僕のヒーローアカデミア 継承の黎明   作:伽華 竜魅

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誤字報告ありがとうございます。

そしてROUND1コラボ、私行くお友達いないんでオンラインでグッズ買います。




保須事件

 

 

 

 

職場体験三日目で、二日目は非常に充実した日だった。

主にやったことはパトロールだったけど、それでも充分すぎるほどに充実だった。

三日目の午前は一日目と同じ実戦形式の訓練をしてもらって、午後からはまたパトロールに行くことになった。

 

「今回は(ヴィラン)の居そうなところをパトロールしに行く。俺とばかり戦ってると全く違うタイプへの対応で躓くし、昨日はパトロールだけだったからな! まぁ歴代の"個性"とお前さんのその成長速度なら問題はなさそうだが、(ヴィラン)にも様々なタイプがおるし、状況によっては不利になることは必ず起こる。今回はそれらの経験を積むフェーズってことだ」

 

「つまり三日目、今夜は本当に(ヴィラン)退治と言うことですか…」

 

(ヴィラン)との戦闘を経験しているんだ。大丈夫だろ。それにそんなでかい事件(ヤマ)には近づかんさ。ちょっと遠出するぞ」

 

そう言いながらタクシーを止めた。

遠出って、どこまで行くんだろ?

 

「昨日のパトロールでわかっているだろうが、ここいらは過疎化が進み犯罪率も低いから(ヴィラン)は早々出ない。その分都市部にヒーロー事務所が多いのはそれだけ犯罪が多いからだ。人口密度が高けりゃそれだけトラブルも増える。渋谷あたりは小さなイザコザは日常茶飯事なわけよ」

 

確かに、基本的に犯罪が起こる場所は街中が多いし、街外れとかはそういうのが起きないのも……というか渋谷?渋谷!?

 

「渋谷って!! 今からそんなハイカラな街に戦闘服(コスチューム)で行くんですか!?」

 

「ヒーロー同伴でなきゃ着られん服だろ? 昨日も普通に来て歩いてたんだから、今回は最高の舞台で披露できると思って喜びんさい!」

 

それはそうですけど…!

 

(俺らの中じゃザ・戦闘服(コスチューム)ってのは志村さんだけだもんな)

 

(二代目と三代目は同じだけど、あれですよね。組織的な感じの)

 

(そんなところだ。リーダーの籠手は"個性"を乗せた投擲武器でもあるからな)

 

(まぁなれるしかないさ。プロになったらそれが日常なんだ出久くん)

 

慣れるまで……!?が、頑張らないと…!

あぁでも恥ずかしい…!!!

 

(……こういうのもなんだが、普段着込んでる私服の方が恥ずかしい気がするぞ?)

 

――何故!?!?!?!?!?!?

 

 

——◆——

 

 

新幹線に乗ってから30分ぐらいは立ちそうだ。

このまま行けば、保須を通り過ぎるけど……。

 

「新宿に着く頃には夜ですけどいいんですか?」

 

「夜だから良い! その方が小競り合いが増えて楽しいだろ」

 

「楽しかないけど、納得です……」

 

この三日間で分かった。

グラントリノは結構好戦的で喧嘩上等って感じだ。

理論より実戦形式だし……。

 

(俊典の頃もひたすら実戦訓練だったからな。私も組手をしたけど結構な手練れだったよ)

 

ですよね、『変速』を除く歴代も駆使して実戦してみたけど、それでも速くて捕らえるのは中々難しかった。

『危機感知』と分析と予測であの速度にやっと食いつける。

仮にも七代目の盟友でオールマイトの先生なんだ。

 

その実力は今も劣っていないのかもしれない。

……飯田君から返信あるかな?

 

「座りスマホ! まったく近頃の若者は!!」

 

座りスマホって、初めて聞きましたよ。

あっ、既読は付いてるのに返事がない…いつも既読後3分以内には返事くれるのに……。

 

(少し嫌な可能性も出ちまうな、これだと)

 

はい…何事もないといいんですけど……ん?

 

「おい、あそこのビル爆発したぞ!」

「えっ? どこ?」

「うわぁ、(ヴィラン)かなぁ…」

 

反対側の座席に座ってる人たちが窓の外を見て騒いでる。

ビルが爆発って…火事でも起きたのか?

 

「何事だ?」

 

「火事でしょうか――ッ!?」

 

『危機感知』が鳴り出した!?

 

『お客様、座席にお掴まりください』

 

「グラントリノ――」

 

グラントリノを呼ぼうとした瞬間――新幹線が急停止を始めるのと同時に、僕達の乗る車両に外から何かが衝撃と轟音を響かせながら破壊して突っ込んできた。

すぐに立ち上がって見れば、プロヒーローが新幹線の壁面を突き破っていて、(ヴィラン)が抑え込んで……って、あれは脳無!?

 

「小僧座ってろ!!」

 

「ッ!?」

 

その言葉と同時にグラントリノは座席から飛び出し、脳無に体当たりして、自分ごと車両の外に飛び出ていった。

 

「グラントリノォ!!」

 

すぐに駆け出してさっきの穴から外を見ると、市街地に炎と黒煙が上がっていた。

 

「……ッ、まずい!!」

 

脳無ってことは、奴らが……死柄木たちがあそこで何か企んで動いてるってことだ。

ヒーロー殺しも保須市にいる可能性はまだあるし、グラントリノに脳無の詳細をまだ話していない……嫌な予感がする!!

『フルカウル』+『浮遊』+【エアフォース】で一気に飛び出てから、ビルに『黒鞭』を伸ばして、遠心力も併せて一気に加速する!!

 

(脳無がいるということは、確実に奴らがいるということだ。小僧、油断するなよ!)

 

「はい!!」

 

とりあえずグラントリノを追いかける!!

情報の共有と、"個性"使用の許可を貰わないと…ッ!見つけた!!

グラントリノが脳無と一瞬距離が離れた瞬間に、一気に距離を詰める!!

 

【――セントルイス スマッシュ!!】

 

「ッ!? 小僧貴様!?」

 

そのまま【セントルイス】で脳無に攻撃したことで、飛ばされた脳無がアスファルトへと沈んだ。

すぐに距離を取って警戒する中、グラントリノが横に降りて来た。

 

「小僧、貴様!! 勝手な真似はせず待っておけと言っただろ!! いくら力を使えてようともな!!」

 

「ごめんなさい!」

 

(出久くん、私が話したほうが早い。変わってくれ!)

 

ッ!分かりました!!

 

「――空彦!!」

 

「ッ!? 志村か!? なぜ今出て――」

 

「手短に伝える!! アイツは奴が作り出した生物兵器だ!! 他にもいる可能性があるのと、彼の友人がこの街にいるかもしれないんだ! 出久くんに"個性"の使用許可を!!」

 

「なんじゃと!? ……仕方がないか、わかった! こいつは俺一人で対処できるから行ってこい!!」

 

七代目がグラントリノに"個性"の使用許可諸々含めてやってくれた。

すごい。こんな手短に!あ、身体が戻った!

 

(本当は君自身がやったほうがいいんだろうけど状況が状況だ。使えるものは使ったほうがいい。それより急げ! 友達がピンチかもしれないんだろ!?)

 

ありがとうございます!七代目!!

グラントリノにもお礼を言ってから『黒鞭』と『浮遊』を駆使して飛んで行く。

『危機感知』があちこちで起こる騒動を感知し続けてるからか鳴り止まない。

 

考えすぎかもしれないし、確証も全くないけど、動かずにはいられない!

ヒーロー殺しが現れた街で脳無が暴れてる。

てことはヒーロー殺しもこの街にいるという可能性が大きくある!!

 

(つまり、(ヴィラン)連合とヒーロー殺しが繋がっている可能性があるってことか!)

 

確証はありませんが、この間のインゲニウムの事件現場が保須市であることから可能性として!!

 

(そして彼は復讐の眼差しを静かに宿している。もしかしたら既に接敵してしまってる可能性もあるということだな)

 

出来れば飯田くんの職場体験先のヒーローにでも接触できればいいんですけど……クソ、『危機感知』の感知を絞れ…!ヒーロー殺しの事件現場は基本人気の少ない路地裏だ。

そこを移動して『危機感知』の感知を集中すれば――ッ!!

 

鳴り出した!!ここら辺に――

 

「――ッ!」

 

――目に入ったのは、刀を持つボロボロの外套の男に、飯田くんが抑えられている姿。

僕はすぐに『黒鞭』を左右に伸ばして構える。

 

――『黒鞭の弾性』+『浮遊』+【エアフォース】

 

「――やめろぉ!!!!!!」

 

「ッ!?」

 

【――マンチェスター スマッシュ!!】

 

疑似的に60%程の速度を引き出して、その勢いによる【マンチェスター】をヒーロー殺しに向けて放ち、蹴り飛ばす。

 

「緑谷君…!?」

 

「救けに来たよ…! 飯田くん…!!!」

 

『発勁』を使ってないから、ヒーロー殺しはすぐに体勢を直して僕を見ている。

 

「…ッ! (あいつは死柄木が持っていた写真の……)」

 

「何故君がここに…!?」

 

「保須で脳無が暴れていて、まだヒーロー殺しのこともあるから心配で探した!!」

 

話しつつ、ヒーロー殺しを警戒して『黒鞭』を垂れ流し状態にする。

暗くて狭い路地で『煙幕』の使用は、全員の位置がこっちにとって有効になった瞬間しか駄目だ。

下手すれば自分の首を絞めることになる。

 

「動ける!? 大通りに出てプロの応援を呼ばないと…!!」

 

「身体を動かせない…! 斬りつけられてからだ。恐らく奴の"個性"だと思う……!!」

 

「ワイドショーの解説者の推測通り…つまり斬るのが発動条件ってことか?」

 

(見たまんまだが、確かに刃物を多く装備してやがる。それ以外の装備がどんなものかわからねぇが、少なくとも、斬るという点はあってるかもしれない)

 

はい。だったら『黒鞭』で牽制しつつ、飯田くんを連れて――

 

(待て坊主! 奴の奥にもう一人いる!!)

 

ッ!?本当だ!

それにまだ生きてる!

あの人も救けないと…!!

 

「緑谷君…手を、出すな!」

 

「ッ!? 飯田く――」

 

「――君は関係ないだろ!!」

 

「――何、言ってんだ……?」

 

こんな状況で飯田くんは……。

 

(やはり彼は復讐に……)

 

「――『救けに来た』、良い台詞じゃないか」

 

「ッ!」

 

ヒーロー殺し……もちろん実物を見るのは初めてだけど、USJで対峙した連中とも、死柄木たちとも雰囲気が違う。

 

「だが俺にはこいつらを殺す義務がある。ぶつかり合えば当然弱い方が淘汰されるわけだが……――さァ、どうする?

 

これが確固とした意志を持つ殺人者の気迫!!

とりあえず、スマホを隠しながら操作して、現在の位置情報をクラス全員に一斉送信する。

誰か一人でもこれに気づいてくれれば、救援要請でも何でもしてくれるはずだ。

 

"個性"の使用許可は既に下りてるから、応援が来るまでの間、『フルカウル』を5%から15%にして『黒鞭』『危機感知』の計三つでやるしかない。

この狭いところじゃ『浮遊』は逆に不利になるかもしれないし、『発勁』は場合によっては建物を崩しかけない。

応援が来る前に二人を回収して撤退できるなら、その時に『煙幕』は使う。

 

『変速』は……仮に使うしかない状況になったとしても、撤退のためだけにだ。

 

「やめろ! 逃げろ!! 言ったろ!! 君には関係ないんだから!!!」

 

「……そんなこと言ったら、ヒーローは何も出来ないじゃないか!!!」

 

飯田くんの気持ちが分かるとは言えない。

でも、道を外そうとしている君を見過ごしたくはない!

 

「言いたいことは色々あるけど、後にする」

 

笑え。安心させるために。

それに「怖い時、不安な時こそ笑っちまって臨むんだ」って言ったんだ。

 

「――余計なお世話は、ヒーローの本質だから!」

 

そう言った瞬間、ヒーロー殺しは笑みを浮かべた。

何でと思ったけど、今はここを打破し、二人を救出して撤退することが最優先!

まずあの人を救けるためにも!あえて距離を詰める!!

 

「長物に対し間合いを詰める……良い判断だ。お前は良い!!」

 

『危機感知』で感知して完全に避けて、そのまま背後に回る!

ヒーロー殺しはすぐに振り向きながら振るってくるけど、それも感知済みだ!!

一気に飛び上がって避けて、拳を構える!!!

 

――インパクト10%

 

【――スマッシュ!!】

 

命中はしたけど浅い!ギリギリで防がれたか!!でもこれでいい!

その間に『黒鞭』を伸ばしてもう一人、倒れてる人を掴み引き寄せて、そのまますぐに飯田くんの方に移動する!

後はこのまま飯田くんも『黒鞭』で担いで撤退すれば――ッ!

 

『危機感知』が鳴り出して咄嗟に避けた。

ナイフを投擲して来たのか!?

 

「俺の動きを完全に見切っていた。パワーは先より威力が落ちている。ということは威力の調整が可能。それを含め視界から外れ、確実に仕留められるよう画策した動き。付け加えれば、攻撃をすることで俺の注意を自身に仕向けながらに、俺が食らった隙を見逃さず救出……戦いと救助の両方を平行に行う、か……」

 

振り返れば。ヒーロー殺しがこっちに歩いて来ていた。

 

「口先だけの人間はいくらでもいるが…お前は生かす価値がある」

 

『黒鞭』を展開して妨害して、奴の視界だけ『煙幕』で潰せば確実に逃げれる!!

 

「そいつらとは違う。だからこそ、なおさら、そいつらは生かす価値が――」

 

――ッ!

 

「――ない!!」

 

『危機感知』が鳴り出した瞬間にはもう距離を詰めていた。

すぐに『黒鞭』で覆って防いだけど、生身でその速度を出せるのか!?

 

【――スマッシュ!!】

 

反撃するも避けられ、追い打ちするように『黒鞭』も繰り出すけどすべて避けられる。

これがヒーロー殺しの実力……"個性"は飯田くんの証言通りなら拘束系。

つまりあの身のこなしは完全に"個性"じゃなく、素の身体能力によるもの。

 

おまけに『黒鞭』すらも避ける反応速度。

『危機感知』がなきゃとっくに斬られていた。

それぐらい奴の実力は、脳無を除いてだけど(ヴィラン)の中で一番強い!!

 

それでも、今は僕が二人を守らないと!救けないと!!

 

 

 

 





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