何か出来たんで七話目どうぞ。
それと誤字報告ありがとうございます。
「はぁ!? 何が戦うだよバカかよぉ! オールマイトブッ倒せるかもしれねぇ奴らなんだろ!? 矛盾が生じてんぞ緑谷!! 雄英ヒーローが救けに来てくれるまでおとなしくが得策に決まってらァ!!」
戦うことを告げた途端、峰田くんは泣きながらに叫んだ。
でもごめん、僕も恐怖に押しつぶされそうだから無視させてもらう。
「敵はこの施設…USJの設計を把握した上で人員を集めた。そこまで情報を仕入れておいて、僕達の"個性"は把握していない。だからこそ僕たちを散らして数を減らし、逆に自分たちが数の暴力で殺そうって算段だと思う」
「ッ! 確かに、蛙の私を知ってたら、あっちの火災ゾーンにでも放り込むわね」
「そう。だからこそここを突破できる鍵は一つ。僕たちの力が敵にとって未知数であること。だから上がってこない。これが仮説を裏付けてる」
でもそれは、向こうも決してこちらをなめてかからないってことになる。
「二人とも、僕達の"個性"を改めて共有しよう」
「そうね」
「なんでそんな冷静でいられんだよさっきからァ!!!」
敵に聞かれたり、見られないようしゃがんで、互いの"個性"を共有し合う。
「私の"個性"は、跳躍と壁に張りつけるのと、舌を伸ばせるわ。最長で20mほどね。あとは胃袋を外に出して洗ったり、毒性の粘液……といっても、多少ピリッとする程度のを分泌できる」
「分…泌……!」
「後半ふたつは今は役に立ちそうにないわね、忘れて頂戴」
「薄々思ってたけど、強いね……僕は戦闘訓練でも話した通り、性質を変化させて超パワーを引き出したり、僕自身を浮かしたり、鞭状にして伸ばして掴んだりすることができる。あと、僕達にとってもリスクは高いけど、煙幕を出すこともできる」
『危機感知』は反応するって形だから、実際だと言われるまで認識もできない。
主に共有できるのは『OFA』『浮遊』『黒鞭』『煙幕』だ。
三代目と二代目の"個性"はまだ習得段階すら入っていないし。
最後は峰田くんだ。
彼に視線を向けると、おもむろにお団子になった頭髪の一部をもぎ取って壁に貼り付けた。
「オイラの"個性"は超くっつく。体調によっちゃ一日経ってもくっついたまま。モギったそばから生えてくるけど、モギりすぎると血が出る。オイラ自身にはくっつかずにブニブニ跳ねる」
説明どおり、峰田くんが押すと弾むように変形しするけど、壁からは全く剥がれない。
扱いがとても難しそうなのに、とても強い"個性"だ。
サポートアイテムを必要とせず、その"個性"だけで
それに救助などでもうまく使えるかも。
「――うわ~!! だから言ってんだろ! 大人しく救けを待とうってよォ! オイラの"個性"はバリバリ戦闘に不向きなんだァ!」
「あっ、ち、違うってば! すごい"個性"だから活用法を考えて――ッ!!」
『危機感知』が反応した!?
「二人とも!!」
僕は咄嗟に二人を押し飛ばした。
すると次の瞬間、水のような斬撃が船を真っ二つに両断してきた。
「なんてパワー…船が割れたわ!」
『危機感知』が無かったら今ので終わってたかもしれない!
向こうは僕たちが船にいることは分かってる。
『煙幕』で視界をつぶして逃げようにも、僕が飛べることと蛙吹さんが水中を早く移動できることだけは、ここに放り出された時点でバレてる。
それに僕たちも敵の"個性"が水系ってだけで遠距離系や広範囲系まではわからないんだ。
うかつに飛んでもダメだ。
勝ち筋があるのは主に『OFA』に『黒鞭』
『危機感知』で敵の動きを察知してからってのもある。第一目標は突破口を築くこと。
僕は『浮遊』で飛べるし、蛙吹さんも峰田くんぐらいの大きさなら担いで泳いでいけるはずだ。
さっき
二つ目は
逃げたとしても追いかけてきて挟み撃ちになるのが目に見えてる。
そうなると、この二つを一気にクリアする必要がある。拘束し撤退。
"個性"での拘束はできても、その後の拘束して置けるアイテムはない。
見ただけだけど、八百万さんのような『ものを作り出す』"個性"がいれば……いや、いない人をあてにしちゃだめだ。
(頭の中でもすごく考えてるな坊主)
(だてに雄英生じゃないからね)
となると、カギとなるのは峰田くんだ。
彼の"個性"が言った通りの能力なら、今僕たちの中で最も活躍できる。
「二人とも、作戦があるんだ」
「ケロ?」
「お、おまっ! まさかホントに戦う気か!?」
「違う。この状況を突破する方法があるんだよ!」
二人に今思いついた作戦は伝える。
二人は驚いてるけど、それでも突破するにはこれが最も安全策。
後は実行あるのみ。
(船ももう持たないぞ九代目!)
「行きます!!」
六代目に返事すると同時に、僕は一人飛び上がり、
着水した瞬間に
やっぱり追って来てる……けど、ただ潜ったわけじゃない!
『黒鞭』を背中から出して奥底を掴んで、僕自身を一度回転し、『黒鞭』を二本絡ませて捻じらせる。
さらに両手からも出して、大きく、オールをイメージするように形を作る!
そして『OFA・フルカウル』を5%から、15%……いや、それだとパワーがまだ足りない!
今だけ、20%に!!!
「死ねガキィ!!」
回転する、オールマイトの技!!
【――オクラホマ スマッシュ!!】
それに『黒鞭』を+した、超回転!!
高速で、勢いよく、面積も広がった回転。
水は、中央で回転が発生すると渦になって、穴が開いていく。
そして水は元の形に戻ろうと、中央に収束する!後は!!
「梅雨ちゃん! 峰田くん!!」
微かに見えた水中外から、影が飛び出ている。
峰田くんを抱える蛙吹さんだ。
「うおぁああ!! オイラだって~!!!」
叫びながら峰田くんが無数のもぎもぎを投げてる。
それに巻き込まれないようにしながら『浮遊』を発動。すぐに上昇して、『黒鞭』で二人を掴む。
「一網打尽ね。すごいわ二人とも」
とりあえず、水難ゾーンは突破することができた。
(やるじゃねぇか坊主! まさか『黒鞭』であんな方法を思いつくとはなァ!)
もし『OFA』だけだったら、その超パワーで無理やり穴をあけてるっていうリスクの大きい方をやってました。
歴代の皆さんの"個性"あっての結果です。
とりあえず地上付近に近づいてから二人を下ろして、僕も着地する。
「今朝快便だったし、奴ら1日はくっついたままだぜ」
「あれで全員だったのは運が良かった……バクチとは言わないけど、それでも実際危険なことをしてしまった。普通なら念のため何人かは水中に伏せとくべきだもの。冷静に努めようとしていたけど冷静じゃなかった。感知があっても中までいることは分からないし、されない限り気づきづらいから、もっと慎重に……」
「緑谷ちゃんやめて、怖い。それに反省よりも次どうするかを考えるべきだと思うわ」
「そ、そうだね……とりあえず救けを呼ぶのが最優先。僕が二人を連れて飛んで、広場を避けながら出口に向かうのが最善だけど……」
「ケロ?」
中央では戦闘が繰り広げられてる。
相澤先生はもちろん、制圧するつもりだろうけど……。
(堂々と八木を殺すと言った。ここではない、恐らく中央か、どこかにいる主犯がその殺す術か、殺せるものを持っている可能性が高い)
やっぱり……それに先生の戦いを改めて思い返せば、あれはあくまで『他の援護が見込める状況まで粘ることができる』というもの。
警報が鳴っていないし、連絡も取れない以上、相澤先生の限界が先に来る恐れがある。
「お、お前まさか…!」
「緑谷ちゃん……」
「邪魔になるようなことは考えてないよ! ただ隙を見て、少しでも先生の負担を減らせればって……」
『危機感知』による察知、『OFA』による身体強化、『黒鞭』による捕縛。
これなら十分に先生の負担を減らせることができる。それに、いつか必ず巨悪と戦う日が訪れる。
こんなところでビビり散らかすわけにはいかない。
「あ、おい緑谷ァ!」
「ケロ、私たちも行きましょう」
バレないようにしながら、中央へと向かう。
バレたら先生の負担が大きくなる。
常に『危機感知』含めて警戒し続けろ。
(ッ! 止まれ坊主!!)
「ッ!!」
五代目が叫び止めて来て、反射的に足を止めた。
けどそれは正しかった。
それは、相澤先生が黒い巨体の何かに押さえつけられていたからだ。
何だアレ…人、なのか……!?
(考えられるとしたら、あれが俊典を殺すための……)
相澤先生の両腕が、折られてる。
意識はあるのか?『抹消』を持ってるのにやられてるってことは、アイツは異形型なのか?
ッ!『ワープゲート』の
「『死柄木弔』」
「『黒霧』、13号はやったのか?」
「行動不能にできたものの、散らし損ねた生徒がおりまして……一名逃げられました」
あいつらの名前か?
13号を行動不能にしたのか!?
でも、生徒が一人逃げたって…つまり。
(救援が来るってことだ)
応援が来る!
でも、相澤先生が…!!
「やっ、やった! 助かるんだ俺達!」
「えぇ、でも……気味が悪いわ緑谷ちゃん」
「うん…これだけのことをしといて、あっさり引き下がるなんて……」
オールマイトを殺したいんじゃないのか?これで帰ったら雄英の危機意識が上がるだけだぞ!?
ゲームオーバー?何だ……何考えてるんだあいつらは!!…?アイツ、僕達を見て……
「あ、そうだ。帰る前に平和の象徴としての矜持を少しでも――」
「ッ!!!」
『危機感知』が反応した!!
バレてたんだ!!もう来てる!!!
「――へし折って帰ろう!」
蛙吹さんを狙ってる!!
『フルカウル』を…いやダメだ『黒鞭』を…!!!
「……ホント、カッコいいぜイレイザーヘッド」
ッ!蛙吹さんが触られてるのに崩れてない!?
(教師が消してる!! 九代目、やるなら今しかない!!)
「くっ!!」
相澤先生…!『黒鞭』で二人を掴んで、コイツから距離を放して、僕は詰める!!
『フルカウル5%』!!
【――スマッシュ!!】
顔に向けて放――
「あっ――!?」
拳が当たる前に、黒い手に防がれた。
咄嗟に見れば、相澤先生を抑えていた奴が、既に僕の目の前に立っていた。
なんで!?『
「いい動きするなぁ……スマッシュって、オールマイトのフォロワーかい? まぁ、いいや君」
(まずい! すぐに離れるんだ出久くん!!)
(そいつ、他の
硬直して身体が動かなかったけど、七代目と六代目の声で我に返った。
「『煙幕』!!!」
六代目の"個性"『煙幕』を全開で発動。
即座に『浮遊』を発動して、『黒鞭』で掴んでいる二人を連れて上昇。
そして相澤先生の下へと移動した。
二人を下ろして『黒鞭』を放して叫ぶ。
「蛙吹さん! 峰田くん!! 僕が時間を稼ぐから相澤先生を連れて出口へ!!」
「な、何言ってんだ緑谷!?」
「いくら緑谷ちゃんでもそれは危険――」
「――先生は見た感じ気絶してる! ここには僕たち以外他の人たちはまだ来てないし、出口にいたあの『ワープ』がこっちに来たってことは、さっきあいつが言った通り13号先生もやられてるんだ!! そしてさっきの言い分だと、誰かが救けを呼びに向かってるのも本当だ!! なら、逃がさないのと、先生を殺させないためにも誰かが時間を稼ぐ必要があるッ!!」
怖いけど、頑張って早口で状況を告げる。
「賢いなお前。地味なくせに頭は回るんだな」
「……ッ」
『危機感知』がずっと反応してる。
アイツは、それぐらい危険なんだ。
「プロが一人でも来たら僕もすぐに退くから、二人は先生をお願い!」
『OFA』『黒鞭』『浮遊』『危機感知』『煙幕』……これらのカードでこいつらを足止めする!
「……わかったわ」
「お、おい蛙吹!」
「緑谷ちゃんが言ってることもまた正しいわ峰田ちゃん。状況が状況だもの。だけどね緑谷ちゃん、死んだら嫌よ?」
「ありがとう蛙吹…つ、梅雨ちゃん! 僕が合図で"個性"を発動するから、困惑してもすぐに行って!」
チラッと二人を見れば、相澤先生を二人で持ち上げて、いつでも行けるようにしてる。
向こうも僕たちの出方を伺ってる。
なら、今だ!
「『煙幕』全開!!!」
身体から『煙幕』を放出する。
これでお互い見えないはずだ。
「今のうちに! 階段付近にも
「えぇ、行くわよ峰田ちゃん」
「ッ……緑谷! どんだけ怪我しても絶対死ぬんじゃねぇぞ!! 絶対生きて帰って来いよ!!」
二人は出口へと駆け出した。
ありがとう二人とも。
けどすぐに『煙幕』が晴れた。
正確には、あの黒い奴が薙ぎ払ったんだ。
「カッコいいなァ…ヒーローの卵」
複数"個性"を扱う僕しか、今ここにはいない。
先生の『抹消』もない。
奴らの"個性"に警戒して、三人がここから離れるためにも、プロが来てこいつらを捕らえるためにも、時間を稼がないと…それに――
「――これ以上、誰も傷つけさせはしない!!」
『フルカウル』を纏い、『危機感知』を常時、そして『黒鞭』『浮遊』をいつでも発動できる状態にする。時間稼ぎ!それが今僕ができることだ!!
対人戦においては「敵意」に反応する特性の『危機感知』って、そういう感情とか一切ない脳無の攻撃とかも反応しないんじゃなね?って思いました。
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