神の騎士団の強ロリ枠 (本編完結)   作:ハセカズ

1 / 11
001:誕生

この世界にはマリージョアと呼ばれる場所が存在する。

それは惑星を一周する赤い土の大陸(レッドライン)の頂上に位置する、天竜人や五老星の住まう聖地。

 

いわば世界政府における首都に等しい地点。

その場所にて新たな命が産まれようとしていた。

 

「頭が見えてきましたよ、イザナミ宮!」

「もう少しです!頑張ってください!」

 

数多の助産師や医師たちに励まされながらも必死に痛みに耐えている若い女性の名は

─────マーカス・イザナミ宮。

 

「うぁ……うぅぅ……!」

 

陣痛が始まってから既に32時間以上が経過した。その痛みは天竜人であるイザナミ宮が経験したことがないような筆舌に尽くしがたいものであった。おまけにイザナミは生まれつき身体が弱いこともあり気力体力共に既に限界。

 

しかしそれでも……極悪非道を重ねてきた天竜人でも母は強い。男ならとっくにショック死しているような痛みに堪えつつもイザナミ宮は弱音を一切吐くことはなかった。

護衛として付近についている政府の関係者たちも固唾を呑みながらその光景を見守っていたが─────ついにその瞬間が訪れた。

 

「産まれました……産まれましたよ!イザナミ宮!」

 

助産師によって取り出された小さな命。

先程まで苦痛の表情を浮かべていたイザナミの顔に笑みが宿った。

 

「あぁ……アマテラス、私の赤ちゃん……。やっと、会えた……。あなたは強く、長く生きるアマス……」

「イザナミ宮!?気をしっかり!」

 

生まれつき体が弱く、病弱体質だったイザナミ。難産であったこともあり、体力の全てを使い果たしたイザナミは……そのまま静かに息を引き取った。

 

「イ、イザナミ宮が!?」

「なんて事だ……!天竜人を死なせたとなったら我々もどうなるか!」

 

天竜人の死去。

そんな一大事にこの場に集う誰もが慌てふためいていたが次の瞬間にそれは起きた。

 

「────────びぇぇぇぇぇん!」

 

この世に生を受けた赤子の泣き声が分娩室に木霊する。産まれた際の反応だからか、はたまた自分の為に懸命に力を尽くしてくれた母親を亡くしたからなのかは分からない。

それがただの泣き声であれば、その声を気にするものはいなかっただろう。産まれた赤子としては極めて正常な反応だからだ。

 

しかし……今回のソレは極めて強大な()()()が纏わさっていた。

 

「うっ─────!?」

 

叫びを聞いたものが次々と泡を噴きながら倒れていく。分娩室にいた医療従事者の者たちはもちろんのこと護衛としてついていた政府の諜報機関のモノまで気絶して。

それが弱者でも鍛え上げられた強者でも部屋の周辺にいたものは例外なく倒れ伏した。

 

「びぇぇえええん!びぇぇぇぇぇん!」

 

マリージョア全域にまで広がったその力は五老星にもすぐに伝わることになった。

 

─────マーカス・アマテラス宮

 

後に”神の騎士団”の最高傑作とまで呼ばれる少女が今日この日をもって誕生することになった。

 

 

 

□◆□◆□◆

 

 

 

マーカス・アマテラス宮の誕生から数日。

とある一室にて長髪で長いひげを蓄えた白髪の老人がスヤスヤと眠る赤子を冷徹に見下ろしていた。

 

「赤子にして、この覇気か……」

 

この老人こそ世界政府の最高権力でもある五老星の一角─────マーカス・マーズ聖。

資料に書かれたデータと赤子を見ながらマーズがぽつりと呟いた。

 

「ええ……覇気だけなら既に新世界の猛者たちと比べても遜色ないレベル。しかも産まれたばかりの赤子でここまでの覇王色を放つものは過去に前例がありません」

 

冷や汗をかきながら、世界政府の諜報機関CP-0のメンバーの1人でもあるゲルニカがマーズに報告する。本来、覇気とは長期間の修練の末に獲得するもの。

まして100万人に1人と言われる覇王色を産まれたばかりの赤子がここまで強く放つのは異例中の異例であろう。

 

アマテラスの両親は共に病弱体質であったため突然変異で生まれてきたとしか説明のしようが無かった。一応、ごく普通の親から生まれながら生まれつき強大な力を持つ存在の例がないわけではない。

新世界の海を統べる皇帝の一角───ビッグ・マムと呼ばれる海賊がまさにそうだ。彼女も一般的な家庭の生まれでありながら生まれつき強大な身体と腕力を持ち合わせて、そのうえ特別な訓練を受けたわけでも無いにも関わらずたった5歳にして巨人族の村を壊滅させたという突然変異で生まれた存在でもある。

 

しかしそのような例外達と比較しても……産まれてすぐに、これだけの覇気を放つ赤子というのは世界政府の長い歴史から見ても初めてと言わざるを得ないだろう。

 

アマテラスは泣くたびに強力な覇王色を放つため、世話ができるものも限られている。アマテラスが産まれた日に至っては近くにいた医療従事者も護衛も全てが気絶してしまった。

そして異様な覇気を感じ取り現場に駆けつけた者たちですら軒並み気絶させていったため、アマテラスが保護されたのは産まれてから1時間以上が経った後だった。

 

そのため現在はCPや海軍の将校クラスの者たちなど、

アマテラスの覇王色に耐えられる強者達が交代で面倒を見ていた。

 

「確か両親はともに他界済みだったか?」

「はい。父親であるイザナギ聖は半年前に病死。母親のイザナミ宮もアマテラス宮が産まれた直後に亡くなっております」

「ふむ……」

 

マーズが自分の髭を触りながらアマテラスに視線を向ける。赤子にしてこの覇気力。しかもマーカス家という由緒正しき尊い血を引き継ぐもの。その力を正しく鍛え上げた上で()()()()()()を結べば……政府にとってこれ以上ない戦力となるだろう。

 

「なるほど……使()()()()

「え……」

 

赤子に向けるものとは思えないほどの冷たい言葉と視線にゲルニカも思わず冷や汗をかいていた。

これまでアマテラスの世話をする為にお呼ばれした海軍本部の名だたる将校……大将の黄猿や中将のガープ、つるなどはみな可愛らしい赤子に頬を緩めていた。

特に屈指の天竜人嫌いで知られているガープですら呼ばれた当初は嫌がる態度を隠そうともしていなかったが、それでも最終的には小さく無邪気な笑顔に癒されていた。

 

だが、マーズの表情からはそんな暖かな感情など欠片たりとも感じることが出来ない。

彼の頭の中には同胞の天竜人でもあり、まだ赤子であるはずのアマテラスの力を今後どう使っていくか……それ以外ないようだった。

 

「今後マーカス・アマテラス宮の管理は私の方で行う」

「マーズ聖がですか?」

「そうだ。私と同じマーカス家の者である以上、私が引き取っても何の問題もない。今後の教育、戦闘訓練、手配する奴隷は私の方で調整をする」

「わ、分かりました」

 

確認するべきことを確認したマーズが部屋を去る。

思わぬ収益にマーズは内心ほくそ笑んでいた。

 

 

 

 

□◆□◆□◆

 

 

 

 

マーカス・アマテラス宮の誕生からおよそ5年が経過した。

下界では麦わらのルフィと呼ばれる海賊のルーキーが東の海(イーストブルー)のフーシャ村を旅立とうとしている頃に。

 

聖地内にある訓練室に件の少女がいた。

 

「ふわぁ……ねむい……」

 

少女の名はマーカス・アマテラス宮。

母親の望み通り強く、そして健康的に成長してきたアマテラスはあくびをしながら目を擦っている。

 

天竜人とはとても思えない様なおっとりとした大人しい雰囲気。そして眠たそうにふにゃりと緩んだ容姿は年齢通りの幼さを感じさせるが、その顔立ちは非常に整っている。

母親譲りの綺麗な桜色の髪は腰まで流れており、肌は透き通るかのように白い。そして宝石を思わせるような青色の瞳に艶やかなまつ毛。

 

まだ幼いアマテラスだが、もしメディアに公開すればあっという間に世間の注目を掻っ攫ってしまうぐらいには容姿が優れていた。

このまま成長していけば、それこそ海賊女帝ボア・ハンコックや人魚姫にも匹敵あるいは凌駕するほどの美しさを持つ絶世の美女として将来期待が持てるだろう。

 

そんなアマテラスは訓練室にて、とある中年男性と対峙していた。

 

男の名は世界政府の諜報機関サイファーポール CP9の諜報部員の1人でもある、ジャブラ。

政府の戦闘技術でもある六式の全てをマスターしてCP9の中でも上位クラスの極めて高い戦闘力を持つ、この男は今回たまたま近くに来ていたということもあって、マーズの指示によりアマテラスの手頃な訓練相手として招集されていた。

 

“神の騎士団”候補生でもあるアマテラスとの訓練。

アマテラスは世界政府の長い歴史の中でも最高の逸材であり、将来は政府の戦力として期待が持たれている。そんな噂はジャブラの耳にも入ってはいたが実際に訓練が始まるまでジャブラは内心ではアマテラスのことを見下していた。

 

いかに逸材だろうと所詮はまだ幼い子供。

おまけに普段は贅沢を謳歌し、怠惰を貪っているだけの世界貴族。これまで戦闘とは無縁な彼らのあり様を政府の諜報機関としてさんざん見てきているのだ。幼き頃より特殊な訓練をうけ、今もなおその牙を磨き続けている自分の足元にも及ぶはずがない─────と、そんな心境だった。

 

実際にアマテラスと対面した時にその考えはさらに強くなった。

逸材というからには四皇の1人でもあるビッグ・マムのように子供にして巨人族並みの巨漢な……それこそ筋肉ムキムキな化け物のような容姿かと思いきや見た目は幼い少女そのもので拍子抜けしたほどだ。

アマテラスは身長も110cmほどで、子供らしく華奢な体つき。柔らかそうな白い肌は戦う女というにはあまりにも綺麗すぎる。そして眠たそうな顔をしたその雰囲気には覇気のカケラも感じない。

 

「(ケッ、これのどこが逸材なんだよ。俺はお嬢様の遊戯のために呼ばれたのか?全くこっちも暇じゃねえんだぞ)」

 

だから、アマテラスと対面したジャブラがそう考えたのも無理はなかった。とはいえ相手は曲がりなりにも天竜人。従っていつものように表面上は敬意を払わなければならない。

下手を打てば今の地位をはく奪されるどころか自分の命すら危うくされかねないのだから。

 

天竜人には決して逆らうな。そして傷付けるな。それは子供でも知っているような常識だ。そのため、いかに訓練といえども傷つけるなど論外だし相手の自尊心を損なうような真似もできない。

そのため、程よくおだてて適当にへりくだりながら訓練はほどほどにする。そして仮に模擬戦闘を行うことになっても最後にはわざと負けてあげることで相手を満足させて穏便にここを去っていく。それが命令を受けた時のジャブラの考えだった。

 

だが─────訓練が始まってすぐに、その考えが間違いであるということに気がついた。

 

「ハァ……ハァ……!」

 

訓練開始から5分ほどが経過した。鍛え上げられたジャブラの体は傷だらけであり今にも倒れてしまいそうな状態にまで追い込まれていた。

 

「だいじょうぶー?もうやめにする?」

 

一方で、ジャブラにそう言うアマテラスには傷らしい傷がついていない。屈辱に塗れたジャブラが怒りのまま六式の1つである月歩を使い空中に登った上で自身の悪魔の実の力と六式を組み合わせた大技を放つ。

 

「─────『嵐脚』"群狼連星(ルーパスフォール)" !」

「あ、おおかみだー」

 

足から放たれた狼を思わせるような斬撃が複数同時に放たれる。生き物のように複雑な軌道で進む回避困難なソレは鋼鉄であろうが容易く切り刻む威力を持っているがアマテラスはその全てを楽々と回避してみせた。

余裕そうなアマテラスに内心舌打ちをしつつ両手の指を立てながらアマテラスに接近する。

 

「ぐっ───『指銃』"(まだら)"!」

 

実弾並みの威力を持ち人体を容易く貫くソレが機関銃のように連続で放たれるが、それでもアマテラスの余裕を崩すことができない。すべてを紙一重で躱されてしまっていた。

 

アマテラスはここまでジャブラからの攻撃を一度も受けていない。

 

ソレもそのはずでアマテラスは幼いながらも3種類全ての覇気を高レベルで扱えていた。優れた見聞色によりジャブラの動きは完全に見切られ、そして身に纏った武装色はジャブラの鉄塊を容易く貫通してダメージを与える。

 

最初は訓練ということで手を抜きながらやっていたジャブラだが今やそんな余裕はどこにもない。自身が持つ悪魔の実───イヌイヌの実モデル"狼"の力と六式の全力解放により少女に迫るが、それでも差が全く縮まないのだ。

 

「くそがっ、こんなことが…!この俺が……CP9の俺がガキ相手に……!」

「ふわぁ……もう眠くなってきたから、そろそろおわらせるね」

「このっ……舐めるなッ!」

 

戦闘中にも関わらずあくびをするアマテラスに対して怒りを滲ませながら六式の「剃」を使って接近するジャブラ。

 

子供相手に手も足も出ずに舐められている。

 

そんな屈辱と怒りに塗れたジャブラは今戦っている相手が怪我をさせれば処刑どころでは済まない天竜人であると言うことも、そしてこれが訓練であるということもすっかりと頭から抜け落ちてしまっている。もはや彼の頭の中にはソレを為してしまった後のことなど全く考えられていなかった。

 

「『鉄塊拳法』"狼芭(ろうば)の構え"───"狼狩(ろうかる)エリア・ネットワーク"!」

 

そのため相手の生死を考えない……正真正銘、本気の速度と威力を持ってアマテラスに迫る。六式の1つでもある鉄塊。鍛え上げた肉体そのものを銃弾をも容易く弾いてしまう鉄の装甲のように硬化させる防御技。

それを全身にかけたまま相手を囲うように四方から放たれた斬撃が一斉にアマテラスを襲う。それはさながら斬撃の嵐。それを放った瞬間にジャブラは勝利を確信した。先ほどまではその速力と回避力により一度も攻撃を当てられなかった。

 

だからこそジャブラは今回の攻撃をアマテラスの四方を埋め尽くす形で行った。この斬撃の嵐には人が抜けられるような隙間が存在しない。つまり今までとは違い物理的に回避が不可能なのだ。

 

だが……その全ての斬撃が武装色を纏ったアマテラスによって簡単に弾かれてしまった。斬撃の嵐を受けた筈のアマテラスには肌どころか衣服にすら傷一つ付いていない。

 

「何だと!?」

 

攻撃が当たりさえすれば勝てると考えていたジャブラが驚愕するが、そんなジャブラに対してアマテラスは拳をあげて。

 

「えい」

「ゴベブ!?」

 

そのまま武装色を纏った拳により地面に叩きつけられたジャブラは白目を剥き戦闘不能とかした。CP9の中でも唯一、鉄塊を全身に掛けた状態で動くことができるジャブラであったが、その鉄壁の防御力も強靭な武装色の前では意味をなさない。

 

もっとも天竜人であるアマテラスを必要以上に傷つけた場合の末路を考えた場合、この結末は彼にとってこの上ない幸運であったとも言えるわけだが。もし先ほどの攻撃でアマテラスが大きな傷を負うようなことがあれば処刑されるか運が良くても天竜人の奴隷に落とされる末路を迎えることになっていたことだろう。

 

「ふむ……もはやCP9の手練れでも相手にならぬか」

「あっ、マーズ。来ていたんだ」

 

世界の頂点、五老星の一角であるマーカス・マーズの存在に気がついたアマテラスがマーズの元に向かい出す。アマテラスが産まれてからの5年間、アマテラスの世話や訓練の手配は全てマーズが行っており今回のように普段の業務の合間にこうしてアマテラスの様子を見に来ることがあった。

もはやCP9や海軍の中将クラスでも相手にならない以上、今後の訓練相手にはCP0や海軍大将レベルの猛者を呼ぶ必要があるだろう。

 

そんなことを考えるマーズの視線はジャブラを下したアマテラスの拳に向いている。そこには武装色だけでなく黒い稲妻が宿っていたことに気がついていた。

 

「(恐らくは無意識だが……覇王色を纏っているな。精度は荒いが、この年でここまで……)」

 

覇王色の覇気。

数百万人に1人しか素質を持たないとされるこの力は王の資質ともされており新世界で名を上げるような大物は凡そこの力を持っていることが多い。現に海を統べる皇帝である四皇はみなこの才能を持っている。

その力は周囲に向け、発散させることで相手を威圧させというのが一般的に知られる使い方。圧倒的な力量差がある場合に限るが、この圧を受けた者の一瞬で意識を刈り取り気絶させることが出来る。

 

しかし、覇王色にはもう一つの隠された使い方がある。ソレは武装色のように纏うという使い方だ。直接触れずに相手にダメージを与えることが可能なソレは極めて強大な力となる。

だが、それが可能なのは、ほんの一握りの強者に限られる。それこそ四皇クラスの猛者で無ければ到達できないような至高の領域なのだ。

 

アマテラスの力が予想以上であることにマーズ聖が口角を釣り上げる。そして、まだ子供ではあるがこれなら問題ないと考えていた。

 

「アマテラス、お前の成長は私の予想以上のものとなった。予定よりも早いが……今のお前なら申し分ない。あの方のもとに連れていくとしよう」

「あのかた?」

「ついてくれば分かることだ。さあ、いくぞ」

「あっ、まってー」

 

同じCP9の仲間に担がれているジャブラを背に去っていくアマテラスとマーズ。

そうしてアマテラスは世界における()()()()()と初めての邂逅を果たすことになった。

 

 

 

 

□◆□◆□◆

 

 

 

 

「この変なしるしがまーく?」

「そうだ。これでお前もあの方に仕えるモノの1人。その力、政府のために存分に尽くすのだ」

「うん、わかったー」

 

世界政府の頂点─────五老星が創造主と崇めるものとの契約が終わり、アマテラスの左腕にはマークと呼ばれる印が刻まれている。

 

「今日からお前も騎士団のお抱え───”神の従刃”の1人。騎士団への昇格もそう時間は掛からないだろう。あのお方もお前には多大なる期待をしておられる」

「うん、がんばるー」

 

無邪気にそう答えるアマテラス。この後は団員の1人として騎士団メンバー達との顔合わせやアマテラスに任せる任務などの調整を行う予定だった。

だが、その前に渡すものがあるとマーズ聖が前置きをした上で配下のものに指示をだし、あるものを持って来させた。

 

厳重なガラスケースに保管されたそれは海の秘宝とも呼ばれる禁断の力。ソレを求めて死んでいく船乗りが五万といる程に希少性の高い力。

 

「さて、お前も今日で5歳だったな。入団祝いも兼ねて私から贈り物がある」

 

ガラスケースから取り出されてマーズ聖の手に乗せられたそれは独特な唐草模様がついている不可思議な果物であった。

 

「あっ、本で見たことがある。えーと……たしかあくまの実?」

「そう。動物系(ゾオンけい) "トリトリの実"───その中でも最高位に位置する幻獣種だ。強力な力だが、お前なら上手く使いこなせるだろう」

「そうなのー?よくわからないけど、ありがとうマーズ」

 

そうして受け取った悪魔の実をマーズに促されるまま齧るアマテラス。

だが一口含んだアマテラスの顔が歪んだ。

 

「うぇ……まずい……」

 

思っていた以上の酷い味に吐き出してしまいそうになるが、

なんとか耐えてそれを飲み込む。

 

「あ……」

 

─────ドクンと。

その直後、アマテラスの中に強大な何かが宿った気がした。

 

「これでお前も能力者だな、アマテラス。お前には近いうちに実力テストを兼ねた任務を言い渡すことになる。それまでに能力には慣れておけ」

「ん、わかったー」

「この後は騎士団メンバーとの顔合わせの予定だ。案内のものが来るまでここで待機するように」

 

そう言って場を後にするマーズ聖。

この日、”神の騎士団”の見習い───”神の従刃”として史上最年少のメンバーが入団することになった。

 

その名はマーカス・アマテラス宮。

後に”神の騎士団”最高傑作と呼ばれる少女である。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。