原作とほぼ変わらない場面はもうポンポンとダイジェストです。
「皆……土産話っひぐ……楽しみに……うう、してるっ……がら!」
演習試験を無事合格した翌日、教室の一か所では惜しくも落ちてしまい暗い雰囲気に覆われている芦戸さんたちがいた。
「ま、まだわかんないよ!? どんでん返しがあるかもしれないよ!!」
「緑谷、それ口にしたらなくなるパターンだ」
「試験で赤点取ったら林間合宿行けずに補習地獄…そして俺らは実技クリアならず……これでもまだわからんのなら――貴様らの偏差値は猿以下だァ!!!」
「おわぁ!! 目は狙わないでよ!!」
「――避けるんじゃねぇ!!!」
そこまで悪意があるわけじゃないんだろうけど、僕の言い方が悪かったせいで、上鳴くんは怒りのあまり目を刺してこようとしてきた。
『危機感知』で感知したから咄嗟に避けたけど、追跡するように刺してきて、僕はただ避けるしかなかった。
「落ち着けよ長ぇし。あとしつこく狙いすぎだ」
「緑谷めっちゃ避けてるし……」
『危機感知』が鳴りまくって反射的に避けるようにしてるから!!!
「わかんねぇのは俺もさ。峰田のおかげでクリアはしたけど寝てただけだ。とにかく、採点基準が明かされてない以上は――」
「――同情するなら何かもういろいろくれェ!!」
「――予鈴が鳴ったら席につけ」
上鳴くんがさらに情緒不安定になり始めたところで相澤先生が教室に入ってきた。
僕たちは慣れた動きで一斉に自分の椅子に戻り着席している。
「おはよう。今回の期末テストだが、残念ことに赤点が出た。したがって林間合宿は――全員行きます」
「「「――どんでん返しだァ!!!!!!!」」」
事前の報告では赤点は居残り補修で合宿には参加不可だったのだが、相澤先生は『全員参加』と告げてきた。
それによって切島くんたちは本当に驚きと歓喜の声を上げ、芦戸さんに至っては喜びのあまり咽び泣いていた。
「行っていいんスか俺らァ!?」
「あぁ……ちなみに筆記の赤点はゼロなんだが、実技で切島・上鳴・芦戸・砂藤、あと瀬呂が赤点になってる」
「いっ!? ……確かにクリアしたら合格とは言ってなかったもんな……」
隣で瀬呂くんが手で顔を覆ってへこんでる……。
「今回の試験、我々
「本気で叩き潰すと仰っていたのは……」
「追い込む為さ。そもそも林間合宿は強化合宿だ。赤点取った奴こそここで力をつけてもらわなきゃならん。要するに――合理的虚偽ってやつさ」
「「「ゴーリテキキョギィイー!!!!」」」
あえて目的を伏せて本気を出させるための行為…体力テストと同じってことか。
いやそれでもオールマイトはやばかったけど……。
(八木だったらそんなの関係なくあの結果になってたと思うぜ?)
ですよね……。
「またしてもやられた……! さすが雄英だ! しかし二度も虚偽を重ねられると信頼に揺らぎが生じるかと!!」
「水差すね飯田君」
「飯田の言い分も当然っちゃ当然だ、省みるよ。だが全部嘘ってわけじゃない。赤点は赤点だ。お前らには別途に補習時間を設けてる。ぶっちゃけ学校に残っての補修よりキツイからな」
喜びを分かち合っていた切島くんたちは一瞬で青ざめた。
——◆——
「――やってきました! 県内最多店舗数を誇るナウでヤングな最先端! 木椰区ショッピングモール!」
学校が休みな休日。
僕達A組は轟くんとかっちゃんの二人を除いた18名で木椰区ショッピングモールに来ていた。
もちろんその目的は合宿で必要になる荷物、必須なものを調達する為だ。
そして期末試験から解放されてテンションの高い芦戸さんが、店員やCM顔負けの語り口調で木椰区ショッピングモールを説明した。
「"個性"の差による多様な形態を数でカバーするだけじゃなく、ティーンからシニアまで幅広い世代にフィットするデザインが集まっているからこの集客力………」
「幼子が怖がるぞ」
「あ、ご、ごめん……」
(ここでもブツブツは健在か)
す、すみませんつい……それに、こういう所を友人と行ったりするのも初めてですし、後はやっぱり"個性"による多種多様な――
(あーわかったよ。もう十分だ)
「んじゃ皆目的バラけてっし、時間決めて行動すっか!」
「賛成!」
「んじゃ三時にここ集合だ!」
「「「異議なし!!!」」」
歴代に謝罪していると、いつの間にか切島くんが指揮を取って集合時間を決めていて、他の皆は各々目的のものを探しに向かって行った。
「み、皆行動早いな」
「うん」
もう残っていたのは僕と麗日さんの二人だけだ。
「あっ、う、麗日さんはどうする? 僕はウエイトリスト重めの欲しいんだけど……」
「私は虫よけ……ッ! ――虫よけェ~!!!!!!」
「虫ィ!?!?!?!?」
いきなり赤くしたと思ったら僕のことを虫と言って走り去っていった……な、なぜ!?
というか、せっかくみんなと一緒に来たのに結局僕一人……。
(俺らがいるさ! ぼっちじゃねぇぞ坊主!!)
いや、物理的な意味というかそういうのでして……。
(まぁこの際だ。今のうちに私たちの"個性"とかで使えそうなトレーニング器具を探すのもいいだろう)
あ、確かにそうですね。
そしたら早めにそういったものを探したほうが――ッ!
『危機感知』が、鳴った……!?
思わず周囲を見渡したけど、それといった
『危機感知』は元々常時発動型だから、微かになってたりはしてたけど、何でいきなり大きな反応が!?
(九代目、背後から一人迷いなくこちらに向かってきてる奴がいる)
(ファンには見えないし、明らかに姿を隠すような恰好だな。異形型には見えない)
歴代に言われて背後を警戒する。
すると声が聞こえた。
「おっ、すげぇ雄英の人だ。サインくれよ!」
すると後ろから本当に来た人は、僕の肩を組もうとしてきた。
その前に反射的にその手を掴んで、その人を見る。
その人はフードを深く被って顔を隠してた。
「えっ、何!? ちょっ、痛いよ雄英さん、馴れ馴れしいの嫌だったか? ごめん、放して――」
「……」
明らかに一般の人たちとは違う…明らかな悪意がある。それに途中まで、戸惑った感じの口調で言っていたものの……すぐに、そんな雰囲気はどこかに霧散していった。
「――なぁんだ、もうバレちまってるパターンか」
「ッ!」
どこか気だるげ、投げやりな感じの、聞き覚えのある声に僕は驚愕した。
よりにもよって……!!!
「にしても本当に運命、因縁とも言えるな……まぁいいさ。これからお茶でもしようじゃないか――緑谷出久」
「――死柄木…弔……!!」
AFOが後ろにいる奴だなんて……。
(緑谷くん、ここは奴の言う通りにした方がいい。単体とは限らない)
(四ノ森さんの"異能"は奴だけを感知しているが、奴にはあの『ワープゲート』が仲間にいる。下手に抵抗すれば被害が出るかもしれない)
……はい。
取り押さえられるけど、こいつの"個性"だと一瞬でも触れられたら終わりだ。
すぐに動かれるとこっちとしても都合が悪いし、被害が出かけない。
だから近くのベンチに二人して腰を下ろした。
「自然に、旧知の友人のように振る舞うべきだ。決して騒ぐなよ? 落ち着いているみたいだが、一応呼吸整えろ。俺はお前と話がしたい…それだけさ。少しでもおかしな挙動を見せてみろよ?」
「それはこっちも同じだ。お前を今取り押さえることだってできるんだ」
「そうだったな。お前は――
「ッ!! ぅあ!?」
思わず死柄木へ顔を向けた瞬間、奴の腕が僕の肩に回ってそのまま中指を除いた四指が僕の首を掴んできた。
「まんまと引っかかってくれたな。もうわかってんだろうが、俺の五指、今触れていない中指がこの首に触れた瞬間、お前は喉の皮膚から崩れ始めて一分と経たないうちには塵と化すぞ」
やられた…!そうだよ、こいつの後ろにはAFOがいるんだ。
もしかしたら共有されてる…いや、そもそもUSJでそれに勘付いていたんだ。
それを餌に僕を油断させることはしてくるはずだ…!!
完全に先手を取られた…!!
そもそもなんでここにいる!?
(落ち着け出久くん! 冷静に!!)
(焦ればかえって奴を刺激し、被害が出る)
七代目と四代目に言われ、何とか落ち着きを取り戻ず。コイツの目的は分からない……でも、わからない以上は、できるだけ情報を引き出さないと……!!
「何を、話したいんだ…?」
「やっぱ天下の雄英にして体育祭優勝者は格が違うな。話が早くて助かるよ。そうだな………大体何でも気に入らないんだけどさ、今一番腹が立つのはヒーロー殺しさ」
「……仲間じゃないのか?」
「俺は認めちゃいないが、世間じゃそうなってる」
つまり、世間体には仲間関係だけど、本人たちからしたら違うのか…?
「問題はそこだ。ほとんどの人間がヒーロー殺しに目が行ってる。雄英襲撃も保須で放った脳無も全部奴に食われた……誰も俺を見ないんだよ。何故だ? いくら能書き垂れようが、結局奴も気に入らないものを壊していただけだろう? 俺と何が違うと思う? 緑谷」
死柄木とステインの違い……。
(坊主、慎重に答えろよ)
(こいつ、近くで見てもとんでもなく不気味な感じがするぞ……)
思わず唾を飲み込んでしまう。
「僕は…お前のことは理解も納得も出来ない…ヒーロー殺しも納得はしないけど、理解はできた……僕もヒーロー殺しも、始まりはオールマイトだったから……僕はあの時救けられた。少なくともあいつは壊したいが為に壊してたんじゃない……お前のように悪戯に投げ出したりもしなかった。やり方は間違ってても、理想に生きようとしてた……だと思う――ッ!?!?!?!?!?!?」
『危機感知』が最大レベルで鳴り出し始めてる…!?
それになんだ…この怖気は……!?!?!?
「――あぁ……何かスッキリした。点が線になった気がする…何でヒーロー殺しがムカつくか、何でお前が鬱陶しいか、わかった気がする……全部――オールマイトだ」
恐る恐る死柄木の顔を見ると、笑ってはいるけど、明るさは微塵も感じない、暗い喜びの感情を露にしていて、僕は一瞬呼吸が止まった。
それでも『危機感知』も鳴りやまない。
「そうか、そうだよな…そうだよ! 結局そこに辿り着くんだ。あぁ、何を悶々と考えていたんだろう俺は……!! こいつらがヘラヘラ笑って過ごしているのも、オールマイトがヘラヘラ笑ってるからだよなァ!!!!」
「ゔっ……!」
(出久くん…!)
(おいコイツ、首を…!?)
首を掴んでる手が力んできて、一瞬息が止まっていたせいもあって、息が…できなく…!!
「あのゴミが、救えなかった奴なんかいなかったかのようにヘラヘラ笑ってるからだよなァ!! あぁ話せて良かった!! いいんだ!!! ありがとう緑谷!!!! 俺は何ら曲がることはない!!!!!!! …っと暴れるなよ。お前と一緒に民衆が死んでいいって事か?」
「……!!」
「(皮肉なもんだぜヒーロー殺し! 対極にある俺を生かしたお前の思想・信念――その全部が俺の踏み台となる!!)」
駄目だ…!このままじゃ意識が途切れる…!!
こう、なったら…『黒鞭』……を――
「――デクくん?」
「「ッ!?」」
不意に麗日さんの声が聞こえた。
僕と死柄木が声の方に視線を向けると、麗日さんは僕達の状況を確かめるように話しかけて来ていた。
いつの間に戻ってきて…!いや、この状況だとまずい!!
「お友達、じゃないよね……? 手…放して?」
ッ!もう片方の手を出そうとしてる!?駄目だ!!
すぐに止めないと――ッ!?
「連れがいたのか、ごめんごめん。じゃ行くわ。追ったりしてきたら分かるよな?」
死柄木の手から解放されて僕はせき込む。
死柄木は立ち上がって立ち去ろうとし、麗日さんが駆け寄ってきた。
駄目だ、少しでも聞き出さないと……!!
「――待て…死柄木弔……! オール・フォー・ワンは…何が目的なんだ!?」
「え? 死柄木って……!?」
死柄木の名を聞いた麗日さんは、その表情に緊張が走って死柄木へ向く。
死柄木は振り返りはしなくとも、足を止めた。
「……知らないな。それより気をつけとけな? 次会う時は――殺すと決めた時だろうから」
そう言い、死柄木は人混みの中に消えてしまった。
クソ、結局何も……!!!
——◆——
あの後麗日さんの通報により、ショッピングモールは一時的に閉鎖。
区内のヒーローと警察が緊急捜査に当たるも、結局死柄木は見つからず、僕はその日のうちに警察署に連れていかれ、
「聞く限り、連中も一枚岩じゃないみたいだな。オールマイト打倒も変わらずといったとこかな。とりあえずありがとう、緑谷君」
「あ、いえ…僕が引き止められていればよかったんですけど……」
「いやいや! むしろ自分と市民の命握られながらよく耐えたよ。普通なら恐怖でパニックになってもおかしくない。犠牲者ゼロは君が冷静でいたおかげだ」
それでも『危機感知』で感知していて、歴代が既に接近してきてるのは教えてくれていた。
それに『黒鞭』でなら死柄木の"個性"を封じつつ捕縛も出来たのに……。
(このご時世、"個性"の無断使用は犯罪だからな。仕方ない)
(塚内警部の言う通り、君は君なりに頑張った。時と場合ってのもあるさ)
塚内さんと六代目と五代目がそう言ってくれたことも事実……僕はそのまま自身を納得させた。
その後、オールマイトもこっちに来ていて、不意に死柄木の言葉を気にして質問したら、オールマイトは「手の届かない場所の人間は救えない」と、自身も人であることをハッキリと言い、悪人たちの心を常に灯せるように笑って立つと発言した。
そしてお母さんが心配して来たりなどもあったが、接触した以外で負傷などはなかったため、警察に送られる形で僕は家に帰った。
Q.仮に使っても正当防衛にならない?
A.首を先手で掴まれたため、やったところで即死です。
あと原作だとこの後すぐに林間合宿、アニメだとプールなのですがどちらがいいでしょうか?今話だけのアンケートとして載せておくのでぜひお答えください。待っております。
あ、映画編はやるつもりです。
申し訳ありません。
アンケート追加を押し忘れていた為、追加しました。お手数おかけします。
もしよければお気に入り登録と評価、感想の方よろしくお願いします。
プールやる?
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