勝利の女神:NIKKE[DAEMON X MACHINA] 作:ちしかんn号機
〔クロガネSIDE〕
『ハァ…ハァ……』
息を切らしながらアーセナルを纏った状態で膝をつく…。
《アーセナル耐久値:30%》
《武装:[タイラントハンマー]2機。ヘレティック[モダニア]の攻撃を受け修復不可能レベルまで損傷、機関部への損傷により30秒後に爆発の危険性有》
《武装:[デッドリードライブ]現規定出力を超えた連続稼働により完全自壊》
《エブラ粒子残量0%。周囲のエブラ粒子を吸収。自己回復を含めて戦闘可能レベルまでのチャージ時間:160分》
ヘッドマウントディスプレイに現在のアーセナルの情報が表示された。
あちこちガタがきていてアラートや警告音がうるさいくらいにだ。
そんなことより両手の[タイラントハンマー]がもうすぐ自壊して爆発する…。
俺は両手に装備した[タイラントハンマー]をスノーホワイトがいない場所に向かて射出しパージ。
数秒後にパージした地点に爆発が起こり[タイラントハンマー]は跡形も無く消えた。
そしてショルダーウェポンの[デッドリードライブ]は撃ちきる直前で、自ら発射したビームに焼かれるように接続基部だけを残して無くなっていた。
折角使えるレベルまで修復した武装がこの戦いだけで3つもロストするとは…。
ヘレティック時代のシンデレラとはゴッデス部隊の皆を逃がす為に戦った事があるがここまでのダメージは追わなかった。
あの時は増備は万全だったうえに、ある意味操られている状態だったから本質的な強さではなかった。
それに逃がす為の戦いだったから軽い損耗で済んだ。
だが、今回は100年前と違って60%程度しか性能を発揮できていないうえに、エネルギー効率や武装の威力もかなりダウングレードしている状態での戦い。
何より相手の力が未知数な上に初見殺しすぎる。
『大丈夫か…スノーホワイト』
「歩けないがそれ以外は問題ない。お前の方が危ないだろう。装甲の隙間や弾痕から血が出ているぞ」
体は[アーセナル]と防御態勢で守ったとはいえ、俺の身体にもダメージが来ている。
実際[モダニア]の攻撃が数発ほど貫通して腹と胸、両足に奴の攻撃が当たっている。
『そうだな…。ともかく移動しよう。奴をビームで吹き飛ばしたとはいえ、じきに再生してくる。今のままじゃこのまま戦っても勝てないから撤退するぞ…』
「……そうだな。無駄死にだけは避けないと―――」
「そうですよね」
「『!?』」
スノーホワイトの言葉に[モダニア]の返事が聞こえた。
俺は声が聞こえた方向へと振り向くと同時に、ヘッドマウントディスプレイにはモダニアの拳によって覆い尽くされると同時に―――
金属が破壊される音と顔面にモダニアの拳が当たる感触と同時に視界が[アーセナル]の視点から肉眼の変わった。
「ガハッ!?」
そのまま俺は数メートルほど吹っ飛ばされた。
視界が揺らぐ…ッ。
口の中も出血で満たされ鉄の味で支配された…ッ。
「クロガネ!?」
スノーホワイトに名前を呼ばれるが脳が揺れている影響でうまく立てない…ッ。
俺は何度か頭を揺らしつつ口の中の血を吐き立ち上がろうとした時―――
「そういえば貴女も居ましたね」
「喰らえ!!」
スノーホワイトがメインウエポンである[ARセブンスドワーフ]で射撃する音が聞こえる。
「あのビームのお陰で磁場が展開できなくなりましたがその程度の火器なら問題ありません」
「ガハッ!?」
スノーホワイトの苦悶に浮かぶ声が聞こえる。
俺は無理やり体を動かし頭に衝撃を与えて平衡感覚と視界を戻そうとする。
そしてぼんやりだが視界に映ったのは、[モダニア]の背部ユニットであるウィングによって拘束されたスノーホワイトの姿だった。
そしてスノーホワイトを拘束する[モダニア]は所々ダメージがあったような形跡があるが、どれも再生したかのように修復されはじめている。
唯一顔面を覆うバイザーだけはボロボロだが、それでもスノーホワイトを拘束する奴の表情は対象を蔑むような笑みを浮かびあげ流れ痛めつけるように全身を殴りつけていた。
マリアンに似ているせいか、彼女を侮辱されている様で怒りがさらに込みあがってくる。
早く…立て直さなければ…ッ。
「うふふ…あはは…そうやって苦悶に満ちた顔は大好きですよ。もっと見せてください。あ、下品な笑い方でしたね。どうです?耐えられそうですか?」
[モダニア]の攻撃に相当なダメージを受けたスノーホワイトはひるむことなく不敵な笑みを浮かべながら奴を見下す様に口を開いた。
「おい…! この程度じゃ意味がないな…ッ。下がかゆいな…! ちょっとかいてくれるか?」
「随分と強がっていますね。ならお望み通り下をかいてあげましょう」
そういって[モダニア]がスノーホワイトの残った足を掴み引きちぎろうとする。
「させるかぁ!!」
俺は最初にトーカティブにあった時と同じ身体能力を解放し無理やりアーセナルを動かし、瞬時に[モダニア]との距離を詰める!
「まだ動けたんですか? だったらこの方はお返ししますよ」
そういって俺に向かってスノーホワイトを投げつける[モダニア]。
俺は急いで彼女を抱きかかえるが、それと同時に[モダニア]が自身のメインウエポンの銃口を俺に向けていた。
ヤバい!!
俺はスノーホワイトを勢いよく遠くに投げてると同時に両腕を前にクロスさせて防御姿勢を取る!
「なーんてやると思いました?」
「がっ!?」
[モダニア]の悪意ある口調が聞こえると同時に両脇腹に強烈な衝撃が来た…ッ!
みれば巨大化した奴のウィングユニットにて胴体が拘束されていた…ッ。
「味方を護るばかりで隙だらけですよ?」
「クソッ!!」
俺はなんとか抜け出そうっと[モダニア]のウィングユニットを外そうと両手で掴みあけようとするがビクともしない!!
「無駄ですよ。100年前のデータとは比べて弱体化している貴方では私に全てのスペックで負けています」
「よく喋るな…ッ!! その声と雰囲気で言われると余計にイラつく…ッ!!」
「そうですか。ならずっとしゃべり続けて痛めつけてあげます。折角ですしあの人間モドキさんにやろうとしたことをしてあげましょう」
そういいながら[モダニア]がメインウェポンを展開し銃口を俺の左腕に向けた。
「どこまで耐えられますかね?」
そう奴が言うと同時に俺の左腕に高密度のエネルギー弾による弾幕が襲った。
[アーセナル]の装甲がまるで群体蟻に喰われる動物の様に削られていく!!
「グッ!!!!」
そして―――
「あらま、貴方の左腕は消えちゃいましたね」
「ハァ…ハァ…ッ」
奴の攻撃によって肩事左腕全部が削られた木材のように無くなっていた。
傷口は不幸中の幸いか、奴の弾幕にっよって焼かれて何とか大量出血を免れている…ッ。
「これでも意識を保てるなんて…流石は[機械の悪魔]を継承しただけはありますね」
「そうか…異端者に褒められても……反吐が…出るな…ッ」
「あらま。まだ元気があるようですね。その鎧があるからでしょうか? なら壊しちゃいましょうか?」
そういってモダニアは[アーセナル]のボディアーマー部分を掴み皮をはぐように破壊した。
「これも邪魔ですね」
そして右腕部の装甲も掴まれかけるが―――
「え?」
突然飛んできた[セブンスドワーフⅠ]の弾丸によって俺を拘束していた[モダニア]のウィングユニットの可動部が被弾。
拘束が緩くなったと同時に俺は背部に残っておるスラスターを全開にして奴の拘束から逃れる!
そして―――
「クロガネ少佐!」
「クロガネ様!」
「師匠!!」
「…またせたな」
ラピ、アニス、そしてスノーホワイトをおんぶしているネオン、そしてネオンにおんぶされながらも[セブンスドワーフⅠ]を構えているスノーホワイトが来ていた。
〔クロガネSIDE OUT〕
◇
〔ラピSIDE〕
「早くしないと!!」
「雪のせいで走りずらいですね!」
「全くこうも罠にかかってクロガネ様とはぐれるなんて!!」
私達クロガネ少佐が不在の[カウンターズ]は雪崩に流された後、戦闘音が聞こえる場所まで走っていた。
走っている途中で空中に居た巨大な何かが墜落したのは遠目で見ていた。
そしてその際に小さく飛行する[アーセナル]を纏ったクロガネ少佐が移動するのも見えた。
普通なら空を飛ぶタイラント級ラプチャーと戦っていたと思うが、その後にさらなる激しい戦闘音が鳴り響いた。
しかもかなり戦闘音が続いている。
[アーセナル]を装備したクロガネ少佐が戦闘を継続させるような相手は相当な数がいるか、それとも相手がタイラント級以上の脅威―――[ヘレティック]がいる可能性がある。
最終的に私が持つ切り札を使って助けに行かないと危険な可能性もある。
最悪私が殿として自らを捨てて彼女にこの体を受け渡さないといけないかもしれない。
その際はアニスとネオン、何よりクロガネ少佐に色々と迷惑がかかるかもしれないが、皆ならうまくやるだろう。
そんな思いで戦闘が行われている場所へと走り続けいると―――。
「前方に人影!」
「あれはクロガネ様じゃない?」
「白髪の片足を失ったニケですね」
巨大な対艦ライフルを杖に私たちの進行方向と同じ方向に進むニケの姿だった。
「あれは…そういえばルドミラに見せてもらった写真のピルグリムじゃない!」
「ホントですね! あの火力が高そうな対艦ライフルがその証拠です!」
「私が話しかけるから2人は警戒をお願い」
「わかったよ」
「わかりました」
私は対艦ライフルを杖にして進むニケ―――スノーホワイトに近づく。
それに気づいたか状態を反転させて対艦ライフルの銃口を向けるスノーホワイトだったが私達がニケだと気づいてその銃口を下した。
「お前たちは、確かクロガネの部下だったな」
「ええ。[カウンターズ]のラピよ。後ろで経過しているのは仲間よ」
「そうか…。丁度いい私をあの方角まで運んでくれ」
「いきなりどうして…それにその脚は……」
「ヘレティックとの交戦でやられた。クロガネと一緒に戦っていたが、アイツに助けられてここまで投げ逃がされた…」
「クロガネ少佐が!?」
「え!? 伝説のピルグリムとヘレティックが戦ってるって…しかもクロガネ様も!?」
「それってかなりマズイですよね!!」
アニスとネオンが大声を上げながら焦る。
2人ともそのあたりの知識があったのは説明せずに済んだのは助かるところね。
「ああ。そこの眼鏡のニケの言う通りクロガネは万全ではないどころか恐らくヘレティックに殺される。そしてあの人間には借りがあるし、何故だか助けないといけないと考えてしまう。だから私も連れて行ってくれ。火力は少なくともお前たちよりかはあるから問題ないはずだ」
「どうする? ラピ?」
「私は信じても良いと思います。火力と言ってくれたのが何よりの証拠なので!」
研究基地で見せられたスノーホワイトとは違いかなりボロボロ。
片足が機関銃で撃たれたかのようになくなっているし、体のあちこちに殴られた箇所がある。
普通なら動けない状態なのに、武器を杖にしてまで共闘したであろうクロガネ少佐を助けようとする。
それに彼女の妹分でもある。
なら―――
「その火力を信じましょう。ネオン彼女の移動をサポートして」
「どのようにしましょうか? 肩を貸すと走れなくなりますが…」
「おんぶして戦闘区域までスノーホワイトの足代わりになって。そして戦闘になったら彼女の支援を」
「わかりました! ではスノーホワイトさん!私につかまってください」
「すまない」
ネオンがスノーホワイトをおんぶする。
「うぅ…かなり重いですが火力を極める者として頑張りますよ!」
「火力はともかく早くクロガネ様の増援に行かないと!!」
「ええ!」
そして私達は戦闘音が聞こえた場所まで全力で走り抜けた。
〔ラピSIDE OUT〕
◇
〔クロガネSIDE〕
「クロガネ少佐!遅くなり申し訳ありません!」
「クロガネ様大丈―――左腕が!!」
「師匠!!」
ラピ、アニス、ネオンの3人が俺を守るようにフォーメーションを組んでモダニアに立ちふさがった。
「3人とも…助かった。スノーホワイトも…すまなかった」
「投げた事か? それなら気にしていない。それにダメージに関してはお前の方が危険だ」
「そうだな…。ともかく直ぐにヘレティック[モダニア]から攻撃が来る。俺がダメージを与えて厄介な防御手段は消えた―――行くぞ」
俺は残った右手に[グリムリーパーⅡ]を持ち構える。
「[モダニア]にダメージを与えるメイン火力はスノーホワイトだ。俺達[カウンターズ]で奴を翻弄しつつ隙を作る。スノーホワイトは奴に隙が出来次第最大出力の[セブンスドワーフⅠ]の射撃を頼む」
「ラジャー!」
「了解!」
「了解です!」
「任された!」
再び[モダニア]との戦闘を開始する。
向こうも俺たちの動きに気づいたのか、厄介なメインウェポンである機関砲の銃口を向けてエネルギーチャージを始めた。
「させるか! セブンスドワーフⅠ!」
スノーホワイトによる狙撃支援で[モダニア]のメインウェポンが一撃で破壊された。
どうやら[デッドリードライブ]によるダメージが運よく蓄積したままだったようだな。
これならいける!
「[カウンターズ]総員は固まらずに動き続けながら射撃を! 絶対に拘束されるな!」
俺の指揮通りに動き続ける3人。
そして俺達の動きに一瞬で翻弄される[モダニア]。
どうやら俺やスノーホワイトの戦闘データは持っていても、ラピ達やこの連携の戦闘データは無いようだな!
「ちょこまかとしつこいですよ」
[モダニア]が急いでメインウェポンを修復して俺達に向かって射撃を開始した。
だが、あの時のような全員同時に放つ誘導式の攻撃じゃない。
どうやらそこまでの修復は時間がかかるようだな。
それから[カウンターズ]とスノーホワイトによる連携攻撃によりモダニアを徐々に追い詰めていく。
再生もかなり遅い。
[デッドリードライブ]を使いつぶした甲斐があるな!
「―――おかしいですね。性能にしろ状況にしろ、私の方が優位なはずなんですかどうして互角な状況になっているのでしょうか?―――あれ?」
[モダニア]が言うと同時に奴の顔面を追っていたバイザーが砕けるように自壊した。
俺はここだと言わんばかりに[グリムリーパーⅡ]の銃口を[モダニア]の顔面に向けるが―――
「なっ―――」
[モダニア]の素顔が見えた瞬間、俺の思考は激しく動揺した。
なぜなら奴の素顔は俺があの時介錯した“マリアン”そのものだったからだ。
何故だ…ッ、なぜ彼女がヘレティックに……!?
他人の空似……いや、奴の頭部には俺が介錯した後に巻いた包帯がある…ッ。
どういう事だ…ッ!?
「バイザーが壊れるとは…それにここまでの損傷なら[ニヒリスター]も連れて来るべきでした……どうして私の顔を見て動揺しているんですか?」
俺の動揺を見て首をかしげる[モダニア]。
そんな状況で俺はある事を思い出した。
かつて俺が唯一憎しみを持ったニケがいた。
奴は自らの結論でラプチャーは人類に勝てないと結論を出し、ラプチャーと人類が同じ立場になれば負けることはない、と歪んだ融和の思想を持ち始めた。
その女神の思想によって100年前、勇敢に戦った勝利の女神達を陥れる[侵食]を生み出したと言ってもいい最悪。
そしてシンデレラを[アナキオール]という怪物に仕立てた絶対悪。
あの―――赤い靴を。
それと同じような事が目の前で起きている。
しかも、相手は俺が脳を撃って介錯したはずの
奴はあの時―――シンデレラに自らの所業を語った時に俺が徹底的に破壊したはず。
頭、体、両手、腰、奴の象徴であった赤い靴でさえも破壊しつくした。
なのに奴が行った結果であろうヘレティックが目の前にいる。
その考えで俺は一瞬にして結論に達した。
奴の意思、悪意は今も生きている。
―――どやったか不明だが、赤い靴は今ものうのうと生きていると。
それがわかった瞬間、俺の思考は怒りに染まった。
何が融和だ…何が楽しい…身勝手な思想で彼女達をここまで陥れて―――
「勝利の女神を―――シンデレラとマリアンを何だと思っていやがる…ッ レッドシューズ!!!!」
俺は怒りをぶつけるように叫んだ。
「突然そんなに怒ってどうかしたんですか? 裏切り者の[アナキオール]にマリアン? って誰だかわからない名前を言うなんて―――あれ?」
「マリアン…聞いたことが無い名前のはずなのに、何故だか凄く懐かしい響きです……マリアン…マリアン―――」
なんだ、俺がマリアンと言った瞬間、[モダニア]の様子が変わった?
どうしてだ?
[モダニア]の変化に奴への―――レッドシューズへの怒りのボルテージが下がる。
そして[モダニア]は俺に視線を向けるなり―――
「マリアン…マリアン…、マリアン、マリアン。マリアンマリアンマリアンマリアンマリアンマリアンマリアンマリアンマリアンマリアン」
壊れたAI音声のようにマリアンの名を言い続けた。
何がどうなっている…ッ。
「―――私は…シルバーガン…分隊…の……マリアン…よろしく…します…」
瞳からは光が消え、そう言いながら俺に近づく[モダニア]。
まさか…マリアンだった時の記憶が……残っているのか?
そして―――
「
一瞬だけマリアンに戻ったであろうに見えた[モダニア]は、俺の眼前で黒いエネルギーを瞬時に放出し。
―――自爆するかのように爆発した。
ニケの二次創作でやりたいことに一つがようやく書けました!!
この話の通り、この世界戦でのニケはシンデレラではなくクロガネがレッドシューズを処刑しています。
なんなら原作のシンデレラがマイルドと思える以上に破壊の限りを尽くしながらレッドシューズを破壊しています。
そして北部編は2話か3話くらいで終わりとなります。
では!!
新しいお気に入り登録、高評価、感想お待ちしております!
特に感想を沢山くれるとモチベーションにつながるのでドシドシ送ってほしいです!!