地獄で叩く! 作:スロウ亀
帝都には表の顔と裏の顔が存在する
表の顔というのは民衆や名家といった人々を外敵から守る光
裏の顔と言うのは何もしらぬ田舎者を拷問や売買するような影
そういった事はどの時代にもあるようなものである。そんな存在を放置した挙句、裏で手回しするのがオチ
どの世界にも闇というのは一生消えないもの―――いわば不治の病という物だ
この世でもあの世でも必要とされるのは、冷静な後始末係が統治には必要である
だが、そういった人物は只のカリスマよりもずっと少ない
「う~ん。これはおいしいな」
謁見の間
貴人や臣下達が集まるその場で一人これでもかと太っている男が肉を頬張っていた
男の名はオネスト。帝都の大臣であるが、暴虐を繰り返す外道である
他の臣下達は呆れた目で見ているがオネストは気にしていない
するとオネストが肉を食い終わると
「あぁウィンター君。ちょっとそこの肉取って」
「かしこまりました」
ウィンターと呼ばれる男
長身で切れ長の目に短髪の黒い毛、スーツを着こなし脇に書類を持っている
オネストの指示通り、遠くにあるテーブルに置かれたステーキをフォークで刺す
しかしステーキは切らずに丸ごとフォークで持ち上げる
「投げるので口でキャッチしてください」
「犬か私は!?「オラァ!」ぐもぉ熱ぅ!!?」
ツッコミを入れるオネストを無視してウィンターはステーキを顔を目掛けて投げつける
当然ステーキは熱々な為、オネストは熱がる
「あぁ~あぁ~食べ物を粗末にして。それでも大臣なんですか?」
「いや君が肉をまるごと私にぶつけたからでしょ!?」
「おや失礼しました。ではちゃんと切りますので今度こそ口でキャッチして下さい」
「だから犬か!わた「でりゃ!」ふもぉご!!」
一口サイズに切ったステーキを的確にオネストの口の中に打ち込むウィンター
しかしいくら一口サイズに切ったと言ってもそれが10や20などの数で口の中に打ち込まれたら頬がパンパンに膨れ上がり肉まみれになる
「ご、ごへぇ…!」
そしてとうとう口の中に入りきらずオネストはイスごと後ろに倒れる
「食べたら直ぐに寝るとは…流石は万年肥満な大臣。不健康の塊でしかない」
「ふぃ、ふぃんあーふん(ウィ、ウィンター君)」
口の中が肉詰めとなったオネストが助けを求めようとする
しかしウィンターはそれを無視して他の臣下達に目を向ける
「皆様、どうぞお気になさらず会食を続けてください」
(いや、気になって食事どころじゃないんだが)
臣下達の心の中でツッコミをいれる
「いやぁウィンター殿。今日の会食は誠に良かったですぞ」
「仕事も料理も万能とは。流石は大臣補佐ですな」
「いえいえ、これが仕事ですので」
会食が終わり、続々と帰っていく臣下達
しばらくして一人の兵士が書類の束を手に入ってくる
「失礼します。ウィンター様、こちらが例の書類です」
「ご苦労様です」
ウィンターが書類の束を受け取り、一枚一枚目を通していく
「粗方片付きましたね。これで少しはまともになるでしょう。そうですよね大臣?」
ウィンターが振り向きながら言う
しかしオネストの反応が無い。それもその筈、一人テーブルで残りの食事を全て平らげて最後の食事が入った丼に顔をつけていた。そして、周りには間食したと思われる器や酒瓶が重なっていたり散乱している。さらに体の方は三倍ほど太っていた
「も、もう食べられません…無理だって……太っちゃうって」
「もう太ってるでしょ」
ウィンターの冷たい一言の後、オネストは再び丼に顔を付け気絶する
それでも無視して書類を見ているウィンターを見て兵士は顔を引き攣る
「ウィンター様、大臣の事はいいんですか?」
「良いんです。それに身分が上だというだけで高級な食材を発注するなど金の無駄です。有るに越したことは無いですが、減らずにそのまま食材が痛んだり腐ったりしたら元も子もありません」
オネスト<仕事や経費問題
それがウィンターの最優先基準である
「それに清掃から焼却炉辺りにカラスが群がってると報告もありましたし、原因を調べたら食料破棄と判明しましたから徹底的に古い食材は早めに対処しませんと」
「しかしどうやってそれを?」
「今日の会食で出した料理は全て古い食材です。味付けや盛り付けを工夫すれば誤魔化せますよ」
さらっととんでもない事を言うウィンター
それを聞いた兵士は軽くフリーズする
「さて、私は次の仕事がありますのでこれで」
ウィンターは書類の束を持ち謁見の間を出て行った
「えぇ!?ちょっと大臣はどうするんですか!」
兵士の声はウィンターには届かなかった
「さて次はここですね」
ウィンターはとある会議室の扉の前にいた
二回ノックをした後、部屋に入る。その一室にはイェーガーズの面々が居た
「どうもイェーガーズの皆さん」
ウィンターが軽く挨拶をしてからイェーガーズが前まで歩く
「さて、皆さんが呼ばれた理由は分かりますか?」
ウィンターが質問すると何人かは視線を反らし冷や汗をかく
それを見たのか額に青筋が立つ
「どうやら心当たりがあるようで安心しました……では遠慮なく」
ウィンターは脇に抱えていた書類を会議室の机に叩きつける
その衝撃により書類が机に減り込む
「一体貴方達は何度やれば気が済むんですか?まずはスタイリッシュさん。貴方は研究と称して予算だけでなく他の所から経費を少しずつ集めてるのは分かっていますよ」
「そ、それは軽い出来心で「言い訳は無用!」…はい」
オカマことスタイリッシュはウィンターの怒鳴りで撃沈
次の標的にボルスとセリュー
「ボルスさん。貴方の帝具によって無関係な建物まで燃やしてどうするんですか!セリューさん。コロの面倒を見るのが貴方の役目でしょ。機嫌が悪いと言う理由でコロが凶暴化して民家が全壊したんですよ!死者が出なかったのが幸いでしたが、お陰で損害による請求書が後を絶たないんですよ!!」
「「す、すいません」」
「そして一番の問題は貴方ですよ……クロメさん!」
指をビシッっと指しながら怒鳴るウィンター
指されたクロメはビクッっとする
「食べるのは良いですが量を抑えてください。その暴食が原因で食べ放題を経営していた飲食店が赤字を出し閉店が続出してるんですよ!家の食堂でも食料問題で悩んでる時にさらに問題を起こさない!少しは食事制限をする!そのうち生活習慣病になっても知りませんよ!!」
「……ごめんなさい」
「それもこれも常識人及び普通キャラである貴方達が止めないでどうするんですか!ウェイブさん!ランさん!」
最後にウェイブとランにも怒鳴る
「貴方達だけが唯一の砦なんですよ。その砦が勝手にへばってどうするんですか!貴方達が出来るのはツッコミかストッパーだけなんですから!」
「いや俺達はストッパーって」
「わ、私も抑えようとしたんですが」
ガァン!!
ウェイブとランが反論しようとしたら何処から出したか金棒を床に突き刺すウィンター
「「………」」
「お二人とも反論は?」
「「ありません」」
見事に砕かれるウェイブとラン
「全く貴方達はいつになったら直るんですか?確かに帝具使いであり、力の加減が難しいのは分かります。ですが、それ以前に社会人としての自覚を持って下さい。良い大人が怒鳴られて恥ずかしくないんですか?もう子供じゃないんですよ」
ウィンターの言葉の剣に心がぐさぐさと突き刺さるイェーガーズのメンバー
「それに『ワイルドハント』のメンバーも昔は悪さをしていましたが、私が躾けた(叩きのめした)次の日には更生したんですよ。今では大人気の大道芸団体『ワイルドハイウェイ』として活躍してます」
「(何してんだよ元警察!?)」
ウェイブが心の中で突っ込む
「まぁ貴方達の問題は今に始まった事じゃありませんが、少しは周りに気を配ること。それからホウ・レン・ソウをしっかりと守るようにお願いします。次からはちゃんとするように」
散々言われたが何だかんだでウェンターはイェーガーズの事気にかけてくれる
その優しさもあって少しずつ元気を取り戻すイェーガーズ
「あぁ…それからもう一つ」
「今回の損害があまりにも酷かったので全員の来月の給料は40%カット。クロメさんに関しては二週間おやつ抜きです」
そして最後には突き落とす
イェーガーズが一瞬にして白くなり机に伏せる
すると何か思い出したのかウェンターはボルスの所へ行く
「ボルスさん。これ貴方の奥様から頼まれた料理のレシピです」
ボルスの前に細かく書かれた料理のレシピの紙を置く
さっきまで白かったボルスも一瞬で元に戻る
「あぁすいません。ウィンター様」
「いえお気になさらず。貴方の奥様とは激安セールで共に戦った仲ですし、それに良く世間話もやりますので」
「っははは。いつも妻がお世話になってます」
「こちらこそ楽しくお話が聞けて」
っといたように白くなった者達を無視して雑談する二人だった
たぶんOPだとオリ主や帝都の兵や臣下達が腕振って歌ってるのではないでしょうか?