今回からはまた信貴峰サイドに戻って話が進みます。
信貴峰は因幡にメダルを壊されてしまうのか!
それでは今回もどうぞ!
~from信貴峰~
ウサ耳の相手は俺のメダルへと手を伸ばし、もう少しで触れようとしていた…その時だった。
空から赤に白のラインの入った閃光が走り、俺に近づいていた兎に向かい、そのまま轟という音が鳴いた。
その閃光の衝撃で砂が舞い上げられ視界を封じられるが、そんなこともお構いなしに俺の側に落ちた閃光はそのまま二回目、三回目と赤い光を帯びた攻撃を重ねていく。
「うわ!?ちょっと危ないじゃないか。」
「ふん、直ぐに当たると思ったが割とすばしっこいな、兎。」
攻撃を重ねたせいか直ぐに砂煙は晴れていき、閃光の正体が露わになる。
その閃光の正体は、白い日傘を片手にもう片手で先ほどの攻撃を放っていたのは、以前会った時と様子が打って変っていたレミリアさんだった。
「流石にあんたと真正面から戦うのは辛いから引かせてもらうウサ。じゃあねー。」
「…ふん、普段ならばこのまま狩らせてもらうが…いいだろう。さっさと退け。」
レミリアさんはその台詞と共に背を向け、俺の隣へと膝を曲げ体制を低くする。
「まったく、鬼と戦っていると聞いて飛んで来てみれば…あなたはなにを倒れているのかしら。」
「きっとレミリアさんみたいな優しくて可愛い人が助けに来ると思ったからほっといたんだよ。」
とりあえず特にけがはない等の報告代わりに軽口を叩いて置く。
それと、少しでも彼女が笑うかと思って言ったのだが予想に反して彼女は少し顔を赤くさせている。
…怒らせたか?
「ふ、ふん。まぁ、わ、私の僕ににゃるものを助けるのは当然にょことよ。」
(…なんでそんなに噛んでいるんだレミリアさん。)
何故かレミリアさんが顔を赤くして必死に言葉を紡ごうとしているが、上手く口がまわらないのか終始カミカミだ。
「レミリアさん?そんなに早口で言おうとせずにとりあえず落ち着け。ほら深呼吸でもしろ。」
「え、えぇ…」
俺の言葉に従いレミリアさん自分の胸に片手を置きスーハーと深呼吸をする。
…呼吸と同期して動く胸に赤みを残した顔が相まって少しだけ可愛いと思ったのは内緒だ。
少しだけ落ち着いたのか顔の赤みが薄くなり、慌てた様子もなくなっていた。
「落ち着いたか?」
「えぇ、おかげさまで少し落ち着いたわ、ありがとう。それであなたは何故倒れていたのかしら。」
「あー…ほら、男ってのは過去を振り返らない物だから「言いなさい。」…わかったよ。」
彼女の真剣な目線に圧倒され、真実を話す…別にびびったからではないからな?本当だからな?
二人を逃がすために萃香に挑んだこと、能力を解放してもなお彼女には届かないこと、そして能力を使った反動で倒れてしまったことを。
事の次第を全て聞いたレミリアさんは呆れたように溜め息を手刀を構える。
「ていっ」
「いてっ!」
そのまま俺の頭にチョップをしてきたので動けない俺は何の抵抗もできずに眉間にくらってしまう。
地味に痛みが響き、顔を抑えてしまうがすぐさま抗議をする。
「なにするんだよレミリアさん!」
「馬鹿、あんたは霊力もつかえないし妖怪でもないんだから萃香のレベルの妖怪が相手だと死ぬ可能性が無いとは言えないのよ!?」
「い、いやほら。萃香さんは本来の実力を知らない俺でも分かるほど手加減してたし、一応俺も能力を解放したからそうそう死ぬことなんて…」
「そ・れ・で・も・よ!」
等と本気で怒ってくるため俺は動けない状態のままずっとその説教を聞くことになったのだ。
…数分後
「む、もう居場所がばれるわね。仕方ない、今はここまでね。どう?もう動けるかしら?」
「あ、あぁ何とか…」
あと数分で全員の位置がマップにばれるという所でやっと説教が終了した。
体はもう動くようになったが説教のおかげで精神的に動きたくないのでこの倒れた姿勢のままもう少し寝ころんでおきたいが、そんなことを言っていても無駄なのは分かっているので立ち上がり、体を動かして調子を確かめる。
「もう体は問題ないな。ところでレミリアさん。これからどう動こうか?」
「そうねぇ…このまま私とあなたでタッグを組んで戦うのもいいけれど一度レオと合流するという選択肢もあるわね…一先ずマップを見てから決めましょうか。」
その言葉と同時にレミリアさんはマップを開く。
まず一番最初に確認するのは西海や鍵山さんのいる武術部を確認する。
「たしかこの辺りだよな、ってこれ!」
「えぇ、敵があまりにも多いわね。けれど…そうね、私達は別行動にしましょう。」
「えっ!何を言っているんだレミリアさん!こんな状況早く助けに行かないと!」
「まぁ、落ち着きなさい。理由はちゃんと話してあげるから。」
俺はレミリアさんの非情な宣言に食ってかかるが彼女にたしなめられ、一先ず話を聞く。
「理由はちゃんとあるわ。まず1つ、正直に言ってここに移っている相手は全員弱い相手ばかりなの。そんなに気にすることは無いわ。2つめ、相手とは打って変わってこっち側は強い者たちが揃っている。たぶんこの様子だと西海は他の班と一時的に組んでいるわね。そして3つめ、この状況で能力をつかえるのは西海だけということよ。」
レミリアさんが三本の指を立てて一つずつ順を追って説明してくれる。
確かに能力なんかを使えるのが西海だけなら圧倒的に有利か…
「…成程な、じゃあ俺たちはどこに行こうか?」
「そうねぇ…私は太陽の光があると全力を出せないからとりあえず建物の中に入りたいわ。」
「そうなのか?」
「えぇ、私は吸血鬼だから。とは言っても太陽に当たって即浄化、なんてことはないけどやっぱり好きではないのよ。全力をだせないし。」
「そうか…それじゃあ第2体育館に行こうか。」
太陽が好きではないレミリアさんの意見と他のことも考え俺はそう提案する。
「べつにかまわないけれど…態々体育館にした理由を聞いてもいいかしら?」
「体育館って言うのは基本的にカーテンなどがついているから日の光を最低限まで抑えれる。それに加えてレミリアさんの速度だと教室や廊下で戦うには狭すぎる。だから体育館ってことなんだが…どうだ?」
俺は理由を説明し、念のためもう一度彼女に確認を取っておく。
すると彼女は満足そうな笑顔でうなずく。
「流石私が認めた男ね。ねぇあなたやっぱり私の僕にならない?」
「僕じゃなくて友達…な。
「いいじゃない僕で。この美しくて高貴な私のしもべになれるのよ?」
そう言って俺の顔を覗き込んでくるレミリアさん。
ふむ、と少し考え俺はレミリアさんをじっと見てから真剣な顔で告げる。
「そうだな…こんな美人が相手だったら僕になるより彼女にしたいかな。」
「か、かか、彼女ォ!?」
瞬間レミリアさんは顔を真っ赤にさせ俺から遠ざかる。
というかやはりこういう恋愛絡みの体性はゼロなんだな。
胸の内に少しの加虐心が湧くが俺はそれを抑えて彼女へと近づく
彼女は少し怯えている?ようだ、だからここは一先ず場の空気を和ませて話を円滑にするかと口を開く。
「ま、冗談はこのくらいにしておいて、早く移動しようか。」
「へ?冗…談?」
「あぁ、そりゃレミリアさんは可愛いけど手を出したら見かけ的にお巡りさんと知り合いになりそうで、ブフォ!?」
刹那、俺が見切ることができない速さで顔を真っ赤にしたままのレミリアさんが自身の体の上を通るような軌道で俺に拳を打ってきた。
それを避けることができなかった俺は腹部にモロにくらってしまい後ろへと吹き飛ばされる。
(これ、萃香さんの拳よりきついんだけど!?)
あとから聞いたことだがこの技はレミリアストレッチという技らしい…ストレッチってなんだっけな。
結局俺はなぜそんな全力の拳で殴られたのか理解できぬまま先ほどと同じように動けなくなり悶絶した。
今回もお読みいただきありがとうございました。
まぁ、こういう系の主人公は基本的にこんな性格ですよねぇ。
それではまた次回!