僕のヒーローアカデミア 継承の黎明   作:伽華 竜魅

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誤字報告ありがとうございます。

来年の五月に追加エピソードのアニメ化が決まって私今はっちゃけ状態です!
これでまだ生きれる……生きる目的が出来たァ!!!
あとジャンプフェスタ行きたかったけど行けませんでした此畜生!!!

けどその代わり、この間当選で当たったswitch2が届いて嬉しいです。
そんなこんなで、続きへ行ってらっしゃいませ。




彼の過去と第一回戦

 

 

 

 

騎馬戦が終わって昼休憩に入った。

けど、僕は轟くんに呼ばれて関係者以外立ち入り禁止の入り口付近まで連れて来られていた。

轟くんは、話があるとだけ言って、今は黙ってる。

 

かっちゃんとは違う、冷たい威圧感が、僕を襲っていた。

 

「……俺の親父が『エンデヴァー』だってのは、知ってるだろ」

 

「う、うん…」

 

「万年No.2のヒーローだ」

 

オールマイトに続くNo.2として君臨し続けたフレイムヒーロー。

けど、何で急に?

 

「親父は極めて上昇志向の強い奴だ。ヒーローとして破竹の勢いで名を馳せたが…それだけに生ける伝説、オールマイトが目障りで仕方なかったらしい」

 

オールマイトが目障りって……ッ!

轟くんの気配が、『危機感知』が鳴ったことで変わったのが分かった。

憎悪や敵意を感知したから……そして顔も変わってる。

 

「親父はオールマイトを超えようとしたが、自分ではオールマイトを超えられねぇと気付いて、次の策に出た」

 

「さっきから何の話なの轟くん…僕に……何を言いたいの……?」

 

「……"個性婚"、知ってるよな」

 

"個性婚"って確か"個性"が発見された超常黎明期から世代が進んだ、俗に第ニ・第三世代と呼ばれる層で生じた社会問題だって中学の時に歴史の授業で習った。遺伝するという性質に目をつけ、次世代の"個性"をより強力なものにするために配偶者を選ぶ。

強い子どもが生まれれば、それで家は安泰。

 

前時代的な倫理観の欠落した発想……けど社会問題になる程度に横行した。

待てよ…てことは轟くんの"個性"は実質二つの"個性"を有するようなものだから……。

 

(まさかこの時代にもそのようなことをする奴がいるとはな)

 

(皮肉だ。奴からしたらいい品が新しく出たみたいなものだぞ)

 

「実績と金だけはある男だ……親父は母の親族を丸め込み、母の"個性"を手に入れた。俺をオールマイト以上のヒーローに育て上げることで自身の欲求を満たす…鬱陶しい……! そんな屑の道具には、俺はならねぇ」

 

すると、自分の火傷痕がある左の顔を触れた。

 

「記憶の中の母はいつも泣いている……『お前の左側が醜い』と母は俺に煮え湯を浴びせた」

 

ゾッとした。

実の親にそんなことをされるなんて……。

 

「ざっと話したが、お前に突っかかんのは見返すためだ。クソ親父の"個性"なんざなくたって……いや、使わず一番になることで――奴を完全否定する

 

あまりに違う世界の話で……正直ビビって理解が追いつかない。

目指す場所が同じでも……こうも違うのか……。

 

「だからこそ聞きてぇ、お前も……"個性婚"で意図的に生み出されたのか?」

 

「――え?」

 

「お前の"個性"、自分では一つだと言い切っているが、俺からすればどう見たって複数だ。いや、全員が同じだと思う。今俺が知る限りのお前の能力は、『身体能力強化』『空中浮遊』『黒い鞭のようなもの』『煙幕』さらに『爆発的な力の一撃放出』。最後のは、身体能力強化の応用だと思うが……それ以外の三つはどうも結び付かねぇんだ。他の連中は今のまま納得しているが、俺からすれば、俺みたいな形で説明したほうがまだいくつか納得はいく」

 

つまり……『OFA』と歴代の"個性"を併用する僕の姿は、轟くんからすれば自分と同じ"個性婚"で生み出された複数持ちってことか。

 

「ち、違うよ!? 僕家ではお母さんと二人だけだし、お父さんは海外に単身赴任してるしで……それに、僕の場合は突然変異で、お母さんとお父さんの"個性"はまた別なんだよ」

 

「……じゃあ何で複数なんだ」

 

「それは前にも説明したとおりだよ……正直、僕自身も分からないことだらけでもあるから」

 

と、とりあえず言い訳したけど……明らかに納得できないって顔だなこれ。

 

「……まぁいい。言えねえなら別にいい。けどな、お前がそれらの"個性"を使おうと、俺は右だけでお前の上に行く。時間取らせたな」

 

「――僕は」

 

背を向けて、雄英校舎と向かう轟くんに言う。

その凄惨な過去に何言う資格がないのは分かってる。僕のとは全く違う重いものを背負っているのも分かってる。

 

僕は恵まれて、今こうしてここに立っている。

轟くんとは覚悟は違うけど……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

轟くんは振り返ることなく立ち止まって、僕は彼を見る。

 

お母さんは、最終的に僕の夢を応援してくれた。

オールマイトは「ヒーローになれる」と言ってくれた。歴代の方々が支えてくれて、今も傍で支えてくれている。

 

まだ僕の一方的だけど、かっちゃんにライバル視するようにもなったんだ。

 

「オールマイトみたいになりたい。一番になると決めて、僕が来たって知らしめるためにここに来たんだ……だから、宣戦布告――僕からも返すよ

 

振り返った轟くんの目をしっかりと見て、拳を握りながらはっきりと口にした。

 

「――僕も君に勝つ!」

 

何も言わず、轟くんは再び背を向けて去って行く。

 

(随分とカッコよく言うようになったじゃないか坊主!)

 

(それもだけど出久くん、君の抱いている奥底の想い…それってもしかしてだけど……)

 

大丈夫です。

目的は忘れていませんから。

 

 

——◆——

 

 

轟くんの凄惨な過去を聞いて、昼休憩をとって午後の部。

何故かうちのクラスの女子だけがチア衣装を着たり、トーナメントの発表の際、尾白君とB組の庄田君が棄権して、穴埋めと騎馬戦の結果から鉄哲くんと塩崎さんが繰り上がり、トーナメントが決まった。

 

そんな僕の対戦相手は、サポート科の発目さんとはまた別の普通科の心操って人だ。

そう、他クラスが僕たちの偵察に来た時に宣戦布告してきた人だ。

挨拶されたから返そうとしたら、尾白君に止められたけど、彼の"個性"を警戒してのことみたい。

 

レクリエーションがあるから、その間に彼の"個性"についていろいろと話したけど、内容を聞いただけでもゾッとするぐらい強い"個性"だった。

『洗脳』の"個性"……発動条件は『対象と言葉を交わした際で、洗脳された者は衝撃を受けると解かれる』…ってのが尾白君の情報だ。

それらを知ったうえで攻略……あの時、少なからず尾白君は自身の悔しさもあったからなのか、『勝ってくれ』と、彼の瞳はそう言っていた気がした。

 

その間にも時間は進み、あっという間にレクリエーションは終わってトーナメント戦。

一回戦の…僕と心操くんの戦いが始まろうとしていた。プレゼント・マイクのアナウンスが響く中、僕は入り口で待機していた。

 

緊張する……。

 

「――HEY!」

 

声をかけられて後ろに振り返るとトゥルーフォーム姿のオールマイトが立っていた。

 

「『ワン・フォー・オール』に歴代の"個性"、最高に使いこなして来てるな!」

 

「オールマイト…はい。この日までに歴代継承者の皆さんの指導の下、日々トレーニングしてきましたから……でも、まだ不安ですし、全部が安定しているわけじゃないです……」

 

「うむ…ちなみに今は何%まで使えるんだい?」

 

「通常は20で、インパクトの瞬間なら、身体に負荷は伴いますが30%まで…」

 

「いや十分凄いじゃないか! こう言っちゃなんだが、歴代の皆さま方がいなけりゃ安定しても5%だと思っていたよ」

 

ご、5%…今よりも全然低い……いや、『フルカウル』を習得した際は5%だし、あながち間違ってないか。

 

「でも、改めて思うと本当に僕って、皆と運に恵まれたって感じがしますが……――ぐえっ!?」

 

「――そこは素直に「ありがとう、頑張ります」でいいんだよ! ナンセンスプリンスめ! 君の目指すヒーロー像はそんな儚げな顔か!?」

 

オールマイトに頭と喉を打たれた。痛い……。

 

「いいかい? 怖い時、不安な時こそ笑っちまって臨むんだ!! ここまで来たんだ、虚勢でもいい。胸を張っとけ! 私が見込んだってこと、歴代が見守ってるってこと、忘れるな!!」

 

マッスルフォームになってサムズアップで僕を鼓舞してくれる。

維持する時間は限られてるのに……ありがとうございます!!

オールマイトに背を向けてプレゼント・マイクの声と共に、僕は入場を始めた。

 

『第一回戦!! 障害物、騎馬戦どちらも一位と大胆不敵なのになんだその顔!? ヒーロー科、緑谷出久』

 

そ、そんな顔変かな…!?

 

『バーサス!  ごめん、まだ目立つ活躍なし! 普通科、『心操人使』!!』

 

お互いにステージに立つ。

落ち着け…まずは開始と同時に『フルカウル』を纏って『黒鞭』で即拘束。

そのまま喋らせる暇もなく場外に出せば僕の勝ちだ。

 

一瞬でいい。その一瞬で勝敗が決まる。

 

「――『参った』か……これは心の強さを問われる戦いだ。強く想う将来があるなら、なり振り構ってちゃ駄目なんだ。あの猿はプライドがどうとか言って辞退したけどさ……チャンスをドブに捨てるなんて――バカだと思わないか?

 

『スタート!!』

 

開始と同時に『黒鞭』で捕縛する。

君のその挑発的な言葉は、君の"個性"にとっては必要なことなんだろ?

でも、分かってさえいれば対策は可能だ……けど、さっきの言い分は正直物申したくてしょうがない。

 

「……ちっ、やっぱりあいつから聞いてたか。いいよなヒーロー科は! お互いに助言もしあって、勝ちあがって、注目浴びて!!」

 

そうだね…君の"個性"を聞いた時から精神系なのは分かっていた。

だからこそあの試験だと攻略は無理だって悟ってしまう。

 

「羨ましいよ!! 俺と違って"個性"がいくつもあってよ!!!」

 

「ッ! これは――」

 

――しまった!意識が…!!

身体が、動かない…!!!

 

『あれ!? 緑谷完全停止!? 急にアホ面になってビクともしねぇし"個性"も溶けたぞ!! 心操の"個性"か!!? 全っ然目立ってなかったけど、彼ひょっとしてやべえ奴なのか!?』

 

『心操の"個性"は強力だ。あの入試はつくづく非合理の極みだよ、あぁいうやつを落としちまう』

 

クソ…せっかく尾白君が忠告してくれたのに…!

思わず反応してしまった…!!

 

(へいへいへい何やってんのさ九代目、お友達が注意してくれたってのに)

 

(まぁいいさ! 俺らがいるんだから『洗脳』なんてすぐに解けるさ!!)

 

(……ちょっと待ってくれ)

 

(? どうしたんだい志村くん)

 

(あぁ…すまない、出久くん……)

 

へ?あれ、身体が…!?

 

「……は?」

 

身体が勝手に動いてる…!?

待って!?七代目、今の謝罪ってもしかして…!!!?

 

「……ハハッ、まさか『洗脳』がきっかけで私たちも身体を動かせるようになるなんてね。幽霊って実感がより湧いてくる」

 

「おい! なんで動ける!? 『洗脳』は解けてないはずだぞ!!」

 

七代目!?なんで…!?

 

(アイツの"個性"だ。小僧、お前はこうして俺らと会話できているが、あくまでそれは精神。肉体的、現実では『洗脳』にかかっている。"個性"の影響を受けているのはお前の精神で、お前だけが封じられているって形が大きい。結果、『ワン・フォー・オール』の内側にいる俺らが取り残された肉体に意識としても干渉できるようになったということだ。それも偶然にもだ)

 

「男の肉体ってこんな感じなんだな……なんか、違和感ありまくりだ」

 

あぁ!やめてくださいぃ!!

 

(志村さん、それはさすがに坊主がきついぞ…俺らにとっても……)

 

「……とりあえずだ。すぐ現実に戻す。お友達が言うには物理的衝撃が必要だから……ふんっ!!」

 

七代目がそのまま自分の、僕の顔に握り拳をぶつけた。

 

『な、なんだ!? 緑谷自分の顔を殴ったぞ!!?』

 

「お、強制的に引き戻される……」

 

(おそらく九代目の意思で変わったわけじゃないからだ。彼が自ら許可でもすればそうはならないだろう。だがこの戦い、こちらにとっていい収穫になった)

 

「そうですね、じゃあ頑張れよ、出久くん」

 

……いろいろとあれですけど、ありがとうございます、七代目!!ッ!意識が現実に戻った!!

 

「『黒鞭』…!!」

 

もう何もさせない!『黒鞭』を伸ばして捕縛と同時に口を――

 

「くっ…! 俺はこんな"個性"のおかげでスタートから遅れちまった…恵まれた人間にはわかんないだろッ!!!」

 

その気持ちは痛いほどわかる……僕だって去年まではそっち側だったんだ。

だけど……そうさ、僕は恵まれた。

 

「誂え向きの"個性"に生まれて、望む場所へ行ける奴らにはよォ!!」

 

人に恵まれた!だからこそ、僕だって負けられないんだ!『黒鞭』で捕縛したまま、『フルカウル』を纏って身体能力を上げる。

そしてそのまま場外へ!!

 

「――心操君場外! 緑谷君、二回戦進出!!」

 

歓声が響き渡る。

でも、全然笑えないな……。

 

「君の……君の"個性"はとっても強いよ。ヒーロー向きだ」

 

「……はぁ? なんだよ突然」

 

"個性"を解除しながら続ける。

 

「人質を取られた時、立てこもりをされた時、敵も味方も無血で事態を収めることもできる凄い"個性"だと思う。ただ、分かりやすくヒーロー科向きじゃなかっただけだ。なにより、君がヒーローであることを望んでいるそれが一番大事なんだって、僕は思う」

 

「……思ってるだけで、なれるんなら苦労しない。いいよなぁ! 分かりやすくヒーロー向きで、派手で、強力で、カッコいい"個性"の持ち主は」

 

「――本当に、そうだったらよかったのに……」

 

気が付くとそう言ってしまった。

『OFA』は強大で、強力で、本当にすごい力だ。

歴代の"個性"も、『OFA』を受け継いだ歴代の方々も。

 

だからこそ、僕は受け継いだこの力を、一度たりとも自分の"個性"だって胸を張れたことはない。

言えるわけがない…こうして使ってるけど、まだまだ未熟でちゃんと使えこなせた気がしないんだ。

 

「……事前に、言われてたんだ。結果によったらヒーロー科の編入も検討するって。だから、褒められた事じゃないかもしれないけど、騎馬戦の時は、協力を仰いだりしないで、黙って洗脳を使った。それでも、あっさり一回戦で負けちまったけど」

 

……そっか、心操くんは優しくて、ただヒーローになりたい一心だったから、あまり周りを気にする暇がなかっただけなんだ。

周りを聞けば、プロたちが心操くんを高く評価してる。きっと、彼が僕たちと同じヒーロー科に来るのも遅くはないはずだ。

 

「でも、今回駄目だったとしても……絶対諦めない。ヒーロー科入って、資格取得して、絶対お前らより、立派にヒーローやってやる」

 

「うん。君ならでき――」

 

あれ!?なんで『洗脳』が…!?

 

「普通俺と話すと人は構えるんだけどな…そんなんじゃ、足元掬われるぞ。せめて、みっともない負け方はしないでくれよ」

 

『洗脳』は一瞬で解かれた。

心操くんが背を向けて出口へと向かう……そうだ、気を抜いちゃいけない。

まだ一回戦なんだ。

 

この先のトーナメントで勝ち進んで、示さなきゃいけないんだ。

僕が来たってところを…!!

 

 

 

 





ぶっちゃけ魔王と死柄木の意志が混ざったり変わったりするカラクリがちょっと分からない。
緑谷の方は原作ではなかったしで。

だから歴代がもう発現している今、心操くんの"個性"によって完全に歴代と肉体の支配権を交換するということをできるようにしました。

外から見たら弟子に叱られる師匠の構図も出来ちゃったりしますねこれで。


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