地獄で叩く! 作:スロウ亀
「さて、今晩は何にしますか」
あの後レオーネに全て押し付けたウィンター
日は落ち夜になり、ウィンターは食材を買っていた。買い物籠から大根にネギ、肉に卵などが入っていた
「魚も見ますか」
ある程度の食材を買って魚屋の所に行こうとしたら
「あぁ旦那。ちょっとちょっと」
「ん?」
ミノタウロスのような風貌の肉屋の店主カルビが呼び止めてた
その手には袋いっぱいの肉脂を持っていた
「おやカルビさん。どうしました?」
「肉の準備してたら肉脂が余ってて、食堂が赤字って聞いたからお裾分けって事で」
「いつもすいません。油も値上がりしてきたんで助かります」
ウィンターが肉脂の入った袋を受け取ろうとしたら手を引っ込める
そして暗い夜空を見上げ始めた
「どうしたんすか旦那?」
「……カルビさん。ちょっとこの荷物お願いします」
「えぇ!?ちょ、ちょっと旦那!」
急に買った荷物を押し付けるウィンター
金棒を取出し、その場を飛び跳ね壁蹴りをして建物の屋根に着地する
「補佐仕事が終わっても私の仕事は終わりそうにありませんね」
金棒を担ぎながら溜め息を付く
その視線には五つの影が屋根から屋根へと飛び回る姿が見える
「さて、死人はあまり出さないようにしなくては」
ウィンターは飛び回る影を追っていく
その先にある屋敷を目指して
「…やはりそうでしたか」
ウィンターが屋敷に到着し、門の前に降り立つ
そこには斬られ、突かれ、撃たれたと思われる死体が転がっていた
「さて、大仕事です」
ウィンターが金棒を地面に突き立てる
すると背後からヘルゲートが現れると出入り用の勝手口からぞろぞろと人が出てくる
「死体を速やかに回収を。後の方は私がやっときます」
『はい!』
門番の死体を運んでいる間にウィンターは屋敷の中に入る
その際襲撃者と間違われて斬りかかる兵士を金棒でぶっ飛ばしていく
「はいラスト」
「ごぼぉ!?」
最後の兵士を天井に突き刺す
通る道の壁や天井には兵士達が突き刺さっている。ある意味じゃホラーである
「これは掛かりそうですね」
「あれ?」
「ん?」
ウィンターがブツクサ言いながら歩いているとエクスタスを持ったシェーレの姿があった
近くには殺したと思われる女性の死体もある
「シェーレさん。こんばんは」
「あぁこんばんはウィンターさん」
この状況で普通に挨拶するのは世界中探してもこの二人しかいない
真っ二つの死体があれば常人なら驚いてへたりこむがこの二人に関してそこら辺のマインドは強い
「仕事ですか?」
「はい。ウィンターさんの方は?」
「貴方達の姿が見えたんで追ってきたんです。そして案の定これですよ」
「すいません。これが私達の仕事なので」
「良いですよ気にしないで。そういった情けを掛けない所を見れば家の地獄に就職できますので」
「死んだ時はお願いします」
「歓迎しますよ」
話の内容的には物騒+常人離れであるがこの二人に関しては普通の会話である
「それはそうと他の皆さんはどちらに?」
「う~ん。全員外にいると思いますよ」
「そうですか。ありがとうございます」
「いえいえ」
もはや世間話レベルの会話をしている二人
ウィンターは金棒で壁をぶち壊し、外に出る
「何が悪いって言うのよ!お前達は何の役にも立てない地方の田舎者でしょ!? 家畜と同じ!! それをどう扱おうがアタシの勝手じゃない!!」
場所は変わり屋敷からの離れの倉庫
そこにはナイトレイドのアカメとレオーネ、タツミ、アリアの四人
タツミは倉庫の中を見て絶句した。そこには悍ましく残酷に殺された人達の死体があった。その中にはタツミの幼馴染みであるイエヤスとサヨの姿もあった。そんな光景を目にした瞬間アリアは豹変しだす
「だいたいその女、家畜のくせに髪がサラサラで生意気すぎ!! 私がこんなにクセっ毛で悩んでるのに!!だから念入りに責めてあげたのよ!! むしろこんなに目をかけて貰って、感謝すべきだわ!!」
まさに外道
自分の行いを間違いとも言わずに言い切ったのだ。善良という仮面が中は残虐なサディストの顔である
「善人の皮を被ったサド家族か…。ジャマして悪かったな」
「葬る」
「待て」
アカメが村雨で斬ろうとした時タツミの止める声
「まだ庇うのか?」
「いや…俺が斬る!」
タツミは背負っている剣に手を掛ける
鋭い斬撃はアリアの胴体を切り裂く
はずだった
タツミとアリアの間に金棒が割り込み斬撃を防いだのだ
突然の事に驚く四人
「殺してはいけませんよ。彼女は罪人なんですから」
森の中から現れるウィンター
「あ、あんたは!?」
「どうもタツミさん。今朝の兵舎以来ですね」
「そんな事よりなんで邪魔した!?」
タツミはウィンターに怒りをぶつける
幼馴染の敵を守ったことが癇に障ったのである
「言ったでしょ。彼女は罪人なんですから殺してはいけません」
「は、はは。誰かは知らないけど貴族の私を助けるのは当然の事よ!」
「何を言ってるんですか?」
ウィンターはアリアを方を振り向いて冷たい目で見る
「貴方に死なれたら面倒なだけです。ちゃっちゃと済ませますよ」
ウィンターは再び金棒を地面に突き立てる
アリアの背後からヘルゲートが現れ、勝手口から大人数の人が出てくる。その手には組み立て式の観覧席を持ち、組み立て始める。他はアリアを捕まえ逃げられないように縄で簀巻きにして突き立てた棒に括り付けると準備が終えた者達から何か半被のようなものを着ると両手に応援グッツの様なものを手にする
「ウィンター様。こちらを」
「ありがとうございます」
ウィンターが受け取ったものを被る
それは野球で使うヘルメット。ここまでの流れで何をするのか分かる人は分かる
「こういうのはシチュエーションが大事です。さて張り切っていきますか」
ウィンターは金棒を立てて構えると観覧席から応援が始まる
パン!パン!パンパンパン!
パン!パン!パンパンパン!
『かっ飛ばせ!ホームラン!かっ飛ばせ!ホームラン!』
応援が鳴り響きウィンターは金棒を振り被る
もちろん目の前にはアリア
「う、嘘でしょ。そんな!私にそんな事を!?」
ガァン!!
アリアの喚き声を無視しフルスイングでアリアをぶっ飛ばした
そのまま開かれたヘルゲートの中に入ると観覧席からの歓声が沸く
パーパーパーパーパッパラー
『はいはい!』
パーパーパーパーパッパラー
『はいはい!』
パーパーパー
『はい!』
パーパーパー
『はい!』
パッパラーパッパラーパッパラー
『うわああああああああああ!!』
観覧席から沸き続け歓声の嵐、それを見て呆然とする三人
するとヘルゲートの勝手口から一人の審査員が拡声器を手に現れる
「ただいまの記録!……193メートル!記録更新です!」
『うわああああああああああ!!』
観覧席の応援団と演奏達が大喜びしている
そしてヘルメットを外しタツミ達に近づく
「一々死んだら霊まで回収しないといけないので直接地獄に送った方が早いんです。二度手間は嫌ですので」
「じ、地獄?二度手間?」
「それと貴方の友人二人に関しては私に任せてください。まだ助かる見込みはあります」
「た、助かるのか!?」
タツミは倉庫の方を見ると数人の医療班が丁寧に担架乗せへルゲートまで運び出す姿があった
その途中でイエヤスが
「ゴフッ!?」
「どうした、イエヤス!?」
「これはルボラ病の末期ですね。普通なら助かりませんが、家の地獄医療班から見れば風邪程度の症状です。すぐに治療を」
医療班は頷き急いでイエヤスを担架で運び出す
それよりも問題なのはサヨの方だった
「彼女に関しては私も最善を尽くします。ではタツミさんの就職お願いしますよレオーネさん」
「あぁまかせろ!」
「えぇ!?」
勝手に話が進み、引きずられていくタツミ
ウィンターは買った荷物を取りに行こうと屋敷を後にした
「……あれからもう経ちますね」
「ん?何がだウィンター」
「いえ何でもありません」
あの出来事から数か月の歳月が経っていた
イエヤスとサヨは地獄で一命を取り留め、そのまま地獄で就職することになった。給料も悪くなく、村に支援できるほどの額だった。ちなみにアリアと両親は文字通り地獄に落とされ、等活地獄・多苦処と極苦処で罪を責められている
「そういえばもうそろそろですね行事」
「おぉ!そうだったな」
ウィンターと皇帝は壁に貼られたチラシを見る
それは『帝都参加型行事・警備隊大運動会』と書かれている
「これから忙しくなりますね」
次回運動会やります
それから笑ってはいけないをそろそろ書こうと思います