僕のヒーローアカデミア 継承の黎明   作:伽華 竜魅

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逆行とかそういうのじゃなく、緑谷が歴代"個性"も初期から発現させたらって感じです。




ワン・フォー・オール:ライジング

 

 

 

 

『君は、ヒーローになれる』

 

 

ずっと、誰でも良いから言ってほしかった言葉。

それを憧れであるヒーロー、『オールマイト』本人に言ってもらえた時、僕は嬉しくてしょうがなかった。同時にとても大事な秘密を、『OFA』という"個性"を話してくれた。

 

その力を、僕に託してもいいと。

 

そんな大事なこと言われて、あるか?断る理由が?

決まってる…返事する答えなんて……受け継ぐに決まってるだろ。

 

それから入試までの約十か月の間に、『OFA』を継承するための身体作りが始まった。

オールマイトが考案した『目指せ合格。アメリカンドリームプラン』は、食事や寝る時間までの全部が記載されている。

ゴミ掃除をより確実にクリアするのと同時に身体を完成させるためのプラン。

 

僕は、他の人より何倍も頑張らないといけない。

だから自主練も加えて、地獄の十か月間頑張った。

そして器としての肉体を作り上げることができた。

 

オーバーワークもあって、入試当日に『OFA』を受け継ぐことになってしまったのは痛手だけど、僕自身のせいでもあるからしょうがない。

 

それから入試に何とか間に合った。

けど途中転びそうだった所を女の人に救けられたり、説明の時に眼鏡をかけたちょっと怖い人に注意されたりして大変だった。

 

そんなこんななことがあって、入試の実技試験が始まった。

でもスタート合図がさらっとされて、僕は同じ会場の誰よりも、出遅れてしまった。

その後、何とかポイントを稼ごうと、まだ壊されていないポイントを探すも、みんながみんな、自身の"個性"を活かして稼いでいた。

 

僕なんか、本物の(ヴィラン)じゃないのに怯えて、逆に他の人に取られたりしてる。

一ポイントも稼げず、このままじゃ不合格になってしまう。

そう思っていたら地響きが起きて、建物の奥から巨大な影が、説明の時に『プレゼント・マイク』が言っていた0ポイントであろう、お邪魔虫が現れた。

 

僕は怯えて、腰を抜かしてしまった。

皆が避けながらポイントを稼ごうとしていて、僕も急いでそうしようと背を向ける。

だけど、そんな僕のさらに後ろから、痛みに苦しむ人の声が聞こえた。

 

思わず振り返れば、校門で僕を救けてくれたいい人がいた。

瓦礫に挟まれて動けずにいて、あのままだと下敷きになってしまう。

その時、もう僕は考えるよりも先に身体が動いていた。

 

駆け出す。

逃げるのではなく、向かって。

そして足に力を溜めて、飛び上がる。

 

拳を握り、力んで、熱く感じる熱を溜めていく。

オールマイトは言っていた。

 

『ケツの穴、ぐっと引き締めて、心の中でこう叫べ』

 

 

【――スマッシュ!!!】

 

 

思いっきり腕を振るった瞬間、0ポイントは一撃で倒した。

無我夢中だったけど、僕は初めて“個性”を発動させて、でっかい0ポイント(ヴィラン)を破壊したんだ。

………でもその後、僕の片腕と両足は完全に粉砕骨折して、ただ落下の勢いで揺れ動くだけだった。

 

オールマイトは言っていた。

器は成したが、あくまで急造品であると。

 

僕は馬鹿だ。

ギリギリ、オールマイトの力が収まっただけ。

つまり僕は、まだスタートラインに立つ権利を得られただけなんだ。

 

右腕と両足は使えない。

残ってるのは左腕だけ。

着地のタイミングで打てば助かるかもしれないけど、まだ0ポイント。

 

合格は絶望的だ。

でもやるしかない……やるしか……!!!

 

 

(――私の力を使え…!)

 

 

脳内で、何か声がした。

幻聴……?それとも走馬灯?

お母さんでもない、知らない大人の女性の声。

まるで心の奥に直接触れてくるような、静かで、それでいて絶対的な響き。

 

次の瞬間──落下による浮遊感が一気に止まり、()()()()()()()()()()()()()()()

 

地面と激突していない。

それどころか、まだ距離はある。

にもかかわらず地面が近づいてこない……正確には、()()()()()()()()()()

 

()()()()()()()……!?」

 

ふわふわと、身体がゆっくりと雲のように。

よく見たら地面の近くで、校門で助けてくれたいい人が同じように浮いている。

でも距離があるから、あの人の影響……って感じには見えない。

 

身体が軽い。

でもそれ以上に――胸の奥で何かが()()()()()いた。痛いはずの両足が、わずかに熱を帯びて、脈を打っている。

 

「……これも『ワン・フォー・オール』の力…なのか?」

 

突然のことに頭がいっぱいになってるけど、今試験中だってことを思い出した。

せめて一ポイントでも取れれば……でも、うまく動けず、ただ浮くことしかできない……!!

 

でもどうにかすることもできず、まだ少し高さはあるものの、解除って頑張って思い込む。

すると浮いていた身体が引っ張られるように、落下して地面と激突した。

その際粉砕した片腕と両足がとても痛かった。

 

すると試験終了と放送された。

一ポイントも手に入れることなく、できず、終わってしまった。

そして僕は、気を失ってしまった。

 

 

――◆――

 

 

僕が次に目を覚ました時、いた場所は――

 

 

「――…えっ、ここ、どこ?」

 

 

――椅子が沢山並んだ、倉庫のような場所だった。

でも倉庫の壁と床はボロボロで、周りは暗い。

 

「まさか、継承した段階で私たちの"個性"すら発現できちゃうなんてね」

 

突然声をかけられた。

落ちている時に脳内で聞こえた、知らない大人の女性の声。

一度瞬きをすれば、八つある椅子一つ一つに、一人一人が座って現れた。

 

オールマイトのような、ぼやけた人物もいて、その人含めて八人。

そのうち、同じ服装をした人たちはなぜか立ったまま壁の方へ向いている。

すると、八人の中で唯一女性である人が立ち上がり、僕の方へ歩み寄った。

 

「初めましてだな、緑谷出久くん。私は『志村菜奈』。君の憧れであり師となったオールマイトの師匠であり、『ワン・フォー・オール』の先代継承者だ」

 

僕の名前を知っているのと、自己紹介の内容に、僕は驚いた。

この人、いやこの人たちは『OFA』を知っている、いや、もしかしてここって『OFA』の中なのか?

 

「勘と察しがいいっすね。そっ、俺らは『ワン・フォー・オール』の中で生きる意識だ」

 

「しっかしもう干渉できるようになるなんてな! 正直八木から譲渡されても、干渉はまだ当分先だと思ってたぜ!」

 

口元を隠している黒髪の人に、スキンヘッドの人がそう話してる。

つまり、本当ならまだ今の状況にはならなかったってことか?

どういうことなんだ?『OFA』が受け継がれて行った"個性"なのは分かったけど、これをオールマイトは知っているのか?

 

「いや、こうやって継承者同士でのコミュニケーションを取れるようになったのは、九代目、君が継承してからなんだ」

 

「まぁプライベートは保証するから、心配ないさ!」

 

えっと……気を遣ってもらったのか?

確かに継承者の意識があるってことは、僕のプライベートをずっと見られるってことだけど……いや、それよりもだ。

 

「あの、すみません。正直まだ状況がわかってないんですけど……」

 

「うん、それを今から説明するよ」

 

真ん中に座ってる白髪の人がゆっくりと話してくれた。『OFA』の起源、歴代継承者のこと、オールマイトに渡るまでの連なり、そして……『OFA』が打倒するべき相手、魔王(ヴィラン)の存在を。

 

「つまり、さっき僕が浮いたのは、『力をストックする』能力部分によって、『ワン・フォー・オール』の中にストックされた志村さん……七代目の"個性"が発現したから、ということですか?」

 

「あぁ。先の落下の際、君はまだ『ワン・フォー・オール』の試運転すらできず、初めて使用した状態だった。正直居てもたってもいられなくてね、そしたらさ。正直、私も驚いたよ」

 

「そして私たちも干渉できるようになった。君が七代目の力を引き出したのを引き金に」

 

「けどまぁまだ『ワン・フォー・オール』そのものの扱いが全然だから、そっち優先がいいよ。俺たちも干渉できるからアドバイスできるし」

 

歴代継承者の"個性"が六つあって、そのうちの一つが、入試の際に浮いたもの。

志村さんの"個性"で名前は『浮遊』

その名の通り、浮くことの出来る"個性"。

 

それ以外も、現実で目を覚ました時にはもう使えるとおっしゃった。

そして僕に『OFA』の扱い方をいろいろと教えてくれるんだ、これ程までにありがたいことはない。

 

「"個性"諸々の詳細はいつでも話せんだ! とりあえず今は起きてお家に帰るのが、お前の最優先でやるべきことだな!」

 

ご、五代目…さっきからそっち方面気にしてくださってる…!

 

「そうだね、これからのこととかは、時間があるときに改めて話そう。君を経由して八木くんにも報告はできるだろうから………九代目」

 

初代は僕を見て言った。

 

「君に、君と八木くんの手に渡ったのは運命的だ。僕たちは全力で君に応えよう。だから、頑張ってくれ」

 

「……はい!」

 

今やオールマイトだけではない。

継承者たちの"個性"も乗せて、僕は最高のヒーローになる。

いや、ならなきゃいけないんだ。

 

 

八代にも渡り、譲渡されてきた力の結晶。

 

その力の特異点はとうに過ぎ去っていた。

 

無垢なる純粋な力と共に、世代を超えた者六つの力も目覚めた。

 

そう、これは――

 

 

――僕たちが『ワン・フォー・オール(One For All)』を完遂させるための物語だ。

 

 

 

 





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