大往生したと思ったら星見雅に良く似た妖狐の魔人に転生した件   作:レイギス

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誤字報告して下さった方、誠に有難うございます、今後ももしかしたら、見逃してしまうかもしれませんので、その時は申し訳ないのですが、報告して下さると幸いです。

レイギスが白老達に、霧雨流に伝わった偉人達の秘剣や奥義を、秘技として教える事を決めた中、とあるリザードマン一行はゴブリン村の各地を巡っていた…その後食事処にて、レイギスがある者の作った料理に挑戦する。


第十四話 霧雨流の秘技とお調子者のリザードマンと料理への挑戦

とある日の固有空間外の訓練場、そこで私は白老と木刀を構えている…静寂の支配する空間で風が吹き、一枚の葉が落ちる瞬間…常人には姿が消えている様に見えていた…しかし、その中で私と白老は木刀を打ち合っていた、カカカカカカっという音のみが他の者達に聞こえたと思うと、私と白老は一度打ち合いを止め、私は言う。

 

「また腕を上げたようだな、白老よ、以前よりも打ち方にキレがあったぞ。」

 

「ほほほ、レイギス様こそ、以前手合わせ頂いた時よりも格段に強くなっておりますぞ?」

 

「ふふ、お互い様だな。」

 

「そうですな…では、見せて頂きます、レイギス様が儂らにお教え下さる霧雨流の秘技、その一つを。」

 

「ああ、とくと見るが良い。」

 

そう言い私は木刀の構えを変え、白老が来るのを待つ。

 

そうして白老が私に一瞬で距離を詰め木刀を振るわんとした瞬間…一閃。

 

「剣術無双・剣禅一如。」

 

私はそう告げ、白老は膝を突いた。

 

「…お見事。」

 

白老がそう言い私も構えを解いた。

 

「さて、一度休憩を入れる、お前達も休んでいて良いぞ?」

 

そう言って白老と周りで傷だらけのゴブタ達が居た、ゴブタ達は内心で"この人達化け物過ぎる"と呟いていた、そんな時。

 

「マスター、お飲み物です。」

 

「…あぁ、感謝する…しかし、まさか玉藻殿がここでも現界出来るとはな。」

 

「私も驚きました…私の真名を冠したスキルで、まさか私が受肉出来る様になるとは…まぁお世話が出来るので良い事ではあるのですが…それと…名付けの上書きとやらは、もう少し先にしてくださいましね…今のままでは、マスターのお身体の格が足りませんから。」

 

そう、私があの固有空間内で紅丸達と共に修行をしていたとき究極能力玉藻之前には、元となったスキルの権能を更に強力にして使え、魔素の消費も抑えられるようになっており、新たな権能として、あの固有空間を展開する権能と玉藻殿を魔素を消費して、受肉させる事が出来る権能…そして、霊子支配と霊魂支配というものだった霊子支配の権能は神聖魔法というものを詠唱なしで扱え、通常よりも強力な力を行使でき、更に他の私が使える属性達を体や武器に同じ様に纏わせる事が出来る…霊魂支配もその名の通り、一定時間相手に触れるか魂のみの存在や不死、俗に言う、アンデッド系モンスター等に対してその存在を問答無用で掌握する、生かして従属させるも消してしまうも、融合させるも思いのままというものだった…その中で私は受肉させる権能、玉藻召喚を使い玉藻殿を受肉させていた…未だ英霊よりは強い程度ではあるが、私が強くなればなる程、より強力な受肉体となっていくらしい。

 

そして傷だらけになっているゴブタ達はと言うと、元々私がゴブタ達に修行を課していた事を白老が知り、自身も指導をすると言い、時には私と共に修行する関係になっていた…そして白老達鬼人と雷丸、風乱といった者達に、私は霧雨の家に偉人達が伝えたとされる秘剣や奥義などを教えようと思い、先んじて白老に技を見せたという事だ、白老が立ち上がりながら言う。

 

「先程見せて頂いた剣が、霧雨流にかつて伝わったとされる秘技の一つなのですな?」

 

「ああ、お前には以前、話した事があったな。」

 

「えぇ、左様です…儂に霧雨流の技を教えて下さったあの日々の中で。」

 

「うむ…む?リムル達が居るな、白老、少し任せて良いか?私はリムル達と話をしてくる。」

 

「承知しました。」

 

「タマモ、共に来てくれ。」

 

「かしこまりましたわ。」

 

白老達との修行を終えた後、リムルと紅丸が話している姿が見えた為玉藻殿と共に話に参加する事にした…外で呼び捨てなのは本人からは"対等と言いましたから何時までも殿やさん付けなど寂しいですわ"という事なので、呼び捨てにする事になった…以後こちらでもタマモと呼ぼう。

 

「リムル、紅丸、何を話しているんだ?」

 

「良ければ私達にお教え下さいまし。」

 

「レイギスとタマモさんか、修行は終わったのか?」

 

「いや、一時休憩に入った所だ…それで、何を話していたんだ?」

 

「いえ、豚頭族の中に豚頭帝/オークロードが誕生した可能性があるとリムル様に話を。」

 

「ふむ、豚頭帝…名からして王か。」

 

「はい、数百年に一度生まれるという、ユニークモンスターです。」

 

「ふむ…。」

 

私が紅丸の話を聞き考え込んでいるとタマモが聞いてきた。

 

「どうかしましたかマスター?何やら考えているご様子ですが。」

 

「…いや、先程紅丸が言った事が気になってな…。」

 

「と言いますと?」

 

「…もし魔王種を得ていない段階なら、そこから魔王種を得て、私のように進化するかもしれないと言う事だ。」

 

そこに紅丸が言う。

 

「豚頭帝は味方の恐怖の感情を喰らい、異常な統率力を持つらしいのですが…レイギス様の予測が事実だった場合、更に厄介な事になるかもしれませんね…それに、俺達の里を襲った豚頭族達は、仲間の死に怯む事がありませんでしたから。」

 

「ふむ、今お前は、豚頭帝が生まれている可能性は低いと思っているな?だが少しでも可能性があるなら居る前提で考えるぞ…居ないと考えて後手に回るよりも、その方が良い。」

 

「マスターの言う通りでございますね、その豚頭帝とやらの能力、集団戦で発揮されると厄介極まりないでしょうから…少なくとも、紅丸達の里を襲った数千の豚頭族達がその能力下で、向かって来るのですから。」

 

タマモがそう言い、私も疑問に思っていた事を紅丸に聞いた。

 

「それでだ、紅丸、お前達の里が襲撃された理由について、何か心当たりはあるか?…思い出させてしまってすまないが…。」

 

「気にしないでください、レイギス様…関係あるかは分かりませんが、襲撃の少し前に、ある魔人がやって来て"名をやろう"と言って来たんですが…余りに胡散臭かったので、追い返しました所、悪態をつきながら帰って行きましたね。」

 

「魔人か…少なくとも、そやつからは恨みを買っているだろうな、悪態をつきながら去ったと言うなら、根に持つような奴とも読める。」

 

「仕方ありませんよ、主に見合わなければこっちだってごめんだ、名を付けて貰うのも、誰でも良いって訳じゃありませんからね。」

 

「それもそうか。」

 

「何て、名前だったかなぁ…確か、ゲラ、ゲリ、ゲレ、ゲロ…。」

 

そう紅丸が言っていると近くの木の陰から気配がした。

 

「蒼影か、どうした?」

 

私がそう言うと、蒼影が姿を現した。

 

「はい、レイギス様、紅丸達が言っていた魔人の名はゲルミュッドだと、教えに来まして。」

 

「そうか…む?確かその名、リグルの兄に名を付けた者がその名を名乗っていたな…さて、他にも何かあるのだろう?蒼影。」

 

「はい、レイギス様、リムル様…報告がございます、蜥蜴人族/リザードマンの一行を目撃しました。」

 

「蜥蜴人族?豚頭族じゃなくて?」

 

リムルがそう聞くと、蒼影が答える。

 

「はい、湿地帯を拠点とする彼らが、こんな所まで出向くのは異常ですので、取り急ぎ、ご報告をと。」

 

「ふーん。」

 

「何やら近くのゴブリン村で、交渉に及んでいるようでした…ここにも、何れ来るかもしれません。」

 

「ふむ…あの首領が既に手を打っていたか…。」

 

「ん?レイギス、その言い方だと蜥蜴人族達と面識があるように聞こえるけど…。」

 

リムルがそう問いかけてきたのだ私も答える。

 

「ああ、あの者らとは既に知己だ、昔ヴェルドラと修行する傍ら、腕試しとして、森を巡った事があってな…その時にある程度の上位種族達と出会った、紅丸達ともその時にな…あそこには無駄に煩い息子が居てな…悪人ではないが、部下から煽てられると調子に乗りやすいきらいがある…。」

 

「ヴェルドラと修行する傍らって…何でそんな事したんだ?」

 

「実力差があり過ぎると、自身が強くなっているのか不安になろう?そうならないようにする為、私は腕試しと称して、森の上位種族達の元に行き、自身の力が上がっている事を確かめていたのだ…あの息子とはその時色々あってな…軽くトラウマを植え付けた。」

 

「ひぇ。」

 

私がそう言うと、リムルが小さく悲鳴を上げた…そんなに怖かっただろうか?…笑みを浮かべて言っていた筈だが。

 

《いやそりゃ怖ぇだろ、何でトラウマ植え付けた話を笑み浮かべながら淡々と話してんだ、リムルは俺達と違って、普通の人間の感性なんだから当たり前だろ…。》

 

とキリに呆れられてしまった…ふむ、普通とは難しいな…私はそう考えた後、風乱を呼んだ。

 

「風乱、居るか?」

 

「ここに居ますよ?レイギスさん。」

 

私がそう言うと、風が吹き、背後に風乱が現れた。

 

「風乱、蒼影と共に豚頭族と蜥蜴人族の情報を集めてくれ…酷な事を言うが、もし豚頭族達を見つけても、手は出すなよ?蒼影も同じだ…敵を討つ機会は、必ず齎す…それまで耐えてくれ。」

 

「見つけても手は出さない気ではいたが、レイギスさんに言われたら、絶対手は出せないな…分かりましたよ。」

 

そう言って、風が吹き、今度は蒼影の横に移動して言った。

 

「んじゃ蒼影、宜しくな。」

 

「ああ、お前の腕は知っている、存分に期待させて貰うぞ。」

 

「意地の悪い事言うなよ、んじゃレイギスさん、行って来るぜ。」

 

そう言って風乱と蒼影は情報を集めに向かい、私も修行を再開しようと思い、序でに紅丸達も誘ったが、揃ってお断りしますと返された…その際紅丸達は内心ゴブタ達に合掌した…レイギスの修行の地獄さを身を持って知っているからである(紅丸は文字通りこの世の地獄を見たが)

 

そうして私が指示を出していた時、ジュラの大森林のある場所で、蜥蜴人族の首領の息子…今はガビルと名乗っている者が言った。

 

「全く、親父殿ときたら、"ゴブリンの村を巡り協力を取り付けて来い"だと!?…豚頭族に恐れをなすなど、誇り高き蜥蜴人族/リザードマンの振る舞いとは思えぬ!昔はあんなにも、大きく偉大な男だったと言うのに…。」

 

そうガビルが言っていると、部下の一人が言った。

 

「ねぇねぇ、ガビル様は何時首領になるの?」

 

「ぬ?」

 

そう言ってガビル達の足が止まる。

 

「い、いやいや、少々不遜な事を言ってしまったが、吾輩など、親父殿には遠く及ばんよ。」

 

そうガビルは言うが、満更でもなさそうだ…部下達は言う。

 

「そうかなぁ?今のガビル様なら、きっと全盛期の首領にも劣らねぇぜ?」

 

「然り。」

 

「いや、そんな事は…。」

 

「だってガビル様ネームドだし。」

 

「うむ、その槍さばきにおいて、右に出るもの無し。」

 

「あんた今立たないで何時立つんだよ?」

 

その言葉にガビルは驚愕する、そして、自身は結構イケてるのではと調子に乗り始めた…。

 

「ンン!そうだな、親父殿も歳だ、少々強引なやり方でも、吾輩が支配者に足る力を持っている所を、お見せしよう。」

 

その言葉に部下達が一斉に声を上げた…はぁ…調子乗り/ガビルは続ける。

 

「それでこそ、安心して、引退して頂けると言うもの。」

 

「じゃあ!」

 

部下の一人がそう言うと…何故か部下達からは調子乗り/ガビルに光が差しているように見えていた。

 

「うむ!豚頭族の軍勢の撃退を以て、蜥蜴人族の首領の座を、受け継ぐ事にしよう!」

 

そう調子乗り/ガビルが宣言すると、部下達は歓声を上げ、ガビル!!と一斉に声を上げ始めた。

 

「行くぞぉ!ふん!!吾輩についてこい!お前達の未来は明るいぞゲホゲホ!」

 

…最後をむせながら言い、調子乗り/ガビル達一行は走り出した…未だ部下達はガビルと叫びながら…はぁ、そうやって調子に乗っていると痛い目を見ると、以前教えてやったと言うのに…。

 

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そうして数日が過ぎ、白老と私の修行によってゴブタ達はそれなりの練度に育っていた、その分ゴブタ達は死ぬ程の思いをしていたが、今回は固有空間を使わずに修行した…あれに慣れてしまうと、加減を忘れ、ゴブタ達を死なせかねない為だ…無論、今の紅丸達も死にこそしないが致命傷に近い傷は負ってしまうだろう。

 

今日は朱菜の様子を見に来ていた、織り機で見事な絹糸の反物を織り、ドワーフ三兄弟の面々も興味深げに見ていた。

 

「もう絹織物なんて出来たのか。」

 

「見事な出来だな…確かヘレモスの繭と言ったか、魔素が含まれていて、幾分か丈夫と聞いたな。」

 

「リムル様、レイギス様!」

 

「ども。」

 

「こんにちは。」

 

「うん。」

 

やはりミルドは喋らぬな…私がそう思考していると、朱菜がリムルの元に抱き着き、リムルも頬を赤らめている様に見える…私がそう思っていると後ろに居たタマモが私に抱き着いてきた。

 

「マスターもリムルさんの事が羨ましいのですか?言って下されば私が何時でもして差し上げますのに。」

 

「いやそんな事は思っていない。」

 

「照れないでも宜しいのですよ?マスター。」

 

「…照れてなどいない、唯、何時ぞやの態度と余りにも違い過ぎているので困惑しているだけだ。」

 

「それを聞いちゃいます?マスター…私、マスターやご主人様と過ごしていく内に気づいたのです…アレ、よく見たら結構イケ魂なのでは?…と。」

 

「は?」

 

「そう気付いた瞬間、漸く私にも分かったのです…英霊として召喚された私達が抱いていた、良妻狐としてマスターに尽くしたい想いが!」

 

「……そうなのか…そう…なのか。」

 

「あのレイギスが困惑してフリーズしてる…流石タマモさん…なのか?」

 

「リムルさんに褒められても何も出ませんわ、というか、貴方は鈍感にも程がありますし。」

 

「…それは、そうだな。」

 

漸く、思考の海から戻ってこれた…タマモめ、一体どう見たら我らの事をイケ魂なるものと見れるのだ…。

 

《俺にも分かんねぇ…最初の威厳が嘘みたいに無くなりやがったから、俺は同一人物か、疑っちまってるよ…有り得ねぇと思ってるけどさ。》

 

そうして私とキリが思考していると、徐ろにタマモが懐からある物を取り出した。

 

「タマモ、それは?」

 

「僭越ながら私が織らせて頂いた反物です、朱菜達皆さんからの指導のお陰で織る事が出来ました。」

 

「私はやり方とコツを教えただけですよ、その後直ぐにものにして、私も驚きました。」

 

そうタマモと朱菜が言い、反物を見る…私が羽織っているものよりも良い色合いだな…赤さでは今羽織っているものだが、こちらを常用として羽織るのも悪くなさそうだ。

 

《そうだな…俺達の関係性みたいで良いじゃねぇか。》

 

私とキリもこの赤黒い色の反物の出来に感心し、常用の羽織りとして使いたいと思っていると、タマモが私の目を見て、不安そうに耳を垂れさせていた。

 

「…お気に召しませんでしたか?」

 

「いや、寧ろ逆だ、素晴らしいものを織ってくれた、常用の羽織りとしてこれを使いたい程だ…キリも褒めていたぞ?」

 

そう私が笑みを浮かべながら言うとタマモは。

 

「そう言って頂けて感謝感激です!後程、今お召されている羽織りと同じ形に整えさせて頂きますね!」

 

と耳を動かし、尻尾を振りながら言った、その様子に朱菜も紫苑もリムルも微笑を浮かべていた…そう言えばシズもここに居る筈だが見当たらぬな、私が魔力感知を使い、シズの位置を探ろうとする前に、奥から声が聞こえた。

 

「シズさん、とっても綺麗ですよ。」

 

「有難う。」

 

「今、リムル様とレイギス様が来ているみたいですから、お二人にお見せしましょう。」

 

「…ちょっと恥ずかしいかなぁ。」

 

「大丈夫ですよ、自信を持って、さぁさぁ!」

 

ハルナに押され、赤い着物を着たシズが出てきた。

 

「おお!シズさん、凄く綺麗だ!」

 

「うむ、よく似合っているぞ…(昔を思い出すな。」

 

「あっ有難う、お母さんが、いつか私にもこんな着物を着せてくれるって話を皆にしたら、皆がこの着物を作ってくれたの。」

 

「成程…良い仕事だ。」

 

「有難うございます!シズさんの話を聞いて、是非にもその想いを叶えて上げたいと、皆で頑張りました!」

 

ハルナがそう説明した…あの戦争が起こらず、この世界にも召喚されなかったのなら…いや、今更だな…戦争は起き、あの悪夢は起きた…それが事実だ。

 

「ハルナ、朱菜、これからも、皆の衣服はお前達に任せる…後程、シズに似合う着物をまた見繕ってやってくれ。」

 

「「はい!」」

 

その後朱菜と紫苑が、リムルを取り合い、体が千切れるのではないかと思う程伸ばされていた…そのまま千切れたら、意識も分割されるのだろうか。

 

「おい、レイギス、今何想像した。」

 

「む?あのまま千切れていたら、お前の意識も二つに分割されたのかと気になってな…今度の修行で試すか。」

 

「試すな!!っていうか今度の修行で何されるの俺!?」

 

「案ずるな、死にはしない…紅丸達が修行した場所と同じ場で、ある魔法と属性を試したくてな…そう心配しなくとも、ジンやシズも一緒だ。」

 

「待ってレイさん、私聞いてないんだけど…。」

 

「今考えたからな。」

 

それにシズ達は呆れ、紫苑と朱菜はあの日々を思い出したのか顔を青くしていた。

 

その後、私とリムルは、紫苑が手料理を馳走してくれると言うので、タマモと共に食堂に来ていた、そこには紅丸と白老、蒼影が居た。

 

「これはリムル様、レイギス様。」

 

「お食事ですかな?」

 

「ああ。」

 

「紫苑が手料理を作ってくれたって言うのでな。」

 

その瞬間、紅丸達の表情が変わった、リムルが紅丸達もどうかと問うが、紅丸と白老は茶だけで良いと言い、蒼影は分身体を出し、村の周囲の偵察に向かったが…恐らく逃げたのだろうな…私がそう思考していると、タマモが念話で言ってきた。

 

『マスター、紅丸達のこの反応…もしかしなくとも大分ヤバいのではないでしょうか?』

 

〔そうだな…。〕

 

私がそう返すと…ソレが現れた…紫苑の中の料理の常識を疑いたくなった…何をどうしたら料理から妖気の様なものが見えるように出来るのか…。

 

「い、いただきます。」

 

「はい!」

 

リムルがそう言い、スプーンで掬うと…気の所為だろうか、顔の様なものが見えている気がする…。

 

《あ〜、気の所為じゃねぇぞ…確か…シミュラクラ現象ってやつだな、今お前が見てんの。》

 

そんな事はどうでも良い…さて、行くか。

 

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俺が大賢者に助けを求め、右斜めにスプーンを突き出した所、そこにはゴブタが居た…。

 

「ぐおおおおおお!!」

 

口にしたゴブタが、その場に倒れもがき苦しみ、顔色を紫に変えていく…その後…

泡を吹きながら、手を伸ばし…力尽きた…。

 

「…あれ?」

 

紫苑が静かになった食堂で声を上げる。

 

「…紫苑。」

 

「はっはい!」

 

「今後人に出す飲食物を作る時は紅丸の許可を得てからするように。」

 

「え!?」

 

俺の指示に紅丸から"あんまりですリムル様"と言っている様に見えた…知らん、監督はお前に任せた…そう思っていると。

 

カチャン。

 

「馳走になったな。」

 

レイギスの方からスプーンを置いた音が聞こえた…嘘だろ!?あれ食いきったの!?マジで!?紫苑は口を押さえて感動してるしタマモさんも涙ぐみながら讃えてるし…タマモさんと紫苑以外全員マジかよって顔でレイギスを見ていると。

 

「紫苑よ。」

 

レイギスが言う。

 

「お前の私達への想いしかと受け取った…しかし、人に出すのならば、先ず見た目にも気をつけなければならない…故に私が、お前に料理について、一から修行してやろう。」

 

「よっ宜しいのですか!?」

 

「無論だ…私もこの200年で、苦手であった料理を克服出来たからな…お前に教えられるくらいには出来るつもりだ…だが知っての通り、私の修行は厳しいぞ。」

 

「はっはい!頑張ります!レイギス様!!」

 

紫苑は真剣な表情で返事をし、レイギスがゴブタの事をどうしようかと考えていそうだったので俺達は急いでレイギスと一緒に食堂の隅まで移動した。

 

「リムル、急にどうした?」

 

「レイギス!お前どうやってあれを食ったんだ!?というか本当に食ったのか!?」

 

「心外だな、私はしっかり食べたぞ、昔の私が作って食べていた料理に比べれば味はマシだったからな。」

 

レイギスからとんでもない言葉が飛び出してきた…嘘だろ、お前、そんな元から何でも出来そうな見た目に強さ、それに考えまであって、料理があの紫苑以上に苦手だったなんて…俺がそう思っていると、紅丸が代表して聞いた。

 

「あの、レイギス様…料理を克服した時期は、一体いつでしたか?」

 

その言葉に紅丸も納得した様子を見せていた…お前何を紅丸達に食わせたんだ…。

 

「そうだな…確か最初に料理を振る舞ったのはお前達の里に居た時だったからな…その時だった筈だ…あの時はすまなかったな。」

 

「おい、レイギス…紅丸達に食わせた料理ってどんな見た目だったんだ?」

 

「見た目こそマシだが、食べた者曰く、殺人的な味だと言うらしい…私も同じ物を食べていたのだが、分からなくてな。」

 

「今だから言えますが…本当に凄い味でした…気が付くと、数日が過ぎてたんですから…食べた者全員。」

 

紅丸が遠くを見ながらそう言った…そんなヤバかったのかよ…。

 

「…ちなみに聞きたいんだが、どうやって料理を克服したんだ?お前は分からなかったんだろ?」

 

「簡単だ、料理を作る度に味を変えて調整した…ヴェルドラには世話になったな。」

 

「何て事してんだよお前…。」

 

俺はヴェルドラに同情した…紅丸達も同じ様子だった。

 

「案ずるなとは言いきれんが、それでもマシになる様にはする…暫くは地獄を見るかもしれんが…耐えてくれ。」

 

レイギスが真面目な顔で淡々と紅丸に死刑宣告をしていた…紅丸は顔を青くしていた…何故かそれを見てレイギスが口元を薄く上げていた…お前前々から思ってたけどドSなのか?…そう思った俺なのであった。

 

 




最後まで読んで下さりありがとうございました、実はレイギスは紫苑とは別ベクトルでヤバかったのです…でも一族の当主だからそれを言える人は居なかったんですねぇ…と言う訳でヴェルドラにはレイギスの料理の矯正役もやっていました…本人は二度とやりたくないと思っているでしょう…幾ら死なないとは言え、我師匠だよね?と内心思いながらやってくれました…さて、では次のお話でまたお会いしましょう。
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