勝利の女神:NIKKE[DAEMON X MACHINA] 作:ちしかんn号機
引き続きよろしくお願いいたします!
〔クロガネSIDE〕
『人間?違うな。俺は―――[
俺は自身を人間というトーカティブにそう言い放った。
ユニとミハラに対して調子に乗っていた部分もあるが、俺とアンダーソンが探しているアーク内にいる裏切り者をあぶりだす為でもある。
ラプチャーにおいて人語を介してにアーク内に裏切り行為を起せる知性体は3種。
目の前にいる知能持ちの特殊個体―――知能がある分には異常個体とも呼べる[トーカティブ]。
ラプチャーの幹部的存在であり、人類を裏切ったとされる元勝利の女神である[ヘレティック]。
そして、ラプチャーの根源であり俺とシンデレラがあと一歩まで追い詰めた[クィーン]。
少なくとも[クィーン]は地上との経路を絶たれいるし、俺とシンデレラが与えたダメージは少なくない。
地上に侵攻していない時点で干渉できない事が判明している。
ヘレティックに関しても、今の俺が遭遇したヘレティックである[ニヒリスター]はそんな事を出来る程性格は器用じゃない。
インディビリアは既に[アブソルート]と[メティス]の混成部隊によって戦闘不能になりアークに封印。
勿論外部との連絡は不可能。
未知にヘレティックがいるとしても、場所が見つかった時点で既に滅ぼされていのでその線も無い。
これらを整理すると、現状アーク内の裏切り者につながっている可能性があるラプチャーは、この[トーカティブ]のみ。
だからこそ俺の正体をこいつに明かす事で、コイツが俺を殺す為にアークを利用すると考える。
そんで、その実行に俺の情報をアーク内にいる裏切り者に売り俺を殺せと命令を下す。
俺はその動きを利用してアーク内の裏切り者を割り出しそいつを突き止める。
裏切り者がどうであれ、そいつが最も嫌がる事で代償を支払わせるつもりだ。
まあ、これは逃げられた場合の算段。
今は―――
『今殺されたくなければ、お前が通じているアーク内の内通者は誰か喋ってもらおうか?』
尋問して吐き出させる。
「…ッ!! なぜ…それを知っている…ッ」
『ラプチャーで人語介せる程の知能持ちがお前しかいないからだ。少なくともクィーンは俺とシンデレラが行動不能にしているし、ヘレティックに関しても居場所が割れていれば殲滅している。俺が知っているニヒリスターはそんな面倒な事はしない』
「お前…どこまで…知っているんだ!!」
『知るか。さっさとアークにいる内通者について喋ろ。おしゃべりラプチャー』
「誰が…お前のような…奴に!!」
『そうか…。そういえばお前はミハラの能力を逆手にしてこう言っていたな―――「自分の身体をえぐる楽しみを味わえるとは」と。だったらその楽しみをくれてやる』
俺は右手を手刀の形にして、奴の腹に勢いよく突き立てながら貫く。
「ガハァッ!?」
『ほら、自分の身体をえぐられるのが楽しいんだろ? こういう風にな』
俺は奴の腹に突き刺した右手を強引にかき回す。
何か引っかかる者があれば無理やりズタズタにする。
「がっ!? グアァッ!? アガッ!!!???」
『楽しいんだろう? もし楽しくなければ、俺が聞いたことについて真面目に答えろ』
トーカティブの悲鳴が聞こえるが容赦なくやり続ける。
ショック死はラプチャーである限りはないだろう。
所詮こいつも喋れて多少の知能があるラプチャーに過ぎない。
ヘレティックと比べたら月と鼈だしな。
《こちら向かって接近する動体を感知。エネルギー特性:ニケ》
そんな事をしていると、レーダーに俺に近づく一体にニケの反応が現れた。
元から遠距離から敵意が無い監視されていると分かっていたが。
そしてレーダーのコア識別反応にはこう表示された。
《コア反応検出。Fairy Model:04[SNOW WHITE]》
かのゴッデス部隊メンバーの1人であり役割は武器全般の整備から制作まで行う武器に関してのスペシャリスト。
更に彼女が持つ7種の兵装である[セブンスドワーフ]はあらゆる戦局に対応できる。
後は腹ペコと俺が持つアーセナル技術が大好きな妹分属性な感じだったな。
アークでもアークに所属していないニケである[
そして、スノーホワイトがレーダー上でかなり近くまで接近したのを確認。
俺はトーカティブへの尋問をやめて振り向く。
そこにいたのは―――
「やはり私に気づいたか」
俺が知っているスノーホワイトではないスノーホワイトだった。
幼さと可愛げがあった顔は凛々しくなり、体全体も子供のような感じから大人に近い体形になっている。
それに装備に関して状態にうるさかったスノーホワイトが、今装備しているのは何とか使える状態と判り易いくらいガタが来ている。
何より今の俺を見ても俺の名を言わない。
「すまないがそのラプチャーを殺すのは止めてもらえないか? 私はそいつに聞き出したいことがある」
『……俺を見て何も思わないのか?』
「?
やっぱり忘れているか。
恐らく思考転換しているのだろう。
レッドフードが去ったタイミングではない事は確か、そうなると彼女が最も知って敬愛している存在の死。
つまり―――
『そうか。お前はピルグリムだな?』
「アークではそう呼ばれているみたいだな。私は“スノーホワイト”お前の言う通り地上を彷徨う巡礼者で―――ニケだ」
『俺はクロガネという』
「クロガネ……
『さあな。そんで、地上を彷徨う巡礼者がこのおしゃべり野郎に何の用だ?』
「こいつが持っているであろう情報が欲しい。ラプチャーの主[クィーン]の現在地について」
『クィーン。そいつを追うためにずっと地上を彷徨っているようだな』
「ああ。私達は―――[パイオニア]は失敗した。だから地上に残り、ラプチャーを滅ぼし人類に地上を返す為に戦っている」
真っすぐでゆるぎな瞳でスノーホワイトは俺を見た。
そうか……スノーホワイトや他の生き残ったゴッデス部隊達はずっと人類の為に動いていたのか。
『そうか…』
あの口ぶりからして軌道エレベータは調べたみたいだな。
そして軌道エレベーターは俺とシンデレラで最後のあがきで破壊。
破壊痕を確認したスノーホワイトや生き残ったゴッデス部隊がクィーンは地上に墜落していると考えているのだろう。
ここはクィーンが衛星軌道を彷徨っている事を―――
いや…人外じみた動きを見せた俺が言ってもスノーホワイトは信じないだろうな。
こうして話せているだけマシと考えるのが筋だろう。
なにより彼女には変わった後の彼女自身の世界が在る。
それをむやみに壊す事は俺も望まない。
『俺の後でよければ好きにしろ。少なくとも殺しはしない』
「すまない。恩に着る」
昔のスノーホワイトを知れば知る程変わったと感じるな。
もう、俺が知るスノーホワイトは居ないのだろう。
そして今のスノーホワイトが俺を知らないという事は他のゴッデス部隊の皆も俺の事を忘れているという事。
これでゴッデス部隊のとこは気にしなくて済みそうだな。
後はオールドテイルズ部隊の彼女達だけか。
「…けて……さま……!」
スノーホワイトとの会話を終わらせた瞬間、トーカティブから掠れた声が聞こえた。
少なくとも俺や彼女に対してではない事は確かだ。
『おい、トーカティブ。何を言っているんだ?』
「助け……て……さい……!」
『今更命乞いか? あれほど自分が強者といわんばかりに威張っていた分際で……醜いな』
「助けてください……! 女王様!!!」
トーカティブが女王様と言い放ったと同時に。
《危険。この場を目指して強大なエネルーギーを内包した存在が接近。 コア出力―――
ヘレティックだと!?
俺はトーカティブから離れると同時にスノーホワイトと設置型のセブンスドワーフを一緒に抱き上げ、ブースターを全開にしてその場を離れる!
「な、なにをする!」
『ヘレティックが来る!』
「!?」
俺がそう短く説明すると同時に、スノーホワイトがいた場所に金色のビームが放たれ、その場の地面が消し飛んだ。
俺はスノーホワイトを下ろす。
そして俺はビームが放たれた先を見ると、空を裂くように巨大なラプチャーが舞い降りて来た。
見た目は従来のラプチャーが持つ生物的なデザインはなくSFロボットの様な―――ギアワームが奥の手で使っていたヘビーアーマー[ギガンテス]に似ている。
ただギアワームのヘビーアマーと違って脚部がなく、まるで一本の剣のようなユニットになっている。
そしてそのラプチャーから感じるのは圧倒的な人類への―――いや、それ以上に俺に対する悪意と敵意。
判る、こいつは対俺用に製造されたラプチャーだと。
そんなラプチャーは頭部と胸部が一体化したユニっトを展開すると、そこには長い灰色髪にバイザーで顔面を隠したニケに似た存在が現れた。
でかいラプチャーからニケに似た存在の出現。
間違いない―――こいつは[ヘレティック]だ。
そんなヘレティックは俺がボロボロにしたトーカティブに寄り添うように近づいた。
「トーカティブ。私の可愛い部下。安心してください、私が助けますよ」
ヘレティックから発せられた声。
俺はこの声を聞いたことがある。
あの時、俺が介入する事になった作戦で俺が終わらせたニケ―――マリアンの声。
だが、マリアンは俺が確実に終わらせた。
彼女の脳に確実に銃弾を撃ち込んで勝利の女神として終わらせたはずだ。
只声が似ているだけ……。
そう思っているとヘレティックが頭に付けている包帯に目が入る。
あのヘレティックを観察するだけ、どうしようもなくマリアンと一緒の部分が見えてしまう。
よせ、今はそ言う事を考える余裕はない。
「貴方ですか? 私の仲間を傷つけたのは」
マリアンの声でヘレティックはそう俺に問いかけた。
落ち着け。
ここで冷静さを失えば終わる。
俺はそう自分に言い聞かせて答える。
『ああ。ヘレティック』
「ヘレティック…ッ。クィーンの直属。人類を裏切った異端者…! ラプチャーを選択したニケ―――!!」
「呼び方が多すぎますね。[モダニア]と呼んでくれませんか?」
「今日はついているな。クィーンにまた一歩近づけた!」
「クィーンですか? そんなことはどうでもいいです。本来であればトーカティブの事を考えると、あなた達にはここで死んでもらいたいですが―――そうなると仲間が巻き込まれて死んでしまいますので、ここは引き下がります」
そしてモダニアと名乗ったヘレティックは俺を見て、憎しみと敵意を俺に向けた。
「その顔、その姿、ちゃんと覚えておきますね」
そう言いながらモダニアは飛翔と同時に、奴の[タイラントユニット]*1はボロボロのトーカティブを担いでこの場から去ろうとする。
「逃がすか!! セブンスドワーフ、レデ―――」
スノーホワイトが対艦ライフルであるセブンスドワーフⅠを起動させて狙いを付けようとするのは俺が手で制止させる。
『よせ』
「なにをする! 私はクィーンの手がかりを!!」
『今のお前の装備じゃ奴に勝てない。
「だが!!」
『今お前が無駄死にしてどうする。地上で同じく志を共にする仲間の事を考えろ。少なくとも遺される側の気持ちくらい考えられるはずだ』
「………わかった」
スノーホワイトはセブンスドワーフⅠを下した。
そしてヘレティックモダニアとトーカティブはこの場から去っていたのを確認した。
今の俺もそうだが、装備が全盛期よりも機能できていない状態のスノーホワイトが協力しても勝てない。
恐らくあのヘレティックは俺が知っているどのヘレティックよりも強い。
なにより見た目で判り易いくらい、俺を意識した作りになっている。
少なくとも100年前レベルの状態かそれに近い状態でない限りはやめておいた方が良いだろう。
なにより奴に顔を覚えられた以上は、早急にアーセナルの復旧をするためにガーデンが遺した移動基地を見つけないと。
「危うくお前まで巻き込むところだった。すまない」
スノーホワイトがそう謝罪してきた。
『謝る必要は無い。確かにクィーンを目指すお前にはヘレティックは重要な情報源だ。だが、戦うなら準備は怠るな。戦の勝敗は―――戦う前の準備で決まるからな』
「肝に銘じておこう。私もヘレティックと遭遇したことを仲間達に伝えないとな―――お前の事を話しても良いか?」
『好きにしろ。それと―――』
俺はスノーホワイトに極秘回線への接続IDとパスワードを彼女が持っている携帯端末に送った。
『俺との極秘回線のIDとパスワードを送った。これでもヘレティックやラプチャーに関する研究とかもやっている。何か聞きたいことや支援して欲しい事があればここに連絡しろ』
「良いのか?」
『地上で頑張っている勝利の女神の支援位なら朝飯前だ。それに俺は勝利の女神の味方だからな』
「そうか。恩に着る」
そういってスノーホワイトはその場を去った。
さて、
次回でこの章は最終回となります。
判っているとは思いますが、アブソルートの活躍はありません。
別の形で出す予定なのでお楽しみに!