劇場版・少年少女の戦極時代   作:あんだるしあ(活動終了)

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無事だった少女

 鎧武はスイカアームズのままイエヤスの城まで退却し、変身を解いた。

 もう武神鎧武は追ってくるまい。両手にイエヤスたちを抱えてスイカアームズでの全力疾走はなかなかに堪えた。

 

 しかし、紘汰は休む間も惜しんだ。光実を助け出さねばならないし、イエヤスと共に助け出したヒデヨシから「月花」の話を聞かねばならなかったからだ。

 

 

 最初に行った広間に入ると、イエヤスと、ヒデヨシとチャチャの夫婦が待っていた。

 イエヤスとヒデヨシが何気に目線で青い火花を散らし合っていることに、若干引いた。なので、その火花の類が及ばぬ場所を選んで座った。

 

(そういや本当なら敵同士なんだっけ。俺が出した条件がなきゃ城にも入れないとか、殿様がさっき言ってた気が)

 

「紹介しよう。我が武神ライダー、鎧武だ。言っておくが『あの』武神鎧武とは関係ないからな」

「ヒデヨシだ。こちらは妻のチャチャ。――まずは礼を。武神を失い、敵武将である俺たちを助けてくれたこと、有難く存ず」

「ほんまおおきにな。おかげでこうして命を拾うた」

「あ、ああ。それはいいんだけど。俺、あんたに聞きたいことがあるんだ」

 

 ようやく本題に入れる。逸る心を抑えながら、紘汰はついに口にした。

 

「武神月花って武神ライダーがあんたんとこにいたって聞いた。そいつについて教えてほしいんだ。その月花って子……もしかしたら、俺の仲間かもしれなくて。室井咲っていうんだ。11,2歳の女の子で、結構ちっこくて、俺と同じこのベルトを持ってるんだけど」

「お前は咲と知り合いなのか?」

「! やっぱ月花は咲ちゃんなのか!? 今どこにいるんだ? 一緒じゃないのか?」

 

 するとヒデヨシもチャチャも暗い顔をして紘汰から視線を外した。

 

「咲は――武神月花は、武神Wが敗れた時に、自ら残って、俺たちを逃がしてくれた」

「じゃあ……じゃあまさか咲ちゃんはっ」

 

 紘汰は思わず立ち上がり、ヒデヨシに詰め寄った。

 

「いや。潜伏していた時に、俺たちの前に白い武神が現れた。武神フォーゼとは違う武神だ。そいつが『この娘は元いた世界に帰す』と言った。その後は俺も、咲にも白い武神にも会ってない」

「白い武神……まさか、白いアーマードライダー?」

 

 立ち上がっていた紘汰は、脱力して座り込んだ。

 

(よか、った。咲ちゃん、無事なんだ。帰れたんだ。よかった。本当によかった)

 

 光実を奪われ、咲まで奪われていたら、紘汰は立ち上がれたかどうか。

 

 困った時の神頼みではないが、紘汰は今だけ「神様ありがとう」と強く言いたい気持ちになった。




 久々に一作3スクロールのマイルールで書いてみました。
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