最強ヒロインの俺がクラスの美少女に正体バレたら、なぜか付き合うことになった件 作:潮井イタチ
整理しよう。ややこしいから。
前回までのあらすじ!
一つ! 俺は超能力に目覚めた!
二つ! 世界の脅威である魔獣と、人になりすます魔人が現れた!
三つ! 魔獣を倒す
四つ! 男のままだと魔人と勘違いされる俺は、女になり最強
五つ! そのことが好みドストライクの金髪美少女、
そして六つ!
つまり……!
どういうことだ……!?
いや確かに
中には、変身前とは別人レベルに変化する
そして、上手く立ち回れれば「
それは分かるが……。
「なんですか。そんなに私が恋人になるのが不満ですか。こんなに美少女なのに」
自分で言うか。言っても全然問題ないぐらいに美少女ではあるが。
「どんなに美少女でも、嫌々で恋人のフリしてもらうんじゃ嬉しくないんだけど」
「美少女な時点で周りに見せびらかして自慢できるんだから、別にいいじゃないですか」
俺、女の子を自分のトロフィーやアクセサリにして喜ぶような男だと思われてるんだろうか。下手に悪口言われるより遥かにダメージ入ったかもしれない。
確かに、こんな子が彼女だったら自慢ぐらいしたくなるかもしれない。だけど、その内実が伴ってないんじゃ虚しすぎる。アホな小学生が「オレあの芸能人とトモダチなんだぜ」とかしょうもない嘘ついてるのと何も変わらん。
「どうですか。
言われてるが、それに関しては言われても仕方ないので反論はしない。
「確かにメリットはあるけど、リスクとコストも増えてない?」
「リスクもコストも、二人で分け合えば半分になりますよ」
「リスクもコストも、二人分になってたら意味ないと思うんですけど」
というか、そもそも。
「……なんでリーレアの正体になりたいんだ?」
「チヤホヤされたいからですけど? なんか文句あります?」
別に文句は無い。気持ちは十分に分かる。俺だってチヤホヤされたくて(あと持て余した溢れるパワーを解放したくて)やってるし。
「要はゴーストライターしろって話なのはわかったけど、だいぶ無理あるだろ。ちょっとやそっとのアリバイ工作じゃすぐにバレる」
「男が
「うーん困ったぞ一理ある」
「私だってすぐに『私の正体は
俺が一つ納得した途端、納得を畳みかけるように
「ビフレストから貰える報酬もそのまま
「……それ、
「一度でも『
……なんだろう。ちょっと価値基準が違いすぎる。
そも、なんでチヤホヤされたいかって、それは自分の力を誇って気持ちよくなりたいからだ。
なのにその自分の力を偽ってしまったら、気持ちよくなんかなれない。多少は気持ちよくなったとしても、常に後ろめたさが付きまとう。
端的に言って、手段と目的が入れ替わっているようにしか見えない。
「虚しいだろ、それ。そんなのを心の拠り所にしても意味が無い」
「私は虚しくないし、心の拠り所にもなるんだからいいんです」
「んなわけねえよ。普通に
「そんなことは……」
「さっさとビフレストで試験でも受けてこいって。それとも落ちたからこんなことやってんのか?」
「あんなの落ちるわけないでしょう。だいたい、私はビフレストが一般に公開されるよりもずっと前から
「……あ、そうなの?」
ヒイロたちがそうであったように、魔獣が表社会に現れる前から
だが、そういった初期メンバーの
……察するに、才能の無い落ちこぼれとかだったのだろうか。
そう考えたのが顔に出ていたのか、彼女はムッとした……いや、そんな可愛らしい顔じゃないな、内心半ギレしてそうな顔で否定する。
「言っておきますけど、普通に☆5ランクでしたから。三年間訓練して、ビフレスト最強とまで言われるようになってたんです。
「なんで辞めたんだよ」
何の気なしに尋ねる――その瞬間、彼女の顔に恐ろしく暗い陰が差した。
俺はわずかに動揺する。
彼女の表情自体は怒りを滲ませたまま。
だが、その怒りがただの苛立ちではなく、暗い感情を宿した、憎悪にも似たそれになっていた。
俯き加減になった彼女は、数秒迷った後に、絞り出すように言った。
「……姉さんが、ビフレストに入ってきたんです」
「姉さんって言うと……
「そうですよ。他に誰いるんですか。見たら分かるでしょう」
まあ、それは確かにそうだが。こんな苗字の人ほかにいないし。
「
江洲々或は言う。さっきまで淡々と喋っていたのが嘘みたいな、苦しそうな声だった。
だが……二ヶ月前? ビフレスト最強と言われているレア先輩だが、
「私さっき、三年間訓練して、ビフレスト最強って言われるようになった、って言いましたよね」
「あ、ああ」
「たった、一週間でした。――私の三年間が、姉さんに負けるまで」
「…………」
「
段々と俯いていっていた彼女の顔は、いつの間にか真下を向いて、表情が見えなくなっていた。
「昔から、そうなんです」
「…………」
「あの人、全然頑張ってないんですよ。勉強も、運動も、ピアノも、何もかも。やったらすぐにできるんです。頑張らなくたってできるんです。……死ぬ気で努力した私より、できるんです」
「…………」
「なのにみんな、誰も彼も『お姉さんを見習いなさい』ですよ。……バカバカしくなりますよね、本当に」
脳裏に浮かんだのは、数年間一緒に過ごしてきた、幼なじみの顔だった。
「
はっ、と乾いた笑いが漏れた。
「『ティテアが心配だから』だそうですよ。ビフレストを見つけて、
音が聞こえるぐらいに強く、彼女の手が握られる。
「あの人が、姉さんが、私に劣等感を抱いてくれるなら……レアはティテアに負けたって思わせられたなら、私はもう何でもいいんです。嘘でも、なんでも……」
「…………」
「そうしないと、私が……私だけが惨めじゃないですか。なんで私だけがこんな気持ちで、ずっと劣等感を抱えて生きないといけないんですか。理不尽じゃないですか、そんなの……」
そこまで言って、疲れたみたいに彼女の体から力が抜ける。
じっと見つめる俺の視線にたった今気づいたのか、もう何かかも諦めたように視線を逸らした。
「分かってますよ……どうせ、逆恨みだとか言うんでしょう」
「いや、言わない。いいよ、分かった。やろう」
「……はい?」
なにを驚いたのか、彼女がぱちぱちと目を瞬かせる。別に驚く事もないだろうに。
「だから、やるって。協力する。リーレア・レジエンダの正体は
「なん……なんでですか。さっきまで、そんな……」
「そりゃ、今の話聞いたら協力したくもなると思うけど」
「それは、おかしいです。
「できるわけねえだろ、そんなこと。そういうのはこっちが勝つか、あっちが負けて初めてできるんだ。違うか?」
呆気にとられたような顔。思えば、彼女が一切怒ってない顔をするのはこれが初めてだった。
「こういうのは理屈じゃない。どんな卑怯な手を使っても勝つしかない。
言って、自分でも驚くぐらい入れ込んでいることに気づいてしまった。
だって、彼女はもしもの俺だ。
俺は勝てた。俺の鍛えた力は、ヒイロが率いる戦乙女たちを上回っていた。
だけど、そうじゃなかったら。俺の超能力は魔獣相手に何一つ通用しなくて、俺はただヒイロに守られることしかできなかったら。
そう考えてしまったら、もう、彼女の衝動を否定することなんてできるわけもなかったのだ。
「…………じゃあ、あなたも……?」
問われるまでもなく、俺は語った。
全部語った。
今までのこと。超能力のこと。どうして鍛え続けたのか、どういう気持ちで鍛え続けたのか、その全て。
自分が思っていたよりずっと、熱がこもってしまったように思う。考えてみればそれもそうだ。今まで誰にも話したことのなかったことだ。数年間ずっと、この感情を溜め込んできたのだ。
彼女も、それに返すみたいに吐き出した。
長い話になった。終わる頃には、とっぷりと夜も更けていた。
家の外。バス停の前。
彼女は赤くなった目をぐしぐしと擦って言う。
「……じゃあ、これからよろしくお願いします、
「ああ、よろしく、
「ティテアでいいです。姉さんと被りますし。それに、これから付き合うんですから」
「いや……それはいいよ。これはもう、俺もやりたくてやるんだから、
「ティテアでいいです」
「いやだから、」
「ティテアでいいです」
「……てぃ、ティテア……さん」
「なんで同級生相手にさん付けしてるんですか……」
呆れたように言って、彼女はバスの方へ歩いていく。
そして、乗り込む直前に、振り返った。
「それじゃ、星一くん。また明日」
返答するより先に、バスの扉が閉まって、走り去る。
「…………」
……うーん。参ったな。
こんなメンヘラシスコン病み系ヤバ女に本気になったら、絶対マズいって……。
江洲々或ティテア(えすえすあるてぃてあ)
江洲々或ティテアとは、ゲーム『█████████』に登場するキャラクターである。
概要
ゲーム初期から実装されているワルキューレ。レアリティは☆5。
同時に、チュートリアルガチャでの確定☆5枠の候補にもなっている(だが、性能面ではあまりオススメされていない)。
メインシナリオでは、第1章にてビフレストに所属するワルキューレの一人として登場。
初期実装の最高レアキャラクターではあるが第1章では物語上の活躍は特に無く、第2章ではビフレストを脱退。第3章にて七王の一人である【傲慢】の魔人の手によって「魔姫コーティア」となり、主人公たちの敵として登場する(詳細は個別記事を参照)。
ゲーム上での性能
かなりの不遇。使いやすい万能型だが、あまり評価の高くない低ティアキャラクター。
基本的に同レアリティである姉の江洲々或レアの下位互換であり、強化コストがレアに比べて多少安い程度しか強みが無い。
初期は万能型のワルキューレが少ないこともあり活躍の場があったが、上位互換であるレアの登場、そしてそのレアが恒常およびチュートリアルガチャで排出されるようになり、優位性がほとんどなくなった。
育ちきればあらゆる役割をこなすことができるという点でレアと同一ではあるが、その頃には各役割に特化した他ワルキューレも育っているため、やはり使い所は少ない。
今後のテコ入れが欲しいところだが、魔姫コーティアの人気に伴ってか、通常時のティテアが登場する機会はストーリー中でもほぼ無くなっている。強化に関してあまり期待はしないほうがいいだろう……。