今回もざっくり…やっぱ日常的な部分は一部を除いて代り映えしないですね。
お昼を抜かれたのもあり、みんなお腹が空いていて夕食はいつも以上に美味しく、多く食べた。
その時にも洸汰くんは険しい表情でマンダレイのお手伝いをしていたりしていて、ちょっと気になった。
あの歳でもうヒーローを毛嫌いしているような感じだ何て、正直僕の中では不思議だったから。
その後は露天風呂である温泉に入って、みんなで極楽状態になっていた。
昼間のこともあり、神経まで染み渡ってとても気持ちいい……。
(いいな温泉…俺たちはもうそれすら味わえないからなァ)
あ、ご、ごめんなさい……。
(気にしなさんな! まぁ家でなら坊主に身体借りて風呂満喫できんだ!! 大したことじゃあねェ!!)
(なぁそれ唯一女性である私だけできないだろ?)
…あっ。
(現に今あまり見ないように配慮してるからな志村さんは)
(椅子に座って待つだけだから。気にしなくていいよ)
は、はい…あれ、峰田くん?
急に壁のように移動して、壁を見上げ始めた。
「まぁメシとかはね、ぶっちゃけどうでもいいんすよ。求められてるのって、そこじゃないんすよ。その辺分かってるんすよオイラ。求められてるのはこの壁の向こう側なんすよ」
「一人で何言ってんの、峰田くん?」
思わず声を掛ければ、峰田くんは壁に張り付いて「いるんすよ」と言った。
ま、まさか…!!
「きょうび、男女の入浴時間をずらさないなんて事故。そう、もうこれは事故なんすよ」
「お前まさか…!」
の、のののの、覗きを…!!!
「――峰田君! やめたまえ!! 君のしていることは、己も女性陣も貶める、恥ずべき行為だ!!」
「――やかましいんすよ」
そう言いながら頭部の『もぎもぎ』を掴み、一瞬のうちに――
「壁とは――超えるためにある!!! Plus Ultra!!!!」
壁へと登った。
というかいつの間にあんなに俊敏で速い壁のぼりを!?
(性欲に忠実すぎるだろ)
(志村さん止めなくていいんすか。一応女性陣だからそういうの真っ先に止めると思ったんすけど)
(動きに無駄がない程に速かった。欲に忠実なほどいい動きをしたっていう感じだね……あとそれだと私も男子たちのを覗くような感じになってなんかアレだから)
と、とりあえず『黒鞭』で――ってあれ、洸汰くん?
「――クソガキィィイイッ!!!!!!!!」
って、峰田くんのお尻が飯田くんの顔面にィ!!!
(うわぁ……)
(見ないようにしてるけど、聞いた感じその子の自業自得だね。それに上で見張りも付けてたってことは教師もそうするとわかっていたってことだね)
そ、そうですね……というか飯田くんが一番不運すぎる。
(九代目、あの子落ちそうじゃない?)
へ?ッ!!
洸汰くんが落ちて…!!
「――危ない!!」
咄嗟に『フルカウル』を纏って飛び出し、ギリギリで洸汰くんをキャッチした。
良かった…けど白目向いてる……早くマンダレイの所に
——◆——
「落下の恐怖で失神しちゃっただけだね、ありがとう。イレイザーに「一人性欲の権化がいる」って聞いてたから見張ってもらってたんだけど……最近の女の子って発育良いからねぇ」
急いでお風呂から上がって、マンダレイに洸汰くんを見せれば失神しただけだと言った。
良かった……。
「よっぽど慌ててくれたんだね」
「はい……あの、洸太くんは…ヒーローに否定的なんですね」
「ん?」
「僕の周りは昔からヒーローになりたいって人ばかりで……あ、僕も…それで、この歳の子がそんな風なの珍しいな…って思って……」
「……そうだね。当然世間じゃヒーローを良く思わない人も沢山いるけど……普通に育ってればこの子もヒーローに憧れてたんじゃないかな」
「普通……?」
一体どういう……?
「マンダレイのいとこ……洸汰の両親ね。ヒーローだったけど――殉職しちゃったんだよ」
「え……?」
(…ッ!)
ッ?七代目?
僕よりも強く反応しましたけど……。
(……)
七代目の反応が気になるけど、マンダレイの話に耳を傾ける。
マンダレイがが言うには二年前、洸太くんの両親は
ヒーローとしては、世間からはこれ以上ない程立派な最期で、名誉ある死だった、。
だけど洸太くんは物心ついたばかりの子供で、そんな事は分からない。
親が全ての世界であり、「自分を置いて行ってしまった」のに世間はそれを良い事・素晴らしい事と誉め称え続けた。
プッシーキャッツの事もよく思ってないみたいだが、他に身寄りも無いので従ってる……といった感じでいるらしい。
……それほどまでに、洸太くんにとってヒーローは、理解できない気持ち悪い人種なんだと。
それを聞いて僕は、ショッピングモールで遭遇した死柄木の言葉を思い出していた。
『――救えなかった奴なんかいなかったかのようにヘラヘラ笑ってるからだよなァ!!』
とても無責任で、ひと事な言い方になるけど、世の中いろいろな考えの人がいる。
立て続けに聞く価値観の相違に、僕は何も言えなかった。
そしてマンダレイに服を着てくるよう言われて我に返って、急いで温泉の更衣室を戻った。
——◆——
『OFA』空間内。
現九代目として継承している緑谷と、まだ存命であるオールマイトを除く歴代継承者たちがいる。
そんな中、七代目継承者である志村菜奈は、険しい表情で俯き座っていた。
「志村さん…大丈夫か?」
その真実を知っており、察している他継承者らはただ黙っていたが、五代目である万縄は声をかける。
「……すまない。あの子の話を聞いて、つい連想してしまったんだ。あの子は『弧太朗』と同じだって」
洸太の両親が共にヒーローで殉職した。
それは志村にとっても当てはまるもの。
彼女は『OFA』を受け継ぎ、AFOを討つ使命を背負った。
だがその戦いに家族を巻き込むわけにはいかない。
物心がつく前に亡くなってしまったがため父もいない。それでも彼女は、AFOの魔の手から最愛の息子を逃がすため、守るため里子に出した。
それは苦渋の決断でもあった。
本当だったら、AFOを討って生還し、迎えに行こうとしていた。
しかしそれは叶わず、八代目継承者にして弟子であり、今では平和の象徴であるオールマイトに託す形で命を落とし、因子に宿る意思の、生き霊としてここにいる。
洸太の話を聞いて過去のことを連想し、一瞬感情が溢れた。
それが九代目である緑谷にも伝わったが、聞いてこなかったのは彼なりの気遣いだろう。
志村はそれに感謝していた。
「志村さんの気持ち…家族を、それも子を持ったことのない俺らはハッキリとわかるとは言わねぇ。だけど、使命を背負った以上、巻き込まれないようにしたのは、そうやって頑張って来たのは内側から見て来たからわかる」
「とやかく言うつもりはないよ。むしろ僕は、申し訳なさの方が大きいかな。巻き込んでしまったのは事実だから」
「与一のせいじゃない。受け継いで、背負ったのは私の意志さ」
五代目と初代なりの励ましを受け、志村はある程度落ち着いたのか静かに微笑んだ。
「今も存命なら、戦いが終わった後にでも会いに行けばいいと思うよ。志村の息子さん…もしかしたら家族もいたりしてね」
「……年月で考えれば弧太朗はもう歳はそこそこいってるだろね…でも、そうだね、それでも弧太朗に会えるのなら、あの子に家族が出来てて、それを一目でも見れたら、それだけでも嬉しいかな」
そのためにも九代目を支え、AFOを今度こそ討たなければならない。
継承者たちはそう決意を改める。
だが彼らは知らない…この先、その願いが一生敵わず――
――残酷な真実が待っているのを。
志村さんの過去、息子である弧太朗の過去って、洸汰とその両親と似た状況ですよね。
似て異なるって言い方の方が正しいかもしれませんが。
洸汰の過去を聞いて志村さんは絶対に弧太朗のことを連想したに違いない。
あと歴代の会話、よく絶望というメインディッシュの前に来る、ちょっとした期待という前菜的な感じで追加してみました。
もしよければお気に入り登録と評価、感想の方よろしくお願いします。