ケガレと陰の気があふれる禍野その下の下、深淵と呼ばれる穢れの王が封印されているその地。
その地のすぐ上に位置する婆娑羅が集まり住んでいる村夙谷村。
そこで俺は生まれた。村を守護する立場の家に生まれた俺は強大な呪力を制限するツミノハラエを施されず、小さい頃から呪力を使って狩りを行ってきた。
小さい俺でも分かる。ここは地獄だ。
生き物としての喜びもなく、他のケガレに陰陽師に怯え死ぬことにも怯えただただ死への恐怖から生きている死体の集まりのような奴らばかりだ。
ブチッ
「んぐ」
俺達婆娑羅には味覚がない。食事の際は食感が良いものを食べ体に陰の気を取り込む。食事以外に娯楽という娯楽がないここでは子供を成す行為が数少ない娯楽に数えられる。
鬱屈としたここではそうゆうことをしたいがためにクズが生まれる。
「おら!こっち来い!」
「い、嫌だ!」
「お前達守るために俺達は命かけてんだぞ!」
「もっと労ってやろうとは思わねえのか!」
俺と同い年ぐらいの少女が男どもに無理矢理連れて行かれている。男達の顔には見覚えがあった。俺と一緒に村の外に行って村に迷い込みそうになったケガレを殺す部隊の奴だ。
「助けて!誰か!」
…ここのやつがどうなろうがどうでもいい。
だが、目の前で助けを求めるやつを見捨てられる程腐っているつもりはない。
「お前ら何をしている。」
「なっ!何でここにいるんだよ!神々廻!」
俺が声をかけると男達は体を震わせ恐怖を顔に貼り付けた。どうやら俺はこいつらに恐れられているようだ。
まあそれも無理はない。俺の呪力はこいつらの十倍以上あり、複数人がかりで倒す大型ケガレを俺一人で倒すこともある。
「まあちょうどいい利用させてもらおう」
「そいつは俺がもらう。」
「な!」
「いいな?」
呪力と殺気を込めて睨むと男達は冷や汗を流して後ずさる。
「わかったら失せろ。」
男達は俺を憎々しげに睨むが何も言うことはなく立ち去っていく。
俺は少女に近づく。少女は俺を見て覚えた様子を見せる。
「お前名前は?」
「…愛宕」
近づいて分かったが彼女からはツミノハラエを受けた者達よりも大きな呪力を保有している。
…そういえば最近、追儺が起きた時一人を残して村を管理する立場のある一家が消えたと聞いたがどうやら彼女はそれの生き残りのようだ。
彼女を見ると目に光はなく絶望を宿し無気力な様子で座り込んでいる。
「そうか愛宕お前は今やりたいことはあるか?」
「やりたいこと…」
「何でも良い。食事をしたい、寝たい、働きたい。何でも良い希望を見いだし未来を見据えることのできる事を、何かやりたいことはないか?」
空虚な目で考えている様だが何も思いつかないのか首を横に振る。
「そうかならば俺についてこい。俺はもうすぐここを出て糞溜めのようなここをひっくり返す。そのために俺に手を貸せ。」
前から思っていた何で俺はこんなところにいなければならないのかと。赤く濁り曇った空、草一つない不毛な大地、ドブのような匂いを放つ水。
何一つとして良いものがない。
なぜ、なぜ!ケガレだからといってこんな扱いを受けなければならない!
故に俺はここを出て陰陽師を殺し尽くし禍野を解放する。
その思いが伝わったのか愛宕は俺の差し伸ばした手を見つめ、手を取る。
「ありがとう愛宕。いつか必ずお前を、禍野を解放する。」
「…期待してる」
「ああ任せろ必ず、必ず」
顔に小さい微笑みを浮かべた愛宕を見て俺は少しだけ救われたように思った
オリ主の術とか何も決まってないですね。婆娑羅たちの技で使われてないのって何がありましたっけ?
感想お願いします