勝利の女神:NIKKE[DAEMON X MACHINA]   作:ちしかんn号機

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再逅―――巡礼の女神と異端の女神

〔クロガネSIDE〕

 

 

 

 

「やはりこちらの目論見は読まれていたか―――旧時代の遺物にしてクィーンに仇名す[悪魔(デモン)]を継し人間」

 

俺をそう呼ぶトーカティブ。

 

俺を旧時代の遺物と言った、どうやらこいつはラプチャー1次侵攻の情報を少なからず保有しているようだ。

 

しかし俺を当時の[機械の悪魔(デモンエクスマキナ)]とは認識していないらしい。

恐らく100年前の俺は死んだと思われているだろう。

 

『俺を遺物呼ばわりか。どうやら100年前のラプチャー1次侵攻の情報は少なからず持っているようだな』

 

「そんなことはどうでもいい。なぜお前がその[機械の悪魔]を纏っている? それは裏切り者の[アナキオール]を庇うように大気圏で消滅したはずだ」

 

俺とシンデレラの戦いの事まで知っているとは。

こいつ、何処まで通じているんだ?

 

まあ、それはともかく―――

 

『おい、()()()()()()()()

 

「聞こえなかったのか? なぜお前が[機械の悪魔]を纏っていると聞いた。忌むべきそれは裏切り者の()()()()()()()()に―――」

 

俺はトーカティブの口から[アナキオール]という言葉が出た瞬間、瞬時に奴との距離を詰めて右手のタイラントハンマーで腹部を殴りつけた。

 

「ガハッ!?」

 

口と殴りつけた胴体から[トーカティブ]の黒く穢れた体液が流れ出した。

 

「な、なにをする……ッ!」

 

『お前がそのクソみたいな忌み名を言ったからだ。勝利の女神はともかくお前のような侵略者が口にするなんざきいているだけで殺意が湧く』

 

そうだ、[アナキオール]なんて存在しない。

ゴッデス部隊が討ち滅ぼした。

 

そんな赤い靴の堕ちた女神が作り出した穢れた名も存在もラプチャー共が口にしていいもんじゃない。

 

「なぜ…そこまで[アナキオール]に―――ゴハァッ!?」

 

すかさず[トーカティブ]の腹にタイラントハンマーの一撃を喰らわせる。

 

『その名を口にするなといったはずだ。今度はその醜い体を塵芥にしてやろうか?』

 

「グッ……」

 

[トーカティブ]は確かに他のタイラント級ラプチャーや特殊個体のラプチャーよりかは強いだろう。

 

だがアーセナルを纏った俺にとって単騎のそいつらは雑魚に過ぎない。

こんな奴なんざ直ぐに滅ぼせる。

 

だが簡単には滅ぼさない。

コイツはラプチャーに関する情報をかなり持っている。

 

だからこそ尋問した上で滅ぼす。

 

『お前に少しだけ生きられるチャンスをやる。なに簡単な方法だ―――俺の問いに嘘偽りなく答えるだけで良い』

 

「お前如きに…話すことなど……ッ!」

 

俺は反抗する意思のあるトーカティブの右腕をタイラントハンマーで殴り飛ばす。

 

「ガァァァァァッ!?」

 

『どうやら理解していないようだな。()()()()()()()()()―――()()()。お前に反抗したり拒否する権利は塵芥もない。わかったら答えてもらおうか?』

 

「グッ…」

 

『まずだ―――[クィーン]は()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ッ!? なぜそれを知っている!!」

 

その反応だと当たりのようだな。

 

俺とシンデレラの最後の足掻きが今でも生きているのは良い情報だ。

 

『お前に質問する権利はない。次に質問だ―――初めて会った時俺を勧誘しようとしたな? なぜだ?』

 

「……お前の体の中にある物を欲しがっている奴がいるからだ」

 

俺の身体にある物?

 

最初の発言からして俺のアーセナルでもコアでもない。

そうなるとこの体の元の持ち主が宿していたものか?

 

確かにこの体を吸収してから妙な事ばかり起こる。

俺に取って存在せず、この体が体験した記憶が夢のように見える現象。

血液特性が依然と全く違う性質になった。

 

確かアウターリムで勧誘して今は前哨基地でニケ関係技術と生体工学に秀でた[見た目はガチのマッドサイエンティストだが中身は善良で信頼できる科学者]こと“ヴィクター博士”に変化した俺の血液特性は見せた事があった。

 

―――「この血液型はどの医学データベースにも載ってない。しかも正体不明の特性があるようにも感じられるな」*1

 

そう見解を出していた。

 

俺も血液特製が変わったのは勘―――というか、あの指揮官の遺体を吸収した時に直ぐに感じた違和感だった。

 

もしかすると俺の中にあるモノ―――トーカティブにそれを持ってくるように頼んだ奴が知っているな。

 

勿論トーカティブも。

 

「なるほど。それで、俺の身体にある物を使って何を成そうとするんだ?」

 

「それは…ただそいつが欲しがっているだけで解ら―――グァァァァ!!」

 

俺は[トーカティブ]の傷口を乱雑にえぐる。

 

『わからないわけないよな? 俺を見て直ぐに探し者だと決定づけた。嘘偽りなく答えろと言ったはずだ―――さっさと答えろ』

 

「[アンチェインド]……それを[ニヒリスター]が欲しがっている!!」

 

『ッ!?』

 

アンチェインド!?

アレは()()()()()()()()()()()()()()()()

 

それが俺にあるだと…。

 

いや、それなら博士が知らない血液特性だという事に納得がいく。

 

この体の持ち主自体も過去の経歴が不自然なほどに不透明―――1番古い情報でも[ニケ管理部の士官学校卒業]だった。

 

まさかこの体はアンデルセンのクローン?

だとしても顔も似ていないし、そういう事は吸収した瞬間気づくはず。

 

この体の元の持ち主の出生と[アンチェインド]、改めてアークには底知れない秘密があるようだな。

 

だがさっきの質問で引っかかる事がある。

 

『どうして[ヘレティック]である[ニヒリスター]が自分の弱点であり滅ぼせる[銀の弾丸]を求める?』

 

「そこまでは知らない。これは本当だ……」

 

声紋や動きに揺らぎが一切ない。

嘘はついていないようだな。

 

ここにきて色々と知れたが同時に謎も同じように増えたな。

そして俺の身体には[アンチェインド]正確には血液があるのは僥倖だ。

 

これなら確実にあの衛星軌道を彷徨う[クィーン]を確実に滅ぼせる。

何より侵食を受けた勝利の女神たちも救い、その意思があれば自由にさせることも出来る。

 

問題なのは血液からどうアンチェインドを生成するかだが、それは博士と一緒に試行錯誤していくしかないな。

 

『さて、まだまだ質問はある―――お前はアーク内にいる誰かと通じている奴に協力させて北部研究基地を掌握、ラプチャーに改造しただろう?』

 

「何故知っている……いや、私が来る状況を察していたとなるとこの一連の流れ自体が私を釣る仕掛けという事か」

 

『ああ。俺を目的の場所におびき出すには俺にしかできない任務に親しいニケの救出が必要だからな。まさか北部の研究基地を丸ごとタイラント級ラプチャーに変えるとはな』

 

「安易に正体を晒した貴様の報いだ。こうして貴様が大切にしている人間モドキも殺せばよかったがな」

 

『ああ。そのあたりは考慮してなかった。()()()()()()()()()()()()()()()

 

秘匿中の秘匿情報案件だったから周りを巻き込むとは思えなかったが[アンリミテッド]が巻き込まれたのは想定外だった。

 

ここまで徹底的で情が無く合理的に事を勧められる奴がアークにいるラプチャーとの内通者。

 

正直そのことを出来るのはアークにおいて奴しかいない。

そもそも今までのアーク内で起きた侵食コード埋め込み事案も、そいつならあらゆる監視を潜り抜けて可能だ。

 

考えれば考える程、アーク内にいる裏切り者は奴だとしか考えられなくなるな。

 

それから今度からは俺だけを巻き込むように徹底した罠を張らなないといけないな。

 

俺はそう考えつつ、右手を挙げて遠くにいるであろう白雪姫に向かってハンドサインを送る。

 

内容は「アイズヲオクルマデマテ」

流石にこの手の技術は忘れてなかったのか待機している。

 

そして[トーカティブ]は尋問されている状態で先ほどのやり取りに気づいていない。

 

『なら勝利の余韻に浸らせる間もなく最後の質問だ―――なぜアーク内にいる裏切り者に侵食コードを与えてニケを欲しがる?』

 

「……復活に必要だからだ―――ヘレティックのな」

 

ヘレティックの復活。

少なくともこいつは“シンデレラ”を裏切り者扱いした時点でその線はない。

それに“エイブ”が俺が残した伝言を聞き入れ、シンデレラが復活するまで必ず守るとガラスの板にそう刻印し俺に伝言を置いていったからな。

 

そうなると、俺が知る中で行動不能となったヘレティックは一体のみ。

 

[アブソルート]と[メティス]がアーク最強の分隊と称されるようになった切っ掛けともいえるヘレティック殲滅戦の敵―――[インディビリア]か。

 

[ヘレティック]の復活にニケが必要か。

ニケとラプチャーの技術がつながっている説も、これで確信に変わった。

 

とりあえずここまでにしようか。

 

遠方で待っている白雪姫に申し訳ない。

 

『そうか。知りたいことは以上だ。そして朗報だ、ここまで情報を吐いてくれたお礼に()()()()()()()()()()()()()

 

「なんだと…」

 

『言っておくが嘘じゃない。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

そういうと同時に俺は白雪姫にあるハンドサインを送った。

 

たった一文だけ「Shoot」と。

 

「なんだそのハンドサインは―――」

 

[トーカティブ]がそう言い終える瞬間、奴の腹に大穴が空いた。

 

まるで対艦ライフルに討たれたように。

 

「この…攻撃は……まさか!?」

 

「また会えて嬉しいよ―――お喋りさん(トーカティブ)

 

「じゅ、巡礼者ァァァァァァ!!!!」

 

そして現れたのは純白のセミロングヘアーをなびかせ、揺るがない意思を示した金色の瞳。

多種多様の武装を装備した地上を巡礼する勝利の女神。

 

ゴッデス部隊がメンバーの1人―――スノーホワイトだった。

 

「念のために動けない様に腹に撃ったがそこまで這いつくばるとはな。弾丸を無駄に消費したな」

 

そう言いながら俺を見るスノーホワイト。

 

「久しぶりだな。確かクロガネと言ったか?」

 

『覚えているとはな』

 

「その見た目とおしゃべりさんを圧倒した姿を見て忘れる方が難しい。そういえば私にハンドサインで待たせていたようだが何を話していた?」

 

『俺が知りたい情報をな。共有するか?』

 

「そうだな。私に有効な情報だと良い―――」

 

スノーホワイトがそう言いかけた瞬間、アーセナルのレーダーに強大なコア反応を検知したアラートが表示された。

 

そのコア反応は目の前で倒れ伏している[トーカティブ]が命乞いをした時に現れた反応と同じ。

 

それと同時にそれから俺達に向かって無数のビーム砲撃が放たれた。

 

『スノーホワイト!!』

 

「ッ!」

 

俺は[サテライトシールド]を起動しつつ、スノーホワイトを庇う形で防御姿勢をとりビーム砲撃の雨を防ぐ!

 

何だこの威力…ッ。

 

[クィーン]の砲撃や[ニヒリスター]の圧縮火炎ビームよりかはマシだが、それでも並みのニケなら一瞬で消し飛ぶ威力…ッ。

 


《サテライトシールド飽和率30%》


 

一気に30%も飽和させれるとはな。

 

しかも[トーカティブ]もここぞとばかりに最低限の部分を再生させて距離を離して来た。

 

『スノーホワイト。大丈夫か』

 

「ああ。すまない」

 

『俺が勝手に庇っただけだ。貸しでも恩もない。それよりもだ』

 

「ああ―――まさかあの時の[ヘレティック]とも再会するとはな」

 

スノーホワイトと俺はビームの砲撃が来た空を見上げる。

 

そこにはあの時あった時と同じく、負の感情をこれまでかと煮詰めたかのような人類、ニケ、そして俺に対しての圧倒的な敵意と悪意。

 

それを思わせる脚のない巨大なロボッ[ヘレティック]のタイラント形態が現れた。

 

ヘレティック―――[モダニア]が。

*1
イメージCV青山穣さん




次回、モダニアVSクロガネ&スノーホワイトです。

ちなみに作者のラプチャー強さ的の順位(オンリーワン未登場、クィーンリリス形態を除く)はこんな感じです。
クィーン(宇宙ステーションの姿)>シンデレラ>>>ヘレティック>>>超えられない壁>>>トーカティブ>>タイラント級ラプチャーだと思っています。

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