僕のヒーローアカデミア 継承の黎明   作:伽華 竜魅

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デク VS オール・フォー・ワン

 

 

 

 

薄暗く、不気味に紫の点灯だけで照らされている空間。そこには巨大なカプセルが立ち並んでおり、中には何かの液体と、その中で安定でもさせているように人型の何かが入れられコードで繋がっている。

その空間を歩く、顔に足を生やした不気味な生物が一匹。

 

そんな不気味とも言える空間のの一か所に、大掛かりな装置たちが設置されており、そこに居座る老人がいた。

 

「全く先生め、いくらその通りとはいえ自ら出向かずとも、儂が用意していた特急品の上位の脳無を数体送ればよかったものを。『ワン・フォー・オール』欲しさに少し視野が狭まってしまっておるのかのう?」

 

背もたれに身体を預けながら呟く。

 

「デザインは変えずに強度だけを上げておいたが、壊れれば面倒じゃからな。仮に壊されたとしてももう一つ用意してあるから問題はないが…まぁ先生じゃから大丈夫じゃろう」

 

巨大な液晶に映る映像を操作し、映る画面を切り替える。

映し出された画面は体育祭の映像の切り抜き、緑谷が歴代の"個性"を使う場面が、一つ一つ切り分けられて映し出された。

それも一つの切り抜きの画像には、それぞれ歴代の"個性"を行使している姿になっている。

 

「『ワン・フォー・オール』にストックされていた継承者の"個性"を発現させ複数持ちに、それも改造手術等を受けずに受け継いだだけで適合……最も驚くべきなのは、あの"無個性"の子だということ………灯台下暗し、天然の器は足元に既に転がっていたということじゃな。儂も歳だということを突きつけられてるようじゃ」

 

老人はある一つの資料を手に取る。

その資料には【緑谷出久】と書かれていた。

だがすぐにその書類を置き、映像へと視線を戻す。

 

「先生も人。万が一興奮のあまりボロを出さないよう、儂と繋がりのある別の病院からの診断結果として教えておいたが、さすがに心配のしすぎかのう? じゃが保険は大事じゃからな。先生と同じように」

 

 

——◆——

 

 

プッシーキャッツ私有地・旧森林跡地の上空。

 

先手必勝。

そうとばかりに僕は『変速』を五速(オーバードライブ)にして一気に接近し、その頭部に足を振るう。

バゴンッ!!!!!!と鈍く重く固い金属を殴った音と同時に衝撃波が発生した。

 

「くっ…!!」

 

「そう簡単に壊れては僕自身が困るし、君の力なら簡単に壊してくると思ったからね。簡単には壊れないようにとても固くて良い素材を使用してるさ」

 

命中はしたけど、凹みすらしない!

それどころか、とても固くて足が痺れる!!

『フルカウル』を纏っているとはいえ、素肌で蹴ったんだ…!そりゃあそうなるに決まってる!!

 

(それに奴自身も分かりやすい弱点をそう簡単に壊れちゃ本末転倒だからな。それでも壊せるはずさ!!)

 

(狙いは一点! 最初に殴った部分を集中的に狙えば壊れるはずだ出久くん!!)

 

「はい!!」

 

今一度『浮遊』【エアフォース】『変速』でAFOの周囲を飛び回る。

いくら感知系、索敵系の"個性"を多く持っていようと、この速度の対応はさっきので完全にはできないのは明白!!

ならこの五分間で壊す!!それが今最善!!

 

背後を取った!一気に接近して【シュートスタイル】で瞬間三連撃!!

そのままもう一発で二連撃!!

金属のとてつもない衝突音と共に、AFOが少し吹き飛んでいくも、持ちこたえて止まった。

 

「丈夫にできてるとはいえ、衝撃は結構来るな……にしても速い。僅かながらに認識できたとしても即対応ができない……ちんけで、抗うのもおこがましかったあの"異能"が、ここまで変化しているなんて今でも信じられないよ」

 

合計五撃…同じ個所にぶつけた。

あと数撃ぶつければ行ける…それにさっきので『発勁』も溜めた。

次は『発勁』+五速(オーバードライブ)+今僕が出せる最大の『OFA』を――

 

「――『土操作』+『肥大化』+『竜化』」

 

「――なっ!?」

 

AFOの足元、下の地上から土が独りでに盛り上がって来て、巨大なドラゴン…いや竜の形になった。

これはピクシーボブの『土流』か!?

いや、ピクシーボブはマンダレイたちの交戦地点でまだ気絶してたのを見ていたし、言い方はあれだけと不意打ちで気絶してるのは僕も現場にいたから知ってる!

 

だから奪われてないはず…!!

 

(なら似たような"個性"、もしくは複数を組み合わせて真似をしてるって感じだ!)

 

(待って! もしあの竜にさらに他の"個性"を加えられるとしたら…!!)

 

――ッ!!!!!まずい!!!!!

 

「『レーザー』+『押し出す』+『光増幅』+『付与』」

 

巨大な竜が口を開いて、そこからエネルギーを溜め始めてる。

『危機感知』が最大レベルで鳴り出して、すぐに躱せば、下の地面のがその奥までが一気に爆発と共に焼き払われていた。

 

「こういった土地でならこれらの"個性"が活躍する。だけど僕の"個性"たちによる認識でも追えられないスピードには適わない……まぁ、君の邪魔をするぐらいなのと、数と能力では優ると思うよ」

 

ッ!!もう一匹作り出した!?

 

「さぁどう来る? オールマイトの後継者よ」

 

けど『変速』を発動している今なら掻い潜れる!!

竜が口を開いて噛みついて来ようとそれを一瞬で掻い潜って殴――ッ!?

 

「固い!?」

 

「簡単に壊れてもいいが、それでは君を連れていけないからね」

 

土とは思えない強度…『変速』による遠心力と『OFA』の30%で罅が微かに入った程度!!

それもその罅すら修復されてる!?

 

「(『土操作』で欠けた部分を修復。そして簡単には壊せないよう『耐久増加』と『金属硬度』を『付与』で付与させる。だとしたら君は僕の方へ来る) ――『空気生成』+『凝縮』+『凝固』+『金属硬度』」

 

だったら掻い潜って直接AFOを!!

 

――『変速・五速(オーバードライブ)』+『OFA30%』

 

【――マンチェスター スマッシュッ!!!!!!】

 

疑似80%の【マンチェスター】を放つ!!

だけどAFOに当たることなく、途中で衝突した。

見えない壁を作り出したのか!?

 

「+『衝撃反転』」

 

「うぐッ!!! うぁぁああぁぁああぁあああッ!!!!!!!!!!!!」

 

衝撃が帰って来て吹き飛ばされる。

痛みに耐えながらすぐに態勢を直して――

 

「――『レーザー』+『光増幅』+『付与』+『放出』」

 

ッ!!背後からのを『危機感知』が感知した。

振り返れば、後ろの土の竜二匹がこっちに向いて、さっきと同じレーザーを口から…!

 

「異常な超加速でも、その距離では回避は難しいんじゃないかい?」

 

まず――

 

 

——◆——

 

 

数分前、肝試しルートの一か所。

 

「不用意に突っ込むんじゃねェ!! マンダレイの『テレパス』聞いてたろ!? お前と緑谷が狙われてるってよ!!!」

 

「うっせェ聞こえとるわ!!! あんのクソデクがァ!!! 俺を救けようとしやがってよォ!!!!!」

 

「肉…肉めぇ~ん……!!!」

 

爆豪と轟は連合の一人『ムーンフィッシュ』と接敵していた。

ムーンフィッシュは"個性"『歯刃』にて二人に攻撃を仕掛け、轟がひたすら氷結で防ぐ。

防戦一方の状況…+、轟は後方にて自分たちの道を絶っている毒ガスを吸い、気絶しているB組の一人を背負っている。

 

圧倒的不利な状況。

爆豪は"個性"故、森林内で使用すれば木々に燃え移る恐れがあるのと狙われているのもあって交戦が出来ずにいた。

否、正確には轟に止められさせてもらえずにいる状況だ。

 

「クソッ…! 地形と"個性"の使い方がうめェ!」

 

「見るからにザコのひょろガリのくせしやがってんの野郎ォ……!」

 

ムーンフィッシュは轟の氷結で防御・牽制を行うが夜の闇と森、地形を活かして数において不利でありながらも優位に戦況を進めている。

(ヴィラン)でありながらその戦闘能力は今いる自分たちよりも上であることを示されているように。

 

「こうなったら……俺が最大火力でブッパする!!! テメェは木ィ燃えても速攻氷で覆えェ!!!!!!」

 

「ダメだ!! 爆発はこっちの視界も塞がれる!!! 仕留め切れなかったらどうなる!?!? 手数も距離も向こうに分があんだぞ!!!!!」

 

痺れを切らしたのか、爆豪は最大火力を一か八かで放とうと考え、轟が制止させ、それをした際に起こることを説明する。

だがこのままではやがてやられるのがオチ……この状況が二人の"個性"にとっていかに不利なのかを痛感させるように。

 

しかし次の瞬間、二人の耳に今行われている交戦による音とは別の破壊音が轟いた。

 

思わず二人は視線をその音の方へ向け、ムーンフィッシュもまたその音の方へと向く。

その視線の先に、暗い森林の中を駆け抜ける影とその影を追う巨大な影が現れた。

その正体は――

 

「――爆豪ォ!! 轟!! どちらか頼むッ! 光をォ!!!!!!!」

 

暴走している『黒影(ダークシャドウ)』とその『黒影(ダークシャドウ)』を誘導している障子だ。

 

「障子…と、常闇!?」

 

「早く光を!!!! 常闇が暴走した!!!!!」

 

"個性"にて複製された声から叫ぶ。

瞬間『黒影(ダークシャドウ)』がその声の方へと腕を振るい攻撃する。ムーンフィッシュも攻撃するが、それを気にもせずに『黒影(ダークシャドウ)』は叩き伏せた。

 

「見境なしか……っし。炎を――」

 

「――待てアホ」

 

必死で走ってくる障子達の姿で状況を理解した轟が炎で『黒影(ダークシャドウ)』を鎮めようとするも、爆豪がそれを止めた。

 

「見てェ…!!!!!」

 

その顔は、相性故自身は挑むことは叶わないであろうクラスメイトの真の力を見たいという、わがまま、傲慢などから出る、強者を前に笑みを浮かぶようなものだった。

 

「肉ぅぅ……駄目だぁあ~~…肉ゥ~~~…肉面んん~駄目だ駄目だ許せない……」

 

その一方でムーンフィッシュは、もはや仕事よりも人を殺したい、肉の断面を見たいという己の衝動を満たすがため。

そして『黒影(ダークシャドウ)』にやられた怒りをぶつけやり返すため、"個性"を行使し『歯刃』を差し向ける。

 

「――その子達の断面を見るのは僕だぁあ!!!!!! 横取りするなぁああ――」

 

しかし『黒影(ダークシャドウ)』は怯む素振りも、痛身に苦しむこともなくムーンフィッシュの刃を折り、そのまま本人を木々へ叩きつけた。

 

 

「――強請(ネダ)ルナ…三下ァ!!!!!!!!!!!!」

 

 

一瞬にして瞬殺とはまさにこのことと言わんばかりの展開。

黒影(ダークシャドウ)』はそのままムーンフィッシュを掴み、無造作に振るって木々をごと何本もなぎ倒していく。

その勢いのままに投げつけられたムーンフィッシュは、木に叩きつけられて、完全に戦闘不能になった。

 

「ヴォォオオッ!!!!! 暴レ足リンゾォォォオオオッ!!!!!!!!!」

 

しかし暴走は止まらず、さらに大きくなり暴れようとする『黒影(ダークシャドウ)』。

だが次の瞬間――それは収まった。

 

「――ヒャンッ!!!」

 

ムーンフィッシュが戦闘不能になったタイミングで、爆豪と轟が同時に飛び出し爆破による光と左の炎の光で『黒影(ダークシャドウ)』を抑える。

それによって『黒影(ダークシャドウ)』は一瞬にして怯み、小さくなり常闇の中へと戻っていった。

 

「はっ…! はぁ…はぁ…!!」

 

「テメェと俺の相性が残念だぜ……」

 

「……スマン、救かった」

 

自由になった常闇は、『黒影(ダークシャドウ)』抑えようとしていた故疲弊しており、片膝を付き息を整える。

その一方で轟はムーンフィッシュへと視線を向けていた。

 

「俺らが防戦一方だった相手を一瞬で……」

 

「常闇、大丈夫か? よく言う通りにしてくれた」

 

「あぁ……」

 

「障子…悪かった……俺の心が未熟だった。怒りに任せてか結果、『黒影(ダークシャドウ)』を解き放ってしまった…! 闇の深さ…そして俺の怒りが影響され、奴の凶暴性に拍車をかけた……結果、収容も出来ぬ程に増長し、障子を傷つけてしまった……」

 

常闇の言葉には、己の過ちによって友である障子を傷つけたことに対する後悔・懺悔・未熟さに対する悔しさの念が籠っている。

その言葉に周囲の皆も静かになっていたが、障子は静かに言った。

 

そういうのは後だと、お前は言うだろう」

 

その言葉に常闇は顔を上げ、障子を見た。

そしてそれ以上はもう何も言わなかった。

 

「よし、それじゃあ急いで緑谷と合流し施設に向かおう」

 

「緑谷と? 道中で会ったのか?」

 

「あぁ…だが正確に言えば、(ヴィラン)と交戦中の所で出くわした」

 

障子は先ほど自身と常闇が通って来た道へと視線を向ける。

距離は離れ、夜の森林故奥が見えないが、その道を戻れば再び遭遇は出来るはずだろう。

 

「現状分かっているのは、緑谷と爆豪を狙っていること」

 

「緑谷と爆豪を? 命を狙われているのか!? なぜ!?」

 

「そこまでは分からない。だが、緑谷は常闇の暴走を止めるためにも、自身を囮に(ヴィラン)と交戦を続行した。もし今もまだ交戦中なら、そこにいるはず」

 

「つまり、戻って加勢し、隙をついて施設へ避難する。だな?」

 

「あぁ。緑谷ならきっとそう考えるはずだ。ただ……」

 

状況・これからするべきことを伝えた障子の脳裏には、暴走する『黒影(ダークシャドウ)』と対峙していたAFOの姿が映し出される。

暴走し、とても危険でムーンフィッシュを圧倒して蹂躙して見せたその『黒影(ダークシャドウ)』と渡り合えるほどの実力…それは彼にとっても衝撃的だった。

 

「その(ヴィラン)は、正直言ってこれまでの(ヴィラン)とはあまりも格が、存在が違うと断言できるものだった。さっき轟と爆豪が交戦していた(ヴィラン)を圧倒した『黒影(ダークシャドウ)』に引けを取らない」

 

「『黒影(ダークシャドウ)』と互角にだと…!?」

 

「あぁ…ハッキリ言ってあのままじゃ緑谷が危ない」

 

(ヴィラン)の狙いが緑谷と爆豪で、その緑谷が今(ヴィラン)と対峙してるならなおさら行かねぇとな。いくら強ぇとはいえ、危険なのに変わりねぇ」

 

本来はこのまま施設へ行くのが懸命だろう。

だが(ヴィラン)の狙いは緑谷と爆豪。

そのうち緑谷が今も(ヴィラン)と交戦中であるのならば、救けに行かなければならない。

 

ヒーローを目指す彼らにとって、狙われているのがわかっているのに見過ごすなんて選択肢はないのだから。

 

「だが(ヴィラン)の数が分かんねぇぞ。道中で出くわす可能性だってある」

 

「俺の"個性"で索敵する。今はとりあえず緑谷と合流し加勢、隙をついて撤退し施設に向かう。いいか?」

 

「異論なしだ」

 

「轟と爆豪がいるならば、『黒影(ダークシャドウ)』も制御できる」

 

能力のバランスが整っている面子。

既に彼らの向く先は先ほど障子と常闇が通過してきた道。

今の彼らの中には緑谷を救けに行くという思いだけだった。

 

「ッチ」

 

全てを認め、それでも超えようと決めた彼もまた同じく。

だが次の瞬間――

 

「ッ! なんだ!?」

 

地が揺れ、地響きが鳴り出す。

 

「ッ! なんだアレは!?」

 

そして彼らの視界に映ったのは、遠く離れた位置の上空に、何かが動いている場面。

故に、そっちに気を取られ気づくことが出来なかった。暗い草木に隠れる悪に。

 

 

——◆——

 

 

そして現在。

 

「はぁ…! はぁ…! はぁ…! くっ、あ…!!」

 

「見事だ! あの距離からの回避はプロでも難しい。%で言えば10も行かないだろう。志村の『浮遊』をうまく使いこなしているのがわかるよ!! その関心の結果僕もまた喰らってしまった。これは反省しないとだな僕も!」

 

後方からの二匹同時攻撃を出力の限界を超えた【エアフォース】を加えることで躱し、そのまま土の竜を二匹とも破壊することはできた。

そしてAFOの頭部にまた数発、攻撃をぶつけることはできたけど、まだ壊せない……!!!!!

 

「規格外の速度も落ちてきてるね。緑谷出久、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

ッ……身体の負傷も相まって、『変速』も体育祭並みの動きが引き出せない。

合宿での訓練でも『()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

それもあって『変速』を発動してAFOを、体育祭の時みたいな感じの一気に攻め込むって手があまり効かない。

いや、効いてはいるけど、すぐに終わらせることが出来なかった。

身体そのものの疲労とダメージに加え、細胞の疲労に、時間切れ後に来る反動を食らえばもう終わり。

 

それでも…ここで奴を撃退しない限りはみんなが危ない!!!!!!

血反吐を吐いてでも、這い上がって止めろ緑谷出久!!

 

「正直僕もここまで持つとは思わなかった。あぁ、僕自身がだけどね。君がアイツの"異能"を使用した速度に対応できるかどうか正直不安だったんだ。やっぱり今回は運が良かったと言える」

 

体感的に残り時間は一分半……こうなったら!!!!!!!

 

「――『煙幕』ッ!!!」

 

『煙幕』を全開で発動させて僕とAFOから先まで埋め尽くす!!

 

(坊主、これでどうする気だ!?)

 

考えはあります!!

 

「ッ! 分散せずその場で滞留している……なるほど。そういうことか」

 

『煙幕』に『変速』の一速(ロー)を付与させることで滞留させる!!

AFOは元から視界がないからこういうのは意味がないかもしれない。

でもどういう方法でこっちを、"個性"含めて認識してるかもわからない。

 

空気の流れか、エネルギーの感知系か、気配を形で取るか、考えても分からない。

この状態がこっちにとっても不利になる恐れは百も承知!

AFOが大雑把に移動しないのはさっきまでの戦いで分かったから位置は覚えてる!!

 

その位置に向けて『黒鞭』を展開しながら、その間に足を屈伸させて『発勁』を溜める!!

攻撃が来ても『危機感知』で察知すれば対処もできる!!

いくら感覚、検知、感知系が他より優れてるとはいえそれに頼りすぎるのはリスクが伴うものだ!!

 

(溜を作るため、確実に奴を叩くためにここまで…!)

 

『黒鞭』を通して"個性"を行使して防いだりしてるのが分かる!!

それもあって位置はもうわかり続けてる!!

後は隙をついて接近し、最大火力の一撃で破壊すれば――

 

「――『突風』+『空気を押し出す』+『範囲拡大』」

 

「ッ!?」

 

『変速』で滞留させていた『煙幕』が吹き飛ばされた!!!

 

「なるほど。アイツの"異能"を『煙幕』に……こういった類は大きさに矛盾が生じるから、それを見越して付与して見せたと言ったところかな? 小さいものにしか付与できないはずのそれが君自身にも作用させているのも、そういったカラクリの別バージョンと見ていいかもしれないな」

 

『煙幕』+『変速』でもダメか!

だったら今度は――

 

「――えっ」

 

月明かりが消えて上を見上げたら、AFOの腕が変異して赤いラインが入った黒い棘になり、その先が、色の悪い不気味な人の顔になっていた。

何だ…これ……これも"個性"、なのか…ッ!?!?!?!?

 

「僕のお気に入りの"個性"たちと相性のいい"個性"たちを組み合わせた傑作の一つだ。そしてこれは手足のように、僕の思うがままに動いてくれる。この意味が分からないわけない程、君の分析力は低くないだろ?」

 

「――ッ!!!!!!!!!」

 

身体中がゾッとしたのと同時に『危機感知』が鳴り出した。

次の瞬間には、その顔が口を開いて、唸り声を発しながら僕を食らい付こうとしてきた。

咄嗟に避けるけど別のが、それを避けてもまた別のが追いかけてきてる。

 

三つの顔…その一つ一つがアイツの指か手のようになって動いてきてるのか!!!

 

「さすが『ワン・フォー・オール』継承者。そこらの学生と違い反応・認識速度は規模が違うね」

 

今一度それらを避けながら!!

 

――『黒鞭』+『発勁』+『変速』

 

【――五速(オーバードライブ)・黒鎖ッ!!!!!】

 

「三つの"個性"を重ね、それぞれちゃんと効果を引き出しているか……案外継承者たちの"個性"は相性がいいみたいだね。だけどそれは愚策だぜ? まだ僕の右腕が空いているのに」

 

AFOは五指を僕に向けてきた途端『危機感知』が鳴り出した。

 

「――『鋲突』+『加速』+『範囲拡大』+『増加』+『貫通力』」

 

五速(オーバードライブ)による【黒鎖】を防御と同時に僕に攻撃を躱した。

 

「――カハッ!!!!」

 

「攻撃・威力の制度はこちらの方が上さ」

 

だけど一本だけ……僕の脇腹を貫いた。

吐血しながらもすぐに叩き折るけど、あの顔がまた迫ってきた。

一度『浮遊』を解除して【エアフォース】を上に向けて放つことで急降下する!

 

「逃がさないよ」

 

顔が追ってくる!!

ギリギリのところで『浮遊』を再発動して『黒鞭』と【エアフォース】を使って木々を掻い潜っていく。後方を確認すれば、あの顔が地面や草木を押し通し、嚙み砕きながらも追いかけてきていた。

 

どこまで伸びるんだこれは!!

それにこのままじゃ時間が無駄になる!!

『煙幕』最大……!!

 

『煙幕』で視界を潰して上昇!!

そして『黒鞭』で全てをまとめて縛ってAFOへ接近する!!

もう時間がない…こうなったら――相打ち覚悟で壊すッ!!!!!!!!!!!!

 

――『変速・五速(オーバードライブ)』+『発勁蓄積最大』+『ワン・フォー・オール100%』ォ!!!!!!

 

【――テキサス スマッシュ!!!!!!!!!】

 

【テキサス】でAFOの伸ばしている複数"個性"による攻撃を吹き飛ばす!!

今の反動で右腕がダメになったけど関係あるか!!

 

「一撃で全てを……むっ」

 

AFO自身にも『黒鞭』で拘束!!

溜めていた『発勁』の一つを放出して一直線に飛び、頭部の、何度も殴った一か所へ攻める!!

攻撃と同時に『OFA』の出力100%と『発勁』最大の放出でアイツの頭部を――

 

 

――スマァァアァッシュゥゥウウゥ!!!!!!!!!

 

 

――蹴るッ!!!!!!!!!!!

命中して、衝撃波と同時にパリンッ!!!!!と割れる音が響いた。

AFOを見れば、生命維持装置にもなっている黒いヘルメットが割れていた。

 

(やった! これで奴は撤退せざるを得ないはず!!)

 

(九代目!! まだ動けるうちに奴から距離を取れ!!!)

 

歴代にも言われた通りすぐにAFOから距離を――ッ!!!!!!!!!!!!

 

「あっ…く、ぁ…!!!」

 

そんな…ここで……!!

 

(ッ!? おい嘘だろ!?)

 

(『()()()()()…! 時間が!!)

 

細胞が…呼吸……!!

酸素が取り込めなぃ…!

 

「(まさかここでこれが壊されるとは……本当はオールマイトにあえて負けることで、弔を独り立ち、成長させることを計画していた。だが侮っていた。僕の頭部が弱点なのは見ればわかる。だから"個性"でさらに硬くしていた。だかそれを同じ個所を狙うことで突破し破壊する……簡単には壊れないよう作られているのに加え僕の"個性"で強化していたのと、弟と再会できる喜びのあまり僕は慢心、油断していたようだ)」

 

だめだ…視界がぼやけて……!!

声すら、もう…!!

 

「だがどうやら、風は僕に吹いたみたいだ。とはいえギリギリだったね」

 

『危機感知』が鳴ってるけど、動けない…!

五感がボヤけて…!

 

(くっ…! 私が何とかする!!)

 

(それだと志村さんが九代目と同じ状況になるだけで状況は変わらない!!)

 

「――さて」

 

「ぐぁ……!!」

 

首を…このままじゃ……!!

 

「ぅ…ぁ…!!」

 

「意識を必死に保とうしてるのか。だがこの状況、もう君は何もできないはずだよ」

 

『黒鞭』の維持すらもう…ままならない……。

 

「……どうやら。向こうも爆豪君を拉致したようだね」

 

「ッ…! かっ…ちゃ…ぁ…!?」

 

「あぁそうだ。僕たちも行こう。黒霧は彼らの合流地点に来るからね」

 

ダメだ…もう……意識が………。

 

 

 

 





Q.原作でも死柄木(IN AFO)を『変速』で圧倒してたんだから追い詰めれると思うんだけど。
A.原作と違うポイントは、『緑谷が万全じゃなく負傷してオーバーレイ状態になっていて、限界も近づいている』『合宿でも『変速』を使用しているため細胞そのものにも疲労が溜まってしまっており本来の力を満足に引き出せない』『AFOが事前に能力を把握しているため対策をいくつかされていた』…って感じですね主に。
決戦時の万全な状態でなら普通に圧してたと思います。

Q.言うほど対応・対策の"個性"か?
A.ごもっともです。でも実際多対一での『変速』の使用が原作でもないから、ここら辺は完全に個人の解釈も含まれています。
最も原作でも使用回数が一桁なののもありますから結構難しいです。
後普通に簡単に終わらせたくないという欲望がダダ洩れたせいでもあります。アドレナインドバドバみたいな。

Q.歴代が身体の所有権一時的に奪って拉致られないようにできるんじゃない?
A.精神が入れ替わっても身体の状況は変わらないので、緑谷の状態を歴代も味わうだけになりますので、まぁ……詰みですね。

次回は緑谷なしでの残りの展開をやるか、スキップして神野へ移行するか悩み中。
まぁ多分緑谷なしの展開をすると思います。


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