コイツがAFO…なんで、『OFA』の宿敵がここにいるんだ!?
「いやはや驚いたよ。流石に複数持ちだから負けることはないにしても、あのマスキュラーに正面から勝つなんて! 彼は純粋に一つの"個性"でトップヒーローたちに匹敵する実力を持っていたからね、実に素晴らしいよ!!」
拍手しながら先のマスキュラー戦のことを話してるけど、そんなの頭に入ってこない。
身体が動かない…!!一歩でも動いたら、一呼吸でもしたら死ぬ…そんな感覚が神経や細胞にまで…!!
(落ち着け九代目!!)
(その感覚になるのは仕方ないことだ!! 本能的な部分だ!! それでも動け!! このままじゃやられるぞ!!)
立て…立ち上がれ…!うご、け…!!動けよッ!!!
「僕の事はオールマイトと歴代にでも聞いていたのかな? こんな姿でも僕がオール・フォー・ワンであると見抜くなんて、事前に聞いていないと分からないと思うから……それとも、与一辺りが気づいたかな? ここに来た途端『ワン・フォー・オール』の、与一の気配を感じた」
動け、動けよ緑谷出久…!!!
速く…速く……ッ!!!
「弔の話と体育祭の中継で君の活躍は知ってるよ。いやはや僕自身驚いたよ!! まさか弟の『ワン・フォー・オール』だけにあらず、二代目から七代目までの"個性"がストックされていたなんて。まさに時代を超えた寝台列車だ!!!」
呼吸を整えろ…!動け!!
でないと殺られる…!奪われるぞ緑谷出久!!!
「元々僕はまだ出向かない。それこそ弔が考え尽くし、得た駒で騒動を起こして成し遂げるのを見届けようと思ったんだけどね、君がいたらそれは叶わないと思ったんだ。それに君、オールマイト並に強くした脳無とやり合っただろ? 先のマスキュラーとの戦いも見ていたよ。だからこそ改めて分かった。今の君を止めるのは、彼らには酷だってね。だから僕が来たのさ」
僕たちを把握してる…体育祭か!?
「弔は君の幼馴染である爆豪くんを拉致し、君は最も最優先で殺すように指示した。けどそれでは『ワン・フォー・オール』が消えてしまう。だから君の拉致はあくまで僕個人として頼んだ。ただ
(…?
AFOが手をかざして来た瞬間に『危機感知』が最大で鳴り出した。
でも駄目だ…!まだ身体が動かな――
(九代目!!)
「うわっ!?!?!?」
AFOが何かを放ってきた瞬間、僕は身体が動かなかったはずなのに、
「よ、四代目…!!!!」
(『
(坊主!! 恐怖で動けなくなるのは仕方ないが動け!! 死ぬ気で動かすんだ!!)
「ッ…はい!!」
態勢を直してAFOを見る。
「避けたか…やはりそう簡単にはいかないようだね」
「なんでお前が…ここにいる!?」
「さっきも言っただろう? 君に対抗できる人材はマスキュラーを除いていない。そしてその力は残りの彼らにはない。だからこそ僕が僕個人として拉致するためにも出向いたのさ。それに今後のためにも一度戦うのは当然だろ? 弔がやってたゲームと同じさ。まぁオールマイトへの嫌がらせも理由の一つではあるけどね」
また鳴り出した!来る!!
5%じゃだめだ!!20%に引き上げながら跳躍してまた避ける!!
あれは、さっきの黒い爪!?
「『ワン・フォー・オール』そのものの力も十分扱えてる。やっぱりオールマイトは、良い後継者を見つけたようだね」
それになんだあの黒マスク…!
(あれは恐らく生命維持装置だ。奴はかつて八木との戦いで、死んでいない方がおかしい程の致命傷を負っている。それでもなお生きているのはそれらの"個性"と、あの顔を覆うように被っているものが、生命を維持させるために作られたものと考えるのが妥当だ。脳無の改造手術といい、奴と肩を並べる奴らの中に、相当に腕の利く医学者がいるということだ)
(でもアイツは五感の殆どを失ってるはずだ!! なのにどうやってこっちの位置を……)
(『
奪い、与える"個性"……そういうことも出来るということか。
とりあえず『OFA』を奪われないためにも距離を取らないと…それにこのままじゃかっちゃんを探せないし、下手すればみんなも狙われる…!!!
「純粋なパワー、スピードはオールマイトより劣るが、それを歴代の"個性"でカバーする戦法……緑谷出久、君は僕と同じで"個性"を組み合わせる戦法が出来るみたいだね。案外僕たちは似た者同士かもしれない」
また鳴った!来る!!
拳を地に突き刺して、『黒鞭』で中を抉って一気に壁として持ち上げる!!
「――『空気を押し出す』+『筋骨
とんでもない風圧……いや、衝撃波が襲ってきて、壁ごと僕は吹き飛ばされた。
しかも周囲の木々も根っこから吹き飛ばして。
「うぁ…!」
『危機感知』で感知して壁を作ったのが仇になった!防御じゃなくて回避に専念するべきだ…!!
「クッソ…!」
『黒鞭』を数本出して移動の、走る動作で溜めていた『発勁』を巡らせる!
――『黒鞭』+『発勁』
【――黒鎖!!!】
【黒鎖】を出して攻撃するも、AFOは見えない何かを出して防いだ。
見えない壁…!?空気の壁のようなものなのか!?
「ハッキリとは言えないが、ふむ……なるほど。万縄大悟郎とブルース・リーの"個性"を合わせたのか。それによって万縄の鞭のように放出して変幻自在に操る『黒鞭』に攻撃性を加えたと。加えてブルースの『発勁』は直接放出しないといけないが、それをあえて鞭そのものの力にする……やはり君は僕同様、"個性"を組み合わせるのが得意なようだ。弔と違って頭もいい…いや、"個性"に対する観察と模索と言った知能が他よりも優れていると言ったところか。あぁ、惜しいことをしたな。ドクターが君の"個性"診断の結果を教えてくれた時は、弔のほうを優先したから君のような人材を見逃した」
【黒鎖】がそのまま弾かれた!!
「君のことは事前に調べている。"無個性"と告げられてから昨年度、オールマイトから『ワン・フォー・オール』を譲渡され雄英に入学するまでは酷い人生を送っていたそうじゃないか。普通なら絶望し、
死柄木の保険?代わりの器?
何を言って――ッ!!
「くぁ!!」
また黒い爪が伸びてきた!
しかもさっきより少し速度が上がってる…致命傷は避けられたけど、何本か掠った!!
(攻撃の速度を上げる系まで持ってるのか!?)
「くっ!!」
黒い爪を叩き折って跳躍して、出力30%で…!!!
【――セントルイス スマッシュ!!】
【セントルイス】をぶつける!!
だけどAFOはそれを片手で防ぎながら言った。
「――『衝撃反転』」
「ッ!? うぐっ…!!! うあぁぁあぁああッ!!!!!!!!!」
足から衝撃が走ってきて、吹き飛ばされて木々を数本貫いて止まった。
今のは『OFA』の…僕が放った【スマッシュ】の衝撃と威力……!?
(アイツ今『反転』って言った!! つまりさっきの攻撃…自身に受けた衝撃を反転させて九代目に返したんだ!!)
反射系の"個性"ってことか…!!
直接叩いてもその"個性"で跳ね返される……だったらこの森を利用する!!
「『黒鞭』!!」
周囲に倒れてる木々を掴んで持ち上げる。
そしてそのままAFOへと投擲した。
「なるほど。反転されたことを即理解し、直接攻撃しても意味をなさないから周辺の木々で攻撃すると……加えて僕の感知系の条件を分析しながら探りを入れて隙をつく。やはり君は頭が冴えているよ緑谷出久! だが――」
瞬間――投擲した全ての木が爪や棘に突き刺さられ、粉微塵のように切断されまくった。
しかも一瞬で――
「――『転送』」
「ッ! ゴボォッ!!!」
(緑谷くん!?)
口から泥が…!?いつの間に…!?
しかもこの泥、どんどん身体を覆って――ッ!
「ゲホッ!! くぅ!!」
「おっと」
飲み込まれて、すぐに視界がクリアになった瞬間に『危機感知』が鳴った。
後方からだと分かりカウンターの蹴りを放てば、AFOは後ろへと下がって避けた。
「察知能力が高いね。君自身の感覚か…もしくは歴代の"個性"か…いや、唯一会ったことのない四代目継承者、四ノ森避影かな? あぁ勘違いしないでほしい。唯一会ったことのないと言ったが、ドクターや親しい友人たちが集めてくれた情報から素性などは知っているだけだ。死体は僕たちも見つけられなかったよ。それに体育祭で見せてもらった君の活躍でも、歴代のは把握しているんだ。その中で唯一分かっていないのは一つだけ……だけど今君と戦って改めて確信したよ。四代目のは感知系だね? だからこちらからの認識は難しい」
「くっ!!」
四代目のがバレた!!
(やっぱこっちの手札はバレちまってるか!!)
(どうする!? このままじゃ……)
「ふむ…試しに『サーチ』を発動してみたが、やはり目がない僕では意味をなさないみたいだね。発動条件で言えば、元の持ち主である彼女の言う通り『目で見た者の情報』と言ったところか。やはり『
『サーチ』…?『サーチ』って……まさか!?
「お前、ラグドールの"個性"を!?」
「あぁ貰ったよ。前々からいい"個性"でね、ずっと前から狙ってはいたんだ。『見た者の情報や弱点が分かる』"個性"なんて、誰もが欲しがるものだろ? それにこんな身体になってから、ストックも随分と減ってしまったからね」
コイツ…!!
「けどまぁ、君対策も考慮して……――襲撃する前に使えそうな"個性"達を集めたのも事実さ」
足を構えて飛び上がり構える!!
――出力ギリギリ インパクト45%!!
【――セントルイススマッシュ エアフォース!!!!!】
【セントルイス】の【エアフォース】を放つ!!
この風圧で封じてるうちに――ッ!!!!
「――『空気を押し出す』+『筋骨
——◆——
膨大な衝撃波が発生し、AFOの正面の木々や地面は衝撃波で多くが崩れ、抉られていた。
「オールマイト対策で組み合わせてみた"個性"達だが、これは楽しいなァ……増強系をもう少し足してもいいかもしれないな――ん?」
AFOは吹き飛ばした木々を見る。
緑谷を吹き飛ばす際に巻き込まれ倒れた木々だが、まだ根を地に生やして堪えていた二本の木に『黒鞭』が巻かれている。
AFOはその『黒鞭』を辿って上を見上げ、気づいた。
「僕に吹き飛ばされていながらも次の一手を取るため、既に行動に移すか。頭の回転だけはオールマイトよりも優れているね」
――『黒鞭の弾性』+『OFA出力限界ギリギリ45%』+『発勁蓄積最大』
【――疑似100% マンチェスタースマッシュ!!!!!】
「――『空気を押し出す』+『瞬発力』×3」
緑谷は疑似100%で接近しそのまま【マンチェスター】を放つも、AFOは"個性"『空気押し出す』』+『瞬発力』×3を使用し対抗する。
「+『衝撃反転』」
そこに緑谷の疑似100%を反転させることで、緑谷自身に再びダメージを負わせる。
それを受けた緑谷は再び吹き飛ばされ、吹き飛ばされた先で爆発のように土煙と木々が立ち昇った。
「弔は君を殺したくてしょうがないようだけど、『ワン・フォー・オール』を持っている以上それはダメだ。さて、弟と久しぶりに話すためにも、連れ出すとしよう」
AFOは緑谷が吹き飛んだ荒地を歩み進む。
土煙もまだ煙っているため視界はあまり良くないが、そもそも視界がなくあらゆる感覚、感知系の"個性"で五感以上に研ぎ澄ましたAFOには関係ないこと。
そして着弾点に着き、見下ろした。
「黒ぎ――」
瞬間――
「おっと」
緑谷の身体から『黒鞭』が独りでに放出されてAFOを襲った。
「今のでも気絶していなかったか。だがもう身体はボロボロ。本来なら生命維持に本能が動かすはずだが……なぜ動けるんだい?」
辛うじて躱したAFOはそのまま緑谷を見据える。
緑谷は衣服は汚れ破れ、肉体に直接傷がついている。そんな重傷の身体を『黒鞭』で無理やり傀儡のように立たせながら、息を荒くしていた。
「かっちゃんを…みんなを――救けるためだッ!!!」
ハッキリと言った言葉に数秒の沈黙が訪れる。
するとAFOは笑った。
「まさにヒーロー! 自己犠牲の、ヒーローとしての圧倒的精神力、素質!! オールマイトと同質性!!! だから身体を動かせると。実に面白いよ緑谷出久!!! オールマイト以来だよ、ヒーローにここまで感心を抱いたのは!!!!」
まるで褒めたたえるように感想を呟くAFOに対し、緑谷は不気味さを感じながらも警戒していた。
「(『危機感知』で感知しても向こうの攻撃は速くて対応が遅れる…! さっきのマスキュラー戦でのダメージと合宿での過労もある…! クソ…おまけにこっちの手札は知られてるんだ。どうする!? どう対処する!? このままかっちゃんたちを救けに行っても逆に挟み撃ちになって最悪の事態になる!! それどころか皆も狙われる!! オール・フォー・ワンはまだ僕としか接敵してないとはいえだ!! どうする!? 考えろ!? 考えろォ!!)」
一方で緑谷も脳をフルに動かしこの場を打破する方法、隙、術を探る。
だがいくら探ろうとその全てが無理だと突き付けられる。
それ程までに、目の前にいる魔王の脅威性は絶大ということを示していた。
「ん…?」
「…ッ? 揺れ…?」
二人のいる場所にゆっくりと、大きくなっている揺れ、振動に気づき始めていた。
そして次の瞬間、巨大な拳状の黒い影が現れ、二人に目掛けて伸びていく。
緑谷は『危機感知』で感知しすぐに上空へ避ける。
AFOもまた飛行系の"個性"にて躱しながら浮上した。そして次々と森林が砕き、折られ、抜かれ、倒れてその正体が現す。
「――ヴォォォオオオッ!!!!!!!!!!!!!」
膨大に膨れ上がっている黒い影の塊に、赫い目を持った異形。
その正体を緑谷は叫ぶ。
「――常闇くん!?!?!?!?」
それは禍々しい姿と化した『
「これは……(それに今一瞬感じた感覚……)」
その姿を認識したAFOも、その存在感に何かを、人間としての本能が感じっていた。
「静まれっ……!
「召喚、異形、使役と言った類を重ねた"個性"……そして獰猛となればその力は増す…か。(まさかあんな一つだけの"個性"が、この僕に危ないと思わせるなんてね)」
AFOは注視するように、『
その獰猛性、圧倒的な大きさに力。
"個性"は世代を超えて混ざり進化する。
まさに今、目の前にあるそれは、改造手術なしで複数"個性"に適合したあの男と、下手すれば渡り合える可能性のある"個性"
そんな"個性"を、『"個性"を奪う』"個性"を持っているAFOが抱く気持ちは一つ。
「彼の"個性"、実にいいね。複製して脳無たちの力にしても強そうだ」
欲望、物欲、強欲だ。
「ッ!!!!」
それを聞いた緑谷は、AFOがまさに常闇の"個性"を奪おうとしていると焦り、接近して足を振るう。
しかしAFOはその攻撃を受け止めた。
「さっきよりも遅いな。それに焦りも出てる。現状君と爆豪くんしか狙われてない状況の中、別の友人が新しいターゲットとされたことがそんなに嫌かい?」
「当然…だろッ!!!」
緑谷は『黒鞭』を繰り出すも、AFOはそのまま『鋲突』を発動させて、緑谷の脚を貫かせる。
『危機感知』で感知していたとはいえ、判断を誤り回避が遅れた故に、緑谷の脚は負傷した。
立て続けに振り下ろされながら『空気を押し出す』にて吹き飛ばされ、地上に叩きつけられた。
「ぅ…ぁ…!!」
(九代目、おい! 九代目!?)
(大丈夫か小僧!?)
六代目と五代目が叫ぶ中、緑谷は必死に立ち上がろうとする。
しかし今の衝撃音で『
『危機感知』が鳴っても、身体の負傷故に動きが脆くなり、間に合わない。
そして『
「ぅあ…ッ!? 障子くん…!?」
緑谷が視線をその正体へ向ければ、そこには土埃に塗れた障子がいた。
「無事か!? 良かった…その重傷、あの
「ここにいると、危…ない…!」
「静かに! どうやら向こうに釘付けになっているようだ」
緑谷が視線を『
全盛期でもあれば簡単に対処…否、今でも対処は出来るだろう。
だからこれは隙を、綻びを着くための時間稼ぎ。
AFOの力を聞かされ、さっきまでその身に体験していた緑谷だからこそわかる。
むしろAFOへの恐怖で、最初は緑谷同様動けなくなるはずだが、障子は常闇のこと、緑谷のこと、そして鋼の心故動けていた。
そんな障子はこの状況になったことを説明した。
「マンダレイの『テレパス』で
「腕…!?」
「何、傷は浅くないが失ったわけじゃない。俺の『複製腕』は複製器官も複製が可能。斬られたのは複製の腕だ……しかし、それでも奴には堪えられなかったのか……抑えていた"個性"の暴走が始まってしまった」
緑谷の視線は再び『
(暴走とはいえ、オール・フォー・ワンとやり合えるなんて……)
(だからこそ奴は今さっき欲した! このままじゃ本当にお友達のも奪われるぞ!!)
「動くモノや音に反応し、無差別攻撃を繰出すだけのモンスターと化している…だが今はあの
歴代もその暴走の凶暴性と力に驚愕する中、緑谷は障子に告げた。
「障子くん…常闇くんの止める術、知ってる……?」
「光だろ? 常闇が暴走する直前に俺に教えた。うまく火事か施設へ誘導すれば鎮められる……だが
このままではどっちにしても爆豪の救出に行けない。AFOの狙いは緑谷であるが、今は常闇の"個性"に意識が向いている。
しかしそれではダメだと緑谷は即否定し考える。
考え、考え、考え、考え、考えつくし……答えを導いた。
「障子、くん……僕に、考えが…ある……」
「ッ?」
——◆——
「――死ニサラセェ!!!!!!!!!!!!!」
「思ってたよりも強い……これは厄介だな」
『
だがその身に纏う雰囲気はまだ余裕がありそうなものだった。
「この組み合わせなら、防御・攻撃…そして略奪ができるかな?」
――『筋肉増強』+『瞬発力』+『膂力増強』+『筋力バネ化』+『肥大化』+『筋骨』+『耐久増加』+『重撃』
AFOの腕は肥大化し、筋肉と骨が強くなり、耐久も上がっていく。
それはまさに攻撃と防御の同時発動に加え、直接本体に触れて奪う『AFO』を発動する為の組み合わせ。人の物とは言えない、巨大で肥大化した歪な巨人のような片腕を作り出した。
「本当は対オールマイトとして考えた、直接下すためのやり方だが……君の"個性"はそれ程までにいいものだと思った」
「――コノ三下ガァ!!!!!!!!!!」
「貰うよ……君の"個性"――ッ!?」
いざ叩こうとしたその瞬間、AFOの周囲に、下から『黒鞭』が生え伸びるが如く現れた。
それに気づいたAFOは動きを止める。
そして次の瞬間、全ての『黒鞭』から最大量の『煙幕』が放出された。
「(これは揺蕩井煙の……何のつもりだ? 僕は感覚系、感知系の"個性"を多く持っているから、あまり効果はないとわかっていると思うが………いや、そういうことか)」
AFOは通常なままのもう片方の手で『空気を押し出す』と『突風』を発動させる。
それによって『煙幕』は一瞬にして吹き飛ばされてた。そしてAFOが確認したそこには既に『
遠くの方で背を向け、何かを追いかけるように森林を薙ぎ倒しながら離れて行っていた。
代わりにAFOの前には、一人の影が同じ高さで浮いていた。
息は荒く、身体は重傷なのに。
「なるほど。さっきの僅かな間に彼を、いや彼らを誘導と逃走の両方を同時に成し遂げて見せたわけだ。ハハハッ! 実にいい作戦だ。僕も夢中になって君たちへの配慮が出来てなかったよ」
「何が、配慮だ……常闇くんの"個性"を、奪おうとして…!!」
緑谷出久。
『黒鞭』を身体全体に巡らせ、傀儡のように操るその姿は痛々しく、禍々しい。
衣服の上は完全にはだけ、手足、胴体に下半身に頭部と傷は酷いもの。
それでも彼は、息を荒くしながらもAFOを睨んでいた。
「そう怒らないでくれよ。僕ってやつはいい"個性"を見つければ欲しくなってしまうんだ。ましてや"個性"は世代を超えて進化するんだぜ? そして僕はそれらを奪い僕自身の物にできる。だとしたらどうする? そんなの――欲しいと思ったものは奪う。それだけだろ?」
AFOは楽しく語るように、緑谷に挑発する。
先ほどまで『
「はぁ…はぁ…はぁ……(身体への負荷は大きい。おそらく使えば最後――僕は意識を失う!!)」
緑谷は片手を握り、その腕にもう片手を乗せ、独特な構えを取る。
(――小僧、その状態で使えば反動で動かなくなる。いやそれ以前に意識を失うぞ)
「(それでも…今この場を打破するには……これしかないんです! オール・フォー・ワンをここで止めて、皆の所へは行かせない!! 狙いは頭部の生命維持装置……! アレを壊せば奴も、撤退せざるを得ないはず!!)」
(確かに、そうすれば奴は退くかもしれねぇが……)
――それでも。
「(奴がどれほどまで対策を練って来てるか分からない以上……これしかもう、選択肢は――ない!!!!!!)」
ガシャコッ!!!と、クラッチ操作と音が鳴り出す。
同時に緑谷の身体に青いオーラが纏わり着くように溢れ出る。
「使ってくるか、あの"異能"を。ならこちらも今現状手にしている君対策の"個性"で――対応しよう」
AFOも更なる"個性"達を行使しようとする。
混沌という名の嵐は更に――激しくなっていく。
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