FXは流石にやばいですわよシェリーさん!!?! 作:まのさばおもしろすぎないか人
うに(単品)
みんな書こう。書いて上手くなるものさ。
それはそれとして駄文ですけどごめんなさいねぇ。
「というわけで……皆さんにはFXで一儲けしていただきます。」
「連日の暑さでゴクチョーがおかしくなっちゃった!?」
ラウンジに集められた魔法少女たち。彼女たちに相対するように、ゴクチョーと看守は鎮座していた。
「いやはや、私としても余計な仕事も増えますし本当はやりたくないんですけどねぇ……。」
「じゃあやらなくていいだろそんなモン!」
「そう言うわけにもいかないんですよ。なんせこの頃の不況によってこの館の予算もこってり絞られましてね。はぁ……。」
「なんというか……貴方達も大変なのね。」
「中間管理職の辛さってやつですねー!」
「ええまあ。理解していただけると助かります。」
「どうしたものかと首を回していたんですが、ここには元気一杯な労働力が13人も居ることに気づきましてね。」
「それで私たちに資金運用をさせようと。」
「そういうことです。ちなみにこのままだと、経費削減の一環でまずエアコンが止まります。」
一同が一斉にざわめき出す。
「はぁぁぁぁ!?冗談じゃありませんわ!!!わたくしたちを茹で蛸にする気ですの!?!?」
「やっぱこの鳥キモい!ほんとムリ!!頭沸いてんじゃないの!?」
「『断固反対』」
「あのですねぇ……。断熱処理も碌にされてないこの館の電気代いくらだと思ってるんですか。」
そんな事実では、少女たちの頭を冷ませるわけもなく。
「はぁ……。残りの説明はスマホでさせていただきますね。それでは。」
ゴクチョーは飛び立っていった。
01
各囚人が日本国にて所有していた金銭を、各々の資金源とする。
「ボクの貯金が!?」
02
月毎に一人5万円を諸経費として徴収する。
「『高すぎる……だが、エアコン無しは耐え難い苦痛』」
03
著しい損失、追証が発生した場合、今後の館の一切の設備使用権利と引き換えに自己破産することができる。
「……?のあにはむずかしいかも。」
(やべえですわやべえですわやべえですわぁぁぁああ!!?!)
先程の集会直後、遠野ハンナは焦りまくっていた。その顔は正に真っ青、と表現するのが適当だった。理由は単純である。
(元々の貧乏も祟りまくって!最初っから!!たったの!!!861円しかありませんわぁぁぁあああ!!!?)
その焦りも当然であった。たったの800円から5万円を錬成するなんて事は到底出来っこないからである。うどんに天麩羅をつけたらそれでもう800円!
(なにが「のあはお絵描きのおかげでたくさんお金あるからー、だからえふえっくす?はしなくていいかなー。」「幸いなことに、私も俳優業の貯蓄があるから同じく、かな。」ですか!!!?!?)
足元がおぼつかない。落ち葉の如くふらり、ふらりと両足を交互に出す。目の前の現実に打ちのめされ、逃避しているうちに寝台に辿り着き、その日はそのまま寝てしまった。
「ーーナーーーーん!」
近くて遠い場所から声が聞こえる。
「ハンナさーーーーーん!!」
胃の底深くがキリキリと痛む。
「起きて下さーーーい!!!!(120dB)」
「うるっさいですわね!!!!!!」
午前10時47分、遠野ハンナ、強制起床。
それと同時にシェリーに向かって拳骨を放つも普通に避けられる。
「んもー!急にかわいいシェリーちゃんを殴ってくるなんて、悪い夢でも見たんですか?」
「現在進行形で見ておりますわこんのおバカ!!あなたの【怪力】は声帯にも適用されるんですの!?」
「それは単純に私の声が大きいだけですねー!」
「尚更たちがわりーですわーー!?」
ハンナの絶叫が地下に響き渡る。にも関わらずシェリーはいつも通りのニコニコ顔。この邪智暴虐たる青い小娘をいつか絶対一度シバいてやるとハンナは決意した。
「にしてももうお昼前ですよー。朝ご飯も食べに来てないですし、体調でも悪いんですかー?」
「た、単に眠かっただけですわ。誰にでもそんな日ぐらいはありましてよ!」
「無理しなくてもいいんですよー?ストレスは健康に良くありません!ささ、是非シェリーちゃんのやわらかお膝でお眠りください!」
「誰が寝ますかぁ!そんなとこで!!」
まったく喧しいことこの上限りない。
だからこそ、こんな日々はハンナにとって何にも代え難いものになっていた。本人はあまり気付いてはいないが。
「あ、ハンナちゃん!」
「あら、エマさん。」
姿を現したのは《太ももベルトをつけるもの》こと桜羽エマだった。
何故律儀に毎日ベルトまでつけていらっしゃるんですの?と聞いたところ、何だか安心するんだ!と返されて以来ハンナはあまり深く考えないようにしている。
「おはよう!ハンナちゃん!いや、この時間だとおそよう……なのかな?」
「普通におはようでいいでございましょうが!はぁ……おはようございますわ、エマさん。」
「おはようございます!エマさん!」
「そういえばハンナちゃん……”アレ”はどうにかなったの?」
「……?アレ……ですか??」
どこか心配そうな顔をするエマ。
ハンナの脳のシナプスが連結を開始し、思考をする。
その結論として導き出されたのは。今この館で”アレ”と称さなければならないものといえばただ一つ、FXのことだろう。
無い袖は振れぬどころか最早すっぽんぽん。ここは正直に自身の窮状を伝えるべきだろう。
「そうですわね……。お恥ずかしながら、全く手も付けてない感じですわ。」
「……っ!そっか……。ボクも手伝うよ!」
エマは口を固く結び、決意に満ちた眼でハンナの眼を見つめる。
一人でなくていい。みんなで乗り越えていこう。
そんな温もりのこもった眼差しに、ハンナは心が和らぎ、口端が緩んでいくのを感じた。
そうですよね。今は私、一人じゃありませんもの!
「それじゃあ、まず何から片付けていこっか?取り敢えずシーツからかなぁ……。」
「……いやあなた、何の話をしてらっしゃいまして?話の流れが掴めねーんですけども。」
「え?だってハンナちゃん、おねしょしちゃったんじゃないかって、さっきシェリーちゃんが……ぐふぅっ!?」
さっきのは温もりのこもった眼差しなんかではなくただのおねしょした人への同情の視線だった。
正拳突きの要領で、エマの鳩尾に小さな拳が素早く抉りこまれ、押しやられた息が漏れる。腹を抱えて頽れるエマを尻目に、本日2度目の鉄拳をシェリーに再配達する。が、ひらりと交わされてしまった。
ハンナはこれ以上ない満面の笑みを湛えている。もっとも、眉間には青筋が浮かび、口の端が引き攣っているのだが。
「どうして避けるんですのー?大人しく一発ぐらいくらいやがれまし?」
「いやー、痛いのが嫌なわけじゃないんですが。態々ハンナさんのパンチを喰らってあげるのもなんか違うかなーと思いまして!」
「よしわたくしはたった今決めましたわこいつを○すと!」
「けほっ……ちょ…ちょっと!?ハンナちゃん!?」
「ごめんなさいってばーー!ちょっと起きてくるのが遅かったから邪推しちゃっただけじゃないですかー!!」
数段飛ばしてハンナの顔は既に般若相。某烈海王の如く両腕を振り回してシェリーに襲いかかった。
結局、この争いはハンナの体力が切れるまで続いた。
「はぁ……はぁ……何で全部避けられるんですの!?」
「伊達に『怪力』やってませんからねー。」
「それ関係ありまして?」
「ともかく!私はおねしょなんてしておりませんわ!根も葉もない噂を流すのはやめてくださいまし!」
「ご、ごめんね!ハンナちゃん。」
「はーい!ごめんなちゃい☆」
「反省してないおバカが一人いるみたいですわね?」
「し、シェリーちゃん!」
その後、エマはハンナを宥めつつ、3人で食堂へと向かった。
「んむむ……。」
木目の優しい匂いの中、三人は難しい顔をして一つのスマホをぐっと見詰めていた。そこに映るのは無数の数字、赤と緑のグラフのみであった。
「……いやこれいつ買えばいいんですの?この後上がるか下がるかなんて全く分からないんですけども。」
本当にただ見詰めていただけだった。
「……ぜんぜんわかんないや。」
「名探偵ですけども資産運用は専門外です!」
「堂々ということでもねーでしょうに。」
「というか、外の情勢がわからないからただのギャンブルですねー。」
「それを言っちゃあおしまいですわ。」
「こういうのは最初の勢いが大事なんですよ!取り敢えず押してみれば良し!ってことでポチー!」
「あっちょおま!」
「うわぁ……。ほんとに押しちゃった。」
ハンナの目が泳ぎ始め、露骨にソワソワし始める。
「いやこれどこ見たらいいんでして!?さっきと画面ほぼ変わってませんけど本当に買ったんですの!?」
「慌てすぎてて草生えますねー!」
「ハンナちゃん落ち着いて!こんな時は深呼吸だよ。ひっひっふー……。ほら!」
「ひっひっふー……。ひっひっふー…って誰が妊婦ですかぁ!やかましいですわ!」
「ノリツッコミされちゃった……!」
女三人寄らば姦しいとは正にこのことである。
それからしばらくして。
「というかその……ハンナさんの残高が数百円しかないのは触れない方がいいやつですかねー?」
(それもう触れちゃってる……!)
「聞いてる時点で触れてるも同然でしょうがこのノンデリ妖精ゴリラ!」
(またツッコミさせちゃった……!)
「はぁ……。まぁ、ミリアさんの魔法でごちゃ混ぜになった時に少しは視ましたでしょう。つまりそういうことですわ。」
三人の間に沈黙が立ち込める。決してその色は白ではないが、真っ黒でもない。
「私も完璧に過去を割り切れたわけではありませんわ。それでも、ずっとくよくよしているよりかは、少しずつ噛み砕いていくのがいいと思えましたの。」
「ハンナちゃん……。」
「確かに、貧乏というのは間違いなく私にとっての傷ですわ。けれども、あなた達にその傷を晒すことは私、ちっとも怖くありませんのよ。だからあなた達も重っ苦しく考えずに、テキトーに受け止めてくださいまし。」
「いやハンナちゃんスマホスマホ!」
「は、はぁ?いったい何を……ってみ゜ぃああぁぁあ!?」
ハンナから潰されたペンギンが如き奇声が上がる。
スマホに目をやると、そこには大きく上に伸びた緑のローソク足が映し出されていた。それはまるで、天を衝く大きな豆の木の様だった。
「あわわわわととととりあえず売ればいいんですわねこれ??いやでもどこのボタンでしたっけこれ!?」
「有能名探偵兼助手兼空気の読める妖精シェリーちゃんにお任せをー!あそれ、ポチー!」
+220円という数字が消え、残高にその数字が足される。
一つの取引が成立した瞬間だった。
ハンナの手が震える。今彼女を満たしている感情は、歓喜。ただ一色であった。
「な、何だか知らないけどやりましたわぁーーー!!」
ある種の全能感に包まれつつ、彼女は拳を高く突き上げる。
これが、彼女とFXの馴れ初めであった。
お ま け
少女達とは別行動で資金調達のため遠征していたメルルとユキ。一先ず用事も終わり、街の中を二人で散策していた。
「メルル、あれを見てください。」
「ふぇ?どれですか……?」
ユキの指さす先は飲食店。その店の前には一つの看板が置いてあった。
『挑戦者求む! フードファイトチャレンジ! 30分以内に完食で金1万円!』
「ふふふ。ちょっとした小遣い稼ぎになりそうじゃありませんか?」
「え、でも大魔女様、そんな大食いでしたか……?」
「私が『転移』の魔法で、食べた瞬間にメルルの胃に食べ物を転送します。そうすれば二人力です。そこまで難しいことでもないでしょう。」
「確かにそうすれば……!さすが大魔女様です!!」
そうしてユキは店内へ。メルルは店の近くで待機することにした。
さて、ここで二人の考えには欠落していた、思わぬ穴が二つある。
一つは単純に、その量。
二人は世俗に疎かった。それ故、多くても三人前分ぐらいだろうと考えていたようだ。舐めすぎである。
まぁ今回は幸いその問題は牙を剥いてこなかった。
ならば何が問題なのか。それが二つ目である。
ユキは目の前に出された料理に驚愕していた。
ただし、量ではなく、色である。
(何ですかこの真っ赤な料理は!?)
ユキが挑戦してしまったのは激辛系のフードだった。
(というか何故店員はガスマスクを……!?えほっえっほ!?!?何ですかこの匂い……というか刺激臭は!!?もはや刺激そのものですよ!!?!)
ユキの顔が恐怖に染まり、汗が頬を伝う。
当然のことだが、口に食物を入れることなく転移なんてしてしまったら魔法がバレる。よって最低でも咀嚼、そして嚥下が必要になる事は明らかだった。
ユキは恐る恐る一口目を口に運び、咀嚼する。
そして盛大に咽せた。
(なっ……!????何ですかこの辛さは???!!?)
一口食べるだけで汗が止まらない。口が痛い。鼻まで痛い。今すぐに逃げ出したい。
地獄の始まりだった──
─────────────────
その後、宿泊先のホテルにて。
「め、メルルー!!そろそろトイレを譲ってください!!」
「無理ですうぅ!!お腹が痛すぎますぅ!!!!一体何食べたんですかぁぁ!!!!大魔女様のばかぁぁ!!!」
泣きそうな顔で必死にトイレのドアを叩く大魔女。
地獄の始まりpart2だった。
「あなた『治癒』の魔法でしょう!?それで今すぐ治せばいいじゃないですか!!」
「胃と腸にまだ劇物が残ってますからぁ!!治癒した所で意味がないんですぅ!!!」
それも道理だった。
店から出てきた汗まみれのユキの唇が真っ赤に腫れ、虚ろな目で「やりました……わたしはやりましたよ……。」と繰り返していたのも。
重くなったメルルの胃から何故かギュルギュル音が鳴っていたのも。
今思えばフラグでしかなかった。
それはそれとして。
限界が迫っていた。
「お願いですからメルル!!開けてください!!」
「無理ですぅ!!現在進行形なんですぅぅ!!」
「私…!!!そろそろ限界で…っ……!!!
あっ」
爆発オチなんてサイテー!
あとただの偏見なんですけどハンナとナノカはおねしょしそうですよね(褒め言葉)
あとあと切実に誰かマーゴの書き方教えてください 彼女の頭の良さげな雰囲気はバカ作者ではむつかしい……
感想、評価ともどもめーっちゃやる気になりますのでどうかお願いしますー!遅筆ですけどよろしくお願いします……!