神の騎士団の強ロリ枠 (本編完結)   作:ハセカズ

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002:海賊と制圧任務

2年前に天竜人に手を出して完全に崩壊したとされる麦わら海賊団がシャボンディ諸島にて完全復活したとニュースで報じられた頃。マーカス・アマテラス宮の誕生からおよそ7年の月日が流れていた。

 

新世界のとある島にて。

非常に豊富な資源に恵まれた、その島はかつてこの海において住民達の活気が最も溢れているといっても過言では無い場所だった。世界政府非加盟国ではあるものの財力を活かしてそれなりの武力を所有していたため島の資源を求めてくる海賊達が相手でも十分対抗できていた。

またその島は四皇達の縄張りからも距離がだいぶ離れており彼らが手軽に手を出せるような場所では無かったというのも平和を続けることができた要因の一つだろう。

 

だがその平和は2年前に突如として来訪した海賊団によって終わりを見せた。

 

その名はセマカ海賊団。

新世界においても名を馳せる猛者の一角であった。

今や島の主となったセマカ海賊団とその傘下の者たちはその島を拠点に海賊活動を続けていた。

 

「この島を拠点にして、そろそろ2年か……打倒四皇の戦力は着実に整いつつあるな、セマカ」

 

そう言うのはセマカ海賊団の最高幹部の1人────

黒鎧のヌイケマ "懸賞金7億7000万ベリー”

 

「今や傘下の海賊団を含めて俺達の兵力は10万を越える」

「ああ、俺たちの目標は打倒四皇。奴らの顔を恥辱で染めて俺達が新世界の支配者になる日が楽しみだぜ」

 

これからの戦いを待ちきれず指をパキパキと鳴らす2人も同じく最高幹部

────最速打ちのマザブ "懸賞金7億1800万ベリー"

────殲滅のレラヤ "懸賞金6億7900万ベリー"

 

「くく……そう焦るな。流石に四皇どもはどいつも一筋縄じゃいかねえ。この島には、まだまだたっぷりと資源が残されているんだ。今はそれを使って戦力を整える時期。折角この島の奴らを皆殺しにして手に入れた資源なんだ。平和ボケしていた馬鹿どもに代わって俺達がちゃんと有効活用してやらねえとな」

 

悪魔のような笑みを浮かべながら近くにある肉を手に取り齧り付く筋骨隆々な男。この男こそがセマカ海賊団の船長。そして新世界の海においても頭角を表し次世代の皇帝になるのでは無いかと噂が立つほどの猛者。

 

────暴乱のセマカ ”懸賞金12億7400万ベリー”

 

セマカはこれまでも名だたる海の強者達を相手にして勝ち上がってきた男。海賊だけで無く世界政府であってもそれは変わりない。

今までセマカ達を抑えるべく海軍の中将や政府の諜報機関など名だたる猛者達が幾度となく派遣されてきたが、いずれもこの男の前には手も足も出なかった。その強靭な武装色は中将クラスの攻撃でも傷一つつけられず。強力な見聞色は銃弾をも容易くかわし。そして王の資質とされる覇王色も難なく使いこなして。

 

その上セマカは動物系(ゾオンけい)の中でも貴重な古代種の能力者。

そのタフネスさはかつて三万を超える軍勢をたった1人で沈めた事があるほどだ。

今までセマカ達に滅ぼされた国の数も片手では数えられないほど多い。

 

今セマカ達がいる島は元々は笑顔が絶えない平和な島だったが突如としてやってきた、これまでの海賊達とは桁違いの戦力を持つセマカ海賊団にはなすすべがなかった。

兵士は瞬く間に殲滅され、たまたま島の付近に停泊していて『政府非加盟国だから助けは必要ない』という上からの命令を無視してまで、この国を助けようと果敢に挑んだ海軍の船ですら一瞬で沈められてしまい。

希望をことごとく打ち砕かれた後、島に響いたのは住民たちの悲鳴と絶望だった。

 

島の住人のあるものは容赦なく殺され、あるものは面白半分で嬲られながら死に、あるものは奴隷として売り飛ばされ……結果として現在この島にはセマカ海賊団と傘下のメンバーしか存在していない。

 

豊富な資源を有しているということでセマカ海賊団に目をつけられたのが運の尽きだった。

もっとも……島の資源に目をつけていたのは世界政府も同じであり、更に島が世界政府加盟の促しを拒んでいたことからも仮にセマカ海賊団による襲撃がなかったとしても同じ結末を迎えていた可能性があったかもしれないわけだが。

 

「さて、手に入れた奴隷も全員くたばっちまったしな……気分転換も兼ねてそろそろ新鮮な奴隷を補充しに行くとするか。やはり奴隷は買って手に入れるより()()調()()するに限るぜ」

「前に襲った町の女どもはイマイチだったからな。次の島にはもっと上玉がいればいいな。そのうえ頑丈で長期間持つなら言うことなしだぜ」

「ヒヒ、違いねぇ。レラヤなんてやり過ぎて、すぐぶっ壊しちまうからな。高値で売れそうな小さいガキでも一瞬でダメにしちまうしよ。せめて俺たちの番が来るまで持たせろってんだ」

「仕方ねえじゃねえかよぉ。直ぐ壊れちまうあいつらがいけねんだ。全く使えないオモチャどもだぜ」

「へっ、お前の相手が務まる女なんて、それこそ海賊女帝ぐらいのものだろうよ!」

 

ワハハと一同の笑う声が辺りに響く。

そんな悪魔じみた会話を楽しむ海賊達ではあるが彼らの快進撃も今日限りだった。

 

それはなんの前触れもなく突如として起きた。

 

「ッ─────!?」

 

突如として島中に降り注ぐ圧力。

バリバリと黒い稲妻を思わせるそれを受けた海賊たちが泡を吹きながら次々と倒れていく。

 

「(─────覇王色!何者だ……!?)」

 

同じ覇王色を扱えるものとして、すぐにその正体に気がつくセマカであるがここまで強力な覇王色はこれまで名だたる猛者たちを相手にしてきたセマカ達ですら経験がない。

幹部達やセマカなどの強者は何とか気絶せずに済んでいるが、それでも膝をついてしまうほどに強力な圧力であった。

 

この島には10万近い配下が滞在していたが覇王色の咆哮が終わる頃に残っていたのは……幹部達を含めたったの10数人だけだった。

すぐさま犯人を特定すべく部下に号令をかけて外に出るセマカ達だが不意に聞き覚えのない声が空から聞こえた。

 

「のこってるのは10人ぐらいー?」

 

声が聞こえた上空を見やるとそこには巨大な炎があった。

 

「太陽……?」

 

思わずそう呟いてしまうが良く見るとソレは鳥だった。

身長が40m以上はありそうな巨大な鳥の影がセマカ達を覆う。

 

「なんだありゃ……」

 

突然の事態に理解が追いつかないセマカ。

ソレは一言で言うなら黄金に輝く炎を纏う鳥。朱色と金色が織り混ざった体毛は星のような輝きを見せている。大きさもあり輝く炎を纏うその様はもう一つの太陽のようで。

そして熱量によりゆらゆらと空間を揺らめかせながら空を舞うソレは非常に神秘的で美しく緊急時であるというのに一瞬惚けてしまうほどの衝撃があった。

 

先ほどまで騒がしかったのが嘘のように周囲が静まり返っていたが、ソレが長続くこともなかった。

 

「ん─────"ふぁいあー"!」

「うわぁ!?」

 

放たれた黄金の炎が海賊達に向かって降り注ぐ。

強力な覇気が込められた、その炎を受けた誰もが例外なく戦闘不能状態に陥ることになった。だがセマカ達はまがりなりにも新世界で活躍し先ほどの強力な覇王色にまで耐えた猛者達。

 

幹部以外のメンバーは今の炎で戦闘不能にされてしまったが

セマカと幹部の4人はその攻撃を見聞色を駆使して何とか今の攻撃をかわしていた。

 

「あと4人?」

 

そう言いながら地上に降り立った鳥は

みるみるうちに縮んでいき─────やがて小さな人間の少女へと変貌した。

 

「ガキだと……?」

 

セマカの視界に映った少女はどう考えても7歳ぐらいにしか見えないごく普通の子供であった。

子供に似つかわないような豪奢な軍服をその身に纏っている少女は残虐な海賊達が支配する島にいると言うのに緊張感のカケラも感じさせないような表情と雰囲気を醸し出している。

 

だが、セマカも幹部達も警戒を緩めることはない。

緩めることなど出来る筈もなかった。

 

「(バカな……なんなんだ。この馬鹿げた覇気は……!)」

 

セマカ達が思わず唾を飲む。

今まで自分達が戦ってきた名だたる海賊や海軍の強者達の誰であろうが比較にすらならない。新世界に名を馳せ見聞色の達人でもある猛者だからこそ感じられる、その力は怪物としか表現できない。

それこそ海の皇帝たる四皇と比べても決して見劣りしないレベル。

 

年齢相応に華奢な身体のどこから、そんな力が溢れているのだろうか。

見通せる実力は深海の海溝のようで、どこまでも果てしなく強大で。一度振るわれれば巨大な山であろうと跡形もなく抉るであろう圧倒的な覇気は凶猛な黒雷を弾けさせている。それですら底ではなく、ただ表面上の力を読み取っているだけに過ぎない。

 

セマカ達が対峙したその少女こそが世界政府の懐剣の1人。

神の騎士団─────(マーカス家) アマテラス宮であった。

 

巨大な力を持つ少女と対峙したセマカ達だが、それでも彼らは怯まずにアマテラスを睨め付ける。

そして先ほどの覇王色のお返しにセマカ自身の覇王色をアマテラスに向かってありったけ放つが、それを受けた本人は眠たそうな表情を変えることなく平然としている。そんな様子に思わず舌打ちをするセマカだが少女の出方を見つつも冷静に現状を分析する。

この少女は大きな鳥の姿から人の姿に変身した。つまり自分と同じく動物系(ゾオンけい)の能力者ということだ。

 

「トリトリの実の能力者……それも幻獣種か?」

「こいつ何もんだ?あんなバカでかい覇王色は見たことがねえぞ……!」

「知るか!誰であろうと舐めた真似をしてくれた落とし前はしっかりと付けさせてもらうぜ……!良く見ればガキのくせにとんでもねえ上玉だからな……俺たちでたっぷりと可愛がってから、その手の方面に売り飛ばしてやるぜ」

 

そういうなり自身の悪魔の実の力を解放するセマカ。

動物に変身してその特性を発揮できる動物系(ゾオンけい)の中でも

希少な古代種 ”リュウリュウの実” モデル ”ギガノトサウルス”。

 

純粋に身体能力が向上して迫撃能力が強化されることが特徴の動物系(ゾオンけい)の悪魔の実。

その中でも、すでに絶滅した古生物に変身できる古代種の実は従来と比較して遥かに身体が大型化し、パワーと耐久力も通常種より大きく向上するのが特徴だ。特に恐竜の能力者の場合は耐久性能が更に桁違いとなる。

 

そんな古代種の中でも大きな身体に高い攻撃力と俊敏性をもつギガノトサウルスはトップクラスに入るほどの力を持つ。更にセマカは動物系(ゾオンけい)の変化形態の1つでもある人獣型に変身していた。

人型と獣型の両者の特徴を併せ持ち白兵戦がやりやすいこの形態は動物系(ゾオンけい)能力者の強みを最も活かしやすい形態なのだ。その皮膚は刀も銃弾も通さないほどに固く、ひとたびその力が振るわれればあらゆる敵を殲滅する破壊力となる。更にどれだけの攻撃を受けても倒れないほどのタフネスさをも併せ持つ。

 

現にセマカは1週間以上連続で戦闘を続けても、なお倒れなかったことさえあるのだ。

更にセマカは恐竜の強大な力にかまけているような弱者ではない。自らの覇気をも極限まで鍛え上げ、その武装色は海軍本部の中将クラスの攻撃も通さないほどに硬く強い。

 

ギガノトサウルスの力と強力な覇気。

この2つの力を使って、セマカはここまでのし上がり12億越えの賞金首という新世界の海においても上位に入る域にまで上り詰めてきたのだ。

 

「切り刻んでやる……喰らえ!」

 

自身の愛刀を抜刀したセマカが強力な武装色を纏わた斬撃を連続でアマテラスに放つ。ギガノトサウルスの腕力も加わって過去に7億クラスの賞金首さえもあっさりと仕留めた連撃であるが難なく躱されてしまった。

 

「ちっ、ガキの癖に速ぇな」

 

舌打ちをしながら忌まわしげにアマテラスを睨みつけるセマカ。

僅かなやりとりでセマカは相手が覇王色だけでなく見聞色という点においても相当な使い手であると睨んでいた。並みの見聞色の使い手では今の攻撃は回避できないはずだからだ。

 

だが、優れた見聞色の使い手であればセマカ海賊団にもいる。

セマカ海賊団の最高幹部の一人にして狙撃手を務めるマザブは新世界においても最速打ちと呼ばれ恐れられている男だ。

 

「俺に任せろ、セマカ。いくぜ……"殺人百連続ライフル" !」

 

改造型の銃を活かし覇気を込めた弾を連射する幹部のマザブ。

セマカ海賊団の中でも特に見聞色に優れているマザブは遠く離れた海上で素早く飛び回る虫をも撃ち落とせるほどの技量と見聞色を持っている。その上、覇気を込められた改造型の銃は音速をも遥かに凌駕する速度で弾丸を放ち獲物を貫く。

 

しかし─────かつて海軍の兵器パシフィスタをも一瞬で蜂の巣にしたソレでさえも当てることができない。見聞色で動きを先読みしているはずのアマテラスの動きを全く捉えられないのだ。

 

「俺のライフルをこんな簡単に……!未来でも見えてるのかよ、あのガキ……!?」

「落ち着け。向こうが仕掛けてきたところをカウンターで仕留めるぞ。この俺のタフネスさをあのガキに思い知らせてやる……!」

 

そう言って強力な武装色を全身に纏うセマカ。

金剛石であろうとも容易く砕けるほどの硬さを身に纏う。更に強力な覇王色の覇気が黒い稲妻となって身体から発散されていた。

かつて3万を越える敵の軍勢相手に三日三晩休むことなく戦い続けたこともあるセマカ。恐竜のタフネスや頑丈さも合わさり、まさに不死身と呼んでも差し支えないほどの鉄壁さを誇る。

 

だが不意に────セマカの視界からアマテラスが消えた。

 

「とーう」

「ブベラァ!?」

 

セマカが気がついた瞬間にはアマテラスの強烈な蹴りがマザブに直撃して────遥か遠方に飛ばされたマザブはそのまま海に沈んでいった。その次は瞬間移動と見間違えるほどの凄まじい速力を発揮してヌイケマの背後に回った。

 

「は、速いッ!」

「えい」

「武装、ぎッ!?」

 

鉄壁の黒鎧とまで呼ばれるほど武装色の達人でもあるヌイケマだが咄嗟に纏った武装色ごと地面に叩きつけられ一撃で戦闘不能とかす。

 

「クソガキが!死にさら───うぎゃああああ!?」

 

仲間をやられ怒りを露わにしたレラヤが武装色を纏いアマテラスに殴りかかるも同じく武装色を纏っていたアマテラスの覇気にはまるで歯が立たずに攻撃した手が逆にへし折れてしまう。

そして、そのままの勢いでアマテラスの拳を受けたレラヤも一瞬で白目を剝いてしまった。

 

「な……あ……!?」

 

これまで自分を支えてきた幹部3人があっという間にやられた事実に唖然とするセマカ。幹部全員が6億を優に超える賞金首であり、セマカ自身も12億を超える賞金が掛けられている。

新世界においても名を轟かせるほどの強者であり、それこそ次世代の四皇候補として真っ先に名が上がるぐらいの猛者達なのだ。

 

「ふざけんな!俺の、この俺の野望があんなガキ1人に!」

 

資源が豊富なこの島を拠点に資金と武器を蓄えて、いずれは自分たちが海の皇帝としてふんぞり返っている四皇に代わって新世界を支配する。そして思う存分に殺戮と破壊の限りを尽くしその甘美を味わう。

ソレは決して夢物語などではなく日々力を蓄えつつあるセマカ達と島の資源のことを考えれば、そう遠くない未来に実現が見込めるものであった。

 

そんなセマカ達の長年の野望が今崩れようとしている。

年端もいかないたった1人の少女によって。

 

「なんなんだ……なんなんだテメェはよぉ!」

 

覇王色を放ち、それこそ視線だけで相手を殺せそうな表情のセマカであるが、アマテラスはいつものように戦闘時とは思えないようなふわふわした雰囲気のまま答えた。

 

「わたしは”神の騎士団” マーカス・アマテラス。この島は世界政府に必要らしいから、わたしがきたのー」

「世界政府だと……?ふざけるな!今まで俺は海軍も政府の諜報機関どもも刃向かう奴は全員殺してきたんだ!お前みたいなガキ1人に俺の計画を壊されてたまるかっ!」

 

怒りのままギガノトサウルスの力と覇気を全力で発動して、さらに強力な覇王色の咆哮を放ちながらアマテラスに迫る。長年に渡り力を磨き続け新世界で君臨してきたその実力は伊達ではない。

 

「────死ねッ!!」

 

黒く染まった愛剣と強靭な腕力から来る一撃は、それこそ四皇の最高幹部クラスであっても沈めかねないほどの威力。アマテラスもソレを迎撃すべく武装色を足に纏わせた。

 

「────"はい・くいっく" !」

 

アマテラスの蹴りとセマカの剣が激突する。

そして強靭な武装色を纏っている剣が同じく武装色を纏ったアマテラスの足と激突した瞬間─────粉々に砕けちった。

 

「ガッ……」

 

アマテラスからの強烈な蹴りを受けたセマカが白目を剥き倒れ込む。セマカが沈黙したことを確認したアマテラスは相変わらず眠たそうな表情のまま電伝虫を取り出した。

 

「ふわぁ……シャムロックーせいあつ終わったよー」

「ご苦労だった。相変わらず仕事が早いなアマテラス。手筈通り政府のものをそちらに派遣する。お前はそのままそこで待機しろ」

「わかったー」

 

連絡を終えたアマテラスが目を擦りながら

近くにあった大きめの岩に座り込み、そのまま横になった。

 

「すぅ……すぅ……」

 

気絶させられた海賊達がゴロゴロと転がっている中、それを気にすることもなくアマテラスは眠りに落ちた。

今回の戦いでは死傷者は1人も出ていない。アマテラスは政府からの命が下るか必要でない限りは殺すことがない。別に命を尊んでるというわけではない。

だが誰であろうと死なずにすむならそれに越したことは無いし関心がないならそもそも関わらない、必要ないならやらない、というのがアマテラスの考えだ。

 

セマカ海賊団はこの後すぐにやってくる政府の人間に捕縛されて、あるものはインペルダウンの監獄に。また、あるものは天竜人の奴隷として連行されることになる。

 

もし後者の末路を迎えた場合、彼らは天竜人の……人間という生き物の恐ろしさを見ることになるのだろう。これまで極悪非道を繰り返してきた彼らではあるが、それでも悪意を持ってやっている分まだマシな方と言えるもしれない。

 

本当に怖いのは()()()()()なのだから。

 

自分の基盤に正しい教養がないからどんなバカにでもなれる。

だからこそ、どんなに残酷なことでも……それこそ奴隷を虐げることも「人間狩り」という常軌を逸脱した行為をとることにも躊躇いというものが無い。

彼らにとってはそれが当たり前であり、セマカ海賊団のような「自覚ある悪意」がないからこそブレーキというものが存在しないのだ。

 

新世界で名を馳せ力を奮っていたセマカ海賊団。

そんな彼らはたった1人の天竜人の少女によって壊滅することになった。

 

 

 

 

□◆□◆□◆

 

 

 

 

聖地マリージョア───白亜の城たるパンゲア城内『権力の間』にて。

そこには、ある5人の老人が集まっていた。

 

「そうか……セマカ海賊団の制圧が終わったか」

 

報告を聞いて、その結果に対して満足そうに頷く高身長の老人

─────五老星[環境武神] マーカス・マーズ聖。

 

「あの島の資源は我々にとって非常に大きな利益をもたらすもの。それを損失なく手に入れることができたのは大きいな」

 

そういいながら今回手に入れた資源をいかに有効活用するかを

思考するスキンヘッドに丸メガネが特徴の老人

─────五老星[財務武神] イーザンバロン・V・ナス寿朗聖

 

「それにしても、7年前マリージョアを騒がせた赤子がここまで仕上がるとはな……。同じマーカス家の者としてお前も鼻が高かろうマーズ」

 

どこか特徴的な大きい髭を蓄えた老人

─────五老星[法務武神] トップマン・ウォーキュリー聖

 

「悪魔の実……鳳凰の力も使いこなしていると聞く。アレの羽にはいかなる病や毒をも癒し、枯れた土地を復活させ、飢えを凌ぎ、若さをも取り戻す力があるとの報告も受けている。政府が受ける恩恵も果てしなく大きい。それに戦闘力も既に四皇と比較して遜色がない。アマテラスは今後も政府の大きな戦力となるであろう」

 

農務・食料の政策担当者としてアマテラスの能力の有用性を誰よりも評価する金髪の男性

─────五老星[農務武神] シェパード・十・ピーター聖

 

「確かにアマテラスが騎士団に加入したことで新世界の海において制圧可能となった範囲が更に広がった。世界の全てを管理するのはやはり我々でなくてはな。あのお方もそれを望んでいる」

 

そう言いながら、これからの世界政府の繁栄を考える老人

─────五老星[科学防衛武神] ジェイガルシア・サターン聖

 

世界政府の最高権力者である5人が、まるでチェス盤の駒でも扱うかのように次はどの土地の制圧をアマテラスにやらせるかを検討していく。

アマテラスは他の騎士団や天竜人達とは違い、これまで無辜の民や罪なき人に手をかけたことがない。

 

だがそれは、そういう命令がまだ一度も下っていないというだけに過ぎない。

今の大海賊時代、政府が求めるような資源があることに加えてアマテラスの力が必要になるレベルの戦力を持つ島など海賊によって支配されているケースが殆どであるため結果的に無辜の民に手を出さずに済んでいるだけに過ぎない。

 

アマテラスは天竜人の中では珍しく気性が大人しく他者を痛ぶるような嗜好も持ち合わせてはいない。少なくとも現時点では直接的に手を汚す経験をまだしてない。

これまでの制圧任務で海賊を相手にする場合でも命を奪うまではやってこなかった。というよりも殺生の経験自体なく、虫一匹ですら殺したことが無い。だが、それは必要ないからやっていないだけに過ぎない。

アマテラスは良くも悪くも「善悪」に関心がない性質でもある。仲間以外を善意で助けるということも悪意で人を傷つけるということもやらない。

 

だからこそ万が一、()()()()()()()()()()場合でも躊躇いを見せることはないだろう。そこには悪意も善意も葛藤もなく。

 

世界中の嫌われ者にして多くの悲劇を生み出してきた天竜人。

そんな天竜人の1人である少女の行く末は今の時点だと誰にもわからない。

 




・セマカ海賊団
オリキャラ海賊団。
色んな意味で「名は体を表す」海賊たち。アマテラスに瞬殺されてしまったが一応船長のセマカは準四皇クラスの猛者ではある。

・五老星 
今日もニコニコ仲良く「どこをアマテラスに制圧させるか」を検討中。控えめに言って悪魔。

・シャムロック
一瞬だけ登場。アマテラスの訓練に良く付き合っている。

・アマテラス
前話から2年が経ち現在は7歳。
今のところ殺生の経験がない。
彼女の手が綺麗なままでいられるかは五老星の肩に掛かっている。

・鳳凰
鳳凰とはこういう生き物らしい。
不死鳥と違って傷を癒す力は無いよ。


次回は「奴隷と仲間(神の騎士団)」
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