2人がこれから出会うのは癖の強い個性派集団だった──
宿舎前に着いた2人。
陽斗は先程共に戦った月歌達の所へ向かっていった。そこでは、月歌達が少し話をしていた。
陽斗「やぁ、さっきぶりだね。」
ユキ「あ、あんたらさっきの!!」
カグヤ「突然すまんな。そういえば、仲良くしていたのはいいが、名前を聞くのを忘れていた。
……名前を聞いてもいいか?」
月歌「あぁ、あたしは茅森月歌。」
その名前を聞いて、ユキと陽斗はそれぞれ、その名前を思い出していた。
陽斗「かやもりるか……?(どこかで聞いたような…。)」
ユキ「かやもりるか…聞いたことあるな…まさか下の字って、月に歌って書かないよな?」
月歌「書く。」
ユキ「え、もしかして歌、めっちゃ上手かったりしないよな?」
月歌「それだけは自信ある。」
ユキ「まさか…『She is Legend』ってバンドに居なかった…?」
ユキの質問に対し、月歌は「居た。」とだけ答える。
すると……
ユキ「聴いてたーーーー!!お前の音楽、あたし聞いてたーーーー!!She is Legendのボーカルーーーー!!よく見たら顔が本物ーーー!!雰囲気違うから今気づいたーーーー!!」
陽斗「『She is Legend』……聞いたことある気がする……。」
つかさ「エモーショナルロックバンド、She is Legend…作詞作曲もこなすそのボーカルは年端も行かぬ女学生だった。メジャーデビューアルバムはその年の新人賞を総なめ。天才という言葉を欲しいままにした。
だが翌年には突然の解散。文字通り伝説となった。解散理由はメンバー間の音楽性の不一致。」
つかさは自らの知る知識を喋っていたが、月歌が訂正に入る。
月歌「最後だけ違う。」
つかさ「収入格差。」
月歌「違う。」
つかさ「男女関係のもつれ。」
月歌「違う。」
つかさ「ヒント。」
諜報員と名乗るつかさが当てにいこうとする姿を見て、思わず陽斗は「当てに行くなよ」と呟いていた。
それを気にも止めず、つかさは続ける。
つかさ「才能の枯渇。」
月歌「いいや。」
ユキ「知らなかったら諦めろよ!数撃つなよ!」
つかさ「ここまで出かかっているのに…!」
ユキ「そういうのいいから。
そんなすごい奴と一緒だったとは…びびるな…。残る4人は?」
可憐「朝倉可憐。FPSが得意なだけのゲーマー。」
つかさ「東城つかさ。ある組織に所属する諜報員よ。」
陽斗「八薙陽斗。一応……セラフ部隊の手助けをするために軍に派遣された錬金──」
錬金術師と名乗ろうとした時、カグヤは陽斗の左腕を叩く。
陽斗「イッテ!?何するんだよカグヤ!」
カグヤ「陽斗!錬金術師というのは秘密だと言われているだろ!」
陽斗「わ、悪い!忘れてた…。」
カグヤ「ちょっとは気をつけてくれ…。」
ユキ「何コソコソ喋ってんだ?」
陽斗「ご、ごめん。
……改めて。俺は八薙陽斗。軍の要請でセラフ部隊の手助けをしろって言われて来た派遣隊員……ってとこかな?」
カグヤ「我が名は十王カグヤ……通りすがりの生ける伝説だ。」
陽斗「それと、俺と同じように軍の要請で来た派遣隊員で……俺の幼馴染。」
ユキ「お、おう……。(とんでもねぇ人来たな…。)
あたしは和泉ユキ。それなりのハッカー。」
月歌「よし、これで仲良しだな。」
ユキ「ノーーーーーーー!!まだノーーーーーー!!」
月歌「え?」
ユキ「自己紹介しただけーー!!」
月歌「お前の仲良しはハードルが高いな。」
カグヤ「自己紹介とは、仲良くなるための最もゴージャスな手段。
それを知らないとは、貴様、ゴージャスが足りないな。」
ユキ「お前が低いんだよ!!てか、自己紹介にゴージャスさなんかねぇだろ!!
それにお前、『あたしは群れるのは苦手でね。一匹オオカミがお似合いなのさ』って言ってただろーーー!!」
月歌「さっきはそんな気分だったんだ。」
ユキ「すごい気分屋ーーー!!」
陽斗「(大変そうだなぁ…。)」
可憐「このナービィっての可愛い。部屋に連れていってもいいかな。」
月歌「いいんじゃない?連れてこうぜ。可愛いかれりんが可愛いナービィを抱いて寝る…これは萌える。」
ユキ「正体不明生物と寝る気かぁーーーーーー!!」
つかさ「温厚で特に危険はないわ。だからといって、決してぞんざいに扱わないように。」
ユキ「お前の口からはほんとに新情報出てこないなーーー!!それも今さっき聞いたのを繰り返しただけだろーー!!」
可憐「あなたにも、ナービィ…あげたい。」
ユキ「いらねーーよ!!しかも、なんでちょっとチェルシーなんだよ。」
月歌「かれりんに強く当たるなよ!」
カグヤ「和泉ユキ、やはり貴様にはゴージャスが足りない。」
ユキ「さっきからなんなんだよゴージャスって!!別にあたし、ゴージャスさとか求めてねぇから!!
……てかなんで朝倉の味方になってんだよ…。」
月歌「可愛いから。」
ユキ「それだけでかよ!ひでー差別だな…。」
話をしていたら、突然関西弁を喋るピンク髪の少女が話しかけてきた。
???「なんや、ちやほやされて、相変わらずやな。こんなところでもスター気取りか。」
月歌「なんだよ。また、新キャラか。今日は大変だな。」
ユキ「初日だからなー。」
腕まくりの少女「うちのこと忘れたとは言わせへんで。」
制服の腕をまくったピンク髪の少女の発言を聞いて、陽斗は月歌に問いかけた。
陽斗「知り合いか?」
月歌「……おい、諜報員、情報。」
つかさ「She is Legendのローディーで、主にギターを渡してた子。」
月歌「よう、久しぶり!」
腕まくりの少女「全然ちゃうわ!」
つかさ「ヒント。」
ユキ「知らないなら諦めろよ!」
つかさ「ここまで出かかってるのに…。」
ユキ「お前、もう十分馬脚現してるからな!?」
腕まくりの少女「なら、ヒントや。」
ユキ「親切だな!」
腕まくりの少女「東に天才ロッカー、西には…?」
つかさ「ローディー。」
腕まくりの少女「遠すぎるわ!関西から楽器渡しに行くか!」
月歌「諜報員が知らないんだから、よっぽど無名なんだろ。」
陽斗「いや、多分そうじゃない気がする。」
陽斗は呆れ返っており、腕まくりの少女はそれを無視して話し続ける。
腕まくりの少女「どこの諜報員か知らんけど、仕事さぼっとんちゃうんか!?」
つかさ「あなたねぇ…。」
腕まくりの少女「なんや?」
つかさ「このナービィ、目が綺麗。」
ユキ「言い返せよーーー!!」
腕まくりの少女「屈辱的やけど自分で言うしかないようやな…。」
ユキ「可哀想に…。」
腕まくりの少女「答えは…西には、天才サイキッカーや。」
カグヤ「(サイキッカー…。錬金術を操る錬金術師と同じように、サイキックを操る存在……。)」
めぐみ「うちは天才サイキッカーの逢川めぐみや!」
桃色の腰まであるハーフツインテールに緑色の瞳で、制服の腕まくりをしている少女の名は『逢川めぐみ』。関西出身の勝気なサイキック少女で、超能力を扱えるが、その力は未知数。自分が世界を救う救世主であると信じている。
月歌「そんな奴いたか、情報通。」
つかさ「いや、関西のことはちょっと。あと情報通じゃない。諜報員よ。」
ユキ「お前、情報通ですらないからな。」
月歌「知らないみたいだ。じゃあな。」
めぐみ「待たんかーーーーい!!」
月歌「なんだよ…。」
めぐみ「うちが関西で天才サイキッカーやっとんのに…似た感じの天才クールビューティー風のキャラで全国的にブレイクしよってからに…。そのせいでうちの存在がどんだけ霞んだ思とんじゃーーーー!!」
月歌「(ひどく興奮している様子だ…ここは落ち着かせる言葉を考えよう…)
ロッカー特有のサイキック能力の差だ。」
めぐみ「ロッカー全員サイキッカー前提なノリで言うてくんなや!ないやろ、そんな能力!!」
月歌「ないねぇ。だったら、なんの差だろうねぇ。」
陽斗「才能だろ。俺には無いけど。」
カグヤ「(陽斗、お前錬金術の天才だろ。)」
めぐみ「そんなわけあるかーーーー!!
元々関西出身っちゅうんが不利なんやーーーー!!関東生まれはええなぁーーーー!!」
ユキ「ますます興奮させてるじゃねーか、なんとかしろよ…。」
月歌「てへぺりんこ!」
ユキ「それ、流行ってんのか。」
月歌「この言葉を発したのは人生で二度目だ。」
ユキ「あぁ、聞いてたよ。」
めぐみ「今のなんなん。」
月歌「場を和ませる魔法の呪文。」
めぐみ「和むかーーーーー!!
ここでおーたが百年目…直接対決や!うちのサイキック浴びせたんで!!」
月歌「は、こいよ。」
めぐみと月歌が戦おうと構えたその時、2人の間に小柄な少女が割って入ってきた。
??「待たれるがいい!」
めぐみ「なんやっ、ちびっこいの!!邪魔すんなや!!巻き添えくろうて怪我しても知らんで!!」
タマ「その勝負、戦艦
2人の間に割って入ってきた少女の名は『國見 タマ』。
どこからどう見ても子供だが、正体は当時の最新鋭戦艦『虎鉄丸』の元艦長。
オホーツク海で敗れ去った艦隊唯一の生き残りで当時は虎鉄丸を神経接続によって操っていた。
カグヤ「サイキッカーの次はコスプレか、これはまたゴージャスだな。」
つかさ「どこからこんな空気の読まない子供が入ってきたのかしら。」
可憐「でも可愛い。」
タマ「この格好はその…元乗組員に着せられているだけで…正直恥ずかしいですけど…。」
めぐみ「はよ家帰りーや!」
タマ「いえ、せめて虎鉄丸の元艦長であった誇りを忘れず、規律を正していきたいと思います!」
つかさ「わたしの記憶が確かなら、虎鉄丸はコンピューターが動かしてたはず。」
つかさが珍しく新しい情報を出し、疑問を投げかけるがそれに対してタマは答えた。
タマ「それはあまりに私の見た目が…その…幼稚だったため…そういう風に報じられていただけです…。」
カグヤ「『オホーツク海の惨劇』の生き残り…という訳か。」
陽斗「オホーツク海の惨劇…?」
月歌「どういうことだ?」
つかさ「私も聞きたい。」
ユキ「諜報員なら知ってろよ。」
カグヤ「かつてキャンサーに対抗しようとアメリカ軍を中心に連合艦隊が組織されたが敗れ去ったという悲劇があった。虎鉄丸はボロボロになりながらも唯一帰還した戦艦で、どうやらこの子は、その艦長さんらしい。」
めぐみ「へー、ならよっぽど頭ええんやろなぁ。円周率答えてもらおか!知らんとは言わせへんでえ?答えはこいつが知っとる。」
めぐみはカグヤの説明を聞き、タマに煽るようにこう言いながら陽斗の方を指す。
陽斗「自分で答え合わせしてよ。人の脳を頼らないで。」
タマ「いいですけど、永遠に終わらないですよ?
……3.14159265358979323846264338320288…。」
ユキ「待て、速い!」
めぐみ「は、わからんよう早口で言うたか。せこいやっちゃな。」
陽斗「……合ってる。」
めぐみ「どっちも天才か!」
タマ「では2の平方根も答えておきましょうか。
……1.41421356237309504880168872420969…。」
陽斗「……すごいな、合ってる。」
めぐみ「嘘やん…こんなちびっこいのが…そない賢いんか…。」
タマ「はい!」
月歌「ということは…。ロリキャラだ、わーい!」
ユキ「だとしても、お前が喜ぶべきポイントではないだろ。」
月歌「いや、あたしらこんなんだからさ、こういうちっちゃい子が1人居ると安心すんじゃん。」
ユキ「誰目線で言ってんだよ。」
月歌「というわけで、よろしくな、ロリキャラ。」
タマ「違います。國見タマです。よろしくお願いします。」
月歌「タマってどう書くの?」
タマ「カタカナですけど…あの、猫の名前みたいなんで…出来れば名字で呼んでください。」
陽斗「よろしくね、國見さん。」
女子整備員「あ、タマ艦長だーー!お久しぶりでーーーす!頑張ってくださーーい!」
タマ「うむ!」
月歌「ほら、タマって呼ばれてる。」
タマ「え?い、いえ、今のは…その…たまたまで…。」
月歌「たまたまタマだった?」
タマ「そう…たまたまタマで、普段はタマではなく…タマ艦長で…。」
月歌「でも、今は艦長じゃないんだろ?」
タマ「そうですけど…。」
月歌「じゃあ、おタマさんで呼ぶ。」
タマ「……!!艦長じゃなくなったから言い返せない!!受け入れざるを得ない!!」
ユキ「いや、ずっとタマ艦長って呼ばれてたんなら、今更だろ…。」
めぐみ「ちっ…変にちゃちゃ入れられて白けたわ…この辺にしといたるわ。」
ユキ「この辺も何も、文句言っただけで何もしてないからな。」
めぐみ「ちびっこいののおかげで命拾いしたな。次おおたら強烈なサイキックお見舞いしたるさかい、覚悟しときや。」
月歌「ああ。」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
月歌達が部屋に着く前に、陽斗とカグヤは先に31Aの部屋にいた。
??「お久しぶりです。陽斗さん。カグヤさん。」
陽斗「君は……?」
美来「やっぱり、覚えてないんですね。
……私は二藤美来。あなたと同じ錬金術師です。」
そう言って陽斗にアルケミストリングを見せる長い黒髪を持つ清楚な雰囲気の少女の名は『二藤美来』。
陽斗と同じ錬金術師で、階級は陽斗とカグヤの1つ下であるが、使命感と正義感の強い少女。陽斗の妹である『八薙陽華』とは同い年であり、共に錬金術師としての腕を磨いた仲である。
彼女もまた仮面ライダーである。
陽斗「二藤…美来……。
……っ!!」
再び陽斗の脳裏に、ある記憶が蘇る……
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1年前──
美来『お久しぶりです、陽斗さん。
──私、仮面ライダーになりました。』
陽斗『そうなのか!?』
美来『はい。この指輪の色がその証拠です。』
そう言って美来は宝石がオレンジ色になったアルケミストリングを見せる。
美来『兄様には程遠いとは思いますが、私もこれから仮面ライダーとして、世界を守りたいと思います。』
陽斗『仮面ライダーとしてもよろしくな!』
美来『はい。』
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
陽斗「思い出した……。久しぶりだな、二藤。」
美来「えぇ、お久しぶりです。
……カグヤさんから少し聞いていましたが、まさか本当に記憶を失くしていたなんて。」
陽斗「……まだ全然思い出せてない。
……家族の事も、妹がいたことだけは思い出したんだ。」
美来「家族の事も……。(陽華との思い出も……ない。)
……そうですか。」
カグヤ「ところで、美来は何故ここに?
ケミー捜索の任務はどうした?」
美来「ケミーは兄様が引き続き捜索しています。
……軍の要請が私にも来ました。それと、黒鋼先輩も一緒に来ています。」
カグヤ「そうか。
あいつは今どこに?」
美来「黒鋼先輩は、31Bのサポート任務だそうです。
先輩自身が31Bのサポートを希望したそうで。」
カグヤ「珍しいな。彼が自ら希望を出すなんて。」
美来「ですね。」
そんなことしてる間に、月歌達が部屋に入ってきた。
月歌「よし、こい!」
めぐみ「うそやん!?なんで、自分らと同じ部屋やねん…。」
つかさ「もしかして…この六人で31Aということ…?」
可憐「うん。部屋の前にネームプレート貼ってあった。」
ユキ「諜報員のくせに、ぼーっとついて入ってくんなよ!つぶさに見ておけよ!」
タマ「だから、挨拶に参ったのですけど…。」
陽斗「やぁ。さっきぶりだね。」
ユキ「あんた達も31Aなのか!?」
陽斗「いや、俺たちはあくまでサポートだ。正式なメンバーじゃない。」
可憐「あ、美来!久しぶりだね。」
美来「久しぶり、可憐。」
めぐみ「なんや、知り合いかいな?」
可憐「うん。前に同じ学校に通ってた二藤美来ちゃん。」
美来「初めまして。二藤美来です。可憐とは元クラスメイトで、今は陽斗さん達と同じく、軍にスカウトされてセラフ部隊のサポートをしてる。」
ユキ「礼儀正しそうな人で良かったよ…。」
ユキがそう呟いてすぐ、美来が『ケミーライザー』を確認して口を開く。
美来「……少し外します。
陽斗さん、カグヤさん、行きましょう。」
陽斗「あぁ。
……皆ごめん。ちょっと外すね。」
そう言って3人は部屋を出ていく。
3人は外へ向かい、ある人物と接触していた。
カグヤ「君から呼び出しとは珍しいな、『朱也』。」
朱也「別に。大した用ではないが。」
陽斗「大した用事って訳じゃないんでしょ?」
朱也「あぁ。
……さっきの戦闘でマルガムの出現が確認された。俺が倒したんだが、マルガム化した人間はいなかった。」
陽斗「マルガムが!?」
朱也「襲われたセラフ部隊員はいなかったが、上層部からは常に警戒をしておけと報告を受けた。」
美来「それにしても妙ですね。マルガム化した人がいないとなると……。」
カグヤ「恐らくはキャンサーの悪意に純粋なケミー達が反応してしまったんだろうな。」
朱也「もう1つ妙なのが、マルガムを撃破した際ケミーを回収しようとしたんだが、何故かケミーが現れなかった。」
カグヤ「それはつまり……何者かが『禁術で作られたドライバー』と『複製されたケミー』達を悪用しているということか?」
朱也「そうだろうな。
……ん?」
4人のケミーライザーに錬金連合の上層部から通達が届く。
上層部『基地外でマルガムの出現を確認した。
直ちに出撃してくれ。』
陽斗「……このタイミングでのマルガム出現…?」
カグヤ「ひとまず行こう。」
……To be continued
感想、評価、お気に入り登録よろしくお願いします。