最強ヒロインの俺がクラスの美少女に正体バレたら、なぜか付き合うことになった件 作:潮井イタチ
警報が鳴り響く街の中。
一人の男子高校生が、避難する人々と反対の方向に駆けていく。
魔獣対処組織「ビフレスト」。
そこに所属する最優の
「ヒイロさん!」
「待ってたよ、
「わたしたちはいつでもいけます!」
「レア! エスアル!
目の前には魔獣の群れ。
ただの人間など一撃で殺せる相手を前に、少年少女は臆することなく立ち向かう。
「変身!!」
万色の光とともに、少女たちの姿が変わる。
幼げな少女の黒髪は青く染まり、セーラー服が魔女の衣装に。
赤毛の少女のツインテールは原色の赤に染まり、パーカーは炎の羽衣に。
金髪の少女の長髪はより眩い黄金に変わり、ブレザー制服は装甲付きのドレスへと変化した。
服装に加えて顔立ちも幾分か変わり、元の美貌をより綺羅綺羅しくさせた美少女たちが、魔獣に向けて攻撃を開始する。
魔女の杖から放たれる水の礫。炎のナイフから生まれる赤熱の刃。姫騎士の剣から薙ぎ払われる閃光の奔流。それらが、魔獣たちを鎧袖一触に蹴散らしていく。
『未登録の高エネルギー反応出現! 大型魔獣です、警戒を!』
通信機越しに叫ばれるオペレーターの言葉。
アスファルトの地面を割って、巨大な狼のような魔獣が現れる。
「コマンド、レアはブレイク、エスアルはブースト、杏子はキャスト! 杏子は全体支援、エスアルはレアに強化を!」
「わかりました、お兄さん!」
「りょーかい、エスアルにお任せ!」
幼げな印象の青髪の
続いて快活な赤髪の
「はぁあああっ!!」
そして、通常の
凛々しい金髪の少女の一撃が、魔獣の体を深く斬り裂いた。
「くっ……!
だが、魔獣は倒れない。恐るべき生命力。あと数百回同じ攻撃を当てて、ようやく倒せるかどうか。
「どうします、ヒイロさん!?」
「一チームだけじゃ倒せない相手だ、援軍が来るまで持ちこたえる!」
そうだ、持ちこたえる。持ちこたえられるはずだ。
このまま……ヒイロが一度もミスをすることなく、極めて思考負荷の高い命懸けの長時間戦闘の指揮を、
「っ……」
プレッシャーがのしかかる。
だが、泣き言を言うわけにはいかない。ここで下がってしまえば、大きなものではないにしろ、被害が出ることは間違いない。
諦めない。諦めるわけにはいかない――少なくとも、あいつなら、絶対に諦めはしない。
誰もが嫌い、関わろうとしなかったヒイロに対し、諦めずに何度も何度も挑み続け……いつの間にか、ヒイロが何をしても動じない「何か」を手に入れていた、
そんな時だった。
空の彼方が白く輝き、凄まじい速度でその光が向かってくる。
『援軍要請、受諾されました! そして、これは……!』
光は、少女の形をしていた。
細身の体躯に、真っ白な肌。ダイヤモンドみたいな煌めきを宿す銀の長髪。眠たげに細められた目から覗く、神秘的な紅の輝き。
可憐さと美しさが同居した美貌を持つ少女が纏うのは、体に一枚巻き付けただけの白い布という、簡素過ぎる衣装。
他の
『「☆6」ランク
少女――リーレアの、靴も無い裸足が白い光を放った。
直後、稲光のような蹴りが突き刺さり、体格差を無視して大型魔獣を蹴り飛ばす。
吹き飛ばされた魔獣の上げる絶叫。
それを意に介すこともなく、白い少女は敵に向けて手をかざした。
細く小さい手から放たれる巨大なエネルギー弾。
他の戦乙女ならば、必殺技にも匹敵するだろう威力のそれを、リーレアはまるで軽いジャブみたいに連打する。
魔獣が放つ反撃。それは傷つけられた怒りからではなく、やめてくれという懇願からの一撃だ。
だがその反撃より早く、リーレアの両掌の間に圧縮された超密度エネルギー球が生まれ……ビーム砲として、放たれた。
世界が白く眩む。
派手な技名も、かけ声も何もない。
視力が戻った時には、まるでその存在が嘘だったかのように、大型魔獣の姿は跡形もなく消え去っていた。
「これが……」
「ゆ、唯一の☆6ランク、ビフレスト最強の
リーレアは慄くヒイロたちをチラ、と一瞥し、そのまま残った魔獣に向かっていく。
あれだけの威力の攻撃をしながら、一切消耗した様子もない。
他の
契約を行っていない
「あの子は一体、何者なんだ……?」
表情も無く淡々と魔獣を殲滅していく姿からは、彼女の内心を伺うことはできそうにもなかった。
※
ヒャッハー! 汚物は消毒だー!!
「ギャアアアア!!」
「グワオァッ!?」
「ゴギュアアアアア」
やっべ快感。最高。気持ち良過ぎ。
知らなかった……! 人目を気にせず思う存分スーパーパワーをブッパできるのがこんなに楽しいだなんて……! ずっと隠れてコソコソ精神統一とか地味なことしてばっかだったから……!
フハハハハ! 鍛えた力で思うまま弱者を蹂躙するこの愉悦! やはり己の力に酔うことこそ、この世で最高の美酒よォ!
気分はまさに無双ゲー。拳の一振りで群れを薙ぎ、蹴りの一発で巨体を吹っ飛ばす。
ざっくり散らしてお掃除が面倒くさくなったらしつこい汚れに雑ビーム。オラオラオラオラ逃げろ逃げろ!! 逃げられんぞ追尾式だァ!
そんな感じでサクッと殲滅完了。たーのしー!
いや我ながら相当鬱憤溜まってたんだなって感じ。
恐竜がネズミになりすまして生活してたらそりゃ窮屈になって当然なのだ。誰も頼んでないのに勝手に恐竜になっといて言うのもなんだが。
でも幼馴染が超人だから釣り合いとろうと思ったらこうなるのは仕方ない。ヒイロが悪いんだよ(責任転嫁)。
そんなこんなで地面に降り立ち、魔獣殲滅の報を聞いて戻ってきた市民の皆さんにファンサ。
ファンサと言いつつ無言無表情だけど許して。「内心が伺えない謎めいて神秘的な銀髪赤眼ジト目綺麗可愛い系美少女」って指定で変身してみたら、意識しないと表情全然変わんなくなっちゃったんだよな。
あの魔人の指輪はかなり高性能なようで、曖昧な要望にも対応して自由に変身させてくれる。この「リーレア・レジエンダ」の姿も上記の通りに念じていくらかの調整を施した結果、かなりいい感じの姿にできた。
なおこの姿は俺の趣味ではなく純然たる人気狙いである。戦乙女たちは変身すると髪色が変化してド派手になるが、銀髪はなかなかいないのだ。っぱ世の中希少性っすよ。
そして謎めいた神秘的な雰囲気を漂わせることで注目度もアップ。大衆受けを狙った戦略がバッチリハマると気持ちがいいね。
最初は人気狙いじゃなくて俺好みの金髪スレンダークール系美少女にしようとかも思ったが、俺が俺の好みになっても仕方がない。俺が絶対に付き合えない最高に俺好みの美少女とか何の価値があるんだよ。
ちなみに指輪で変身できる容姿は三つまで設定でき、設定して以降は変更不能。
現在は、一個が最初に拾った時の「俺が女だった場合の容姿」、もう一個がこの「戦乙女リーレア」、そして最後の一個が未設定の空きスロットとなっている。
別に他に変身する予定もないのでいいっちゃいいのだが、最初に無駄にスロットを消費してしまったのはちょっと損した気分だ。
俺が女子だった場合の容姿に変身できるからなんだってんだ。改めて鏡で見返してみたらすげーちんちくりんだったし。
閑話休題。そういうわけで表情は変えられないのでポーズで示す。
いえーいぴーすぴーす。街に被害は一ミリも無いぞ、褒めれ褒めれ。
いや「可愛い」とかはいい。別に言われて悪い気もしないけども。「すごい」「ありがとう」「素敵」「かっこいい」「強い」「最強」。そうだ、それでいい。特にかっこいい最強っていっぱい言って。
ん〜楽しい……! 好き放題暴れ倒すだけでこんなに褒めそやされる日が来るなんて……! あのヒイロが見向きもされないとか想像もしていなかった……!
と、そこでやってきた隊員からビフレスト本部に来るように言われる。
「次からは通信機を持ち歩くようにしてくれませんか?」
やだよ。あれGPSついてるじゃん。持ってたら正体バレるって。
それにしてもなんだろう、昇給かな? 臨時ボーナスかな? 勲章かな? 長官さんのお褒めの言葉でも別に良いよ。みんなの前でチヤホヤしてね。
「――ビフレスト最強の
チクショウまたこれか!!!
魔獣対処組織「ビフレスト」本部。
一、二世代ほど科学レベルが違いそうな近未来的な建物内、組織を統括する長官室で、俺はヒイロとともに人事を言い渡されていた。
「無論、
絆とか関係無しに契約できないっすよ(笑)。だって俺
そもそも変身デバイスとかも普通に無反応なんだけど。変身だって全身から超能力で光を放ちながら早着替えしてるだけなんだぞ。
なんで誰も気づかないんだ。俺が魔人だったら終わってるぞビフレスト。いや魔人だったら身体検査で分かるのか……その割にはこの怪しげな指輪が全然見咎められてないけども……シールでデコったからかな……。
その後に組織長から色々と言い渡されたが、端的に言うと「ヒイロと仲良くなって『契約』できるようにしろ」とのことだった。
やだよ。ていうかもう仲は良いよ。何年幼なじみやってると思ってんだよ。
そんな感じで、あの指輪を拾ってから、数週間。
冗談半分で試験を受けてみたらあっさり受かっちゃった俺は、そのままトントン拍子でビフレスト最強の
すぐバレると思ってたのにマジで全然バレねえ。
最初は早くバレろ〜とか思ってたのに、今じゃ人気上がり過ぎててバレたら逆にヤバくなってる。絶対反転アンチ出る。こわい。
「じゃ、じゃあ長官に言われた通り、僕たちの支部に案内するから」
「……うん」
「レアはどうする?」
「…………。ええ、私もご一緒します」
俺が来るまで最強戦乙女だった金髪巨乳お姉さんの
そういうわけで、現在地はビフレスト本部から、ヒイロチームが拠点としているビフレスト
ここに連れてこられた俺は、ヒイロと、
「…………」
……気まずいんですけど! でも悪いけどこっちから歩み寄る気はないからな!
ていうかもう帰らせてくれ。戦闘中ならともかく、そうでない時もずっと女の子の体でこの格好してると恥ずかしくなってくる。この布の下全裸だよ俺。危ないところはエネルギー光で隠してるけど。
「というわけで、しばらく僕たちと一緒に任務に当たって欲しいんだけど……」
「……いや、です」
呟くように言う俺の言葉に、赤毛のギャル系
「ちょっとそれだけー? もう少しなんか言ってくれないとエスアル達も困るんだけど?」
「……ごめん」
「ごめんじゃなくて……。はぁ、話は聞いてたけど本当に無口なんだ、リーレアちゃん」
「えーと。何か話しにくい理由があるなら僕たちも手助けしたいんだけど」
なぜ話しにくいか、だと?
フン……カワボの女声で喋るのが死ぬほど恥ずかしいからだが?
いやマジでなんかリーレアの状態で喋ると勝手にアニメ声になるのめちゃくちゃ恥ずいんだけど。どうやったら普通に喋れるんだこれ。女の人ってどんな感じで低い声出してんの?
その後、ハーレムメンバーの一人である女子中学生の
んで、話をまとめると、どうも魔獣がドンドン強くなってヤバいらしい。
俺からするとなんか変わった? ってぐらいの変化なのだが、
……困ったぞお。何が困ったって「面倒くさそうなことになったらやめればいいか」と思ってた逃げ道が潰されたのがヤバい。
人命がかかってたら逃げれねえじゃん。ビフレストができたばかりの頃は魔獣なんて戦乙女のサンドバッグだったのに。
魔獣が強くなったことで最強である俺の仕事も増えるわけだが、俺一人に任せ過ぎて万が一があったらヤバいので、バックアップとしてヒイロチームも一緒に行動するとのことだそうだ。ついでにヒイロとも契約しろと。できないけど。
連絡先やら教えてほしいと言われたが、俺のスマホの携帯番号を教えるわけにもいかないので、今はスマホ無いので今度あった時に伝えると濁しておいた。事実として俺、この着てる白い布以外になんも持ってないし。靴も履いてない。
今日のところはお開きとなって別れる間際、
「ティテア、ですか?」
「……はい?」
「……いえ、失礼しました。なんでもありません」
……なんのこっちゃ。まあいいか。
「ねえねえ、この後エスアル達とどこ行こっか、
「あのっお兄さん、私、勉強を教えてほしくて……!」
「ふふ……
てかそれより話終わった途端にヒイロハーレムがうるせえ。イチャついてんじゃねえよ。羨ましいだろうが。……羨ましいだろうが!!
このまま一緒に行動してたら
俺はさっさと飛行して自宅の方に飛んで帰った。
家に着く前、射程距離一キロ内に入ったところで瞬間移動で帰還。これで俺がどこにお住まいかは誰にも分からないって寸法よ……。
……と、自室に跳ぼうとしたところで超能力レーダーに感あり。
魔獣じゃないっぽいな。魔人か?
弱めの魔人は割とそこそこ数いるらしいんだよな。弱めと言っても普通の魔獣よりは強いらしいが。
俺は反応があった地点の近くへワープする。
「クク……! お前があの厄介な
「うるさいんですよさっさと死んでください」
「プギュアッ」
なんかどっかで聞いたような会話聞こえてきたな……。
だが俺と違ってトドメは刺せていないようだ。俺は声のした方に向かっていく。
「やはり人間化している間は、普通の人間と急所と弱点が同じなようですね。これなら、私でも――!」
「おのれ小娘ェ! こうなったら真の姿を解ほモルゲァ」
そして俺は、痛みに暴れようとする魔人を一撃で消し飛ばした。
ついでにくるくると宙を舞って飛んできた指輪をキャッチ。予備確保できたぜ。ラッキー。
「あ……」
カラン、と、襲われていた少女の持っていたナイフが落ちる。
自然とまずそのナイフに視線が行き、足元から順に少女を見上げる形になる。
やたらゴツい安全靴。黒のタイツ。ウチの高校のブレザー制服。ネクタイの色からして同学年。
で、その顔立ちと髪色は、さっき会った人にそっくりだった。
「……
「っ、」
いや、違う。先輩のあのデカパイが無い。そこで区別するのはどうなんだと思うが見た目的にそこが一番の差異なんだから仕方ない。
そもそも一つ上の学年である先輩に対して、こっちは同学年だ。妹か?
顔立ちも、穏やかな清楚お姉さんである先輩に対して彼女の方は、なんだろう、ツンとしたクールビューティーって感じだ。
正直めちゃくちゃ好みのタイプである。
……チクショウ、なぜ俺はリーレアの姿のまま出てきてしまったんだ!
男のままさっきのやって「クラスのみんなにはナイショだよ」したかった。そんでもって二人だけの秘密がどうので隠し事の共有があーだこーだで近づく互いの距離がなんやかんやしたかった……!
まあいい。同学年ってことはこの子もヒイロが好きなんだろどうせ。昔っからそうだ。同じ学校の可愛い女子はだいたいあいつに惚れてる。基本的に期待するだけ無駄なのだ。
「えっ、と……大丈夫、だった?」
というか、それより何より彼女、
まあ何にせよ、無事で良かっ――
「なんっ……なんで邪魔するんですか! 私が倒そうとしてたのに!!」
「へ?」
予想外の言葉が返ってきて、俺は動揺する。
え? 本当に、あのまま最後までぶちのめすつもりだったの? 弱めの魔人って言ってもクマより遥かに強いのに。ガッツがあるってレベルじゃねえぞ。
「ご、ごめん……。でも、なんで……」
「それは! 私が倒せば、私が、あなたに――!」
と、そこまで言って突然落ち着いたかのように、彼女はスンと黙り込んだ。
「……いえ、すみません。急なことで、興奮してしまって。助けてもらったのに申し訳ありませんでした。☆6戦乙女のリーレア・レジエンダさん、ですよね」
「は、はい」
言って、少女は手を出してくる。……あ、握手ですか。切り替えの早さが怖い。
俺は袖も何も無い布の中から腕を差し出す。
握手の後、彼女は一瞬困ったような顔をしてから、両手を広げ――俺を抱き締めた。
……はい?
「なっ、ななっ、ななな何を」
「ハグです。アメリカじゃこれぐらい普通です」
あれ俺いつの間にアメリカに来たんだっけ?
いやここは日本だ。急に何してんだこの子は。
言葉通り本当に挨拶みたいなものだったらしく、一瞬だけ背中をさすって、すぐに離れた。
そしてそのまま、スマホを取り出してこっちを振り返ることもなく去っていく。
な、なんだったんだ。てかヤベ、顔熱いわ。我ながら女子と縁が無さ過ぎて動揺がすごい。
俺はおろおろと無意味に周囲を見渡した後、家に瞬間移動した。
で、えーと……何しようとしてたんだっけ。
あ、そうか。これからしばらく仕事増えるんだったな。
仕事との兼ね合いを見るべく予定を確認したところ、もうじき始業式だった。
……ヤバい、高校三年間の一年目が最強美少女ごっこで終わったぞ。そしてこのままいけば二年目も三年目もそれで終わるぞ。いや、それよりヒイロに力量が追い抜かされる方が先だろうか。
本当にどういう落とし所にすればこれやめれるんだろうか。
考えてみるがやはり思いつかない。俺は即断力と根気はあるが、それ故に計画立案能力が皆無なのだ。あったらこんな状況にはなっていない。
好き放題に力をブッパするのは楽しい。
が、それで満足できないのも事実だ。
てか人助けに全力出せるだけで満足しろってのも理不尽じゃない? もっと見返りあってもよくない? おじさん達はチヤホヤしてくれるけど正直ちょっと……じゃない? 端的に言って女子にモテたくない?
うむ、モテたい。モテなくてもいいから美少女とイチャイチャしたい。五年間命削る勢いで鍛えてきたんだからそれぐらい報われてもいいと思う。
俺は今日のヒイロハーレムの光景と、ついさっき会った美少女の姿を思い返し、深いため息をつく。
「はぁ〜〜〜〜、っ」
出てきた吐息が女の子のソレだったことで、まだ変身を解いていなかったことを思い出す。
まあ、両親は出張中で家は俺一人なので、別にこの姿でいても見咎められたりはしないのだが。
「…………」
鏡を覗く。
……うーむ。自画自賛だが、可愛い。
俺の好みとはちょっと外れる万人受け重視の愛らしい顔。綺麗で神秘的な銀髪赤眼。白く細く華奢で人形みたいな体躯。反してデカめの乳。
元々美少女が多く、変身すると顔立ちや髪色が変わって更に美少女になる美少女揃いの
製作者本人である俺からすると、それこそよくできたCG作品みたいであんまり三次元の女の子として見れない。
変身してても一人称視点のゲームやってるみたいな感じで、正直現実感が無い。
が、可愛いと感じるのは事実だ。声も可愛い。
「……星一くん、大好き……」
つぶやいてみる。つぶやいてみるが、照れて棒読みになった。自分で言ったのに嫌々言わされてる感すごい。うーんちょっと気分最悪かも。
「はー、アホくさ」
変身を解除して、服を着る。
そのまま、窓際にあるベッドにごろりと転がった。
「普通に男の状態で美少女とイチャイチャしてぇ……」
「性自認は普通に男性なんですね」
「当たり前だろ。人目を気にせず力を使いたいからやってるだけで、好きでこんなことやってるわけ、じゃ……」
体を起こし、振り返る。
窓が開いていた。鍵のかかっていなかった、二階の窓が。
「どうも、リーレアさん。それとも
そして……その窓枠に、腰かけていた。
ついさっき会ったばかりの、金髪の美少女が。
「……ど……どうやって」
「普通に発信機でですけど」
彼女がスマホで何か操作してから、指をさす。
示す先には、変身中に使っている布に取り付けられた、チカチカとLEDライトを点滅させる豆粒みたいな機械があった。
「もちろん、変身するところはバッチリ録画済みです。……公開されたくないですよね? 私の言うこと、聞いてくれますか?」
咄嗟に手からビームを放ちそうになり、やめた。
俺の超能力センサーが言っている。こいつは人間だ。魔人じゃない。殺すわけにはいかない。
「……別にバラしたかったらバラせばいいさ。それが脅迫材料になると思ってるなら大間違いだ」
「ふぅん。みんなに変態女装野郎って思われると思うんですけど」
「覚悟の上さ」
「ふぅん? 魔人と勘違いされるかもしれませんよ?」
「それも覚悟の上さ。事実として魔人じゃないんだ、身体検査したって何も出ない」
「ふぅーん。さっきの『星一くん……大好き……』とか言ってるくそ恥ずかしい茶番のシーンも入ってますけど?」
「……覚゛悟゛の゛上゛さ゛ッ!!」
「フゥン……おもしれー男……」
とん、と少女が部屋に降り、こちらに向き直る。
「失礼しました。なら、ここからは脅迫ではなく取引です。一方的に要求するのではなく、お互いにやり取りしましょう」
「……何くれるって言うんだよ」
「付き合ってあげます」
は?
待て、今、なんて言った?? 付き合う? 誰が? 誰と? 何に?
「当然、私とあなたで恋人同士になろうという意味です。その代わり――」
思いがけない取引材料が出てきて動揺する俺に、彼女は淡々と自分の要求を言い放った。
「――