ランキング70位に入ってました、びっくりです。
雄英に入学して二日目。
午前は普通の学校と同じように必須科目による授業。教師がプロヒーローなのが凄いけど、その内容はいたって普通だ。
昼は大食堂で一流の料理を、安価で頂ける。
しかも『コックヒーローランチラッシュ』のお手製。そして午後の授業、いよいよヒーロー科としての授業、ヒーロー基礎学だ。
「わ~た~し~が~!! 普通にドアから来たァ!!!」
教室に来たのは相澤先生ではなく、オールマイトだった。
僕自身も興奮してるし、みんなもみんなで声を漏らしてる。
(普通に入ればいいものを…あんな派手に……)
ただオールマイトの過去などを知る歴代の方々数人、特に七代目は呆れていた。
けどその顔は笑ってる…オールマイトの師匠として、嬉しい部分もあるんだろう。
「早速だが今日はコレ! 戦闘訓練!!」
ッ!初日から戦闘訓練…!!?
いきなりか…ある程度『黒鞭』『浮遊』はコツを掴んできたけど、それでも不安だな。
みんなは僕と違って"個性"とかそこら辺の経験歴が違うし。
(最初が戦闘訓練とは、八木もぶっこむな)
(だが『ワン・フォー・オール』を持つ以上戦いそのものは避けられない。九代目、私は逆に良いと思うが)
(それ以上に俊典の教えがちゃんとできてるかどうかだろ)
ア、アハハ……でも、確かにそうですね。
内容は戦闘以外にも救助とかも今後あるんだ。
色んな所で"個性"は活躍するし、頑張らないと。
——◆——
皆がみんな、入学前に要望した
みんなの
きっと、各々が"個性"にあったりするようデザインしたんだろうな。
そんな中、オールマイトはカンペを読みながら説明を始めた。
(新米故か…)
(しょうがないでしょ。教師に職務するまでは、八木俊典として第二秘書室って形で事務所で働いていたが、そこでも手こずる程だからね。あくまで天才肌なのはヒーローとしての部分が大きい)
えっ!?オールマイトがヒーローとしてではなく事務所の第二秘書として…!?
し、知らなかった……というか知りたい…!!!
(本人に聞くといい。私たちが話すのは彼のプライバシーに関わる。今は戦闘訓練に集中するんだ)
はいッ!!
あっ、もう最初に戦う組を選んでる!
「うん! 出たのはヒーローにAで、
対戦相手はまさかのかっちゃん…!
最初からいきなりか…!!
(もはや因果だな、坊主)
そうですね…でも、遅かれ早かれ、ぶつかるのは分かってました。
なら、全力でやります。
僕達も指定された場所の外で、時間になるまで待機。
その間、オールマイトに貰った見取り図で、建物の構造などを確認する。
"個性"は扱える…だけど、不安も、緊張もあって、それ以上に、武者震いが止まらない。
「爆豪くん……バカにしてくる人なんだっけ」
麗日さんから見ても、周りから見ても、かっちゃんの印象は最悪だろう。
けど、その言葉に肯定も否定も返さない。
「凄いんだよ。嫌なやつだけど……でも、
マスクを調整して付ける。
かっちゃんは頭が良くて、運動神経もすごくて、何をやってもすぐに飲み込んで、失敗せず成功していく。そして自信に満ち溢れている。
その自信と釣り合うほどの目標を掲げて、叶えるために目指し続ける強さもある。
ずっといじめられたけど、それと同じぐらい何度も憧れた。
何度負けても、何度も立ち上がって、その背中を追い続けた。
「男のインネンってヤツだね……!」
「あ、いや、ごめん! 麗日さんには関係ないのに、その……!」
「あるよ、ある! コンビじゃん、頑張ろ!」
麗日さんは笑顔でそう言ってくる。
その笑顔が眩しくて、不思議と不安が消えていった。
(まだ日は浅いが、彼女は君のことを信じているようだ。頑張らないとだね、九代目)
はい。
制限時間は15分で、その時間内に
核の位置は
とりあえず玄関からの潜入は、本当の
一階の窓から、中の安全かどうかを確認後に潜入する。
「潜入成功!」
「死角が多いから気を付けよう」
急いで走ったりしても足音でバレてしまう。
そしてこの戦闘ではまだ習得段階の『危機感知』を使い続ける。
『危機感知』は、実戦で使ったほうがいいはずだから。
仮に死角から奇襲が来ようとも『危機感知』があればすぐに察知して対応できる。
僕を先頭に、麗日さんと二人で上に一階から核があるか探索していく。
『浮遊』と『黒鞭』があれば外からそのまま屋上に行って、上からでも攻めただろうけど。
窓からそれを確認されたらダメだし、これが本当に対
(初日のテストで、対戦相手二人の"個性"は粗方把握できてる。特に幼馴染は君がノートに書きつくしているから、情報量で言えばこちらの方が上だ。それに君の分析と予測なら、色々と対応もできるだろう、出久くん)
そうですね。こう言った屋内での戦闘も、プロヒーロー達のインタビューなどでいっぱい聞いて書いてきたんだ。
思い出せ、ノートの内容を――。
「ッ!」
――『危機感知』が反応した。
すぐそこの曲がり角!
「麗日さん!!」
「うわっ!」
『フルカウル』を纏い、背後にいる麗日さんを抱き上げてその場から離れる。
すると次の瞬間にはそこで爆発が起こった。
やっぱり来ると思った。
「こらデク! 避けてんじゃねェよ」
かっちゃんは、僕の"個性"のことで頭がいっぱいで、この戦闘訓練で上下を決めるのも含めて単身で攻めて来るってことを。
「かっちゃんが敵なら、まず僕を殴りに来ると思ったよ…!」
また『危機感知』が反応した!
敵意剥きだしってことだなかっちゃん。
「中断されねェ程度にぶっ飛ばしたらァ!!」
右の大振り!!
これはかっちゃんの癖だから!予測しやすい!!
受け止めた瞬間に『黒鞭』を展開してそのまま腕を捕縛。
そして背中を向けて付けて!
『フルカウル』で上げた身体能力で!!
一気に地面に叩きつける!!
「かはっ…!!」
「……かっちゃんは、たいてい最初は右の大振りなんだ。僕がどれだけ見て来たと思ってる」
「…アァ!?」
「すごいと思ったヒーローの分析は、全部、ノートにまとめてあるんだ……君が爆破して捨てたノートに…!」
もう僕は、あの頃の僕とは、今までの僕とは違うんだ…!
オールマイトに認めてもらえて、"個性"を授かって、歴代の方々が支えてくれて……!!!
「いつまでも、雑魚で出来損ないのデクじゃないぞ。かっちゃん、僕は――『頑張れって感じのデク』だ!!」
言った。言ってやった。
でもずっと君の背中を、何もできずに追いかけ続けるのはやめた。
今は、僕の持つすべてで、君を超えたいんだ…!!
「デク…!」
まだ身体が震えてしまってる。
当然だ。今まで太刀打ちどころか何もできずにやられる一方だったんだ。
「ビビりながらよォ…そう言う所が……ムカつくなアッ!!!」
とんでもない表情…すると片手を耳に当てた。
恐らく無線。
いまのかっちゃんはきっとチームワークの欠片もないから、飯田くんから掛けたんだろう。
でもかっちゃんは酷いこと言って無理やり切った。
つまり核には飯田くんしかいない。
そしてかっちゃんが片腕を後ろに向けた瞬間、『危機感知』が反応した。
「麗日さん行って!!!」
麗日さんには核を探してもらう。
出来ればかっちゃんを今確保テープで確保してすぐに加勢したい。
かっちゃんは爆破の勢いで接近してきて、片足で攻撃してくる。
僕はそれを防いだ。
「よそ見か、余裕だなァ! あっ…」
『黒鞭』じゃなく確保テープを脚に。
イレイザーヘッドの技を生で見れて良かった!
そして『黒鞭』じゃなく確保テープなら、巻かれた時点で戦闘不能状態になる。
「クソがァ!!」
つまりかっちゃんなら焦って……来た!
『危機感知』の反応!!
右の大振りだ!ならこのまま僕は右に避ける!!
「なっ!?」
当たり!避けれた!!
(やるじゃないか坊主! しかも四ノ森さんの"個性"を使いこなし始めてるじゃないか!)
いえ、全然です。
相手がかっちゃんだからここまで避けれた。
元々僕自身、かっちゃんの大抵の動きがわかるからという結果です。
(それでもだ。この戦いはいい機会になる。このまま『危機感知』の習得訓練もいいかもしれない)
はい…でも、かっちゃんに勝ちたいから、全力で行きます。
そして肝心のかっちゃんが放ってきた最初の一撃、僕に読まれるのを避けるために蹴りで攻めて来た。
つまり警戒されたってことになる。
するとかっちゃんは、僕へと向いてから両手を後方に向けた。
同時に『危機感知』が反応…来る!
僕は一度後退し、かっちゃんから離れた。
そんな僕をかっちゃんは追いかけようとしてる。
(正面から戦わないのかい? 九代目)
戦いますけど、まずは確証を得たいんです。
かっちゃんのこの行動が暴走なのか、それとも名演技並みの作戦なのかを。
(なるほど。ここでチームメイトか自分かを見極めるってことか)
そういうことです。
「なぁオイ! 俺を騙してたんだろ!! そうやって俺ンこと見下してたんだろずっと!!!」
ッ!!そうだよな…かっちゃんからしたら、そうとらえることもできるよな。
(出久くん、わかってると思うが……)
はい。かっちゃんにも話すことは許されない。
『OFA』を、歴代の"個性"のことを……。
「俺の方が上だからよォ…だから、逃げずにかかってこいやクソナードォ!!!」
もうほぼあの言動からわかる。
麗日さんは無視で僕に釘付けだ。
やっぱり暴走で、核には確実に飯田くんがいる。
仮に二人で核を探してもかっちゃんが戻って来て負け。二人でかっちゃんを相手しても時間切れで負け。ならこれでいいんだ。
僕がかっちゃんを相手している間に麗日さんが核を見つけて、僕も隙を見つけてすぐに加勢に向かう。
その際、麗日さんには飯田くんに見つからないようにしてもらわないとだけど。
もしくは僕がかっちゃんに勝つ…いや、どっちにしてもそれは前提の話だ。
今僕が持つ手札は、『OFA』による身体能力強化の『フルカウル5%』
七代目の『浮遊』に五代目の『黒鞭』、そして四代目の『危機感知』だ。
これだけでも十分戦える。
いや、屋内だとそもそも"個性"にも使えるものと使いづらいもので別れてしまう。
『――デクくん、デクくん!』
「ッ! 麗日さん! どう?」
『核は見つけたけど、飯田くんに見つかっちゃった…ごめん。今ジリジリと近寄って来とる』
麗日さん、もう核を見つけてくれたか。
だけど飯田くんにも見つかった……いや、元々"個性"把握テストでみんなの"個性"は大体見たし、帰りの時に僕と麗日さん、飯田くんは一緒に帰って各々のことを話したんだ。
きっと対策をしているに違いない。
「場所は?」
『五階の真ん中フロア』
ここのほぼ真上!時間はもうそんなにないはず。
タイムアップの場合は向こうの勝ち。
窓を探して、『浮遊』と『黒鞭』で……ッ!
『危機感知』が反応した!後ろ!!
振り返ればかっちゃんが立っていて、両腕のうち、片腕の篭手を見せつけるように掲げた。
「溜まった」
溜まった…?
あれはサポートアイテム的なものなのか?
「なぁデク…テメェその"個性"なんだよ。全部関連性が見えねぇ……あり得ねぇと思うがよ…
ッ!やっぱりかっちゃんは鋭いし、勘がいい…!!
(元々関連性はないんだ。他の人から見ても複数持ちと思うだろう。けど君の事情を知る者からすれば、余計に怪しいだろうな)
かっちゃんが突然口角を上げて笑い出した?
「テメェのストーキングならもう知ってんだろうがよォ……俺の『爆破』は、『手のひらの汗腺からニトロのようなものを出して爆発させる』」
するとその篭手を僕に向けて、取っ手部分を引いて、小さなピンのようなものを出した。
しかもご丁寧に説明しながら、僕に照準を向けて……それってもしかして!!
「要望どおりの設計ならよォ…この篭手はそいつを内部に溜めて…!!」
「嘘だろかっちゃん!?」
『危機感知』が猛烈に反応してる!
本気だしマジだ!!
(まずいぞ九代目!!)
かっちゃんの言う通りなら、その規模と火力はきっと計り知れない!!
避けても喰らう可能性は十分ある……だったら一か八か、前々から考えていたアレをするしかない!!
『爆豪少年、ストップだ!!』
「当たんなきゃ死なねェし、どうせ当たんねェよ!!」
そう思い、即座に発動したのと同時にかっちゃんは、サポートアイテムのピンであろう物を引き抜いた。瞬間、どっ、と膨大な爆炎が襲い来る。
『黒鞭』を手からじゃなく、身体からも出して身体を幾重にも巻きつけて――
——◆——
「ははっ…すげぇ……!!」
サポートアイテムである篭手に、己のニトロのような汗を溜めるよう要望した。
その要望は、本人が一番唆られる出来。
同時にもう片方の篭手も、ニトロのような汗が溜まり終えた。
そんな爆豪の無線には、オールマイトが焦りながらに緑谷を呼びかける声が響く。
煙幕で見えないが、直撃でもしない限り死なないと爆豪自身、咄嗟の冷静さで理解している。
まさにみみっちい。
「あ? ッチ、今ので外まで吹き飛んだか……」
爆豪は先のサポートアイテムの威力により、緑谷が外まで吹き飛ばされたと思い込む。
それは先ほどまで自分と渡り合おうと、爆豪の神経を逆立てさせるほどに迎え撃とうとしてた緑谷の行動の結果。
しかし次の瞬間、先の爆破にて破壊され、外が丸見えとなっている壁から影が飛び出た。
「――は?」
その姿を見た爆豪は呆気にとられる。
外に吹き飛ばされたのは正解だったが、彼の姿までは想像することはできなかったから。
——◆——
危なかった。
ギリギリだったけど、うまくいった。
かっちゃんが爆破を凝縮して放った1発……想像を絶するほどの凄まじい破壊力だ。
『危機感知』がなきゃとっくに黒焦げだったに違いない。
そして、『危機感知』による反応と、かっちゃんに気づかれたらマズいから、放った瞬間のギリギリに、身体から『黒鞭』を出して幾重にも巻きつけ、防御に徹する。
おかげで軽傷とは言えないけど、防ぐことはできた。逆に外に吹き飛ばされたけど、『黒鞭』ですぐに壁を掴んでから、これ以上受けないように即座に下に移動すれば、爆破が終わるまで食らい続けることはなくなる。
でも、お母さんが入学祝でわざわざ作ってくれた
サポート会社が修繕してくれるだろうけど、帰ったら謝らないと……。
「……~ッ! テんメェ…!!」
「……ッ」
その後、オールマイトの厳重注意が入った。
当たり前だ。
あんな規模の攻撃を屋内でやるなんて。
「だったらァ……!!」
『危機感知』!来る!!
「――殴り合いだァ!」
真正面から、爆破の勢いで一気に!!
攻撃場所を予測して、カウンターを……ここッ!!
「あっ!?」
攻撃じゃなく目くらましでの爆破!?
また『危機感知』が反応して…後ろか!!
「くぅ!!」
「ぬぁっ!?」
振り返り際に片足で、こっちに向けている手を蹴る!!
「~~ッ…!! テメェがどんな"個性"を使おうが、俺の方が上だァ!!!」
かっちゃんはすぐにもう片方で爆破しようとしてくる。でも『危機感知』で既に気づいている。
だからそれよりも速く僕は『黒鞭』を出して捕縛した。
「ンなっ…!?」
一気に決める!
かっちゃんはすぐに振り解こうと、両手から爆破を放とうとするけど、僕は即座に飛び上がり、足を振るう。
歴代との特訓の時に分かった。
拳だけじゃなく、足も使えばより戦える。
特に『黒鞭』などを使うなら、足で戦えるようにした方がいいと!
それに、足は腕より威力が高い!!
【――スマッシュ!!】
「がっ!?」
思いっきり、かっちゃんの頭部を蹴って地に叩きつける。
そして気絶してようとしていなかろうと、即座にポーチにしまっておいた確保テープを巻き付ける。
かっちゃんは……今ので気絶したか。
「後は麗日さんに加勢して核と飯田くんを――」
『回収~!!』
『しまっ、核ゥー!!!』
急いで向かおうと立った瞬間、無線から麗日さんの声が聞こえた…回収と。
そしてオールマイトの、僕らの勝利と終了の合図による声が放送された。
結局、授業と言うよりも、かっちゃんとの戦いを、私情を優先してしまったな……。
(確かに、
七代目……。
(けど、それぐらい今回は、幼馴染との戦いは君にとって大切なことでもあったんだろ? なら仕方ないさ。悔いがないなら誇れ)
(それに実際の戦場じゃあ、こういった
そうですね……でも、『OFA』の制御に歴代の"個性"がなければ、こうしてかっちゃんとやり合えなかった。
それぐらい、かっちゃんは強かった。
かっちゃんって最初は敵意むき出しとも言えるから『危機感知』は普通に反応するだろうなあって思います。
歴代との会話で、オールマイトが第二秘書室って部分は、アニメ派の方々にはネタバレになりますので、この時点で読まないように。
外伝である『ヴィジランテ』に書かれていたのでそのまま入れました。
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