TS少女ちゃんは勇者パーティに潜む強化吸収系ラスボスになりたい   作:2倍半額シール

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第1話

それは平和な日常に潜む、大きな災いの種。

 

ズボボ! ゴクンッ!

 

「貴様!ここで何をしている!」

 

薄暗い路地裏からの怪しい物音に、見回りの衛兵が駆けつける。

それがスリや強盗であれば衛兵は即座に犯人をとらえ、事は解決したことだろう。

 

しかし今回は相手が悪かった。

 

「んぐっぷはぁ! う〜ん美味!」

 

衛兵は見た。否、見てしまった。同僚が少女に頭から飲み込まれるのを。

 

そして気づいた。

少女が今朝見た勇者パーティの一員であることを。

 

「き、君は勇者パーティの…」

 

「こんばんは!衛兵さん! 今日は豊作だね!」

 

少女は目を輝かせながら無邪気に笑った。

 

そうして、またもや街から住人が忽然と姿を消すことになるのだった。

 

 

◆◆

 

 

吸収強化系ラスボスこそ、最もロマンあるラスボスではないだろうか。

 

吸収強化ラスボスとは何か?

 

それは様々な生物を殺しては吸収し、自らを強化する。

最初は弱く相手をするまでもないほど貧弱だが、放っておくと世界を滅ぼしかねない成長性に溢れたラスボスだ。

 

戦いの中で味方を次々と吸収し、主人公はそれに怒り、対してラスボスは味方の使用した技を持って主人公たちに更なる攻撃を仕掛ける。

 

そんな熱い展開を生み出してくれる、素晴らしいラスボス。

 

俺は今世でそれになれるかもしれないと知った時、感激に打ち震えた。

 

”今世で“といったように、俺には前世がある。

前世の俺はしがない会社員で、そしてあっけなく死んだ。死因はおそらく事故死だろう、日頃の寝不足のせいで前がよく見えていなかったんだと思う。

前世での話はこのくらいにして、今世での話をしよう。

 

 

 

俺は気がつけば、女の子の姿で地下の牢獄らしき場所で横になっていた。

 

「どうやら俺は、この女の子の体に転生してしまったらしい。」

 

最初は息子の消滅や、突然慣れぬ場所へとばされたことに対して酷く混乱したが、しばらくそうしているうちにようやくその現実が飲み込めた。

 

ひとまず、俺は状況の把握から始めてみることにした。

 

この牢獄は古い施設のように思える。ところどころ苔むしていて、場所によっては壁にヒビが入っている。

 

そして何より気になるのはこの体だ。年はギリギリ中学生に届かないぐらいで、ボロ切れのような服を着ている。服のようなボロ切れと呼んだ方が適切かもしれない。

どちらにしろ、年頃の女の子が着るような服ではとてもなかった。

 

とりあえず、この場所から脱出したいところだが、窓もなければ鉄格子は頑丈そうで、壊して出れそうもない。

 

「おーい!! だれかー!! 誰かいないのかー!!」

 

自力で脱出することは早々に諦め、大声で人を呼んでみることにするが、やはり返事はなかった。

ここが牢獄であるならば看守が見回りに来るだろうと3時間ほど待ってみるも、一向に看守が現れる気配はない。

 

…残された手段は、フィジカルで鉄格子を壊して脱出するのみ!

 

俺は拳を握りしめ、鉄格子に殴りかかっ——

 

ドーン!!

 

突然、轟音を響かせながら牢獄の天井が崩壊し、何者かが天井から侵入してきた。

 

「ゲホッ!ゲホッ! あ、あんま無理をするんじゃなかった……ん?」

 

そんな声が聞こえ、埃が収まり視界が晴れると1人の少年と鉄格子越しに目が合う。

 

「か、可愛い…!」

 

目の合った少年はそうポツリとこぼした。

 

 




開始は気に入ってます。本当はラヴォスネタいれてたかった;;
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