「やっ、よっ、とりゃ!」
愛宕との出会いから100年が経った。愛宕と俺は体が成熟し始め雌雄が分かりやすくなってきた。
今も組手をしているがボロ衣に包んだその肉感的な体がブルンブルンと躍動し偶然通りがかった男衆のそれを軽々と大きくさせた。
「ふむ、今日はこれぐらいにしておこう。」
「ふひぃー!疲れたのだ!」
組手を終わらせると後ろに倒れわざとらしく舌を出してゼハゼハッと激しく息を荒げる。
彼女はここ数十年で随分と元気を取り戻していった。
出会った当初の絶望を含んだ瞳は見ることがなくなり、彼女生来の元気さが戻ってきて笑顔を見せることも多くなった。
「なぁ〜神々廻ぁ〜、いったいいつになったらボク達はここを出るのだ?あの日から100年がたったぞ!」
腕と足をバタバタと振り回し駄々をこねる愛宕。それに手の甲で汗をぬぐっていた俺が答える
「もうそろそろだ。周期的にもうすぐあいつが目覚める。」
「あいつ?誰のことなのだ?」
「…まあもうすぐ、ここを出るからそれまで待て。」
「んう〜!誰なのだ教えろ〜!」
半年ほど経ち迷い込んで来たケガレを愛宕と殺していると村の方から慌てた様子で何人かがやってきた。
「どうした」
「神々廻、急いで村に帰ってきてくれ!」
「村に自凝が来たんだ!」
「!そうか、愛宕行くぞ」
「あいさ〜!」
村に急いで帰ると村の入り口に村長と人だかりがそしてそれと相対している枯れ木のような体を巨大な扇で支えている老人がいた。
「おお!神々廻帰ってきたか!」
「村長こいつが自凝か?」
枯れ木のような老人は窪んだ眼窩からギロリと目だけを動かし俺を見る。
「左様、儂が自凝じゃ」
「自凝よ!今更ここに何用で来た!」
「近々土御門島を襲撃を行おうと思っていてな。一緒に島を滅ぼそうとする骨のあるわっぱを探しに来たのよ。」
扇に両手をつき集まっている村人を見回し俺や愛宕に目を止める、が村長が憤慨して杖を振り回す。
「自凝よ!我ら夙谷は陰陽師とケガレの戦いには関わらぬと誓いを立てている!断じて貴様に手を貸すことはない!」
「そうか…それは残念だ。」
顎に蓄えた立派な白髭を撫でつけ背を向けて夙谷から出ていこうとする。
「おい自凝、」
「何だわっぱ」
「それ俺達に手伝わせろ」
俺の言葉に値踏みをするように目を細め村長は顎を開けて驚愕している様子がよく分かる。
「何を言っている神々廻!貴様儂の話を聞いていなかったのか!」
「聞いていたさ、前から糞のようなここから出ていきたいと思っていたんだ。今回はちょうどいいタイミングだと思ってな。」
「貴様ッ!村の掟を破りおって!」
憤慨し何か喚いている村長を放って自凝を見る。
「それで、話は済んだのか。」
「ああ、待たせた。」
「そうか、では行くぞ。」
自凝はそれ以上何も言うことはなく夙谷の外に向けて歩いていく。それについていくと慌てた様子で愛宕が腕に抱きついてくる。
「神々廻!外に行くならボクに前もって言うのだ!」
「半年程前に行ったと思うが…」
「覚えてないな!それよりもボクも連れて行くのだ!」
「もちろんそのつもりだ。いいだろ自凝」
自凝はチラリとこちらを見るとすぐに目線を戻す。
「…好きにしろ」
「ありがとう。」
自凝に付いて歩き上層に向かう。
この一ヶ月後土御門島に自凝による恐怖が襲う。
『なあ、神々廻。』
『どうした』。
『あの爺ボクののーさつばでぃ見て照れてたのだ』
『…愛宕。』
『ん?何だ?』
『そうゆうことはあまり言わないように。』
『ん〜?どうしてだ?』
『…もしかして、嫉妬してるのか〜?』
ニヤあ〜〜〜
体をどうにか隠していた布をはだけさせ胸元を見せ神々廻の腕を胸に挟むように抱く。
『大丈夫だぞ神々廻。ボクの体は全部お前のものだからな。』
その扇情的な愛宕の姿に見ていられずごまかすように腕を振り払う
『…先に行きます。』
『あっ!待てー!逃げるなー!』
自凝は初代太陽との戦いに参戦していたようなので夙谷村出身だという体で進めています