二話目です
『OFA』のとんでもない事実、それによる展開から八日。
オールマイトに『OFA』のことを告げようにも、入試以降、連絡が一切取れなくなっていた。
でも昨日、雄英から合格通知が届いて、立体映像と言う形で、しかもオールマイト自身が発表する形で映し出された。
オールマイト自身、雄英の教師になるということにも驚いた。
でもそれ以上に、あの時女の人を救けようとした行動が、秘密にされていたもう一つの実技獲得ポイント……
結果として、僕は雄英のヒーロー科に入学することが決まり、思わず涙を流した……それが昨日。
そして今日、僕はオールマイトにすぐに連絡した。
『『ワン・フォー・オール』のことで話があります。重要なことなので、なるべく人の少ない所で』
『OFA』のことを伝えれば、すぐに返事して急行して来てくれた。
場所はゴミが一切なくなったあの浜辺。
流石に時間は深夜帯にして、人気がない間だけど。
「詳しく説明してくれるかな、緑谷少年」
トゥルーフォームで来てくれたオールマイト。
僕は入試後の、継承者たちのことを話した。
『OFA』内にストックされた歴代継承者の意識と"個性"。
僕が継承した段階でコミュニケーションが可能になったこと。
『OFA』含めて、継承者六人の"個性"の発現し使えること。
そしてオールマイトが僕のために黙っていた、『OFA』の起源とその運命のこと。
「歴代との会話に"個性"……私の時にはそんなことはなかったが……君が初めてなのかい?」
「はい。初代も、僕が継承した段階でそれが可能になったと言っていました。今では普通に会話も可能です」
「信じがたい話だが……そうか、『力のストック』に"個性"も含まれていて、世代を超えて共に継承されてきたと」
するとオールマイトは話してくれた。
まだ『OFA』を所持していたころ、初代の面影が現れて「まだその時ではない」と言ってきたことを。
つまり僕は、その時ってことだ。
でも完璧にそうだという決定打がない。
だから、僕は七代目の"個性"『浮遊』を試しに発動させ、その場で軽く浮いて見せた。
まだ不慣れ故、下手したら落下の逆のように、上空へ上ってしまうけれど、それでもオールマイトの先代であり師範関係である人のなら、オールマイトも知っているはず。
「そ、それはお師匠の"個性"!?」
「はい。オールマイトなら、七代目の"個性"を見ればわかると思ったので」
「そうか……じゃあさっきまでの話は本当だってことだな。となるとだ緑谷少年」
理解してくれたオールマイトは話した。
『OFA』自体は超パワーとして説明はできるが、歴代の"個性"もあるとなると話は別。
幸い"個性"届は1~2回の更新が認められていて、その際に『OFA』をどういう"個性"として登録するか。
「そうだな……ざっくりであるが、『身体能力、そのエネルギーを別の性質に変えることが出来る』"個性"はどうだろうか? 名前は『性質変化』。まぁそのまんまな名前だが」
「いえ! それなら確かにある程度誤魔化せますね」
それなら"複数個性"でもうまく話を通せる。
制御の方も、歴代の方々が直接指導してくれるから、入学までにはある程度使えるようにしておかないといけないし。
「なら私は育成と共に歴代のことも調べておこう。確か四代目の方は、
「お願いします」
——◆——
合格して、入学までの時間は三週間。
その間に僕は『OFA』の制御と、歴代"個性"をある程度扱えるようにする。
だけど複数持ちは早々いないし、前まで"無個性"だった僕がいきなりそのトレーニングをしているところを、僕を知っている人たちにバレたら大変なことになる。
だからこそ、普段は誰も踏み入れないであろう山奥へと足を運んだ。
「よし、まずは『ワン・フォー・オール』の力、出力を調整して、骨折しないように……」
イメージで習得。
例えるなら…そう、電子レンジで卵が爆発しないイメージ……!!
(いや卵レンジに入れたら爆発するのは当然でしょ)
「どわぁ!!?」
いきなり六代目が声をかけて来て驚いてしまい、『OFA』が途切れてしまった。
「ろ、六代目……その、それって…」
(言った通りさ。卵をレンジに入れたら爆発するのがわかってるのに、それを
そ、それはそうなんだけど……でも、『OFA』を初めて使った時の感覚だと、それが最もわかりやすいイメージだったし……。
(俊典は継承した時には、身体の方はもう出来上がっていて、すぐに100%扱えてたからな。世間で言う所の天才肌ってやつだ。けどアイツ、教師やるって言う割に説明が下手だからね)
……まぁ、はい。
オールマイトは、「イメージで修練」「ひたすらイメージを続けなさい」って言ってたけど……。
(ならそのイメージを一度捨て、別のイメージ、考えをしてみたらどうだ)
四代目が出て来てそうおっしゃった。
イメージを、考えを変える……。
(例えば八木くんのマッスルフォーム。彼はあの姿になってから戦っている。君はトゥルーフォームで戦う彼の姿を見たことがあるか?)
「ない、です……ん?」
そうだ。
オールマイトは5年前、巨悪である
普段はトゥルーフォームでいるけど、活動中とかはマッスルフォームで……ッ!それって!
「そうか『全身』! 近くで見て来たのに分からなかった! オールマイトは戦う時一発一発に"個性"を発動しているんじゃなくて、
(どうやら、糸口を見つけたようだな)
「はい!」
そうと決まれば!
『OFA』を身体の一部からじゃなく、全体に巡らせるようにして、そこから僕の身体が耐えれる今の出力を……!!!
出力は全身5%で、纏うイメージ…!!!
僕の身体全体から『OFA』の熱を感じて、次にはわずかに光り出し、稲妻が僕の身体から溢れ出た。
(『ワン・フォー・オール』の制御、出来たじゃないか坊主!!)
「皆さんの、アドバイスのおかげ…です……!!」
(その状態で動けるか?)
「分か、りません…! けど! 試しますッ!!」
まだ意識していないと維持できないけど、これを身体を動かすのと同じように、無意識下で出来るようになれば、入試の時と大きく差が出る。
とりあえず動く!走る!飛ぶ!!ひたすらに続ける!!反復して、慣れるために!!
——◆——
それから数日、僕は『フルカウル』と名付けた身体常時強化の、保ってられる時間をひたすらに伸ばしていった。
歴代のアドバイスもあって、入学までにはもうものにできるかもしれないと言われて、今では自由に木々を飛び移ったりもできる。
でもやっぱり、身近で凄い人はかっちゃんだったのもあってか、無意識にかっちゃんの動きをまねたりもしていた。
(よっしゃ坊主! もうある程度『ワン・フォー・オール』を扱えるようになったんだ。次のフェーズに移行するぞ!!)
「えぇ!? もうですか!?」
そんな今日。
五代目が出てきて、次の特訓に入ると宣言した。
知っていたけど、その内容はやっぱり歴代"個性"を扱えるようにすること。
(君が思うことも分かるよ、九代目。『ワン・フォー・オール』をもっと扱えるようにって)
(だけど私らの"個性"も並列処理で扱えるようにするのもまた大事なんだよ。それで私らの中じゃ万縄の『黒鞭』が最も汎用性が高い。最初は『黒鞭』がいいと思う)
(俺もそう思う。万縄先輩の"個性"ってめっちゃ便利ですもん)
確か五代目の"個性"は『黒鞭』
『黒いエネルギー状の鞭を放出し捕縛から空中移動まで可能』にする、すごく強い"個性"だったはず。
(おうさ! だが前にも話した通り、俺たちの"個性"もまた『ワン・フォー・オール』の中で強化されてる。そして坊主、お前はそれを制御しものにしなきゃいけない。だからこそ、一日でも早く習得するのさ!)
「……わかりました。やります!」
『OFA』の中にある『黒鞭』を意識して、手から出すようにイメージする。
手を伸ばして……『OFA』と同じように、出力も……!!
「…ッ!!」
今だと、そう思い強く意識した瞬間、腕から黒いエネルギー状の鞭が放出される。
出来たと、そう思ったけど次の瞬間には猛烈な激痛が腕に伝わり、『黒鞭』が解けてしまった。
「くぅ…!!」
(5%でもいければ良かったけど、そう簡単にはいかないな)
(七代目の"個性"はあの時既に発動したことで、『黒鞭』よりは身体に負担なく使えるだろうが……)
(『黒鞭』を習得した方がいいよ。私がアドバイスすることもできるけど、『黒鞭』が使えればより空中での機動力も上がる。出久くん、いけるか?)
歴代がすぐに何がダメだったとか、扱えるようになれればこうなるって言ってくる。
その通りだ。まだ5%じゃ維持はとてもだけど、できない。
いや、それ以上に僕の身体がまだ収まっているだけの状態なんだ。
けど『黒鞭』と『浮遊』だけでも扱えるようになれれば、今後できることも大きくなるはずだ。
それに6つもあるんだ。
早くものにしないといけない。
「大丈夫です…もう一度やります!」
(頑張るのもいいが無理するなよ。身体がダメになったら元も子もないから)
「はい!!」
(継承する前からだけど、返事だけはいいよね九代目)
最低でも二つ、できれば三つだ。
その中で、歴代が勧めるのは『黒鞭』『浮遊』そして四代目の『危機感知』
これらは戦闘でも大いに活躍できる。
六代目の『煙幕』は指向性や操作が出来ないから扱い難いけれど、発動だけは一番簡単だ。
だけど逆手に取られるリスクがあるからこそ、『黒鞭』と『危機感知』を得てからのほうが、こっちに有利な状況をすぐに作れると六代目本人は言っていた。
"無個性"から"複数個性"は、僕すら想像することもできない展開。
血反吐を吐いてでも手にいれろ、緑谷出久!!
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