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決勝戦が終わりステージは大崩壊となった。
それも緑谷対轟戦をも遥かに超えた会場の崩壊。
修復も長時間の作業となったが無事に終え、閉会式を行えるようになった。
「それじゃあ表彰式を始めちゃうわよ!」
ミッドナイトの声に合わせ、会場地下から上位四名の乗る土台が浮上する。
しかし競技大会などの上位三位から一位までの、よく見る土台の凸な形ではない。
一つ一つが台となり、円柱型で独立している。
そんな表彰台、三位の台には常闇が一人。
もう一人の飯田は家庭の都合により早退となっている。
そして真ん中の一位の台には、全身や右頭部から右目までも包帯を巻いており、右腕にはギプスを付けた挙句、
彼もまたリカバリーガールのドクターストップによって本来ならば医務室にて安静にするはずだったが、彼の強い志願と絶対に"個性"などを使ってまで立ったりしないことを条件に特別に許されたのだ。
——◆——
閉会式前、会場修復時、医務室。
決勝を終えた僕とかっちゃんはリカバリーガールの治癒を受けていた。
最も八割ほどはお説教だけど。
「全くアンタらは何をやってるんだい!! これもう
「かっちゃんは『爆破』だけです…リカバリーガール……」
「じゃあなんでアンタのあれ程の攻撃を受けてこうして身体が残ってるんだい!!?」
確かにリカバリーガールの言い分も、なぜかわからないけど、どこの誰かもわからない謎の人達の疑問…熱いバトルよりも疑問が大きくて指摘してくる人たちの声が聞こえる気がする……ちなみに僕もかっちゃんもそれぞれベッドの上に身体のあちこちを包帯で巻かれて寝かされている。
かっちゃんは気絶してるのに加えて念のためなのか、呼吸器も付けられているけど。
ちなみに僕の身体は『変速』の反動後に無理やり『黒鞭』で動かしたり『発勁』を溜めるために内側から伸縮した影響もあって指先すら動かせない。
それもあってかあの戦いで『黒鞭』で動かしながら戦っていた際に
例えばインパクト30%を意識してやっていたけど、実際身体への負荷も大きすぎて無意識的に5%あたりになっていた可能性が高い。
正直、本当かどうかはわからないけど。
(小僧、この際ハッキリ言うがお前の幼馴染は確かに異常だ。『ワン・フォー・オール』に加え、強化された俺たちの"異能"を総動員して戦ったにもかかわらず、アイツはお前に食らいついたんだ。言い方はあれだが、本来なら肉体が完全に朽ちて死んでいないとおかしいレベル。にもかかわらず奴は耐え、あろうことかお前に食らいついた)
かっちゃんはタフなんですけど、確かにあれは僕もおかしいと思いました。
(もしかしたら九代目が無意識下で殺さないようセーブしていたんじゃない? 人間って脳を100%は使ってないし、身体にリミッターを掛けているんだ。それと大体同じ原理じゃないのか?)
(それでも私らの"個性"は強化されてるし、疑似的とはいえ120%も出していたんだぞ?)
…………。
(坊主、
気のせい、だったかは分からないんですけど……微かな違和感を覚えたんです。
あの時、最後の一撃を放つとき、かっちゃんがただ爆炎と煙幕を纏っただけじゃなくて、その両手がいつもの火花じゃなくて、
そこからかっちゃんの『爆破』の威力も上がったような気がして……。
(火事場の馬鹿力ってのはよく聞くが……もしかしてあの戦いで何かしらの覚醒の示唆が?)
わかりません……見間違いの可能性もありますし。
(……俺とリーダーが生きていた時代からも、死地での危機感による"異能"の爆発的覚醒の示唆や覚醒そのものは起きていた。もしかしたら彼自身も予期せぬ、兆し程のものによって食らいついた可能性もある)
(結論だけ伝えろブルース)
(要するに九代目が『ワン・フォー・オール』を継承し発現した際と同様、
『OFA』と同じってどういう……?
(本来なら出久くんが継承した段階でもまだ干渉することはできなかったはずなんだ。特異点はとうに過ぎても、時はまだ満ちていなかったはず。にもかかわらず君が継承した段階でその時が満ち、私らは干渉し歴代の"個性"も扱うようになった)
(まるで一つの変化がゆっくりと効き目の遅い毒のように、周りに広がり感染させるようにってことさ)
そんなことが……でも、なんで?
(わからない。だが少なくとも彼は今出しきれる九代目の全力に追い付こうとし、"
かっちゃんの奥底に眠ってる新たな力が、それに応えようとした……なんか、漫画みたいだな。
そう思ってると、扉が開いた。
視線だけを向ければ、トゥルーフォームのオールマイトが入って来ていた。
「緑谷少年、無事かい?」
「はい…オールマイト……会場は? 僕、無我夢中で……」
「無事の確認をしておいてなんだが無理に喋らなくていい。会場は君と爆豪少年の戦いの影響で大崩壊。轟少年との際に起きた崩壊を遥かに上回っているよ」
「す、すみません……」
そこまでか…周りを気にしないなんて、やっちゃったな……。
「……はぁ、あんた、今日中に回復は無理だよ。疲労とダメージが蓄積しすぎてる。爆豪も今日はもう目を覚まさないだろうさ。いや、むしろ覚ます方がおかしい。会場の修復が終わっても表彰に出るのはやめといたほうがいい。自分でもわかってるんだろう? 身体が動かせないこと」
うっ、見抜かれてる……でも、上位に入って、表彰台に乗れる機会は得たんだ。
オールマイトとの約束、守りたい……。
「『黒鞭』で…無理やり動かせば――」
「――戦わないとはいえなんでまた無理に動かそうとするさね!! ハッキリ言わせてもらえばドクターストップだよ!!!」
「うっ……」
「……はぁ、そこまで出たいのかい?」
「…はい……約束、しましたから…僕が来たってところを、世界に、知らしめるのを……」
するとリカバリーガールはオールマイトを睨んで腹パンをかました。
「何無茶な約束させてんだい!! この子にとってあんたがどれほどの存在かわかるだろ!? そんな約束したらここまでしちゃうのも嫌でも納得しちまうよ!!」
「必要なことなんです…リカバリーガール…! あと痛い……」
リカバリーガールはオールマイトに叱った後、僕はそれでもと志願した。
リカバリーガールは結局折れて、条件を飲むのなら許可すると言ってくれた。
——◆——
そして現在。
余談だが司会進行役として閉会式も務めるミッドナイトからも止められていたりしている。
しかしそれでも二位と一位がいないのは本末転倒でもあるため、彼は内心必死だったのもある。
「爆豪、本当に医務室でまだ気絶してんだな」
「仕方ないわ。あの戦いだったもの。むしろ緑谷ちゃんがやばいわ。あそこまでして表彰台に立つなんて」
「ミッドナイトにも止められたらしいぜ?」
「教室に戻るとき手ェ貸してあげんと!!」
彼の姿を見たA組らは心配の想いが強かった。
そんな彼らの話もほどほどに、ミッドナイトの声が響いた。
「それじゃあメダル授与をするわよ! そして今回メダルを授与してくれるのはもちろん――この人!」
瞬間、誰もが知る笑い声が響き渡り、観客たちは全員自然と笑顔となった。
「私がメダルを――」
「――我らがヒーロー! オールマイトォ!!」
「――持って来たァ!!!」
マッスルフォームにて派手に、完璧に登場……とはいかず、完全に打ち合わせミスによる被りが発生した。結果しばしの沈黙と、オールマイトが無言の訴えをミッドナイトへ向け、ミッドナイトは静かに謝罪を送る事態となった。
(打合せしてなかったんだね、八木くん)
(万縄先輩…笑いすぎですよ……!)
(お、お前だって、笑ってるじゃねぇか……!!)
「(お二人とも笑ってますよ……)」
それを目の前で見ていた緑谷は苦笑いをしているが、内側で見ていた歴代継承者のうち五代目の万縄は爆笑し、六代目の揺蕩井も必死に笑いをこらえている。
ちなみに二代目、三代目、四代目は無表情にして、七代目は頭を抱え、初代は微笑んでいた。
一方でオールマイトは気にしていちゃいけないと、すぐにメダル授与へと移る。
そして三位からメダルが授与されて行く…が、表彰台に立っているのは三位と一位の二人だけである。
故に常闇に授与と励ましやアドバイスなどを送ったオールマイトは、すぐさま一位の台へと移動した。
「緑谷少ね――っておい!? 泣くな!! あ、もしかして傷が痛むのかい!?」
「違いまっ…! 嬉しく、て…!!」
ザ・重傷者に加え動けないが故の車椅子に乗った状態の緑谷は、その片目から涙を、涙腺を突破し大量に流していた。
それを見た他の生徒らは「締まらねぇ」と満場一致で思っていた。
「それならいいが……まぁとにかく! 体育祭を通して見せてもらったよ。君の力、能力、成長、全てをね。君と爆豪少年のぶつかり合いはまさに全力を掛けた魂のぶつけ合いだった。燃え尽きようとも抗い続けるその姿もまた素晴らしい。そしてこれ以上は語るまい。ただ君の描くビジョンを掴み取るためにそこまでボロボロになることはよろしくないから、そこら辺の改善をちゃんと覚えて、笑顔でいような!!」
「…ッ、はい! ありがとうございます、オールマイト…!」
教師、師匠の二つの意味も込めて今回の傷の指摘も入れつつ、彼は緑谷へと一位のメダルを掛けさせた。緑谷はそれを手で持ち見つめることも叶わない故、ただゆっくりと顔と目だけを下に向け見つめる。オールマイトも再び緑谷が顔を上げたのを確認して、優しく抱きしめ、終えれば正面のカメラに向き直る。
「さぁ今回の勝者は彼らだった! しかし皆さん! この場の誰もが、ここに立つ可能性を持っていた! ご覧いただいた通りだ……競い、高め合い、さらに先へと昇っていくその姿! 次代のヒーロー達は、確実にその芽を伸ばしている! てな感じで、最後に一言! ご唱和ください! せーの――」
オールマイトの合図に合わせて、誰もが口を揃えてあの言葉を叫ぶ。
「「「――Plus Ultra!!!」」」
「――お疲れ様でしたァ!!」
最後の最後に締まらない終わり方にブーイングが会場を包み込んでしまう。
オールマイトも思わず腰を低くしてしまっていた。
——◆——
体育祭を終え翌日。
体育祭当日を終えて帰って来た僕の姿を改めて見たお母さんは泡拭いて倒れたりして大変だった。
今は朝食を取りつつ家で安静にして、後々うちにまでリカバリーガールが出向いて治癒をしてもらう予定だ。
右利きだから食事をするの大変だけど、『黒鞭』を使えばちょっとは楽だ。
「七回よすごくない!? 騎馬戦から私七回も気絶しちゃった。そのうちラスト二回はほぼ脱水症状によるもの!」
「僕なんかより、よっぽど壮絶だったんだね……」
「そりゃそうよ。急に"個性"出たなんて聞かされて、しかもそれがいろいろできちゃう上にリスク付きのバキバキパワーもあるしで……ただね、応援はするけど、それは心配しないってことじゃないよ」
お母さんはご飯を食べながら心配の眼差しで言ってきた。
僕は自分の憧れを追いかけて、歴代の皆様の期待に応えるため、そしてこの先衝突する未来に備えるためのことでいっぱいで、見てくれる人を不安にさせていた。
今後は皆の期待に笑って答えられるような、誰も心配することのない、僕なりのやり方を見つけないと。
「出久録画見る!? 高画質よ高画質!!」
「後で一人で見るよ…それにリカバリーガールも来るから……」
お母さんはいろんなことで元気と心配が出てるなァ……。
Q.爆豪の覚醒の示唆あったけど本人気づいてるの?
A.気づいていませんが、感覚的には残っているため多少の違和感を覚えてる程度です。
Q.緑谷はどうやって帰った?爆豪はどうなったの?
A.今回ばかりは先生らに輸送してもらい、爆豪は目覚めてから説教を受けてから同じように輸送されています。
Q.爆豪の精神とか大丈夫なの?
A.どんな結果であろうと闇落ちだけはしないしさせませんので大丈夫です。
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