僕のヒーローアカデミア 継承の黎明   作:伽華 竜魅

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ヒロアカがもう来週で終わっちまう……終わっちゃうの?

そんなの駄目だ!!許可しない!!
大好きだ、大好きなんだ!!!
ヒロアカがないと僕はダメなんだァ!!!!




一度の終わりと新たな始まり

 

 

 

 

気が付けば精神世界、『OFA』の中にいた。

 

「まずは情報の整理から始めよう」

 

そこに、僕を除いた初代からオールマイト(曖昧な姿)の継承者八人が、この空間と少し似つかない高価な椅子に座っていた。

僕のはない。

きっと『OFA』が僕の中にあって、意識が現実に戻ればここから消えてしまうからだと思う。

 

「脳無と呼ばれていたあの生物兵器は、間違いなく奴とその仲間の手によって作り出されただろう。奴自身、"個性"でそういうのはできるが、生物学や化学的知識があり、それらをする環境を用いるとは思えない」

 

「同感だ。なにより八木との戦いで、確実に死んだと思って当然の重傷を負っているんだ。本当に生きていたのなら、そこから今まで生き延びるために、生命維持などを優先するだろう」

 

「でも動き始めたってことなら、生命維持が出来ているんじゃないんすか?」

 

「生命維持はできても、ずっと活動できるわけではないだろう。なにより維持しながら生物兵器の開発を行うのには難儀するだろう。仮に"個性"がそれを可能にしていたとしても、やはりそれら二つを同時に行うのは難しい」

 

すごい、皆さんやっぱり戦ってきたのと、僕と違って過酷な時代を生きたこともあってか凄い会話を広げてる。

僕も黎明期とか、"個性"の過去とか諸々改めて勉強しないと。

 

「実際上回ったとはいえ、俊典の100%にもしばらく耐えていた。それが今後も作られるとしたらとても厄介だ」

 

「八木くんが40年間保持して蓄えていったパワー。緑谷くんがそれを受け継ぎ、他"個性"を更に使えるにしても、未だリスクは大きい」

 

「俊典は私が初めて会った時から身体はできていたし、なまじ戦いとか、身体を動かす系では感覚ですぐに出来てたからね。秘訣を教えようにも、記憶からみてもほぼ感覚でやってたのがわかる」

 

「言い換えれば八木は『ワン・フォー・オール』にとって都合が良すぎるほどに完璧な肉体と戦闘的才能があったってわけだ」

 

やっぱり、オールマイトはすごいんだ。

だから僕がオールマイトと同等のパワーを出しても、差が大きくあったってわけなんだ。

 

「話が少し脱線しかけたが、あの脳無を奴らは切り札と言っていた。だが奴が裏で大きく関わっているのなら、その『切り札』という点は捨てたほうがいいだろう」

 

「おまけに『超再生』っていう自分が持っていた方がいいに決まってる"個性"を、あんな簡単に駒に使うわけがない。今現代の科学などは発展しているんだ。きっと、"個性"の複製を可能にしている可能性が高い」

 

「"個性"を複製って……」

 

「言った通りだ小僧。疑似的な心臓などが出来ている現代、超常であるならば"個性"そのものを複製する技術はあるはずだ。ないにしても、いずれその可能性に気づき、見出し、達成する者が現れるのもわからなくはない」

 

「それが今、あの魔王の下についているってわけか。気に食わねぇな」

 

"個性"を遺伝的とかではなく、まったくそのものを量産するってことだよな?

そんなことが出来るなんて、じゃああの脳無も……。

 

「そう、奴にとっては『雑兵』レベル。オールマイト級を量産し雑兵として放つ。ヒーロー飽和社会と言われているが、それを簡単に崩すことが可能になってしまう」

 

「おまけに奴は奪うことが出来るからな。優秀な"個性"をかき集めては、個体によって能力は違おうと、『超再生』は必ず保持している可能性が高い」

 

「つまり……『オールマイトが僕みたいに複数の"個性"を持った』。って感じですね?」

 

「わかりやすく言えてしまえばそうなる」

 

考えて、想像するだけでゾッとするぞこれは。

しかもそれが雑兵だなんて……。

 

「問題はそこだけじゃない。死柄木と『ワープゲート』は逃走した。つまり、兄さんに『ワン・フォー・オール』が今どういう状況なのかが把握されたってことになる」

 

「対峙は定められているが、今回の戦いで気づかれるのは痛手だね」

 

「いずれは対面するんだ。遅かれ早かれだろう」

 

皆さんの話を真剣に聞いていると、突然クラっと身体が倒れかけた。

 

「そろそろ起きるころか。坊主! 身体への負担は激しいと思うから覚悟しておけよ!!」

 

「あ、はい…!!」

 

そこで僕は一度意識が途切れた。

 

 

——◆——

 

 

瞼を開けた。

照明に、青い天井……ここは。

 

「――目が覚めたかい?」

 

「ギョ!?」

 

『リカバリーガール』が顔を覗いてきて、ここが保健室だってことは分かった。

 

「今回は事情が事情だからあまり言えやしないけど、あんた、身体に無茶させ過ぎだよ。肉離れに骨折と酷すぎる状態だったさね。一人で相手するしかなかったとはいえだよ」

 

「す、すみません……」

 

毛布をはがせば、腕や足に包帯が多く巻かれていた。リカバリーガールも、「一回の『治癒』じゃ難しいから、明日の朝にもする」と言っている。

 

(まったく、さっきは言わなかったが本当に無茶しすぎだぞ九代目)

 

ご、ごめんなさい六代目……。

 

(クラスメイトの、俊典のためとはいえ、やられたら元も子もないんだ。今は休むことに専念するんだぞ? 無理にでも鍛えようとしたりしたら、できるかわからないがしばらく身体は預かるからな)

 

えっ!?身体を預かるってどういう意味ですか!!?

 

(いった通りさ坊主! 俺たちは心だけの存在、いわば幽霊!! そう! ならばホラー映画とか番組でよくあった憑依して身体を奪うっていう奴さ!!)

 

(それぐらい君は今回無茶をし過ぎたってことだ)

 

五代目に四代目まで……プライベートはどこへ……って、そういえばオールマイトは!?

 

「目が覚めたかい緑谷少年」

 

「ッ! オールマイト!!」

 

隣から声が聞こえて振り向けばオールマイトが同じようにベットの上にいた。

思わず身体を起こせば、全身に痛みが走ってとても痛い。

 

「無理に起きなくていいよ。いやしかし、君には本当に無理をさせてしまったな……私はとても情けないよ」

 

「そんなこと! 僕も、もっと"個性"を使えていれば……」

 

「それでもさ! しかし…私また活動限界早まったかな。一時間くらいはまだ欲しいんだが……」

 

「えっ…!?」

 

活動限界が早まったって…まさかあの戦いで残り火が一気に……!?

 

「まぁ仕方ないことさ! こういうこともある」

 

包帯を身体に巻き付けているその姿は、オールマイトの限界を、引退が近いことを物語っているようだ。すると扉の開く音が聞こえた。

 

「オールマイト、久しぶり」

 

「塚内君! 君もこっちに来てたのか!」

 

警察…?あっ、と言うかオールマイトの姿が!!

 

「オールマイト、姿が!!」

 

「あぁ大丈夫。彼は最も仲良しの警官、『塚内直正』君だからさ」

 

「なんだその紹介? 早速で悪いがオールマイト、(ヴィラン)について詳しく……」

 

「待った、待ってくれ! それより生徒は皆無事か? イレイザーヘッドと13号は?」

 

そうだ……他の皆もバラバラにされているから…みんなは無事なのか!?

 

「生徒はそこにいる彼以外で軽傷数名。教師二人もとりあえず命に別状なしだ」

 

……そっか、良かった。

 

(君は逆に重傷だからな? 本当は全員無傷とかの方がいいんだが……)

 

(そこまでの贅沢が出来たら世の中辛くないさ煙)

 

……はい。

 

「三人のヒーロー、そしてそこにいる緑谷くんが身を挺していなければ、被害はより大きかっただろう。本当は彼もせめて軽傷で済んでほしかったんだがな」

 

「す、すみません……」

 

「いやいいさ。今回は事情が事情だ。正当防衛として見られる。それじゃ、二人にも(ヴィラン)について詳しく聞かせて欲しい」

 

「……塚内君、その話をするならまず人気が少ないときに頼みたい。尤も、今がちょうどいいんだがな」

 

オールマイトは転々と、(ヴィラン)のことを…死柄木弔のことを話していった。

その際、塚内さんは『OFA』の秘密の共有者でもあったことから、僕のことも話した。

ちなみにリカバリーガールもまた共有者の一人だった。

 

「まさか、奴が生きているとは……ならそれを視野に入れて捕らえた脳無という(ヴィラン)を調べるとしよう。幸い無抵抗だからな」

 

「あぁ、よろしく頼むよ」

 

奴が、魔王が生きていること確定した。

そしてその魔王が仕向ける(ヴィラン)連合によるUSJ襲撃は――後から起こる大事件への始まりに過ぎない。

 

 

——◆——

 

 

僅かに光る照明によって薄く照らされている暗い施設。そこに一人のスーツを纏う男性と一人の白衣を羽織る老人がいた。

 

「――それは本当かい? 弔」

 

『あぁ……脳無みてぇに"個性"を複数使う地味なガキがいやがった。しかもオールマイト並みの速度と、及びはしないがそれに届きうるパワーも引き出していやがった』

 

「何と、ただの一般人が複数持ちとはのう……」

 

『可能性ではありますが……関連性が全くない力をいくつも使用していたところから、そうであるかと』

 

スーツの男性の前に置かれた液晶画面には、負傷し血を流す死柄木弔と黒霧が映っている。

男性と老人は、二人と会話をしていた。

 

「それに関してはこちらで調べるとしよう。オールマイト並みのパワーを持つ脳無を早々に失ったのも痛手だが、それ相応の情報は得られたんだ」

 

『あのガキが邪魔しなければオールマイトを殺せたかもしれない…脳無と渡り合えるからあそこで殺しておけば余計にだ……! クソっ、クソォ!!!』

 

「悔やんでも仕方ないさ! さっきも言ったがそれ相応の情報は得られたんだから。だからこそ精鋭を集めよう弔! じっくり時間をかけてね。だけど僕たちは自由に動けない。だから君のような『シンボル』が必要なんだ死柄木弔! 次こそ君という恐怖を世に知らしめろ!」

 

男性は通信を切った途端、笑っていたその口が、さらに笑い出す。

 

「……そうか…そうか! 弟が、歴代継承者たちが『ワン・フォー・オール』と共に、受け継がれていたとは!! 臓器移植を受けた人間の性格や嗜好が変化したという話。半ばオカルトのように語られるがいくつもの事例が報告されている。臓器、細胞に記憶が宿っていると言われるように、"個性"因子には意思が宿っている! そしておそらく、いや十中八九! 僕の血縁者である弟と、継承していった者たちの意識がある!! ドクター、君の説は立証したよ!!!」

 

「ほっほっほ! 何を言うかと思えば、元々先生の方でほぼ立証していただろうに」

 

「それでもさ。いや奪えなかった時点で大体わかっていたが、これはほぼ確信へと至ったと言っていい。それが今やオールマイトではなくその少年の中にあって、僕と同じように複数扱う存在となっている。弟よ……――君に会える日が待ち遠しいよ」

 

その不気味な笑みは、再会が待ち遠しい者のようなものだった。

 

 

 

 







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