「("個性"はまるで複数あるようなもの。もしくはそのカラクリに近いことが出来る"個性"かだな。見た限り厄介なのはあの黒いもの。偽物を回収したりなどするあたり、捕縛に特化したものなのだろう。そして奴自身が出すパワーもある。子供ながらにここまでの器用さと策略する思考、そして素質がある)」
危機感知が鳴った!来る!!
路地の狭さなら『黒鞭』を多く出せば捕縛できる!!
「(そう来るだろう。だが、まだ詰めが甘い)」
「ッ!?」
壁を利用してジグザクに飛び回って一気に頭上を越えて二人の方へ…違う、あれは刀!?
――ッ!?『危機感知』が鳴ってすぐに下を見れば、ヒーロー殺しが短刀を手にもってもう来ていた。あの身のこなしに加えて視線の誘導…!?
やばすぎる!!
すぐに片足を蹴り上げるけど、それよりも速く短刀が迫ってくる。
クソ!足蹴りで弾き返すか蹴り壊すにしても、この差だと間に合わない……!!!
「ッ!」
「ッ! えっ!?」
斬られると悟った瞬間――足元から氷が張って、ヒーロー殺しの所で氷結を作り出した。
ヒーロー殺しは咄嗟に後方に飛んで躱して、僕は反射的に振り向いた。
「ふぅ……緑谷、こういうのはもっと詳しく書くべきだ。遅くなっちまっただろ」
「――轟くん!!!!!!」
轟くんも保須に来てたんだ!
というか、身体の霜を溶かすためなんだろうけど、それでも左側を使って……それに
「今日はよく邪魔が入る」
「轟君、君までなんで…!?」
「緑谷は意味なくそういうことする奴じゃねえからな。一括送信で位置情報だけ送信……つまり『ピンチだから応援呼べ』って事だろ」
良かった。マップ系は基本開けば自分が今どこにいるかわかる。
位置情報系は自動的にその場所が表示されて、それを選べばいちいち記入しなくて済むけど、どうやら失敗せずに済んだみたいだ。
そんな轟くんは僕の横に来てすぐに氷結を繰り出してくる。
ヒーロー殺しはそれを回避していき、僕は『黒鞭』を繰り出すけど、それも避けられる。
「轟くん! プロへの応援は!?」
「大丈夫だ。数分もすりゃプロも現着する」
プロへの応援もしてくれてる!
(油断すんな坊主! ヒーロー殺しの実力、ありゃやべぇぞ!)
ッ!?どういうことですか五代目!
(アイツ、まだ実力を隠してやがる! お前らが子供だからだ!! 本気じゃない状態であのレベルってことさ!!)
マジか…!あれで本気じゃないとか…!!
(本気じゃない状態であれってことは相当だぞ…九代目、彼と協力して早めに大通りに出るか奴を気絶させるしかないかもしれないぞ!)
はい…とりあえず轟君に共有を!
「轟くん、多分ヒーロー殺しは斬りつけた対象の動きを止める"個性"かもしれない。確証はないけど、飯田君がそう言ってた」
「それで刃物か。けど俺たちなら距離保ったまま――」
――ッ!?『危機感知』が鳴り出した!!
「なっ!」
ナイフが飛んできていて僕は『危機感知』のおかげで避けれたけど、轟くんは頬に掠ってしまった。
「良い友人を持ったじゃないか――インゲニウム!」
しかももう接近して――えっ、なんで掠って血が出てる轟くんの血を舐めようと……ッ!?
まさか斬るのは必要なことで、ヒーロー殺しの本当の"個性"は血に関係するものってことか!!
【デラウェア】による風圧で舐められる前に吹き飛ばし、すぐに伝える。
「轟君! ヒーロー殺しの"個性"は斬られることじゃない! 多分血だ! さっきの動きからするに血の経口摂取で相手の自由を奪う系だと思う!!」
「ッ! いや、斬られた時点じゃねぇならまだ対処しやすい!」
轟くんが氷結と炎をそれぞれで牽制している。
その間に僕は飯田くんたちを大通りに出さないと…!あとはヒーロー殺しの"個性"の解除条件を――
「――何故…2人とも、何故だ……やめてくれよ…兄さんの名を継いだんだ……僕がやらなきゃ! そいつは僕が……!!」
飯田くん…やっぱりお兄さんの件で……それに、名を継いだってことは。
(悲しい現実だが、そういうことなんだろう。故に彼はより深く復讐に呑まれている)
飯田くん……。
「継いだのか。おかしいな……俺が見たことあるインゲニウムはそんな顔じゃなかったけどな」
「…ッ」
「お前ン家も裏じゃ色々あるんだな」
轟くん…ッ!まずい!!
砕かれた氷結も残ってるから数が増えてるせいで、視界が防がれたり逃げる隙間がなくなってきてる!!
「己より素早い相手に対し自ら視界を遮る――愚策だ」
「どうかな――ぐぁッ!?」
轟くんを見れば片腕にナイフが二本突き刺さっていた。まずい!
飯田くんたちを置いて、デコピンの構えをしながら『黒鞭』で手を覆い砲口にする!!
「お前も良い…!」
【――デラウェアスマッシュ エアフォース!!】
「ッ!?」
空気弾を放ちヒーロー殺しのバランスを崩させる!
ヒーロー殺しはバランスを崩したもののすぐに態勢を直して着地し下がった。
「空気の飛礫か……ハァ、お前が一番あまくはないな」
「大丈夫!?」
「あぁ、助かった。にしても厄介だ。さっさと担いで撤退してえとこだが、氷と炎、緑谷の鞭すら避けられるほどの反応速度だ。隙は見せらんねぇ。プロが来るまで近接を避けつつ粘るのが最善だと思うが…」
「手札はまだあるけど、ここだと還って僕たちを追い詰めることになりかねない。轟くんの言う通りだと思う」
(こういうところだと『
謝らないでください。
六代目には六代目の強い部分があります。
勿論皆さん全員がです。
「轟くんは血を流しすぎてる。僕が奴の気を引きつけるから後方支援を!」
「相当危ねぇ橋だが、お前が言うんだ……二人で守るぞ」
「うん!!」
「……ハァ…!」
ッ!雰囲気が変わった…!!
(おそらくギアを少し上げたんだ。気を付けろ出久くん!!)
『フルカウル』で駆け出し、『黒鞭』を繰り出す。
けどヒーロー殺しはさっきまでと動きが違う!
でも『危機感知』の感知力で何とか対応が出来る!!
「(こいつ、これでもついてくるか! やはりこいつは活かすべき人材…いい人材だ! だが邪魔するのなら、腕や足の一つは覚悟してもらうぞ!!)」
『黒鞭』をただ捕縛のために伸ばすんじゃだめだ。
出したら両手で掴み、武器として…そう、奴の刀を防ぐためとして!!
アニメとかであった鞭系で刃を止めるシーンがあったはず。
それを思い出してぶっつけ本番で対応するしかない!!
「やるな…!」
「くぅ…!!」
「緑谷!!」
後を見れば炎が来ている。すぐに蹴り飛ばして跳躍する!
ヒーロー殺しも避けるけど、すぐに【エアフォース】で急降下し【マンチェスター】を繰り出す。
けどこれも避けられた。クソ!
「――止めて欲しけりゃ立て!!!!!!」
ッ!轟くん!?
「なりてえもんちゃんと見ろ!!!!!!」
轟くん…もしかして飯田くんと何か話して――ッ!?
「ふんっ!!」
「しまっ――ぐぅ!!」
『危機感知』が鳴り出して、咄嗟に防御したけど、ヒーロー殺しに蹴られて壁に衝突してしまった。
その隙にヒーロー殺しは轟くんたちの方へ駆け出していく。
轟くんは攻撃しているけど…!
「氷に炎……!」
「(っ……んで避けられんだよコレが!)」
「言われたことはないか? "個性"にかまけ挙動が大雑把だと!! 先の子供と比べて貴様はまさに大雑把だ!!!」
まずい!!刃が轟くんの胴体に!!!
「(化けモンが……!)」
「やめろォ!!」
駆け出しても、『黒鞭』を伸ばしても間に合わな――
【――レシプロ バーストォ!!!!!!!!!!】
――飯田くん!?
動けるようになったのか、【レシプロ】でヒーロー殺しの刀を蹴り折った!!
しかも二撃目でそのまま吹き飛ばした!
今のうちにみんなの元へ!!
「轟くん大丈夫!?」
「あぁ…それよりも飯田の拘束が解けたみたいだ。意外と大したことない"個性"だな」
いや、強い"個性"だと思うけど。
きっと時間経過による効果切れだろう。
そしたら傍にいるプロも時期に――
「轟君も緑谷君も関係ないことで…申し訳ない……」
「ッ! 飯田君、またそんな事を――」
「――だからもう! 二人にこれ以上血を流させるわけにはいかない」
「緑谷は流してねぇがな」
「そこ冷静にツッコむの轟くん!?」
思わず声を上げてしまった。
確かに『危機感知』で感知してるから対応しきれてるけど、なかったら僕だってボロボロだからね!?
いや、今は目の前に集中しないと!!
「感化され取り繕おうとも無駄だ。人間の本質はそう易々と変わらない」
ヒーロー殺しは折れた刀を構えて、飯田くんを見ていた。
「お前は私欲を優先させる贋物にしかならない。『英雄』を歪ませる社会の癌だ。誰かが正さねばならないんだ」
「時代錯誤の原理主義だ。飯田、人殺しの理屈に耳を貸すな」
「いや、奴の言う通りさ。僕にヒーローを名乗る資格などない。それでも折れるわけにはいかない……!」
傷付いて血が滴り落ちる両手を握り締めながら、飯田くんは真っ直ぐヒーロー殺しをを見た。
「俺が折れれば――インゲニウムは死んでしまう」
「――論外」
その瞬間僕は『黒鞭』を、轟くんが炎を繰り出したけど躱された。
「馬鹿っ……! ヒーロー殺しの狙いは俺とその白アーマーだろ! 応戦するより逃げた方がいいって!!」
「そんな隙を与えてくれそうにないんですよ。さっきから明らかに様相が変わった…! 奴も焦ってる! 緑谷、お前の"個性"でうまくできないか!?」
「狭い場所だと却って追い込まれる!! 僕が捕縛しようにもあの反応速度だと難しい!!」
「(血の摂取って不確定要素に近接必須、持続時間の長さは不明だが……案外"個性"だけ見りゃ特別強力ってわけでもねぇ。多対一なんて最も苦手なパターンだろ)」
壁を蹴り飛んで上に行き、上から『黒鞭』を多く出すもうまく躱されてしまう。
「(プロが来る前に飯田とこの人を殺そうと躍起になってるんだ。イカれた執着……!)」
「(いかん、【レシプロ】が切れる……! さっきの蹴りで
「
「氷のほうでいいんだ! 俺の脚を凍らせてくれ! 排気筒を塞がずにな!」
「ッ!」
下のほうで二人が何かしようとしてい――ッ!?
『危機感知』が鳴った瞬間にナイフが飛んで来て躱した。
いや、同時に二人のほうにも投擲していて、飯田くんが轟くんを庇っていた。
マズい!!!『黒鞭』を伸ばし壁を掴んで片足に『発勁』を溜める!!
向こう轟くんが飯田くんの脚を凍らせた直後に飯田くんが立ち上がって構えてる!!
――『黒鞭の弾性』+『OFA30%』+『発勁』
【――疑似80%!!!!!!】
【――レシプロ エクステンドォ!!!!!!】
跳躍した飯田くんと横から疑似80%で接近した僕は、そのままヒーロー殺しに拳と足をぶつけた。
疑似とはいえ80%で出してもしまったから、一応インパクトの瞬間だけは『OFA』を解いたけど――
「う”ぅ”!!!!!!」
――ッ!?ヒーロー殺しを見たら飯田くんにナイフを振っていた。
インパクトの瞬間だけ解いたのがあだになったか!!!
「畳みかけろ!!」
「お前を倒そう! 今度は犯罪者として――ヒーローとして!!」
飯田くんが【レシプロ】による蹴りを入れた直後に轟くんが炎を命中させた。
僕はすぐに『黒鞭』を展開して拘束し、そのまま【エアフォース】で一気地面に叩きつけるように抑えつけた。
「緑谷! 奴は!?」
「……流石に気絶してる。最後の飯田くんと轟くんの攻撃で意識が途切れてる」
拘束を解こうとする気配もない。
本当に気絶していた。
「……じゃあ拘束して通りに出よう。何か縛れるもんはねぇか? 氷結だと目覚めた拍子に体割れちまうかもしんねぇし、緑谷のそれもずっと縛れねぇから」
「うん。念のため武器は全部外しておこう」
——◆——
「さすがゴミ置き場、あるもんだな」
戦闘を終えて、ヒーロー殺しの所持する武器や周囲に散らばったナイフなどを回収後、近くにあったゴミ置き場からロープを見つけだした
「ネイティブさん、動けますか?」
「あぁ、大丈夫になった。怪我もそこまでひどいわけじゃねェからな」
支えようとしたけど、斬られてから動けなくさせるからか、傷自体はそこまで酷くないといい、自身で立っていた。
轟くんたちもヒーロー殺しの拘束を終えたから、全員路地裏から通りへ向かって移動を始めた。
「悪かった……プロの俺が完全に足手まといだった」
「いえ、一対一でヒーロー殺しの"個性"だともう仕方ないと思います…強すぎる……」
「三対一に加え、ほぼ緑谷の"個性"あってギリギリ勝てたって感じだな。それに最後、焦って緑谷にナイフを投げた後、すぐに飯田を殺そうとしていたからな。恐らくあの速度で一気に来られるとは思わなかったんだろ」
ヒーロー殺しとの戦闘のことを話している間に、通りに出ることができた。
後は警察にヒーロー殺しを渡せば
「む!? んなっ……何故お前がここに!?」
「グラントリノ!!!」
反対側からグラントリノが出て来て驚いている間にこっちに飛んできた。
「グラントリノ、何でここに…?」
「いきなりここに行けって言われてな。んで、そっちの若造共が友人か」
「は、はい……」
「まぁ無事ならよかった。ったくぅ…」
うっ、そりゃあいくら許可をもらってると言っても、心配させたしな……反省だ。
(まぁ結果オーライさ! 気にしなさんな!!)
(いやプロになるためなら必要でしょ先輩)
アハハハ……そういえば、僕は"個性"の使用許可もらってるけど、二人は……それに、戦闘許可自体貰ったのかも実際分からないし……そう思っていると、更に別のプロヒーローたちが数人駆け付けて来た。
「――二人とも」
声を掛けられて振り返れば、飯田くんが頭を下げていた。
「僕のせいで傷を負わせた。本当に済まなかった…! 怒りで何も、見えなくなっていた…!!」
涙を流しながら謝罪してきた。
そんなに思いつめてしまっていたんだな。
「僕もごめんね。君があそこまで思いつめてたのに全然見えてなかったんだ。友達なのに……」
「しっかりしてくれよ、委員長だろ」
「……うん…!」
「あと緑谷は傷負ってねぇだろ」
「――いやだから今そこツッコむところかな轟くん!?」
思わずまたツッコんでしまった。
事実だけど雰囲気的に言わないでおこうよ轟く――ッ!?
『危機感知』が鳴り出した!?何で!?
「――伏せろ!!」
(上だ九代目!!)
グラントリノと三代目が叫んだ。
咄嗟に上を見上げれば、翼を生やした脳無が左目から血を流しながらこっちに来てた。
「
こっちに来る!なら『黒鞭』で拘束する!!
「『黒鞭』ィ!!!」
『黒鞭』を伸ばすも、小回りの利いた動きで躱されて、そのまま、
「しまっ…!!」
「緑谷君!!」
「緑谷ァ!!」
「(いかん! あまり上空にいかれると俺の"個性"じゃ届かなくなる!)」
このままじゃヤバい!!
『黒鞭』を再度展開して捕縛しても、脳無故に力が普通の人より強いのか上昇が止まらない…!!
(空彦のでもこのままじゃ追いつけなくなる!! どうにか振り解け出久くん!!)
クソォ…!!!
「ギュォ…!!!!!!!」
えっ!?いきなり硬直した!?
なんで――
「――贋物が蔓延るこの社会も」
――ッ!?
『危機感知』が鳴り出したし、この声は…!!!
「徒に力を振りまく犯罪者も…!!!」
脳無の高度が落ち始めると同時にその上から影が迫って、そのまま地面に抑えつけながらナイフを頭部に突き刺した。
「粛清対象だ……!!!」
僕の方もまたそのまま抑えつけられてしまっている…まだナイフを隠し持っていたのか…!!
「全ては…正しき社会の為に…!!!」
『黒鞭』でヒーロー殺しを縛って脱出しないと…!!
後方からエンデヴァーの声などが聞こえて来た。
加勢に来たのか…!だったら急がないと――
「――ッ!?!?!?!?!?!?」
『危機感知』が最大レベルで鳴り出した!?!?!?!?!?
「――贋物」
何だ…あの、形相は…この…威圧感は……!?!?
「正さねば……誰かが血に染まらねば……!
身体が、動かない…!ヒーロー殺しの"個性"にやられたわけじゃない……だけど、"個性"の発動すら許されないと、本能的なものが訴えている…!!!!!
「来い…来てみろ贋物ども!! 俺を殺していいのは
「――オールマイトだけだァ!!!!!!!!!!」
もはや、呼吸すら許されないほどの威圧を乗せた宣言。だけどナイフが落ちた音でハッとし、ヒーロー殺しは立ったまま動く気配がなかった。
「気を、失っている……」
エンデヴァーの言葉で、ようやく全員が息を吸うように、腰を抜かしたり、徐々に動き出した。
(気迫、威圧は…俺たちすらも戦慄させるものだった……)
そして二代目の呟きで、僕もやっと立ち上がることができた。
Q.緑谷と轟でなら逃走普通にできたんじゃないの?
A.ごもっともとも言えますが、それでは飯田の轟の呼びかけによる精神的な面での成長がなくなる恐れを見据えて、最後まで戦う形にしました。
Q.脳無への感知、前はできなかったよね?
A.訓練で着実に成長+原作読者の方々なら、翼脳無の正体がわかると思います。その二点から感知したと解釈してくれると嬉しいです。
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