勝利の女神:NIKKE[DAEMON X MACHINA] 作:ちしかんn号機
実は投降頻度についてですが諸事情により最低1週間に1話が難しくなり不定期とさせていただくことになりました。
申し訳ございません!
〔クロガネSIDE〕
「ふぅ…1人で地上に行くのも久しぶりだな」
俺は1人での地上活動という久しぶりの感覚に懐かしさと寂しさを感じながらそう呟いた。
地上にでて早1日が経過した。
まず俺はマリアンの遺体を安置したラプチャーが寄り付かない花畑に行った。
しかし、そこにマリアンの遺体はなく代わりにあったのは1人のニケらしき足跡。
しかも昔の紅蓮が履いていた靴の形状と似ていた。
まさか紅蓮が裏切ったのか?
っと思ったが彼女の過去を考えらばラプチャーに鞍替えるなんてことはない。
浸食を受けても自ら腹を斬るように自害して自分を利用させない為に仲間に体の処分を頼むはず。
そうなると、紅蓮が過去に所属していた近接戦闘特化に製造されたニケ分隊の生き残り。
紅蓮曰くちゃんと全滅したと言っていたが、遺体をどうしたかまでは聞いてない。
かつての紅蓮の仲間がラプチャーに利用されるのもそうだが、最悪のケースは紅蓮が語っていた尊敬し超えるべき存在である実の姉の“薔花”がラプチャーに利用されたパターンだ。
今の紅蓮が過去の事を覚えているかどうか、そもそも生き残っているかどうかがは定かじゃないが、少なくともかなり厄介だ。
あの紅蓮が超えられることが無かったと言われる程の実力者となれば脅威としてもな。
「これは早く見つけないとな―――ん?」
俺は周囲を見渡していると、ラプチャー10機が一体のラプチャーらしき何かを追っかけている光景が見えた。
追われているラプチャーは遠目から見ればラプチャーに見えなくも無いが、ちゃんと見てみると廃材を上手いように加工したラプチャー擬きの姿。
ラプチャーはラプチャー擬きを搭載している火器で攻撃して、ラプチャー擬きはコミカルな動きでなんとか避けて逃げていると言ったところだ。
こんな姿をしている奴は俺が知る限りじゃ一人しかいないな。
俺はディアボロスを組み立てて安全装置を解除。
そのままラプチャー擬きを追っているラプチャーを一体ずつ破壊していく。
「まったく…相変わらずの行動力だな―――“ラプチリオン”」
俺はそう呟きながら知り合いを攻撃するラプチャーを撃破し続けた。
◇
「いやー追われている時はもうだめかと思ったけど、こうしてまた助けてくれるとはね」
そうさわやかな男性の声を発するラプチャー擬き。
「そうだな。ていうか俺が近くに居なかったらどうするつもりだったんだ―――“ラプチリオン”」
このラプチャー擬きはれっきとした元アークの住人で人間の“ラプチリオン”。
ラプチャーに対して魅力を感じており、ぶっちゃけるとこの世界の人間においてラプチャーの事を一番よく知る人物。
アークではそれなりの階級の出身で、一般人が行くことを許されない地上も気軽に行ける立場。
しかもコイツのラプチャー調査資料はアークやニケ、俺みたいなラプチャー=滅ぼす敵のような先入観がない為、新しい視点からラプチャーを調査してさらなる成果を出している為中央政府からはニトログリセリンのような扱いを受けている。
なんでニトログリセリンなのかは―――
「君とこうして地上で合うのは久しぶりだね、クロガネ。君もラプチャーの魅力にひかれて僕の同志になるって事なのかな?」
コイツはラプチャーが大好きなのである。
人がペットを可愛がるように、ラプチリオンはラプチャーを可愛がり愛している。
それが中央政府にとうとう危険と判断されて、半年前に中央政府から指名手配されてしまい[ジャッジズ]の[シージペラリス]から命を狙われた。
だけど今までの運の良さが発揮して、ラプチリオンを普通のラプチャーと勘違いしたタイラント級でもかなり危険度が高い特殊個体[マザーホエール]に回収されて難を逃れた。
しかもラプチリオンはそのマザーホエールに対話し続けて菜食を勧めたら本当に菜食して外観が、ラプチャーを象徴する黒と赤ではなく白と青カラーに変化。
しかも元々マザーホエールの体内に居たラプチャーも敵対的な性質ではなくラプチリオンを人間と認識したうえで共生というか仲間と認識するまでに至った。
ちなみにそのマザーホエールは“ホエリー”という名前で俺も一回あったことがあるが、ラプチャーにとっては親でもあるクィーンを害した存在なはずなのに普通にフレンドリーだった。
どう考えてもこのラプチャーの変化を促したラプチリオンはぶっちゃけ歴史の教科書に大々的に掲載される程の異形を現在進行形で成し遂げている。
地位、名声という恵まれた環境でラプチャーとの[同化]を目指し、ラプチャーとの歪んだ共生思想により人類と勝利の女神を裏切り陥れた赤い靴。
周囲に返事扱いされて、アークも俺にも理解されず、指名手配という最悪な状況に陥ってもなおラプチャーを人間が持つコミュニケーションである[対話]をし続けラプチャーと共生を成し遂げたラプチリオン。
俺がクィーンやラプチャーを許すつもりはないとはっきり言ってもそれすら理解して、否定もせずに己の道をはっきり示して進み続ける。
ラプチリオンこそ人類にとっての英雄に成るべき存在だと俺は確信している。
「ちがう。個人的な探し者だ。というかホエリーはどうしたんだ?」
「いやー。僕が地上でラプチャーを数日間調査したいってお願いしたら地上に降ろしてくれてね。今は絶賛何時もの調査さ!」
「そ、そうか…」
「これでもニケ無しでボクは地上を数ヵ月は生きられるからね。あ、そういえばホエリーの体内で凄い発見があったんだよ!」
「生命体? 新種のラプチャーか?」
「いいや。どちらかといえばニケに近いかな。僕も色々と考えを巡らせているけど、今は一般的な子供位に成長しているかな」
「成長するニケか…。これまた不思議な現象だな」
「ああ。僕だけじゃどうにもならなかったから、地上を巡礼しているとあるニケの方に協力してもらっている所だよ」
「そうか。ちなみに名前は?」
「“ナユタ”だよ」
ナユタ…か。
知らない名前だな。
「そういえばクロガネ君は地上で彷徨うニケで[ゴッデス部隊]の生き残りが気がかりって言った居たよね?」
「ああ」
「実はナユタとの会話から3人のニケの名前を聞いたんだ。確か“スノーホワイト”“紅蓮”“ラプンツェル”だったかな?」
「…ッ。そうか、情報提供ありがとな」
「いやいや。君と僕の仲じゃないか。それじゃあ僕はまだラプチャーとの対話があるから行くね。君も探し物が見つかると良いね!」
「ああ。お互い無病息災でな」
そんなこんなで俺とラプチリオンは別れた。
しかしラプチリオンが合流したニケ―――ナユタか。
ゴッデス部隊に居た時も、オールドテイルズに居た時も聞かなかった名前。
一体誰なのだろうか?
俺はナユタというニケの正体について考えつつ、探し物の見つける為に歩みを進めた。