勝利の女神:NIKKE[DAEMON X MACHINA] 作:ちしかんn号機
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〔クロガネSIDE〕
ラピ達[カウンターズ]とネヴェを除いたルドミラ達[アンリミテッド]にある程度の事情を伝えた翌日。
「これが私達が守っている眠り姫の皆さんです!」
研究基地を離れる前にアリスが家で何をしているのかをラピ達に説明していた。
俺は割と前に来たことがあるからわかっている。
「紹介しますね!この方は青い髪のお姫様!」
アリスが紹介した先には保護用のカプセルに無数のケーブルに繋がれたニケの遺体。
正確には脳が無い遺体だ。
「そしてこの方は黄色い目のお姫様です!他にも―――」
アリスが眠っているという体でニケの遺体を紹介していた。
[アンリミテッド]はアーク管轄外のニケである[ピルグリム]を調べる一方で地上で彷徨うニケ達の救出も行っている。
アリスが紹介したニケ達はどれも欠損が激しいが、共通の特徴として脳ユニットがどの遺体にもないことだ。
ルドミラやアリス曰くこのにいる者たちは皆そうなっていた状態で発見した者たちばかりみたいだ。
そんなこんなでルドミラがラピ達に正式な説明をするためにアリスをこの場から外させて改めて説明しなおした。
「全部死体じゃない。集めてどうするつもり?」
「まだ死んでないわ」
「いやいや、ブレインユニットが無いでしょ!?」
「そう。だからこそ死んだという確証はないの。そもそもこうしてニケの身体をひろっているけれど、明確にブレインユニットが残っている遺体は殆ど0なの」
「俺も何度か回収したが殆ど脳を抜かれていた。まるでそれしか必要ないみたいにな」
「クロガネのいう通りよ。そして私達はわずかな奇跡を祈りながら体の持ち主である脳―――判り易く言えば意志と魂が戻るまでこうして保管しておくの―――これが私達[アンリミテッド]の根幹たる仕事。彼女達が望む奇跡を現実にしてあげる仕事」
「実際ルドミラはそうやって十数名のニケを救出してきた」
「でも、ボディが離れすぎてシンクロ率がひくく合わずに死亡したり、精神崩壊や記憶喪失とかもあって決して成功とはいえない事ばかりだけれどね」
「それでもルドミラは折れずに続けている。だが、これをラピ達に見せるのは嫌だったんだろう?」
「どうして?」
「?」
「何故でしょうか?」
「地上任務で最悪のケース。その1つがこの光景だからよ。そういう被害者を視る酷い未来を想像して後ろ向きになりかねないから。クロガネに初めて見せた時は、直ぐに黙祷を捧げていたわね」
「誰かの為に自由意思がないまま勝利の女神として戦い抜いた。目を逸らすどころか、彼女たちの雄姿を見て最悪を想像するのも失礼であり侮辱に当たる。だからこそ勝利の女神として戦い抜いてくれた事に感謝と祈りを捧げるのが俺ができる精一杯の礼儀だ」
「とまあ、ものすごく義理堅いというのよ。まるでかつて地上にあった極東の国の戦士さんみたいな感じなのよ」
「なんか、クロガネ様って感じだね」
「そうですね。師匠はフレンドリーながらもしっかりしていますし!」
「そうですね。クロガネ少佐は少し変わっていますが、それが良いところでもあります」
まあ、変わり者の自覚はある。
そもそも人間でもないしな。
「やっぱりニケには特に好かれているのね。コインラッシュでのイベントの時も[777]部隊のニケに大層好かれていたようだし」
「まあな」
「とにかく私達の仕事はこんな感じよ。最近気になる事は地上で迷子になったり救出を求めるニケが減っている事ね」
「減っている?」
「それって生還率が上がっただけじゃないの?」
「わからない感じね。1つだけ言えるのは嫌な予感が私の中にある事だけ―――この仕事の経験からくるものだから余計に気がかりなの」
ルドミラの懸念にラピは疑問符を浮かべる様子だが、俺はその件に心当たりがある。
そもそも撒いた餌が針にかかったから北部エリアに来たようなものだからな。
◇
ルドミラたちの仕事を見た後、俺達は研究基地と外を繋ぐ扉の前まで来ていた。
「本当に護衛と途中までの案内はいらないの?」
「アンタ達にも本来の仕事があるだろう。それに俺はこの辺りは慣れているし、彼女達も俺の任務についていける。こうして一泊と出発準備をとと得られる準備を設けてくれただけで満足だ」
「私達なら大丈夫」
「人数が増えると安心だけど私達が受けた任務だしね」
「はい。ここからは活躍できなかった分、私の火力をちゃんとお披露目したいところですね!」
[ランドイーター]を共闘して倒した分十分活躍していると思うがな。
「アリス。しもべとその仲間達はさらなる目的の為にまた別行動をとるわ」
「はい!また来たくなったら来てくださいね!」
「いつでも歓迎しますよ!!」
「ええ。ここは地上を彷徨うニケを救う場所。何かあれば遠慮なく頼りなさい。それと、さらなる目的にある程度区切りを付けたら顔を出してくれると嬉しいわ。経過が気になるし」
「どのみち寄るつもりだ。それに寄る以前にもしかしたら別の形で世話になるかもな。ま、期待はしておいても損はない」
「わかったわ」
ルドミラの返事と共に俺達[カウンターズ]は研究基地を出ようとした時―――
「しもべ、待ちなさい」
「? ラピ、アニス、ネオン。先に行ってくれ。直ぐに合流する」
俺の指示に3人は遅めの足取りで前に進み始めた。
それを確認してルドミラの方に向きなおる。
「貴方なら大丈夫だと思うけれど、念のために言っておくことがあるわ」
「なんだ?」
「クロガネ。新しい出会いとは相反する世界が接触する事と同じなの。違和感を感じる事も、怖れを感じる事もあるでしょう」
ルドミラがそう俺に忠告するように語り始めた。
「その違和感や怖れに耐えられなくても、絶対に相手の世界を壊してはダメよ」
「ああ―――何度もそういう事があったが大丈夫だ」
「そういう事があった?」
「何、色々と俺にも事情があるって事だ」
トーカティブの件で再会したスノホワイトがそうだ。
かつて俺が知る
そこのいたのは
恐らく生き残っているであろうゴッデス部隊の2人と、今もどこかで生きているであろう[オールドテイルズ]の皆も俺を忘れて新しい自分の世界を構築している可能性が高い。
その時はスノーホワイトと同じように、新しい知人として振舞うだけだ。
「やっぱり只ものじゃないわね。指揮官になって数年の人間とは思えないわ。
「鋭いな。まあ、いずれ知ることになるかもしれないな―――そして忠告してくれてありがとう。ルドミラ」
「素直なのは関心ね。―――頑張るのよ」
「ああ」
◇
ルドミラからもたらされたスノーホワイトの巡回エリアに侵入した俺達。
「クロガネ少佐。ルドミラの情報だとこの時間帯この場でスノーホワイトが現れるようです」
「みたいだな」
ルドミラの情報は彼女が自身がアリスに指示して編纂している。
よって、この情報自体に齟齬はないだろう。
ただ―――
「師匠!北東に人影が見えますよ!!」
「あ、ホントだ」
ネオンが指さした方向をアニスがみてそう呟く。
俺とラピも同じ方向を向くと確かに人影が見えた。
「確かに人影ですね」
ラピもアニスと同じような反応を見せる。
ただ、俺はその人影に違和感を感じた。
「師匠?どうかしましたか?」
「なんかクロガネ少佐の表情が険しくなっているわね」
「ッ! アニス、ネオン。臨戦態勢を!」
ラピが俺が感じている違和感に気づいたようで2人にそう指示を送った。
「どういう事!?」
「なんで臨戦態勢を!?」
「アニス、ネオン。あの人影の周りを見ろ、周囲にその人影が動いた痕跡が一切ない。何より―――」
俺は思考内でアーセナルの起動コードを唱え[X MACHINA]を纏う。
「あの人影はスノーホワイトでもニケでもない―――
俺がそういうと同時に人影が爆発、そして以前経験したよりも大規模な雪崩が俺達に迫って来た。
「また雪崩!?」
「まずいですよ!!」
「クロガネ少佐!!」
『この距離では逃げ切るのは不可能だ。3人とも生き残る事だけを考えろ』
「クロガネ少佐は!!」
『俺は大丈夫だ―――ラピ、一時的に[カウンターズ]の指揮権を譲渡する。
「…ッ。ラジャー!! アニス、ネオン!離れない様に集合して防護姿勢を!」
「ちょ、クロガネ様は!?」
「師匠はどうなるんですか!?」
「クロガネ少佐なら飛行で難を逃れる事が出来る!! まずは私達が助かる事を優先という指示を優先!」
「あーもう!! 死んだら絶対に許さらないからね!クロガネ様!」
「五体満足で再会ですよ師匠!」
「クロガネ少佐、武運を!」
そしてラピ、アニス、ネオンは3人で固まりながら雪崩の影響を最低限に抑える姿勢を取りながら雪崩に身を任せるように流れていった。
さて―――
『お前の望み通りか? 1人になってやったぞ―――
俺はアーセナルのレーダーに反応していたトーカティブのエネルギー反応が探知された先に問いかけた。
その次の瞬間、何か巨大なものが俺の近くまで跳躍して来たかのように雪飛沫が舞った。
「やはりこちらの目論見は読まれていたか―――旧時代の遺物にしてクィーンに仇名す[
ヘレティック以外で唯一言葉を解すタイラント級ラプチャー[トーカティブ]がその姿を現した。
次回、更なる再会。
それでは!!
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