今回は本当に珍しくなにもないほのぼのとした話です。
それじゃあまた次回!
翌日、俺は窓越しに聞こえるチュンチュンという雀の鳴き声で目を覚ました。
寝床にしているソファから体を起してグッと背伸びをひとつすると体のいたるところからパキッという音が響いた。
今になって思うがやはりベットとソファとは雲泥の差があるな。
そんなくだらないことを考えつつ裏庭へと出ると深呼吸をしながら独り言をこぼす。
「今日はどうしようか…フランの事を考えると家にいるよりどこかに出かけたほうがいいんだろうだけど。かといって行く所の当てなんかねえしな。」
そう思案しつつ俺はまた直っている岩に向かって拳を構える。
霊力は…今は纏わない。
もちろん霊力をあやつる特訓もするつもりだが拳や拳法の練習の時にまで使うと自分の実力を勘違いしてしまいそうだからだ。
「まずは、今までの復習からだな。」
俺はその後も特訓をしているとカラカラと窓が開く音がしたのでそちらを向くと少し寝ぼけた顔でこちらを覗いているフランの顔が見えた。
「おはよ…」
「お、やっと起きたか、おはよう。その様子だとよく眠れてるみたいだな。」
「…?どういうこと?」
やはり寝ぼけている状態では気付いていないのだろうが現在フランの頭は寝ぐせのせいで髪がいつもよりボサボサになっておりさらに寝ぐせのひとつだけがぴょこんという音でも付きそうなくらい上にむいている。
あれがいわゆるアホ毛というやつなのだろうか。
「鏡で頭をみてきたらわかるよ。後その後にブラシもってきな。」
するとフランは頭の中に?を大量に浮かべた様な顔で洗面所へ向かった。
じゃあ今日の朝特訓はこれまでっと。
そう決めた俺は縁側に置いたタオルで汗を拭きながら家に入るとすぐさまブラシを持ったフランがトタトタと走ってきて俺にブラシを渡しながら言葉を発する。
「信貴峰寝ぐせなおして!」
「はいはい、わかってるから。ほら、そこの椅子に座ってくれ。」
そういいつつフランからブラシを受け取るとフランの髪にひっかかってしまわないように出来るだけ丁寧に髪を梳かしていく。
女性の髪を梳かした経験なんて今までに一度もなかったのであまり自信がなかったが横髪を梳いている時にフランの顔を覗くと猫ののように眼を細めて気持ち良さそうにしていた。
どうやら悪くはないみたいなので少し安心した。
「ほら、フラン終わったぞ。」
「ん…ありがと信貴峰!」
「どういたしまして、それじゃあぱっぱっと朝飯の準備でもしますかね。サンドウィッチでいいか?」
「あ、うん。それでいーよ。」
「ん、それじゃテーブルで少し待っててくれ。すぐに用意する。」
「ほい、おまたせ。」
そう言ってサンドウィッチを盛った皿を机の上に置くと三角巾の代わりにつけていたバンダナを片手で取り外す。
今回作ったのはツナサンドとタマゴサンド、それとハムサンドの三種類に野菜分のために小さめのサラダを用意した。
「ありがとう!いただきまーす!」
言うが早いかフランはすぐさまサンドウィッチを口に運び口内で味わうと幸せそうな顔になった。
その子どものようなフランを見て少しだけ笑みがこぼれながらも俺もサンドウィッチに手を伸ばす。
うん、いい感じのマヨネーズの量だ。
「そういやフランはどこか行きたいところとかある?」
「ううん、私は特にないよ。」
「そうか…じゃあ昼から行きたいところがあるんだけどついてくるか?」
「いいけど何処に行くの?」
「ちょっと包丁とか調理器具を見たくてな。今、家にあるのが出刃包丁とか基本の物だけだからもう少し器具を増やしときたい。」
「わかったけど朝はどうするの?」
「朝の間は布団とか干したり…まぁ洗濯とかだな。」
平日の間は洗濯ものがしにくいし土日でやっておきたいところ。
…なんか考え方が主夫みたいになってきてるような気がするのは気のせいだろうか。
「ま、暇だったら本読むなりゲームするなりしてるといいさ。」
「ん、わかった。」
「ふ~…これでようやく干し終わったな。」
「あ、お疲れ様。これでも飲む?」
そういいながらフランは手に持った麦茶を俺に手渡してくる。
俺はありがとうといいつつそれを受け取って口に含んだ。
少し暑かったので氷の入った麦茶の冷たさがとてもうれしい。
「うん、助かった。ありがとよフラン。」
「どういたしまして!」
そう元気よく話すフランに少し笑い、ベランダから空を眺めると白い雲が少しだけ浮かんだ青空が広がっていた。
「ふぅ、今日はいい天気だな。」
「う~…わたしはくもりのほうがいい…」
「あぁ、そうか。吸血鬼なら太陽がないほうがいいんだよな。」
「うん、耐えれない訳じゃないけど嫌い。」
苦い顔をしながらフランはそう言った。
そういえば吸血鬼なんだよな…
「…フランは吸血鬼なのに夜行性じゃないのか?」
「うん、そうだよ。でもそれだと皆とお話できないからお昼に起きてるの…と言っても元から睡眠をとる必要もないんだけどね。」
「へ?じゃあ何の為に夜寝てるんだ?」
「ん~、趣味というか…嗜好品みたいな感じかな。お布団にもぐると気持ちいいし夢でも皆と会えるから。」
…少し寂しがりやなのか?
って、あ。
「そうだ、アイツのこと忘れてた。」
言うが早いか、俺はすぐさまスマホを取りだしてメールの確認をするとそこそこの数のメールがたまっていた。
「アイツって?」
「ん…こっちに来る前にとある狩りをするゲームで仲良くなった人から相談事を受けてなそれから文通相手みたいな感じになったやつがいるんだよ。本人曰く俳優とアイドルをやってるらしいがな。」
「へぇ~、じゃあ信貴峰には俳優の知り合いがいるってことになるのかな。」
「いやいや、所詮ネットでの出来事だからな。嘘の可能性は高いしそもそも女性かどうかも怪しいよ。」
そういいきるとメールを送信してスマホを直して庭先から家の中へと入る。
俳優兼アイドルか…有名どころで言えばメリーポッターで役をした…え~……なんかチンギス・ハーンみたいな名前の人と宇佐美蓮子…だったか?
まぁ、あの人が本当に俳優とかだったとしてもそんな大物でもないだろうけどな。
「そう言えばフランはこの辺りのことは分かるのか?」
「?まあ、一応はこっちに来たばかりの信貴峰よりは詳しいと思うけど…」
「そうか、なら商店街を色々案内してくれよ。ここの商店街の道が京都みたいに碁版みたいになっててちょっとどこになにがあるのか分かりづらくてな。」
「そういうことならいいよ!どうせなら咲夜が使ってる包丁とかのお店も教えてあげる!」
「それは期待できそうな店だな。」
…ものすごく値が張りそうだが大丈夫か?
いやまぁ、金は普通の学生とはくらべものじゃないほどあるけど包丁の相場っていくらくらいなんだろうか。
それに咲夜さん御用達ってことは割とよさげなものを買っていそうだしな…またバイト探したほうがいいか?
ま、なんにしても悩むのは包丁を見てからで良いか。
「それじゃあ道案内は頼むよ。まぁ、昼飯食べてからだが。」
「ん、わかった!」
今回もお読みいただきありがとうございました。
最近めっきり寒くなって秋の風という感じになってきましたね。
こうなると焼き芋が恋しく…まぁ、小説とは何の関係もないんですが。
それではまた次回!