僕のヒーローアカデミア 継承の黎明   作:伽華 竜魅

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I・アイランド 4

 

 

 

 

セントラルタワー最上階。

メリッサさんと一緒に待ち伏せていた(ヴィラン)を撃退しながら200階に着き、警戒しながら制御ルームへ向かっていた。

 

「メリッサさん、制御ルームの場所は?」

 

「中央エレベーター前よ」

 

今の所『危機感知』も発動していない。

ここらに(ヴィラン)はいなさそうだけど……。

 

「あれは…」

 

曲がり先を見れば金庫のような扉が開いていた。

中にいるあの人って…まさか博士!?

それに武装した(ヴィラン)もいる!

 

「どうして最上階に…?」

 

(ヴィラン)に連れてこられて何かされている? 急いで救けましょう!」

 

「えぇ!!」

 

 

——◆——

 

 

「……コードは解除した。1147ブロックだ」

 

コンソールを操作していたデヴィットは、保管室に保管されている一つを解除することに成功し、すぐそばでデヴィッドを監視していたサムは、解除されたボックスがある区画へと向かう。

するとそのブロックが解除音と共に、中のアルミツールケースをさらけ出した。

 

「やった…取り返したんだ…! 成果を!! これで僕は――」

 

瞬間、武装していた(ヴィラン)に『黒鞭』が襲い掛かり、『フルカウル』を纏う緑谷が接近と共にすぐに取り押さえた。

速すぎる行動、一瞬何が起きたのか理解が出来ずにその場にいるしかなかった二人は唖然としていた。

 

「パパ!!」

 

「ッ! メリッサ!? どうしてここに!?」

 

デヴィットとサムは聞き覚えしかない声が聞こえ、反射的に声の方向へ顔を向けた。

 

「警備システムを取り返すために…パパこそなんで…?」

 

「……ッ」

 

メリッサの問いかけにデヴィットは、深刻そうな表情をしながら思わず顔を避けた。

メリッサが困惑するが、その質問をサムが代わりに答えた。

 

「この装置を取り返す為ですよ、お嬢さん」

 

「えっ?」

 

「元々この騒ぎは私と博士が手配したもの。全てはこの装置を取り返す為です」

 

「手配したって……嘘、じゃあこの事件……パパが仕組んだの? あの装置を手に入れる為に…? そうなの、パパ!?」

 

メリッサは必死に問いかけるも、デヴィットはきつく目を閉じていた。

そして吐き出すように答えた。

 

「…そうだ。私は、罪を犯してしまった……最初こそ、オールマイトの"個性"は消えかかっており、彼を、平和の象徴を、光を取り戻すために計画を練っていた」

 

「ッ!」

 

デヴィットが吐き出した告白に、緑谷の顔は蒼白に染まった。

 

「(それって…僕が『ワン・フォー・オール』を受け継いだから…オールマイトの"個性(ちから)"が失われている事を憂いて、博士は……!)」

 

(お前のせいじゃねェさ坊主! けど、こんなことをするか普通…!)

 

(いや待て。あの博士は今、最初こそと言った。つまり今は違うと言っているようにとらえられるが……)

 

「(えっ?)」

 

緑谷は無意識に自分のせいだと思い込むも、歴代が否定し、博士の発言に引っかかりを覚えている。

そして博士の言葉を繋ぐようにサムは語った。

 

「そうです! 博士は奪われた物を取り返しただけ! 機械的に"個性"を増幅させる、この画期的な発明を!!」

 

「"個性"の…増幅…!?」

 

「まだ試作段階ですが、この装置を使えば薬品などとは違い、人体に影響を与えず"個性"を増幅させる事ができます。しかし、この発明と研究データはスポンサーによって没収。研究そのものも凍結させられた……これが世界に公表されれば、超人社会の構造が激変する…それを恐れた各国政府が圧力をかけてきたのです。だから我々は取り戻すために今日まで計画を練った! ですが、博士は当日になりいきなり裏切った。ですが保管室の解除をできるのは博士だけなのでね、今に至る感じになったわけです」

 

「サム……」

 

そこまで堕ちてしまったのかと、デヴィットはサムに後悔の眼差しを向ける。

緑谷はサムも取り押さえようと動こうとした瞬間、『危機感知』は発動した。

 

「くっ!」

 

緑谷はすぐに振り返るも、視界に映ったのは自身へと向かってくる鉄のパイプ、フェンスのようなもの。それが金属でありながら生き物のように動き、緑谷は咄嗟に躱すが足を掴まれ、そのまま壁へとぶつけられると同時に拘束されてしまう。

 

「デクくん!!」

 

「緑谷君!!」

 

緑谷の視界の先にはウォルフラムが立っていた。

 

「(アイツは確か、会場にいたはずの……それに『金属を操る』"個性"か!)」

 

『黒鞭』を使い引き剥がそうとし、メリッサも駆け付けて引き剝がそうとする中、彼らの耳には銃声が響いた。

全員がその銃声の方へ視線を向ければ、装置を渡そうとしていたサムがウォルフラムに肩を撃たれていた。

 

「な、何故…!? 約束が違う!」

 

「約束? あぁ、忘れたな。そしてこれが謝礼だよ」

 

止めを刺すためにもう一発、サムへと放つ。

だがサムには当たらず、庇おうと出たデヴィットが右胸から血を出し、サムの前に倒れた。

 

「博士、どうして…!?」

 

「に、逃げろ…!」

 

「パパァ!」

 

それに気づいたメリッサは思わずデヴィットのところに駆け寄ったが、ウォルフラムに容赦なく殴り飛ばされた。

 

「(クソォ…!!)」

 

緑谷はすぐに脱出するためにも、『フルカウル』を20%に上げていく。

一方でウォルフラムはデヴィットの背中を強く踏みつけながら言い放った。

 

「今更ヒーロー気取りか? 無駄だ。どんな理由があろうと、あんたは悪事に手を染めた。この計画を降りて反対したところで、あんたの犯した罪は消えない。とっくに――俺達と同類さ

 

ウォルフラムの言い放つ言葉に、デヴィットは改めて自分のした行いに罪悪感が湧き上がっていた。

 

「あんたはもう科学者でいる事も、研究を続ける事もできやしない。敵の闇に落ちていく一方さ……今のあんたに出来る事は、俺の下でその装置を量産する事ぐらいだ」

 

ウォルフラムは愉快そうに笑いながら襟首を掴み、デヴィットを持ち上げて銃のグリップで殴ることによって気絶させ、部下に連れていくよう指示した。

 

「――返して…パ、パパを返して…!」

 

「そうだな、博士の未練は……断ち切っておかないとな!」

 

ウォルフラムは銃口をメリッサに向け、銃爪を引こうとした。

 

「――やめろぉ!!!」

 

――『フルカウル20%』

 

緑谷は『フルカウル20%』で拘束を抜け出すと同時にウォルフラムへと迫る。

 

【――スマッシュ!!】

 

だがウォルフラムは金属を操り、分厚い壁を何十にも展開することで緑谷の攻撃を止めた。

思っていたよりも分厚い壁が重なっていたからか、20%でも完全に破壊するのは不可能だった。

そんな中、緑谷はメリッサへ顔を向けた。

 

「(メリッサさん!  博士たちは救けます! だから、みんなをッ!!!)」

 

表情だけによるメッセージ。

そのメッセージをしっかりと受け取ったメリッサは頷き、懸命に制御ルームへ向かうために保管室の入り口へと駆け出す。

させまいと幹部が走ろうとするが、緑谷は『黒鞭』と『浮遊』も合わせて飛ぶことで、足止めするために立ちはだかる。

 

「ここは行かせな――ッ!」

 

『危機感知』が鳴り出すことで迫る金属の柱を躱していった。

 

「(クソ、数とここの狭さで身動きが徐々に…!!!)」

 

避ける広さも失い、迎撃しようにも数の多さと速さ、そして同時攻撃などからやがて一つの柱に衝突し、壁へと押し込まれてしまった。

 

 

——◆——

 

 

今一度出力を上げて、壁を破壊する!

 

「うぁ…!」

 

破壊は出来たけど、(ヴィラン)が行ってしまった…すぐに追いかけないと…!!

 

(まだ遠くまでは行っていないはずだ。あの装置の話が本当なら、今後まずいことになるぞ小僧)

 

はい…急がないと!

さっきのでダメージは受けてしまってるけど、『浮遊』と『黒鞭』を合わせれば早く動ける…!!

 

(おそらく(ヴィラン)は空中から逃げるだろう。警備システムが戻った今、地上だと意味がない。それにここから最も近い脱出ポイントは――)

 

ヘリポート、ですね!

ッ!これは血の跡……!?

 

(博士の血だ! これを辿っていけば追いつける!!)

 

はい!!

 

 

——◆——

 

 

屋上…ヘリポートへ何とか辿り着いた。

 

(出久くん、あれを!)

 

ッ!博士…それにヘリがもう飛び立とうとしてる!!

 

「待て!!」

 

止めようと叫べば、(ヴィラン)が気付いてこっちに振り向いた。

 

「博士を返せッ!!」

 

「なるほど! とっくに取り返しのつかない悪事を犯したこの男を捕らえにきたか!」

 

「違う! 僕は博士を――救けにきたんだァ!!

 

『フルカウル』を纏い駆け出す。

(ヴィラン)は鉄の柱を繰り出して来た。

『危機感知』で感知して避けていく。

 

「犯罪者を?」

 

「僕はみんなを救ける! 博士も救けるッ!!」

 

「お前、何言ってんだァ?」

 

――うるせぇ!!!!!  ヒーローはそうするんだッ!!!  困ってる人を救けるんだァ!!!!」

 

インパクト25%で破壊しながら『黒鞭』と『浮遊』『発勁』も駆使して接近する!

この距離なら『煙幕』で視界を潰してから『黒鞭』で博士を――

 

「――どうやって?」

 

なっ!?

博士に銃口を…!

思わず動きを止めて着地してしまった。

 

「全く、ヒーローってのは不自由だよなぁ」

 

(九代目! 止まっちゃダメだ!!)

 

六代目…ッ!!

 

「たったこれだけで身動きが取れなくなる」

 

『危機感知』が鳴り出して、空中へと再び飛び上がって『浮遊』と【エアフォース】で避けるも、立て続けに柱が来て地面に叩きつけられてしまった。

 

「どっちにしろ利口な生き方じゃない……出せ!」

 

『黒鞭』で筋肉の伸縮をして『発勁』を溜めて放出!!

柱を破壊して、残ってる柱の上に乗って駆け出す。

アイツは手で直接触れていないと"個性"を発動できないはずだ!

 

空中でなら!!!

飛び上がる瞬間に『OFA』の出力を20%にして同時に『浮遊』を発動する!!

 

「ぐっ!」

 

ヘリの足に掴まることが出来た!

『黒鞭』を出して落ちないようにしながら、中にいる博士に手を伸ばす。

 

「ぐぅ……博士!」

 

「やめるんだ…緑谷くん逃げ――」

 

「メリッサさんが…メリッサさんが待ってますッ!!」

 

「…ッ」

 

ッ!『危機感知』が鳴った!!

 

「確かにお前はヒーローだ――バカだけどな

 

咄嗟にフルガントレットで弾丸を防いだが、その影響で落ちかけた。

だけど『危機感知』は鳴り止むことなく、(ヴィラン)が次々に弾丸を撃ってきて、その影響で落ちてしまった。

 

「ぐぅ!!」

 

『浮遊』で浮きながら『黒鞭』をヘリに捕縛し続けてるからまだいける!!

背中だけじゃなく、片方の手からも『黒鞭』を伸ばして、もう片方は下のヘリポートへと伸ばし掴む!!

 

「なっ!? 貴様!!」

 

絶対に行かせない……!!!

 

(『黒鞭』で無理矢理ヘリを行かせないように!!)

 

(だが九代目! それだと弾丸を躱すことができない!! それにその状態が続いたら、君の身体が引きちぎれる恐れが……!!!)

 

それ、でもォ…!!!

『フルカウル』を30%にすればァ…!!!

 

「この間抜けがァ!!」

 

『危機感知』が鳴った!

でも、このまま避けたら逃げられる可能性も…!!

 

「――よく持ちこたえてくれた! 緑谷少年!!」

 

「ッ!?」

 

その声が聞こえた瞬間、ヘリよりも高く一人の影が現れた。

 

「もう大丈夫! 何故って? ――私が来たァ!!!!!!

 

オールマイト…!

 

「親友を返してもらうぞ! (ヴィラン)よォ!!」

 

オールマイトは空中で一度身体を振るい、その風圧でヘリへと接近して貫通した。

それによってヘリはその場で爆発し、燃え上がりながら墜落していき、僕も『浮遊』を解除して着地する。オールマイトは博士を無事に救っていた。

 

「パパ…パパッ!」

 

「メリッサ……」

 

「これでもう大丈夫だ」

 

良かった…無事で……。

 

「……すまない、オールマイト…私は……」

 

「あぁ、罪は消えない……だが君が話してくれた。私を信じてくれた。だからこそ、私は――」

 

――ッ!?

『危機感知』が鳴り出した!?

 

「オールマイト――」

 

オールマイトに呼びかけるも、それよりも速く金属の柱がオールマイトと博士を叩き飛ばし、僕の方にも伸びてきて、近くにいたメリッサさんを抱えて避けた。

さらに鉄製のコードや配線が吹き飛ばした博士を捕えて、巨大な金属の塊の中に連れ去られてしまった。

 

「――サムめ! オールマイトは"個性"が減退して、往年の力は無くなったとか言ってた癖に…!」

 

中央の上あたりに頭に装置を付けた(ヴィラン)がいた。

 

「まさかアイツ、博士の装置を…!?」

 

("個性"を増幅させる装置をあの土壇場で装着し、起動させたのか!?)

 

安全な場所に着地してメリッサさんを下ろす。

オールマイトを見れば復帰しているものの、軽々とオールマイトの攻撃を防いでいた。

 

「流石デヴィット・シールドの作品…"個性"が活性化していくのが分かる……! ハハハ、いいぞこれは!! いい装置だァ!!!!!!!!!!!!

 

これが博士の……。

 

「パパが作った装置の力……」

 

(トリガーとは訳が違いすぎるぞこれは!)

 

(確かにこれなら『残り火』を活性化させ、譲渡する前の状態にまでできるかもしれない……だが規格外だ。これは政府の言う通り、危険すぎる…!!)

 

「さて、装置の価値をつり上げる為にも――オールマイトをぶっ倒すデモンストレーションといこうか!!!!!」

 

 

 

 






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