大往生したと思ったら星見雅に良く似た妖狐の魔人に転生した件   作:レイギス

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さて、レイギス達が呪いから少女を解放する為、力を振るいます…その中にはあの人も居るようです、その相手が誰なのか…どうぞお楽しみください。


第十話 少女の解放と□□との対話

その日…私は夢を見ていた、私がレオン・クロムウェルに召喚され、側近として仕えて…友達を殺してしまった夢とは違うものを、意識が目覚めた状態で。

レイさんが…雨の中涙を流し、狂った笑い声を上げている光景…笑い終えても口元に笑みを残したままのレイさんが、右手を空に向けてかざすと、空が見た事もない色に変わっていき、そこからおぞましい姿の怪物達が落ちてきて、全てを蹂躙していった…その中で、私と似た姿をした水色の髪の人が、怪物達を斬りながら必死に、レイさんに呼びかけていた…レイさんがその人の方を向いた時私と目が合ったような気がした…その一瞬で私は恐怖に体を震わせた…だって…あの時見たレイさんの目よりも……もっと昏い目をしてて、泣いている筈なのに深い笑みを浮かべていたから…その人はレイさんからの攻撃を避けて、レイさんに呼び掛けていたけれど、やがて今のレイさんに話が通じないと諦めたのか、その人がレイさんと戦い出す…レイさんに刀で斬られた場所がヒビ割れていっていき、最終的には胸を貫かれて…その人の姿が変わっていき、…スライムの姿になっていた…私が手を伸ばした瞬間スライムさんが…粉々に砕けて…いや、レイさんが私を見て歩いて来てる…動けない!なんで!いや!いやぁ!来ないでぇ!

 

リィン…。

 

この…音って…その音が聞こえた時、私はいつの間にか、真っ白な空間に居た。

 

そして、赤い光が集まって形を取り始めた。

 

目の前に現れたのは、レイさんと良く似た姿をしているけど…ちょっとだけ違う人だった。

 

《よぅ…ホントはこんな事したくなかったんだけどな…このまま行くと、アイツが壊れちまうから、こうして話に来た、声に出さないで良いぜ?此処では思った事がそのまま伝わる。》

 

なら先ず、貴女は誰なの?

 

《あ〜今は…そうだな、俺はアイツから抜け落ちちまった存在とでも言っとく。》

 

抜け落ちた?…それってどういう…いや、今はそんな事は良い、私がさっき見たあれは何なの?

 

《俺が見ちまったアイツの結末の一つだ…色々なもんを亡くしちまって…最終的には壊れちまった…な。》

 

…嘘でしょ…あれが……あんなのがレイさんの未来だって言うの?

 

《そう思うのも無理はねぇかもな…俺だって最初は信じられなかった、だが何度も何度も寝る度に見せられたら、嫌でも信じちまう…オマケに、そん時のアイツの内心まで添えて来やがった時はどんな嫌がらせだと思っちまったよ。》

 

あれを毎夜見せられるなんて…そんなの…私には…。

 

《まぁ、長々と話しちまったが、俺が言いたいのはシンプルだ、ああなっちまう前にアイツを止めてくれって事だ…唯、無理強いする気はねぇ、あんたの目的を果たす次いでみたいなもんで良い。》

 

そんな事言って大丈夫なの?もしかして私以外にも見せて…。

 

《正解、俺の可愛い弟子こと仁にな…別に此処での事を誰にも話すやなんて言いやしない、あのリムルと言うスライムに言っても良し、言わんでも良しだ、だが言葉だけじゃ分かりにくいだろ、こいつをやる》

 

…御札?あ、私の中に。

 

《スキル、思念伝達を獲得しました。》

 

世界の言葉?…それにどうやって、スキルを御札に…あれ、意識が…。

 

《と、そろそろ時間みたいだな…最後に…あんたの事、私に任せる気だったが、気が変わった、あんたの事は俺も救うと約束してやる、この俺、□□□がな。》

 

そこで私は目を覚ました…あの赤い目のレイさんにそっくりな人は一体…そう思った時、私の中のイフリートがまた私から出ようと暴れた…何とかイフリートを抑えた後、私は丘の上からスライムさんとレイさんが作っている街を見ていた。

 

「俺達の街、気に入って貰えたかな?」

 

私が振り返るとスライムさんとレイさんが居た…大丈夫、あれは未来の可能性…今のレイさんじゃない…私がそう考えを巡らせて、仮面を外し、スライムさんに返事する。

 

「ええ、とっても。」

 

私がそう答えるとスライムさんとスライムさんを乗せている、スライムさんが名付けした嵐牙と呼ばれる嵐牙狼族とレイさんの隣に居る、レイさんが名付けした炎牙と呼ばれる新しい種族、炎狼精獣が喜んでいた、レイさんは私の言葉に微笑んでいた。

 

「シズさんさえ良ければいつまでも居て良いんだぞ?」

 

「私も喜んで出迎えよう。(何より、近くに居て貰った方が、あの方法を試せるかもしれんからな)」

 

「ありがとう、でも行かなきゃ…此処に居たら迷惑を掛けちゃうと思うし。」

 

「迷惑?」

 

「私の旅の目的は、私を召喚した男を探す事。」

 

それを聞いたレイさんが真剣な表情で私に聞いて来た。

 

「見つけてどうするつもりだ?」

 

そうレイさんに聞かれたけど、私もどうするか、分からなかった。

 

「…まぁ良い、何れ答えを見つけろよ?」

 

「分かった、残念だけど、何時でも遊びに来てくれ!歓迎するよ、な?レイギス、嵐牙、炎牙。」

 

「あぁ、そうだな…それと、ジンがお前を探していたぞ、会ってやれ、それと、お前を救う方法が分かったら直ぐにでも向かう、だから希望を捨てるなよ?」

 

「勿論です!」

 

「当然です。」

 

「分かったよ…ありがとうレイさん、嵐牙も炎牙もありがとう。」

 

私はそう言って嵐牙と炎牙を抱き寄せた後、ジンさんの元に向かった。

 

「ジンさん、私を呼んでたってレイさんから聞いたけど、何?」

 

「…シズさん、今からおくる思念伝達の映像に見覚えはありませんか?」

 

そう言って、ジンさんが夢で見たあの光景を思念伝達で最初の部分だけを見せて来た。

 

「…という事はジンさんがあの人の言ってたお弟子さん何だね?」

 

「はい…そして、シズさんの言うあの人…それは、姿は今のレイさんに似ていましたが、性格や口調は以前の……僕の知る限りのレイさんその人でした。」

 

「…詳しく聞かせて貰っても良いかな?」

 

私はそう言ってジンさんから説明を聞いた…ジンさんも日本人だったんだね、今はレイさんに名付けの上書きをされてジン・ミズカミの名前を貰ったと言っていた。

 

「それで、レイさん…いえ、これではややこしくなってしまうのであの人としましょう…あの人から、シズさん…貴女の事情もある程度は聞いています…貴女に会う前にカバルさん達には説明しましたが、僕は此処で、レイさんがああならないように、レイさんの仲間達を守るつもりです…あの人の件は流石に言えませんが。」

 

「そうなんだね…あの人が言ってたのはこう言う事なんだ、うん、レイさんの事、お願いね。」

 

「はい、シズさんもどうかお気を付けて、僕はまだ体が本調子ではないので、見送れませんが…それと、シズさん最後に一つだけ、あの人は一度言った事は決して曲げず、行動に移す人です…だから…。」

 

「うん、分かってる…ジンさんはレイさんと同じことを言うんだね。」

 

「あの人の弟子ですから。」

 

そうしてジンさんが微笑んだ、…ジンさんの微笑んだ顔がどことなくレイさんと似ている気がするのはやっぱり弟子だからなのかな?

 

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シズ達を見送ろうと皆が集まり、カバル達も準備が整い後はエレンとシズを待っていた。

 

「お待たせ〜。」

 

エレンとシズが此方に向かって来ているが、途中でシズが立ち止まった…まさか、もうそこまで…。

 

「ん?シズさん?」

 

「ガ!ウグ!グァ!ガアアアアアアアア!」

 

「リグルド、リグル。」

 

「「は!」」

 

「最重要命令だ、皆を急ぎ避難させろ、もう時期シズの中にいるソレが表に出てくる。」

 

「りょ、了解です!」

 

「は!承りました!」

 

私がそう言ったのを皮切りにシズの仮面にヒビが入り、強大な魔力が天へと解き放たれ、空は雲に覆われる…そしてシズから炎が上がり包み込んだ。

 

「シズさん!」

 

「シズ…シズエ・イザワ!?」

 

「へ!?」

 

「シズエ・イザワって!」

 

「爆炎の支配者かぁ!?」

 

「そ、それって50年前にギルドの英雄よね、シズさんが…?」

 

「爆炎の…。」

 

「くぅ!もう引退してんじゃなかったのか?」

 

シズの正体にカバル達が驚いているとリムルが私に問う。

 

「レイギス…こうなる事をお前は知っていたのか?」

 

その言葉にカバル達も私を見る。

 

「そうだな、何れ保たなくなる事は予測していた、しかし、既に限界だったのは予想外だったがな…そうなる前に、どうにかする術を施そうと考えていた…黙っている形になってすまないな。」

 

「いや、そう言う事情なら良い。」

 

私達が話していると、炎に包まれているシズから仮面が落ちた…その瞳、大方、主導権を取らんと暴走でもしているのかと予想し、メーティスに問う。

 

(メーティス、シズからアレを剥がした後長くてどれだけだ?)

 

【解、長くても一週間が限界と予測します】

 

(そうか、それまでに完成させる…シズを救う術を。)

 

私がそう思考していると、シズの瞳から涙が溢れていた…しかし、それすら炎は蒸発させ、シズの体はイフリートに支配された、私達の前に炎の上位精霊イフリートが現れた…それを見て私は雷丸とジンへ念話を送る。

 

〔雷丸、ジン、見えているな?〕

 

〔無論ですレイギス様。〕

 

〔はい、見えてます、レイさん。〕

 

〔私が合図したら此処に来い。〕

 

〔御意。〕

 

〔了解です。〕

 

「炎の精霊…炎の巨人/イフリート。」

 

「間違いないでやすシズさんは…。」

 

「伝説の英雄…爆炎の支配者……あっあんなのどうやっても勝てないんですけど!!」

 

「無理でやす、あっしらは此処で死ぬんでやす…短い人生だったで「諦めるな。」

 

ギドが最後の言葉を言う前に私は/俺は目を瞑りながら言った。

 

レイギスは何故先程あのような言葉を言ったのか理解出来ていなかったが、頭の中に声が響く。

 

《よぉ、本当はお前に全部任せる気だったんだが…アイツに言っちまったもんでな…救うってよ…だから…少し借りるぞ。》

 

私はその言葉に従い、体を預ける…そうか、お前だったんだな、私の心の抜けた穴の分は…また話せるか?俺よ。

 

《おうよ、私よ、って、やっぱこう言うのは似合わねぇな。》

 

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「レっレイギスさん。」

 

ギドが俺に声を掛ける、声を返す為、目を開く。

 

「安心しろ、お前達は死なん…この俺が居る、何より俺は、アイツに言ったんでな…必ず救うと…だから、少しだけ待ってろ、シズ。」

 

「お前、口調が…それに目の色や瞳孔まで…本当にレイギスなのか?」

 

リムルが俺に問い掛けて来た…そりゃそうか、口調どころか、目の色と瞳孔まで変わっちまってるんだから。

 

「あぁ、正真正銘レイギス・T・エミリオンさんだ…最も、俺は別人格みたいな

もんとでも思ってくれ。」

 

「ヌアァァァァ!!」

 

イフリートが雄叫びを上げる…俺は村に被害を出さねぇように結界を張る…あんなのに…俺達の民が作ったもんをぶっ壊させる訳には行かねぇ…そうして土煙が晴れ、結界を張っている為小さな密度でイフリートの周りに15の火柱が立ち、中から炎の蜥蜴みてぇな竜もどきが現れた。

 

(メーティスあれは?)

 

【解、イフリートが呼び出した妖精/サラマンダーです。】

 

もう戦いは避けられそうにねぇなぁ…念の為あの三人に言っとくか。

 

「お前ら、逃げたいなら逃げて良いぞ?」

 

「…そんな訳にはいかねぇよ。」

 

そう言ってカバル達は立ち、獲物を構える。

 

「あの人が何で殺意を剥き出しにしてるのか知らねぇが!」

 

「俺達の仲間でやすよ!」

 

「ほっとけないわ!」

 

ふん、良い仲間に恵まれてんじゃねぇか。

 

「そうかい、死なねぇ程度に気張れよ?」

 

「フフ、まさか、過去の英雄と戦う日がこようとはねぇ。」

 

「人生、何が起こるか分かりやせんね。」

 

「おい!お前の目的は何だ?」

 

リムルがイフリートに問いかけるが…つーか、戦いの時に敵に声かけても帰って来んのは…やっぱな、イフリートは火球を放ち、リムルが水刃を放つ、が辿り着く前に蒸発した…あんなんじゃ届かんわな。

 

イフリートの攻撃を合図に竜もどき共が一斉に襲い掛かる。

 

カバル達に一匹、リムルとランガに2匹、んで残り12匹が俺か…好かれたもんだなぁ…こんなモテ期は要らねぇっつぅの、竜もどき共が火球を放つ、が俺に当たる前に消えた…舐め過ぎだもどき共、俺は自然操作を使い、氷の属性を纏わせた天月を構えて…アイツの鞘に着いてる鈴の音が聞こえた。

 

リィン…。

 

「おいおい、俺はまだ合図してねぇぞ?ジン、雷丸。」

 

「申し訳ありません、私も止めたのですが、ジンが飛び出してしまい…。」

 

「ま、しょうがねぇか…悪ぃなジン、話はまた後でだ。」

 

「……はい…ちゃんと説明してくだいよ、レイさん。」

 

「おう、んじゃ殺るか、最低4匹は狩れ。」

 

「は!」

 

「はい!」

 

そうして雷丸とジンが竜もどき共に向かい、雷丸は、いつの間に覚えたのかリムル達が見せた黒稲妻よりも強力な黒稲妻を纏わせた抜刀術で竜もどき4匹を纏めて斬り灰にした、ジンも続くように刀を抜き、刀身が蒼く染まる。

 

「氷刃・藍の舞。」

 

ジンが技を言うや否や舞うように竜もどき共を斬っていった、斬られた竜もどき4匹は一瞬で氷り、砕けた…進化した力、きっちりものにしたみたいだな…さて、俺も行くか。

 

俺は歩きながら、改めて自然操作を使い自分の魔素を水と氷の属性に変え、天月に纏わせていき、竜もどき共の空間を斬る、その際、天月から鈴みたいな音が鳴った。

 

リィン…。

 

「亜空水氷断。」

 

そうして鞘に納めた後、竜もどき共5匹…あれ、1匹巻き込んじまったか、そいつらの体中にパキパキと軽快に音を立てながら蒼白いヒビが入っていき、全身にはいった瞬間、白と蒼の粉になった。

 

「……す、凄ぇ。」

 

「……綺麗。」

 

「あ〜すまん、横取りしちまったな。」

 

「い、いやいや、気にすんな、寧ろ俺達苦戦しちまってたし…。」

 

「苦戦してても、お前らはアレと戦った、その事実が重要だ、本当なら俺達に任せて逃げちまった楽だってのに、仲間の為と残る事を選んだ…中々出来る事じゃねぇぜ?大事にしろよな?」

 

そう俺が話していると、イフリートが動き出した、左右にそれぞれ二体分身を作りやがった。

 

(メーティス、やっこさんらの力)

 

【解、魔力がかなり込められており、全て本物/オリジナルと同等の分身となっています。】

 

…やれやれだぜ、そんなに俺が怖いか?イフリート。

 

「レイギス!皆!」

 

そこにランガとリムルも来た。

 

「お前ら、こっからの戦いはちとお前らじゃ力が足りない、俺達に任せて、逃げな。」

 

「レイギス!?でも!」

 

「お前ら纏めて消し炭にでも成りたいのか?シズが起きた時、お前らが死んじまったなんて言いたかねぇんだ。」

 

俺の言葉に悔しそうにしていたがカバル達は理解したみてぇだ。

 

「分かった。」

 

「レイギスの姐さん、リムルの旦那達、シズさんを頼みやす。」

 

「お願い!」

 

「おう、炎牙!」

 

「はは!」

 

俺の影から炎牙が飛び出る。

 

「三人を安全なとこへ!」

 

「嵐牙もだ!」

 

「お任せを!」

 

「ご武運を!」

 

そうして炎牙はカバルとギドを嵐牙はエレンを乗せ、避難した。

 

「さぁて、これで心置き無く戦えるな。」

 

「あぁ、リムル、本体は任せた俺は捕食者を使った回数がお前より少ない分制御をしくじるかもしれんからな、その代わり他は任せろ。」

 

「分かった、任せたぞ!」

 

俺は本体をリムルに任せ、二人に指示を出す。

 

「雷丸、ジン、一体受け持て、残りは俺がやる。」

 

「は!」

 

「分かりました!」

 

そうして三方向に別れ、分身二体が俺を追って来た。

 

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「さて、要約私も、レイギス様のお役に立てる。」

 

私の後ろをイフリートの分身が追ってくる中そう呟いた…レイギス様に忠誠を誓い、修練を重ねていた日々…レイギス様達がドワルゴンに行くと言っていた時、内心私はお側に居たかった…だが、私まで離れては村の皆に脅威が迫った時切り払える存在が居なくなると強く己を律した。

 

レイギス様達がドワルゴンに赴く直前。

 

「お前にはいつも、苦労をかけるな…本当なら着いて来たかったのだろう?だが、自分まで離れたら誰が此処を守るのだと思って残る事を選んでくれた…私が民を想っている事を誰よりも知っているのは…お前だからな。」

 

そうレイギス様が困ったような笑みを浮かべながら私に言った。

 

「そうですね…二年という短い時間ではありますが、それでも貴女のお人柄はよく知っていると思っていますよ…貴女が居ない間に、村の皆の誰か一人でも死んでいたら…それこそ壊れてしまうのではないかと思う程に…。」

 

「……否定が出来ないな、リグルら警備班の者達に手解きをしているが、どうにも力が入ってしまうんだ…私やお前であれば脅威にならない魔物が、あの者らにとっては十分過ぎる脅威となる…そう思うとな。」

 

レイギス様は続ける。

 

「だからこそ、万が一私が狂い、守るべき民達に刃を向けそうになったなら…リムルらと共に私を討ってくれないか?」

 

そうしてレイギス様は信じられない事を私に言った…私が呆然としているとレイギス様が言う。

 

「勿論そうならないよう手は尽くす、だが最悪は何時も想定している…まだ見ぬ脅威を侮って、民達が死ぬなど、あってはならない…そんな事がおきてしまえば、私は自身を許せなくなってしまうからな。」

 

「レイギス様……。」

 

私が項垂れているとレイギス様の手が私の頭に触れ、頭を上げた。

 

「そんな顔をするな…私が考え過ぎているだけなのかもしれないしな、だからお前にこれを渡すのも私の我儘だ。」

 

《エクストラスキル、黒雷/コクライ、エクストラスキル、赤雷/セキライ、エクストラスキル蒼雷/ソウライを獲得しました。》

 

私の頭に世界の言葉から新たなスキルを手に入れた知らせが届く。

 

「レイギス様!?これは!」

 

「私のスキル作成者/ツクルモノの権能にメーティスの力を合わせて生み出したスキル達だ、まだ一つ創るのに、魔素を大きく削られるのが玉に瑕だな。」

 

レイギス様が手を離しながら私に言い、続けた。

 

「この意味が分からぬお前ではないだろう?…頼むぞ?雷丸。」

 

「………御意。」

 

私は声を震わせながらもレイギス様に言った。

 

 

私は思考加速を止めイフリートに向き直る。

 

「さて、お前にはどの雷が一番効くのだろうな?」

 

そして私は動き、黒雷を纏わせた刀を振るう、多少ズレたが、手を落とした、イフリートが悲鳴を上げる。

 

「ふむ、これは余り効果がないようだ、ではこちらか?」

 

私はそう言いながら今度は赤雷を纏わせ振るう、迎撃しようと火球を放つがそれらを斬り、跳躍し刃を振るい胸元を切り裂く…意外にもしぶといな、今ので死ぬかと思ったが、私がそう思考しているとイフリートの周りに魔法陣が浮かぶ。

 

「おっと、私はレイギス様達ほど炎に強い耐性スキルは持っていないからな、焼かれては敵わん。」

 

イフリートがそんな私を怒りのこもった目で見る。

 

「さて、次で終わりにする、私はレイギス様の元に向かわねばならないからな。」

 

そう言って刀を鞘に戻し、蒼雷を今までよりも強く纏わせ、体には赤雷を纏わせていく、イフリートがそんな私を見て止めようと炎を放つが、今の私には止まって見える…そうしてイフリートの前に一瞬で立ち、朧流/おぼろりゅうを振るう。

 

「朧・蒼雷斬。」

 

蒼雷を纏わせた朧流のアレンジ技…爺が見たらなんて言うんだろうな…そう考えている私の後ろには、首を落とされ、消滅していくイフリートの分身の姿があった。

 

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

同時刻

 

僕は、今自分に思考加速をかけながら追ってくるイフリートの前を走っていた。

 

(まさか僕の知るレイさんが居たなんて…それに、人格が別れた?…あぁ、いけない…敵が居るのに余計な事ばかり考えてしまう…でも仕方ないじゃないか、もう会えないと思っていた、あの頃のレイさんに会えたんだから。)

 

そうして僕はレイさんと出会った日の事を思い出していた。

 

まだ僕が小さかった頃、森で迷子になってしまい、彷徨っていたとき、偶然木刀を振っていた零さんに会って、あの言葉を言われたんだ。

 

「俺は零、しがない狐さ。」

 

そう木刀を肩に担ぎ、もう片方の手で、狐を作りながら言って、当時の僕はそれを信じて、森から出して貰う間にそんな訳ねぇだろって笑われたっけ…返されてからも僕はあの森に行って零さんに会いに行っていた、そんな事を繰り返して、いつの間にか零さんが霧雨流と言う、当時の僕が知らなかった流派を教えてくれるようになって…何年か経った時…それで…。

 

「何やってんだお前…そいつは俺の弟子だって言ったよなぁ?なんで刺しやがった。」

 

「完璧な貴方に弟子など必要ないからですよ!貴方がいけないんですよ?貴方がこんなガキを弟子になんかとるからぁ!!皆嫌だったんですよ、このガキのせいで、霧雨様がどんどん完璧じゃ無くなっていったのが…だからミンナの代表として、このガキを殺してやろうと刺したんです。」

 

僕を刺した男は、目を血走らせながらレイさんに対し言っていた…零さんの方を見ると、表情が抜け落ちていて、あんなに綺麗だった紅い目も、黒く濁っていっていた。

 

「もういい、喋んな…お前らを放置したのは俺だ…だから、俺が/私が消す。」

 

その時、何故か、零さんと似ているようで違う声が重なったのを最後に僕の意識は途切れた…あの後、この世界に最初は水人/アクアマンとして転生して、名付けの事を知らなかった僕が、自分にジンと名付けして意識を失った後、水魔人になった…その後人として冒険者をやって、一時期水の奏者なんて二つ名で呼ばれるようになってから慌てて隠居して、二つ名が忘れられるまで偶に細々とやって…カバルさん達と一緒にジュラの大森林まで来て、レイさんと再会した。

 

でも…僕の知る零さんでは無くなっていた…あんなに表情豊かだったのに、淡々と無表情のまま言うようになったり、一人称が変わっていたり、そもそも口調が違っていたり…何より目が…あの紅い目が、真っ黒に染まってしまっていた。

 

そうして僕は、もう二度と、あの頃の零さんには会えないと思っていた…なのに…あの口調、あの一人称…何より薄らとだけど、目の色が紅くなっていた…それを見た瞬間雷丸さんの制止も聞かないで飛び出しちゃって…後で謝らないとな…そうして思考加速を切って立ち止まり、イフリートの方を向く。

 

「悪いけど早く君を倒して、僕は零さんに聞きたい事があるんだ…だから…直ぐに終わらせる。」

 

そう言いながら、イフリートの元に向かい…斬った。

 

イフリートの後ろで刀を鞘に収めながら僕は言う。

 

「霧雨流抜刀術…無音葬送/むおんそうそう。」

 

そう言って零さんの元に向かう…イフリートの分身は首筋に線が出来たと思った瞬間、体が消滅した。

 

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

同時刻

 

「さて、ここなら良いだろ…楽しめる相手でもねぇし、とっとと終わらせる…先ずはお前だ。」

 

そう言いながら俺は、イフリートの分身の一体を斬り、消滅させる…それを見たもう一体が目を目開き、距離を取った後、俺の周りに魔法陣が浮かび上がったと思うと火柱に包まれた…がこんな温い炎、効く訳ねぇだろ…火柱の中を平然と歩いてくる俺を見たイフリートが驚愕している。

 

「お前の温い炎で俺どころか着てる服も焦がせはしねぇよ…さて、こいつは邪魔だな。」

 

そう言って刀を振るい、火柱を消して、イフリートの元に歩いて行く、苦し紛れか炎を出して抵抗しているが…意味がねぇな…それを無視してイフリートの頭を掴みメーティスに問う。

 

(メーティス、捕食者の力は食った相手の力をものに出来るスキルだったな…触れば問題ない俺にあってもしょうがないもんだとも思うが。)

 

【解、触れられない相手であれば捕食者は有効です、今後も使用していく事を推奨します。】

 

(分かった分かった、あいつらも終わったみたいだし、俺もやるか、捕食者)

 

そうして、俺は捕食者使い、イフリートを食らった…その後雲が晴れたのでリムルがやったんだろうと思い、直ぐに向かい…焼けた大地にシズが倒れていた。

 

「シズさん!」

 

リムルがそう言った後、俺はシズを抱き上げた。

 

「安心しろ、息はある…シズを送った後、俺はこれから籠るから、後の事は任せるぞ?」

 

「…信じて良いんだな?」

 

「当たり前だ、伊達に霧雨の当主名乗っちゃいねぇよ。」

 

「分かった、皆の所に戻ろう。」

 

そうして俺達は、シズを皆の元に運んでいった。

 

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

 

リムルと戦っていた本体のイフリートは捕食され、その権能の一つ、胃袋の空間の中にいた…脱出を試みようとするが叶わず、そんなイフリートの前に立つ影があった。

 

「観念せよ、イフリート、貴様にこの空間は破れぬ。」

 

その声を聞き、イフリートは顔を上げると、そこには暴風竜ヴェルドラが居た。

 

「貴様の適う相手ではないわ、我の弟子であるレイギスとリムルは我の盟友ぞ…我は暴風竜ヴェルドラ・E・テンペスト、心ゆくまで相手をしてやろう、ハッハッハッハ、ハッハッハッハッハ、フッハッハッハッハッ!!」

 

ヴェルドラの高笑いが聞こえる中イフリートが声を出した。

 

「……暴風竜。」

 

 

 




はい、今回のお話楽しんで頂けたでしょうか?雷丸がなんでドワルゴンに同行しなかったのか、その理由がこれでした…ぶっちゃけ本当に村に襲撃が入り、誰か犠牲になったらシズが見ていた、あれに直行します…止められる人がまだ全然居ないのでアレよりも酷いかもしれませんね、そんな訳で完全に空気になっていた雷丸を活躍させ、ジンの過去も明らかになりました…零視点でのあの光景はまた別の機会と致します、では最後まで見てくださり、誠にありがとうございました、ではまた次回にお会いしましょう。
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