東方学園譚~回り咲く恋華詩~   作:くるくる雛

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どうも皆さんくるくる雛です。
やっと今回でバトルは終了。シリアスの苦手なくるくるもなんとか一安心です。
それでは今回もどうぞ!


第七五話 何時何時出やる

「おい、何を余計なことをしようとしてやがる。」

「!?」

 

私が縄を焼き付くそうとほぼ空っぽの霊力をかき集めようとした瞬間、目の前にナイフをこちらに構えた天夜が姿を現した。

私は一瞬体を硬直させてしまうが瞬時にこいつが能力で移動したことを悟り、すぐさま残されていた片足を天夜に向けて振り払う。

しかしこいつは私の蹴りを易々と受け止めると私に向けてナイフを振りかざした。

刺される‼そう確信したと同時に右側から信貴峰が飛び出し、天夜の顔をその固く握りしめた拳で殴り、天夜の体を吹き飛ばした。

 

「気がついたか妹紅、直ぐにそこから解放してやるからちょっと待ってろ。」

 

信貴峰は私に勇ましく話しかけた…自分の霊力もつきかけているだろうと言うのに。

 

 

 

 

 

said~信貴峰~

天夜を殴り飛ばして勇ましいセリフを妹紅に吐いたものの現在俺は焦りの境地に達していた。

それはこいつが狂った事に起因する。

今は少し落ち着いたみたいで多少はましだろうが基本狂った奴には打撃はあまり有効ではない。

痛みを無視、あるいは感じていないから。

となると必然こちらは威力を上げて無理やり体にダメージを与えるしかない。

そう考えて霊力を少し荒めに使ってしまった。

元々俺の霊力は最近使い方が分かったばかりで、鍛えてもないから総量が少ない。

そんな状態で荒く使ってしまえば当然…

 

「どうした…?お前の力が目に見えて下がっているぞ?」

 

こうなってしまう。

俺の場合霊力を使わなくても戦うことはできる。だがそれはあくまで「使わなくても」であって使った方が強いし、霊力が無くなるということは体力が切れると同義でもある。

だから俺はこの残り少ない霊力をうまく活用して戦わなければならないのだが焦りによりうまい使い方が思い付かない。

等と疲弊しながら俺がもはや勘任せで避けていると再び妹紅の方から僅かながら霊力の燻りを感じた。

そしてそれは天夜も同じらしく、一つ舌打ちすると俺と拳を打ち合いながらも部下に指示を飛ばした。

 

「いい加減にしろよ妹紅…!お前ら!そいつにナイフを突き立てろ!!」

 

その指示がでた瞬間天夜の部下が懐からナイフをとり出し、一人は胸を突き刺しに、もう一人は腕を吹き飛ばすために斜めに切り裂こうと振りかざした。

しかしその瞬間俺は残った霊力を拳に注ぎ込んで天夜を吹き飛ばすと同時に妹紅の元へと駆け抜け、ナイフと妹紅の間にその身をさらした。

 

「あっ…!ぐぅ…‼」

 

妹紅の胸を守る様に手を伸ばした俺は手を貫かれ、妹紅の腕を切り飛ばそうとしたナイフは俺の胴を斜めに引き裂いた。

今まで受けたことのない激痛に声も出なくなってしまうが残されたもう片方の腕で二人を殴り飛ばした。

しかし、そこで俺の体力は限界を迎えて地に倒れ伏した。

かろうじで意識は残っているがもうだめだ。

体力は残ってないし片方の拳は握れない上に胴からはとめどなく血液が流れている。

クソッ…天夜の嘲笑う声が聞こえる。

その声に悔しさを覚えるが今の俺には悔しさよりも妹紅へ謝りたい気持ちの方が大きかった。

息巻いて来たくせにこんな結果になってすまない、と。

視界の端に俺に止めをさそうとナイフを構える天夜を見ながら俺は瞳をとじた。

 

 

 

 

 

桃の香りがした、それと同時に少し血液の臭いのような何かも。

なんだろう、俺は血の池地獄と天国の両方にでもいるのだろうか?

 

「全くいつまで寝ているの?貴方が私の友達っていうのならその程度で倒れないでほしいんだけど?」

「そうね、この私が僕に誘ったのだから簡単に倒れられては私の評判がおちるのだけれど?」

 

俺の耳に聞いたことのある二人の声が聞こえ、ぼやける瞳を開くとそこにはナイフを手のひらで受け止める天子さんと、俺を上から見下すレミリアの姿があった。

俺は混乱しながらも周りを見渡し、情報を集めた。

…景色のは変わってないのでどうやら死んだわけではなさそうだ。

 

「二人共、何故ここに…?」

 

俺は痛む胸を無視して声を出すとその質問に天子さんが答えた。

 

「あの覚妖怪から教えてもらったの、貴方がとんでもない無茶をしようとしてるって。」

 

サトリさんから?…なるほど能力か。

俺が一人納得するとレミリアが俺に対して口を開けなさいと命令口調での指示を出してきた。

今の俺には逆らうような気力はないのでおとなしく口を開けた。

するとレミリアは自信の腕に爪を突き刺すとその爪に付着した血液を俺の口へと垂らした。

…確か吸血鬼に血液を流されたらそいつも吸血鬼になるんじゃなかったっけ?

 

「安心しろ、量が少ないから吸血鬼にはならん。あくまで短時間回復力を強めるだけの延命措置だ。」

 

俺の心を読んだようにレミリアはそう話し、立ち上がると爪を振るって妹紅を捕らえていた縄を切り裂いた。

すると少しだけ浮いた体勢だった妹紅はやはり片足では立ちにくいのか地面についてすぐによろめいていた。

 

「ほら、あんたの足よ。すぐそこに落ちていたわ。」

 

そういうとナイフを押さえたままの天子さんが片手で妹紅の足を投げて寄越し、それを妹紅は自分の足へとくっつけていた。

…それでなおるのは少しずるくないか?

なんて考えていると天子さんのほうからなにやらバキリというなにかが壊れる音が鳴り響いた。

俺は何が起こったのか把握するために視線を天子さんに向けるとそこには天夜のナイフを片手で握りつぶしている天子さんの姿があった。

 

「さて、それじゃあ空華の傷も早く手当てしないといけないし早く終わらせましょうかレミリア。」

「そうね、それに私の物に手を出したらどうなるかわかっていないこいつらに教えてあげないとね。」

 

そういうと二人は天夜へと突っ込み、攻撃を開始した。

まず天子さんが剣で霊力を纏った天夜の拳を弾くと横からレミリアさんが割って入り、フックから始まる連撃で天夜の意識を一気に奪い去った。

…二人共メダル争奪戦の時は相当手加減してたんだな。

俺がそんなことを感じていると天夜…リーダーを失った他のやつらは復讐心に燃えるでもなくそれぞれ別の方向へと逃げ始めた、どうやら天夜の力だけを望んで集まった連中のようだ。

けれどそいつらの先頭の二人が出口へと到着するとまるで向こう側から押されたかのように吹き飛ばされ、頭から地面に落下した。

 

「やるだけやって逃走とは…まったく許しがたいな白蓮?」

「ええ、それに私の大切な教え子を相当に傷つけてくれたようですし…一度牢にて頭を冷やしていただきましょう。」

 

そこには慧音先生と聖先生、それに多数の警官隊が待ち構えていた。

…あの吹き飛ばされた二人のうちの一人は頭突きで飛ばされたのか、御愁傷。

そんなことを考えながら警官達に次々と捕まえられていくチンピラどもを眺めていると安心したのかまた意識が遠くなり、俺はゆっくりと瞳を閉じて意識をゆっくりと手放していく。

なにはともあれこれで妹紅は助かるんだな、良かった…

 




今回もお読みいただきありがとうございました!
うん、最終天夜はただのかませ犬となっておりましたが…まぁ、本気のこの二人相手に勝てるわけないですよね。
もともと信貴峰と同じくらいの強さ設定でしたし。
それではまた次回!
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