劇場版・少年少女の戦極時代   作:あんだるしあ(活動終了)

45 / 49
遅れて来た彼らは何のために動いていたのか?

 タワー跡地に刺さった鋼鉄の花から、メガヘクスが降り立った時と同じ種子が飛び散った。

 その色は、緑ではなく金。

 

 ヒトの背丈ほどもある金の種子が地面に突き刺さって開くや、中からインベスの群れ――そして、インベスとは異なる、胸に数字のないプレートのある怪物の群れが現れた。

 

 鎧武と龍玄と斬月・真が背中合わせになりながら武器を構えた。

 

 戦う力さえない碧沙は、ただ舞の後ろにいて、兄たちと紘汰の無事を祈るしかできない。

 

(誰か。誰でもいい。兄さんたちを助けて。助けてあげてっ)

 

 

《 ロック・オン  ピーチエナジー 》

 

 

 聞き覚えのある音声の直後、空から桃色のソニックアローが雨あられと降り注ぎ、怪人の軍団を一掃した。

 

 驚いて空を見上げる前に、ちょうど碧沙と舞の前に、見慣れた赤と黒(トランプツートン)の男が着地した。

 

「戒斗っ」

「駆紋さんっ」

 

 次いで、ヒマワリ色の花びらの羽根をしゃらしゃらと揺らめかせながら、アーマードライダー月花が着陸した。

 

 ぽかんとしている碧沙たちの前で、月花はヒマワリとピーチエナジーの錠前を外し、ドラゴンフルーツアームズに換装した。

 

『あたしと同じロックシードでしかもエナジーのを戦極凌馬にあげたとか。なめた真似してくれちゃって。これはそのおしおきなんだから!』

 

 月花は力強く拳を掲げた。

 やはり先ほどのソニックアローは、月花が放ったもので間違いなさそうだ。

 

 碧沙たちの前にいた戒斗が、鎧武たちのもとへ歩いて行った。

 

「相変わらずだな、葛葉。まだそんなふうに足掻いているのか」

『戒斗……』

 

 ――紘汰と舞が連れて行った“ヘルヘイムにまつわるモノ”の中で、唯一、地球に残されたオーバーロードインベス、駆紋戒斗。

 

 かつてこの地球の覇権を懸けて争った、因縁の二人。

 

「俺はかつての俺とは違う」

 

 ほんのわずかにだが、戒斗の視線が月花に流れたのを、碧沙は見逃さなかった。

 

(まさかここで再戦、なんてことにならないわよね? まだメガヘクスのことがあるんだし。大丈夫……よね?)

 

 前に立つ月花の背中に視線を送った。

 小学校時代なら、ここで咲はふり返り、笑いかけてくれた。

 

 だが今は、月花は前を見据えたまま動こうともしない。

 親友が見つめる相手が紘汰と戒斗のどちらであれ、それは碧沙の胸に不安を呼び起こした。

 

 

 戒斗はぽーいと、虹色の塊を鎧武に向けて放り投げた。

 

『え?』

「鍵のバックアップ分だけだと足りないだろう。お前が地球に戻った時に飛び散った分を、咲と手分けして集めた。さっさと吸収して元の力を取り戻せ」

『戒斗……お前』

「お前はこの俺に勝ったんだ。あんな機械人形にやられるような無様は二度と曝すな」

 

 その時だった。

 

 まるで図ったように、銀ではなく金のフォルムのメガヘクスが飛来した。

 

 

『我、メガヘクスはさらに進化した。脆弱な個よ。メガヘクスに融合せよ』

「何が進化だ。笑わせる」

 

 戒斗は戦極ドライバーを装着し、バナナの錠前をバックルにセットし、カットした。

 

「変身」

《 カモン  バナナアームズ  knight of Spear 》

 

 変身したバロンもまた、メガヘクスと対峙する鎧武、龍玄、斬月・真の列に加わった。

 

『他人が築き上げた力を横から掻っ攫って貪り食うだけの貴様に、俺たちが脆弱と言われる覚えはない』




 原作映画では「俺のやることは変わらない」。
 拙作では「俺はかつての俺とは違う」。
 どうして「違う」のか、ずばり、旅を通じて見識を深めたからです。
 原作からMOVIE大戦の間には最低でも2年の空白があります。その間、戒斗はそりゃーもーあちこちに行ったんです。本当に世界を見て来たんです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。