ヒーロー殺しステイン、並びに
僕は飯田くんと轟くんのいる病室へお邪魔していた。
「冷静に考えると……凄いことしちゃったね」
「そうだな」
パイプ椅子に座りながら話している中、轟くんは自分の身体を巻いている包帯を見つめながら呟いた。
「緑谷は負傷しなかったからわからなかったが、今思えば俺もお前も、明らかに生かされていた。この中だと、アイツははっきりと飯田にだけ殺意を向けていた。それでなお立ち向かったお前はすげぇよ。救けにきたつもりが逆に救けられちまった。わりィな……」
「いや…違うさ、俺は――」
「――おお、起きてるな怪我人ども」
「わっ、グラントリノ!」
飯田くんが口を開こうとしたところで、それを遮るように病室の扉が開きグラントリノが入ってきた。
いや、グラントリノだけじゃない。
飯田くんの職場体験先のマニュアルヒーロー、『マニュアル』もいた。
あれ、もう一人奥に…?
「初めまして。私は保須警察署署長を務めている――『面構犬嗣』だワン」
つ、面構!?しょ、所長!?
署長って確か、警察とかの……と、とりあえず立ち上がって…!
「君たち三人がヒーロー殺しを仕留めた雄英生たちだワンね。そのうちの一人は許可が下った上での活動故、多少は大目に見るが、その様子だと自分が何をしたか自覚はあるワンね?」
「………はいっ」
思わずチラッと二人を見てしまう。
僕は七代目による説得もあって"個性"の使用許可が下りていたけど、飯田くんと轟くんは許可も得ず"個性"を使っていた。
無免許での"個性"の使用は、僕みたいに特別許可を貰わない限り、いくらヒーロー志望の学生であろうと禁止だ。
飯田くんは頷き、轟くんは訝しげながらも頷いていた。
「君も君で、許可が下っていたからと言ってその意味を拡大解釈しすぎだワン。いくら許可があったとて、君はこちらからすれば『プロの現場にて素人判断で動いた学生』にしか見えない。その自覚はあるワンね?」
理由はわかる…そもそも僕は友人の救助目的が主な理由で"個性"の使用許可を得ていた。
それをどう解釈すれば『ヒーロー殺しと戦ってもいい』になるのかだ…すると轟くんが静かに声を漏らした。
「……飯田が動いてなけりゃネイティヴさんが殺されてた。緑谷が来なけりゃ二人が殺されてた。誰も、ヒーロー殺しの出現に気が付いてなかったんですよ? 規則守って、見殺しにすりゃよかったって言うんですか?」
「結果オーライであれば、規則など有耶無耶でいいと?」
「人を助けるのがヒーローの仕事だろ!!」
「だから君は『卵』だ。まったく、いい教育をしてるワンね。雄英も、エンデヴァーも」
「~ッこの犬…ッ!!」
「ちょっ、落ち着いてって轟くん……!!」
それに署長にそんな言い方はダメだよ!!
「ま、ここまでは君たちの功績を公表した場合の警察の見解。公表すれば世論は君たちを褒め称えるだろうが、処分は免れない。一方で汚い話、ヒーロー殺しは主には火傷に骨折と、なかなかの重傷で現在治療中だが、その火傷からエンデヴァーを功労者として擁立できる。噛み砕いて言うと、今回の件はもみ消せる事態なんだワン」
えっと、つまり…?
(今回の件、坊主たち雄英生が関わったという事実をなかったことにすれば割と丸く収まるということさ)
ッ!なるほど…そういうことですか。
目撃者も少ないし現場も路地だからなおさらと。
それを知った僕たちは顔を合わせてから、「お願いします」と頭を下げた。
「……大人のズルで君たちが受けていたであろう称賛の声はなくなってしまったが…同じく平和を守るべく戦う同士たちに感謝を。本当に、ありがとう」
——◆——
あの後、僕は元々負傷しなかったってのもあって、メールで他のみんなに事情を説明した後、すぐに職場体験に戻った。
飯田くんも轟くんも、負傷してないなら職場体験で学んだほうがいいと言っていたし、かえって居続けるのもあれだからそうすることにした。
そして今僕は――
「『黒鞭』ィ!」
「ぬぉ!?」
――元々予定していた渋谷での
今回ばかりはちゃんとグラントリノと"個性"使用など諸々を話し合ったうえでやったけど。
というか、保須事件の後にこれはどうなんだ!?
いいのか!?
許可をもらっていたから教育権がなくなっていないのは確かだけど…!
(まぁ、治安が今とは比べものにならないほど悪かった時代を生き抜いてきた人物だからな……現場経験こそが人を成長させるってやつだ)
それはなんとなくわかりますが…あ、警察の人、引き渡すので拘束お願いします!!
——◆——
ある程度動いたから、僕とグラントリノは今ビルの屋上で昼食をとっていた。
と言っても僕はメロンパンで、グラントリノは安定のたい焼きだけど…てか袋で何個も買って大丈夫なのか?
「しっかし最近の若造共は派手な事件や相性とか抜かしとるが、お前さんはそんなの関係なく突っ込んでいくな」
「えっ!? そ、そうでしょうか…?」
「まぁそこは別にいい。問題は勝手に突っ走る所だ。全く師弟関係だからってここまで似るかね普通」
ぼ、僕とオールマイトが似てる!?そ、そんな恐れ多いことがあるのか!?
でも確かに、オールマイトと初めて会って、かっちゃんが僕のせいで苦しんでしまった時のヒーローは、相性だのなんだの言っていたな。
(まぁ相性はしょうがねぇがそれで人の命をほっとくのはどうかと思うさ)
(俊典が君に言った後に時間を気にして動こうとしなかったのは、しょうがないとはいえ引っ叩いてやろうと思ったよ)
あぁ…でも、オールマイトは僕のためを思って言ってくれていたんだって今は分かるんで、気にしてませんよ。
「よし! これ食ったらまたパトロール行くぞ小僧!」
「んぐっ!? ふ、ふぁい!」
モグモグしながら返事してしまった。
ちなみに今日含めた残りの四日間はひたすらパトロールと対応できる事件に
残り四日間はカットします。
異論は認めません。ごめんなさいッ!!
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