東方学園譚~回り咲く恋華詩~   作:くるくる雛

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どうも皆さんくるくる雛です。
小説の内容よりもサブタイトルのほうが難しい…
それでは今回もどうぞ!


第四三話 赤い銀→黒い緑

「…お嬢さん、この杖はどうじゃろうか。」

 

意味深な顔をしながら老人は咲夜さんへと杖を差し出す。

それを咲夜さんは慎重に受け取り、自分のまるでサファイアのような瞳の目の前で杖を確認する。

するとその杖を中心に風が巻き起こり、光が反射する。

 

「おぉ…お嬢さんに合う杖がこの杖であったとは…この杖はな、ドラゴンの牙と瞳、それに翼を使って作られている。」

「えっ…えっ?」

「この杖を手に入れたお嬢さんはこの先良いこともあろうが試練も付きまとってくるであろう。じゃが、その試練を乗り越えればまた幸福もあるだろう。わしはお嬢さんがその試練を乗り越えれることを祈っているよ。」

「あ、ありがとうございます。」

「ご視聴頂いた皆さんもありがとうございました。Thank you。」

 

ショーを終える言葉を受けて、周りからの拍手が狭い部屋中に鳴り響く。

俺も周りに合わせて一応拍手をして咲夜さんの近くへと寄り、その部屋を後にする。

ちなみに杖はそのままもらえるそうなので箱ごと袋に入れてもらった。

 

「いや~まさか咲夜さんが当てられるとはな。」

「本当ですよ…ああいうのは子ども達が当てられるものではないんですか?」

「あー…うん、まぁそうだな。」

 

少し隠していることがあり、それの後ろめたさからつい言葉の出が悪くなり、つまってしまう。

もちろんそんな話し方ではすぐさま咲夜さんにばれてしまい追及を受けてしまう。

 

「信貴峰さん、何か隠し事をしていませんか?」

「いやそんなこと。」

「何か隠し事をしていませんか?」

 

咲夜さん、笑顔が怖いぜ。

それに、こういう時の敬語の威圧力って想像を超すものがあるよな。

ん?口調が割と余裕じゃないかって?世の中には現実逃避という言葉があってだね…

とまぁ、脳内で誰に話しかけているのか分からないセリフを羅列してから咲夜さんに本当のことを話す。

 

「分かった、分かった。本当のことを話すからその笑顔をやめてくれ…実は昨日ここのことを調べている時、そのローブを着ているとあてられる確率が高くなるかもしれないという噂を聞いてな。」

「なるほど、それで私が当てられたと。」

「まぁ、眉唾程度のものだったがな。当たっていたら当たっていたで、当たらなかったらそれはそれでだったからな。」

「あれ?でもあなたも同じローブを着てまし、ってあれ、脱いだんですか?でも、ショーが始まる前は着て…」

「あぁ、ショーが始まる前は着ていたな。杖の管理人の部屋に入る前に脱いだが。」

 

もちろん俺が杖の管理人の部屋に入る前にローブを脱いだのは噂話が本当なら俺が管理人にあてられる可能性もあるからだ。

咲夜さんには何でもなさそうにきっぱりと言ってもう一度ローブを羽織る。

 

「…もしかして、自分が当たるかもしれないから脱ぎましたね!」

「あぁ、だって恥ずかしいし。」

「そんなの私だって恥ずかしいんですよ!」

「あーいや、まぁほらローブに魔石に杖が揃ったんだからいいじゃないか。」

「確かに3つが揃ったことは嬉しいですけど…」

「まぁ、その談義はまた後にして…」

 

そう言って確認の為にスマホを開き時計を見る。

ふむ、そろそろか。

 

「うん、そろそろだな。」

「どうしたんですか?」

「いや、もうそろそろ集合時間だろ?」

「あっ、そういえば…」

 

俺に時間のことを指摘され、直ぐにポケットから銀の懐中時計を取りだして時間を確認する。

 

「確かにそろそろ集合時間ですね…やっぱり楽しい時間ほどすぐに過ぎてしまいますね。」

 

そう言って咲夜さんは少し顔をしょんぼりとさせ、懐中時計をポケットへとしまう。

少し寂しそうだけどそれだけ楽しんでもらえた証拠…なんだよな?

俺は疑問混じりながらもおそらくの結論を出し、無意識に咲夜さんの手を握る。

 

「あっ…」

「ほら、もう時間だしいこうぜ。」

 

その俺の言葉に咲夜さんは少し照れくさそうにしながらも確実に頷き返し、共に集合場所の入場門の所へと向かった。

 

 

 

 

 

入場門へと戻った俺と咲夜さんを待って居たのは聖先生と魔理沙さんだった。

 

「お、聖。咲夜と信貴峰がきたぜ。」

「ありがとうございます霧雨さん。え~と、信貴峰さんと十六夜さんと。」

 

そうして白蓮先生は手元のファイルの所に何かを書き込んで俺達に自分の近くにいるようにと伝えてもう一度ファイルへと目を落とす。

それを確認した俺は近づいてきた東風谷さんの気配に気づき、そちらを向く。

しかし近づいてきた早苗さんは俺の手元をみて少し目を丸くさせてしまう。

 

「えーと、ずいぶん仲良くなられたんですね。」

「ん、そうか?まぁ、確かに朝よりは多少良くなってるかもしれんが。」

「えーと、その。それ…」

 

そう言って早苗さんはさっきからチラチラと覗いている俺の手元を指さす。

そこにはがっちりと互いにつかんでいる咲夜さんと俺の手があった。

 

『・・・!』

 

瞬時に早苗さんの言っている理由・意味を把握してしまった俺達はすぐさま手を離し、咲夜さんは手を自分の背中に隠してしまう。

 

「あー…これは特にそう言うことではなくて、なんというかその場のノリでそうなってしまったんだが。」

「そ、そうですよ!これは別に彼女みたいとかそんなのでは!」

 

俺は少し照れただけですんだが、咲夜さんの方は割と精神にクリティカルヒットだったらしく何かものすごく動揺している。

てか早苗さんは別に彼氏彼女とは言ってないぞ。

 

「え~と…私は別に彼女とかはいってないのですが。」

 

ほらやっぱりつっこまれた。

自分で墓穴を掘ってしまったことにより咲夜さんはさらに顔を赤くさせ、自身の透き通った肌も合わさりまるでルビーのようになってしまう。

 

「ま、とにかく何もなかったのは本当だからこれ以上突っ込まないでやってくれ。咲夜さんが可愛そうだ。」

「そうですね、これ以上は流石に可愛そうですし。ところで信貴峰さん、帰りのバスのことなんですが…」

「ん、なんだ?」

 

とりあえず咲夜さんを近くのベンチで座らせてから早苗さんを見ると少しだけ顔を赤らめて続きの言葉を繋ぐ。

 

「えっと、その…バスの座席なんですが隣に座ってもいいです…か?」

「なんだそんなことか、別に構わねえぜ。」

「えっ…いいんですか?」

「あぁ、別にいいぞ。あっ、ただし信仰云々の話は勘弁な。」

「も、もうそんなことはしませんよ!…あんまり。」

「おいこらなんか今最後にボソッと聞こえたぞ。」

「気のせいですよ。気のせいです。えぇ気のせいですとも。」

「…そこまで言うからにはバス中でもし勧誘始めたらアームロックかますからな?」

「すいません謝りますのでそれだけは勘弁してください。」

 

少しだけ見分けがつくようになってきたが…こいつ、今絶対勧誘モードの人格だっただろ。

純粋に清楚、と感じるような時が普段?の早苗さんで少し調子に乗ってる…黒いものが見え隠れする時が布教モードだな。

正味、俺が見た東風谷さんは布教モード時の性格のほうが多いから普段は布教モードだと思うが…まぁその辺は日ごろの行いか。

ぶっちゃけ布教してきてもそこまで気にしないがな、いろんな本を読んでいる影響からか宗教ごとの違いとかも少しわかってきたしそれに気づくと案外楽しかったりもする。

でも布教関連の話は相手のテンションが高かったりして疲れるのも事実だからな、異形共相手にショットガンぶっ放したりヒーローショーやったり…あれ?これ遊園地ですることかな?

まぁ、でもさっきの反応からして咲夜さんも楽しんでくれてたんだろうし…ま、いっか。

はぁ…それにしても眠い。

昨日はここのことを調べてて寝たのは2時だったし、朝に鍛錬で無理やり頭動かしたが流石に異形のアトラクションとか喧嘩したら疲労で眠くもなるか…。

帰りのバス大丈夫かな。




今回もお読みいただきありがとうございました!
やっと遊園地編が終わりました…え?校外学習編じゃないのかって?
帰りのバスがありますからまだもうちょっとだけ続くんじゃ。
それじゃあ皆さんまた次回!
(感想・批評おまちしております)
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