炎に包まれて。」

 

「…戦争?」

 

「空から爆弾が降ってきて。」

 

「…待て、まさか…あの空襲の時の生き残りなのか?」

 

私は信じられなかった…ならば、今此処にいるどこか見覚えのあったシズ殿は…私は一つ決心をし、深呼吸をしてシズ殿に前世の名を言う。

 

「……私のかつての名は霧雨零…昔、迷子になっていた君の事を母君に送った事があったな。」

 

「……え?」

 

シズ殿が信じられない目を私に向ける。

 

「あの悪夢の日…私の知己は全員死んだと思っていた…だが…まさか君にここで会えるとはな…静江……大きくなったな。」

 

私がそう言い笑うと静江は涙を流していた。

 

「……本当に、零おじさん…なの?」

 

「あぁ…そうだよ。」

 

私はそう言いながら静江を抱き締めた…まさかあの時…知らなかったとは言え、私を/俺を恐れなかったあの幼子と会えるとはな…そうして暫くした後、私は手を離し、落ち着いたのか私に対しバツが悪そうにしながら言う。

 

「ごめんね、零おじさん、また汚しちゃって。」

 

「気にするな、あの時も言ったが問題ないよ…それと、今はどちらで呼べば良いかな?」

 

「シズって呼んで、私も今の名前で呼んだ方が良いかな?」

 

「分かった…これからはそう呼ぼう、そうだな…これからはレイと呼んでくれ。」

 

「あ〜ンン!もう大丈夫か?」

 

「あぁ、済まないなリムル、蚊帳の外にしてしまって。」

 

「良いよ、知り合いだったんだろ?」

 

「あぁ、そうだリムル、思念伝達でお前の知る物を見せてやってくれないか?…私のは余り見せられる記憶はないからな。」

 

「良いぞ、言われなくてもそうする気だったし。」

 

そうリムルが言うと私とシズの頭にある光景が見えてくる…誰かの部屋だろうか?

そしてパソコンに映るエルフの女性……。

 

「エルフさん?」

 

「おわぁお!?違う!そうじゃ!そうじゃない!!」

 

「…リムル、覚悟は出来ているのだろうな?」

 

自分でも驚く程低い声が出たな。

 

「違う!違うってレイギスさん!なしなし無し!!だからそれをしまってくれ!!見せたいのはこっち!」

 

次に見えたのは戦争が集結し、人々が復興に励んでいき、リムルが知っている光景…私も事実としては知っている今の日本の光景だった…うむ、先程の巫山戯た物を見せてくれた事はこれでチャラにしてやろう、そう考え私がシズの方を向くと、あの時と変わらない、笑みを浮かべていた。

 

「…凄い、絵はがきで見た、ニューヨークの摩天楼のよう。」

 

「戦争が終わって平和になったよ街も経済も発展した。」

 

「そっか、良かった…お母さんにも見せてあげたかったな。」

 

「…そうだな。」

 

「俺はこっちの世界でも皆が平和に暮らせる街を作りたいと思っている。」

 

「ふふ、私達、ではないのか?…まぁ、お前がそう決めたのなら、その道を拓いてやるさ。」

 

「あ!そうだったな…ありがとなレイギス、その時は頼らせて貰うよ。」

 

「任せろ。」

 

「そうなると良いね。」

 

「なるさ、きっと。」

 

「その為に私も力を振るうからな。」

 

「フフフ……ウッ!クゥ!」

 

突如胸を抑えシズが苦しみ出した。

 

「シズさん!?」

 

「どうしたシズ!…!?」

 

私がシズに触れ解析をしていくと、ある事実を知った…その時、シズがこちらに秘密にして欲しいと目で訴えて来た…今回だけは、合わせてやる。

 

「レイギス大丈夫なのか!?」

 

「あぁ、一時的なもので今は問題ない。」

 

「レイさんの言う通りだよ、大丈夫。」

 

「リムルの旦那。」

 

そこにカイジンが現れ、リムルが家を建てる場所の相談に向かった。

 

「……シズ、あれは。」

 

「…うん、私にとっては呪いみたいなもの。」

 

「そうか…先に言っておく、お前を必ず救い出す…二度と取りこぼさない為に。」

 

私がそう決意を固め、シズに言い、ジンと約束をしていた場所へ向かう、その背をシズは見詰めていた。

 

(あんなレイさんの目…見た事ないよ…あんな、全部を飲み込んじゃうような…昏い目)

 

 

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

 

僕はレイギスさんに呼び出された場所に居た、もし僕の考えている人物だとしたら…余りにも性格が違い過ぎる…そうして考えていると、レイギスさんがやって来た。

 

「待たせてしまったな、ジン。」

 

「大丈夫ですよ…それで、本当に貴女は僕の知ってる零さん何ですか?」

 

「あぁ、正真正銘霧雨零だ…お前には済まない事をしてしまったな…私が、私の影響力を侮ったせいで…お前は…。」

 

「その件は僕は気にしていません、最初から僕はそうなるかもしれないと思いながら貴方との日々をおくっていたので…僕が居なくなった後、一体何があったんですか?…僕の知る貴方と性格が違い過ぎて、今でも僕は貴女が零さんなのかと疑ってしまっています…だって……そんな全部を飲み込む目なんてしていなかったじゃないですか!」

 

そう言いながら僕はレイギスさん…零さんの目を見る…その目は何処までも昏く、黒く、深淵を宿しているかのようなハイライトのない真っ黒な目だった…前世の体と違うから、目の色が変わっているのは理解出来ても…あの目は…僕がそう思考していると零さんは言った。

 

「そうだな…あの時、私の部下/狂信者がお前を刺し、お前の最期の言葉を聞いたあの時から…私の心には、常に何かが足りないような感覚に襲われているんだ…それが何だったのか…とても大切な何かだった筈なのに……思い出せないんだ…あの後から、私は自身の記憶を唯の事実としか思えなくなり、私は霧雨の家に蔓延った私の狂信者共や害を成す人の也をした寄生虫共を悉くを粛清し尽くした…その後は虚しい日々だったが、後悔はないよ…だが、お前が気にしていないと言ってくれて、少しは救われたかもな。」

 

僕は頭を殴られたかのような衝撃と勘違いする程の情報をぶつけられた……100年前、この世界に水の力を使える魔人として転生し、その後冒険者として細々と活動していた時、レイギス・エミリオンの名前の狐の獣人がいる事を知っていた…その名前に僕の直感が会いに行けと言っていたのを無視していた……今思えばその直感に従って直ぐにでも会いに行かなければいけなかったんだ……だって…今の零さんの心は……。

 

「あぁ、それと今のお前は魔人としてこの世界に生を受けたのか?」

 

そう零さんが聞いて来たので僕は顔を向けた。

 

「は、はいそうですよ、自分でジンという名前を付けて、水魔人/アクアノイドという種族です。」

 

「そうか……虫のいい話ではあるが…お前さえ良ければ、また私の元に来てくれないか?」

 

そうして零さんは僕に手を差し出してきた…僕は迷わず掴んだ…もうこれ以上、零さんの心を磨り潰させない為に。

 

「はい…こちらこそまた僕に色々教えて欲しいです。」

 

「そう言ってくれるか…違和感はあるだろうが慣れてくれると助かる…そうだ、改めてお前に名を付けたい…私は部下となった者には名を付ける事にしているんだ…確か名付けには上書きが出来たな。」

 

「え、えぇ、出来ますけど…本当に良いんですか?僕これでも上位種族だから名付けの上書きとなるとかなりの魔素を使いますけど…。」

 

「問題ない、これくらいならば、今日休めば回復する…さて、お前にはジン・ミズカミ…日本名で水神仁の名を付けたい…受け取ってくれるか?」

 

「…はい、ありがとうございます、これから、宜しくお願いしますね。」

 

そう言った瞬間、零さんの体からとても濃い水の属性を帯びた魔素が僕の体を包み込んで、そこで意識は途絶えた。

 

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

 

「……。」

 

私は/俺は気を失ったジンをリグルに任せ、一人夜の森の中に居た。

 

「はぁ…まさか、今の私を見て尚、着いて来てくれようとするなんてな…。」

 

誰に聞こえる筈もない場所で、私は続ける。

 

「あの日、あの時…私の中で何かが壊れるのを感じた、でもそれが何かわからない/俺は絶望し不貞寝した…そん時に出来た奴に全部を押し付けて。」

 

「だから、私は…お前達の脅威となりうる者総て悉くを…死すら生温い地獄へ誘ってやろう…だから、甘さはお前に任せるぞ?リムル…今の私/俺では無理だからな。」

 

そうして話した後、少しだけ重い足取りで帰路に着くのだった。

 

 




はい、最後まで見てくださりありがとうございました…最後の部分を書いていたとき、涙が出てしまいました、仁の過去と零の過去、深掘りする場所は改めて別の話で持ってきますので今はお待ちくださいませ…曇らせタグや最狂で最凶な…最恐という巫山戯たタグが着いたのはこう言った事を思い付いた為でもあります、これからレイギスが敵として排除すると決めた者は下手したら原作以上にエグい末路を辿る事になるかもしれません、しかし原作で生存しているキャラをいきなり殺すような原作ブレイクはしないので安心してください長々と書いてしまいましたが、次回にまたお会いしましょう。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。