-side 鈴音-
ゴールに入ろうとした瞬間、ボールは熊にキャッチされてしまった。
何よあの熊!普通に動けるならそうしなさいよ!
そして熊は今度は両手を使って私たちを襲い始める。私たちはすぐに逃げた。
「!いやだ死にたくない!死にたくな“グシャ”
だけど両手も自由に動くようになり熊の猛攻は一層激しくなる。もはや全滅するのも時間の問題だった。
「うわ!くそっ!」
熊が次に狙いをつけたのは一夏だった。一夏は踏み潰されないように逃げているがこのままでは殺される。私はとっさに近くにあったボールを持って投げようとしたが熊が動いていて狙いが定まらなかった。
「鈴!早くボールを!」
「そんなこと言ったって…!一夏後ろ!!」
「え?」
私にシュートをするように言っている一夏の後ろで熊が手を振り下ろしていた。私の叫びでそれに気づいた一夏だったが既に遅く一夏は用具室の方に吹き飛ばされた。
「一夏!!」
私はすぐに用具室に向かうとそこにはマットに横たわった一夏が居た。私は一夏のそばに行き起こそうとする。
「一夏しっかりして!起きなさいよ!!」
「……う…り、鈴」
私の声に反応した一夏は目を覚まして私はほっとすると同時に驚愕していた。
ていうかあの衝撃で何で生きてんのよ!?
「ちょっと一夏!大丈夫なの!?」
「ああ。楯無さんとの特訓のお陰で最小限の被害になるよう受身を取ったんだよ」
「…あんたときどきすごい事するわね」
若干呆れたが今はそれ所ではなかった。こうしている間にも生徒たちは次々に殺されてい。そしてボールに付いているタイマーも残り3分を切っていた。
「なあ鈴」
「何よ!もう3分もないわ!あの熊はボールを警戒していてゴールに入ろうしても止められる。このままだと…」
時間がないことへの苛立ちから八つ当たり気味に一夏を見ると真剣な表情をしていた。その顔でまだ諦めていないことを私は悟った。
「作戦があるんだ。聞いてくれないか?」
その頃体育館では混乱が続いていた。
「どうするのよ!?このままじゃ全員殺されちゃうじゃない!!」
「知らないわよ!ていうかボールは何処!?」
熊は生徒たちを殺していき残り四人になっていた。だが次の生徒を殺そうとした時熊は動きを止めある方向を見る。そこにはジャージで包んだボールを持った一夏が居た。
「おい!化け物こっちだ!」
-side 一夏-
鈴に作戦を伝えた俺は用具室から出てジャージに包んだ状態のボールを持って熊を呼ぶ。
「ボールはここだ!取れるもんなら取ってみろ!!」
俺はボールを持って駆け出す。だがその時包んでいたジャージが取れその中のバスケットボールが見えてしまう。
「ちょっと何やってんのよ!?」
「あれじゃバレバレじゃない!!」
案の定他の生徒に気づかれ熊も気づき辺りをキョロキョロする。そして目線をある場所に止めるとそこには俺と同じようにジャージで包んだボールを持った鈴が居た。熊の目線に気づいた鈴だったが既に熊は手を振り下ろそうとしていた。
「鈴!避けろ!」
熊が手を振り下ろしたギリギリの所で鈴は避ける。制服が少し破れたが怪我はないようだ。熊はもう一度手を振り下ろそうとするがその時あることに気が付く。鈴が落としたボールのジャージが取れそこにあったのはただのバスケットボールだった。熊はすぐにボールを探す。だが既に遅い。
「うおりゃぁぁぁぁ!!」
俺は持っていたバスケットボールを熊に向かって投げる。バスケットボールは空中で皮が取れ中から出てきたのは鮭の描かれたボールだった。
そうこれが作戦だった。最初からボールを持っていたんじゃ警戒される。そこで俺から警戒を失くし鈴に注意がいっている時にゴールに入れる。危険な賭けだったがうまくいった。後はあのボールが
「いけぇぇぇぇぇ!!」
ゴールに入れば…
だが無常にもボールはゴールに入らずリングに当たる。
「そんな…」
俺は膝をついて挫折する。ボールは既に10秒を切っている。これが最後のチャンスだった。ここまで来て俺は…
だがその時俺は熊を駆け上ってゴールに掴まりボールを掴む人物を目にする。
「…楯無さん」
それはゲームの開始から見ていなかった楯無さんだった。楯無さんはそのままボールをゴールに入れ地上に着地する。タイマーはギリギリ1秒で止まっていた。
『終~了~』
木彫り熊は終了の合図を上げぴたりと止まる。ゴールに入ったに入ったことを喜びたかったが俺たちは警戒を解いていなかった。ボールを入れたのは楯無さんだ。もしかしたらゴールに入れた人だけがクリアになるのかもしれない。俺たちは固唾を呑んで見守っていると
『更識楯無、織斑一夏、鳳鈴音……生きる』
木彫り熊からクリアした人物の名前。そこには俺たちの名前も出てきた。
「やった…やったわよ一夏!!」
「ああ!やったぜ鈴…」
俺と鈴はクリアしたことを喜んだがふと疑問が生まれた。生き残ったのは俺達を含めて六人なのに呼ばれたのは
「どういう「きゃあああああ!!」!?」
後ろから悲鳴が聞こえて俺と鈴は後ろを向くとそこには
「…………」
ISを起動して三人の女子生徒を殺した楯無さんが居た。
「な、なんで…?」
混乱している俺に楯無さんは振り返る。その顔にはいくつかの返り血が飛んでいた。
「見た一夏君?この子たちねこんな簡単に死んじゃったの。ちょっとISで斬っただけでこんなにあっさり死んだの。可笑しいよね…こんな弱い子達が生き残ったのに簪ちゃんが死んじゃうなんて…」
楯無さんは笑顔を浮かべながらそう言う。そして次は悲しそうな顔をする。
「神様は不平等だね。あんなに頑張っていた簪ちゃんが死んじゃってこんなクズたちが生き残るなんて」
ぽつぽつと呟くように言った楯無さんはだんだん表情が険しくなっていく。
「簪ちゃんはね一生懸命頑張ってたんだよ。たくさん努力したんだよ。一人でISを開発しようとして頑張っていたんだ。それなのに…それなのに…」
楯無さん…。あなた心が…。
「…だったら消えちゃえばいいこんな世界。壊れちゃえばいい…終わっちゃえばいい…無くなっちゃえばいい…。こんな…こんな世界、こんな世界なんてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
「た、楯無さ…」
俺が楯無さんに声を掛けようとしたそのとき木彫り熊の口から大量の煙が出てきた。
「ちょ!何こゲホッゲホッ!」
「鈴!ゲホッゲホッ!」
煙を吸った俺たちは急に意識が遠のいていき最後は地面に倒れ静かに気を失った。
大変遅れて申し訳ありません。理由としてはただ単純に怠けていただけです。
後書きにコーナーですが前回あまりにも尺が長かったためやめることとします。また時々やるときがあるかもしれません。
次回からようやく別作品のキャラがでます。今度はいつになるか分かりませんがなるべく早く登校できるように頑張ります。