勝利の女神:NIKKE[DAEMON X MACHINA] 作:ちしかんn号機
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〔クロガネSIDE〕
「各員残弾は?」
「ラピ、マガジンが6つと装填済みで12発です」
「アニス、残りグレネードは23発よ」
「ネオン、散弾は0でスラグ弾が30発です」
「ミハラ、マガジン6つと装填済み10発よ」
「ユニは残り20発だよ」
トーカティブの追跡を始めてさらに時間が経過した。
すすめば進むほど進路上のラプチャーが増えてきて、こちらもかなり損耗していた。
彼女達のダメージは0だが疲労の蓄積と残弾が想定以上だ。
俺がなるべくディアボロスで破壊するようにしているが、残り10発。
「こちらの想定を3割超えている。このまま人間並みの知能があるタイラント級との戦闘は危うくなってきたな」
「そうですね。ロード級率いるラプチャー20機による編隊と10回以上の戦闘。ここまで残弾を確保できたのはクロガネ少佐の指揮能力が高いのが幸いしましたが、タイラント級となると厳しいですね」
「私達が相手にするのってブラックスミスやグレイブティガーの知能ありって事でしょ? 流石に危険だよね」
「そうですね。私の火力の発揮どころといいたいですが、残弾が心もとないです」
俺がアーセナルを使えば問題ないが、あれは気軽に使えるような状態じゃない。
前哨基地で修理はしているが、正規の設備でもないし元々使用されている装甲材である[エクスマター]ではなくアークで一番強い合金の[チタンマター]を使っている。
チタンマターも良い素材なのは確かだが、そのお陰でアーセナル自体の重量が増して機動力は落ちている。
それに正規の設備での整備ではないせいで各種駆動系の出力が安定せず、妙な負荷がかかっている状態。
それも相まって俺の動きについていけない。
ブラックスミスとワンパンしたタイラントハンマーも一発撃っただけで相当な負荷がかかって再使用まで6秒のインターバルが必要なくらいだ。
グリムリーパⅡも2丁ほど使えるように整備できたが威力の低下と、連射性、精度の低下はかなりのもの。
何とか技術でカバーして扱える状態だ。
他の兵装は未だに使用不可能だしな。
アレをつかえば無理やり100年前と同じ性能を引きだせるが、使用後はアーセナルが自己崩壊する。
それにミハラとユニ、ネオンがいる以上は正体バレも考慮しないといけない。
まあ、いざとなれば使うしかないから今のうちに腹をくくっておくか。
「確かに残弾はタイラント級と戦うには心もとないけど大丈夫よ」
「ミハラのいう通りだよ。私達は銃火器無しでラプチャーを無力化して捕獲するプロだからね」
「ええ。あくまで銃火器は雑魚とロード級を倒すときに使って問題ないわ指揮官」
「確かに2人の能力は強い。だが、そううまくいくかどうか不安なのもある」
「どういう事かしら?」
「相手は確定で知能を持ったラプチャー。万が一、2人能能力を逆手に取る手段を持っていた場合も考える必要があるって事だ」
「心配してくれてありがとう。でも大丈夫よ、私達はラプチャー捕獲においてアーク最強の[ワードレス]だから」
「うん、私とミハラを信じて!」
「そうか」
2人は自信ありげだが妙な胸騒ぎがする。
◇
それから俺達はトーカティブの痕跡を追い続けて周囲が廃墟で囲まれた広場に到着した。
周囲に地雷やトラップはない。
だが、方囲射撃や奇襲には絶好の場所といえる。
そうアンデルセンに教わったしな。
「総員警戒。恐らく来るぞ」
俺がそう命令を支持した2秒後―――俺達に向かってミサイルが十数発飛来してきた。
「ミサイルが来ます!」
「あの感じは無誘導だな―――俺が処理する!」
俺はディアボロスの薬室にある弾丸を手動で取り出し、ミサイル迎撃用のスプレッドフレア弾を装填。
飛んできてミサイル群に向けて引き金を引き、全ての無誘導ミサイルを連鎖破壊する。
「わー凄い!」
「あの数のミサイルを一撃で…凄いわね」
「あくまでミサイル迎撃用の専用弾だ。攻撃力は無に等しい」
そうこうしているうちに小型ラプチャー共が俺達を囲うようにうじゃうじゃと集まってきている気配がする。
「総員戦闘態勢。ラプチャーが俺達を包囲するように迫っている。ラピ、ミハラは遊撃、アニスとユニは遠距離支援、ネオンは接近してきた奴の迎撃を。俺は建物の破壊して少しでも奴らの陣形を崩す」
「ラジャー」
「ええ」
「はい!」
「了解よ」
「うん!」
返事をして俺の指揮通りに動く5人の勝利の女神たち。
ラプチャー共がら放たれる実弾をレーザーの弾幕を掻い潜り、遮蔽物で防ぎながら堅実に撃破していく。
俺が廃墟の上にいる遠距離兵装のラプチャーがいる建物の支柱をディアボロスで破壊し奴らの陣形を崩しながら武装の誘爆も利用して撃破。
ラピとミハラは互いに一定の距離を取りながら確実にラプチャー達を破壊。
アニスとユニは俺が撃破できないラプチャー共をグレネードランチャーとロケットランチャーで纏めて破壊。
ネオンはラピとミハラでカバーしきれない箇所をカバーしてラプチャーを撃破。
そして、最後に現れたロード級ラプチャーを撃破した。
「射撃止め。但し安全装置はかけず警戒態勢を維持」
俺の指揮に5人の勝利の女神は銃の状態を確認しながら弾丸やマガジンを再装填する。
「ラピ、アニス、ネオン。残弾は?」
「装填した分を合わせて2マガジンです」
「残り13ってところね」
「私は12ですね」
「こっちはマガジン2よ」
「ユニはあと5だよ」
これ以上の損耗は回避しておいた方が良いか。
帰りの分も持たせないといけない。
罠とわかって損耗をかなり抑えてつもりだが、これも想定を上回っているな。
アンデルセンならもっとうまくやっていると思うと、所詮は真似事に過ぎないって事か。
「しかし、あって2日の私達と彼女達を合わせられるなんて凄いわね。ユニもそう思わない?」
「うん。ユニはこの人たち好き!」
まあ、ワードレス2人の基礎戦闘能力が高いのもあるけどな。
それにラプチャー捕獲を専門とする部隊なのもあるかもな。
「ねぇねぇ、指揮官」
「なんだ?」
「ユニとミハラ凄かった?」
「ああ。ラプチャー捕獲専門部隊と名乗るだけの事はあるな」
「じゃ、じゃあ…ご褒美ちょうだい?」
「悪いが俺はMじゃないんだ。それに警戒態勢を解くなと指示しただろ―――来るぞ」
俺がそういった瞬間、俺達の背後に巨大なナニカが来る気配を感じた。
そして―――
「見つけた」
濁った男の肉声が聞こえた。
俺はディアボロスを構えながら後ろを向くと、そこのは人間のようで人間ではない歪な歯並びをした異形であり人の形に似たラプチャーが気味悪い笑みを浮かべていた。
俺は迷わずディアボロスの引き金を引き現れたタイラント級ラプチャーに向かって引く。
だが、タイラント級ラプチャーは右腕部でディアボロスの銃弾を弾き無力化した。
「!?」
「これは…!?」
俺の動きにラピ達も気づいて振り向き、人型のタイラント級ラプチャーをみて絶句した。
「少し弄んでからころそうと思ったが―――まさか、こんな幸運が訪れるとは」
「あのラプチャー喋ってますけど!?」
「まさか、クロガネ様が言っていたラプチャー!」
「クロガ―――」
「下手に動くな」
ラピが俺を守るように近づこうとして、俺はラピを静止させる。
やみくもに動けば危険だ。
それに俺なら攻撃を受ける事に関して彼女たち以上に問題ない。
「ミ、ミハラ!!」
「ええ。脚の形が酷似しているし喋っている!」
ミハラがトーカティブであろうタイラント級ラプチャーに能力を使用。
そして、自分の腹を潰すように殴りつけた。
「ガハッ…!?」
「ユニ!」
「うん、切るね!」
ユニも能力をトーカティブに行使。
「視界が…? まさか感覚を遮断したのか!」
「こんなの簡単よ。さあ捕獲する時間よ」
「うん!」
ミハラとユニがトーカティブであろうタイラント級ラプチャーを捕獲しようと近づいた瞬間―――
「感覚交換か……
「!? ミハラ!! 感覚交換を切れ!!」
「え?」
俺がそう命令すると同時に、トーカティブであろうタイラント級ラプチャーは自身の右腕部を変形させてレーザー発射口を形成すると同時に自身の左腕部を吹き飛ばした。
「ガッ!?」
当然感覚しているミハラ。
やっぱりそういう事か!!
そうなると、こいつもヘレティックと同様アレ持ちの可能性があるな。
「ふはははは!!愉快だな!!自分の身体をえぐる楽しみを味わえるとは!ふははは!」
「ガァ…グッゥ…!!!」
ミハラは痛みに耐えかねて地面で悶え苦しむ。
クソ、ミハラの痛みの要領を超えた激痛の影響で能力のオンオフが出来ていない…ッ。
しかも―――
「どこまで耐えられるか見せてみろ!! 人間もどき!!」
トーカティブはあえて神経であろう部分をずたずたにして遊んでいやがる。
よりにもよってミハラの天敵とはな。
「ミハラ!!」
ユニがミハラに近寄ろうとすると同時に、ユニに向かってトーカティブの尻尾形状の武装が放たれようとする。
チッ!!
俺は身体能力を上げてすぐさまユニとトーカティブの攻撃の間に入って奴の攻撃を受け止める!
「グッ」
「なんだ? 攻撃が止められた? そこのいる人間もどきが俺の攻撃を受け止められるはずが……」
「ユニ!」
「し、指揮官?」
「トーカティブの能力を解除してミハラに痛覚麻痺をかけろ! でないと痛みでショック死するぞ!!」
「う、うん!!」
ユニはトーカティブへの能力を解除してミハラに行使。
「グッ…ユ、ユニ……」
「ミハラ! 早く能力を解除して!!」
「え、えぇ…」
ミハラは残った精神力で能力を解除した。
「ユニ!ミハラを連れて距離を取れ!! ラピ、アニス、ネオン!の3人はワードレスの護衛をしながら撤退!!」
「わかった!」
「クロガネ少佐は!!」
「俺はコイツの相手をして機を見て逃げる!! おれなら大丈夫だ! 早くしろ!!」
「ラジャー!!」
「わ、わかった!」
「師匠! ご武運を!!」
俺はラピ達をこの場から逃がすように指示。
そんな状況でトーカティブは自身の尻尾を押さえつけている俺を見て動揺した。
「なんだ? アレしか持たない人間が俺の攻撃を受け止めているだと?」
「ああ。そうだよ!!」
俺はあの時のブラックスミスをぶん投げた要領でトーカティブをハンマー投げの要領で近くの廃墟に投げつけるが空中で態勢を変えて着地した。
「あの人間がここまでの身体能力を……まあいい」
相違ってトーカティブは自ら破壊した左腕部を生やす様に修復した。
しかもあの身のこなし…それに合成音声ではない声に流暢な喋り方。
まるでヘレティックを想起させるな。
というかあの尻尾もやたら鋭利だな。
俺の皮膚がかなり切り裂かれた。
まあ、これくらいならブラックスミス同様直ぐに再生する。
そう切り裂かれた腕をみると、傷口が瞬時に修復した。
服や出血痕は消えないのが面倒だな。
さて―――
「お前が喋るタイラント級特殊個体―――[トーカティブ]だな?」
俺は目の前にるトーカティブにそう問いかけた。
次回。おしゃべりさんと巡礼者は悪魔を知る。